『それでも、生きてゆく』最終回の結末を相関図付きでネタバレ
『それでも、生きてゆく』は、事件によって時間が止まってしまった加害者家族と被害者家族が、もがきながらも明日への希望を見いだそうと懸命に生きる姿を描いた作品です。今回は坂本裕二さん脚本の傑作ドラマ『それでも、生きてゆく』の結末までのあらすじを振り返ります。
『それでも、生きてゆく』登場人物&相関図
◆登場人物
◆深見洋貴(瑛太)・・・親友の少年A・三崎文哉によって殺害された少女の兄。釣り船屋「ふかみ」で父と働く。
◆三崎/遠山双葉(満島ひかり)・・・少女を殺害した少年A・三崎文哉の妹。加害者の家族のため母親の旧姓を名乗るも、密告のせいでとして嫌がらせをされ何度も引っ越しをする。
◆三崎文哉/雨宮健二(風間俊介)・・・洋貴の妹を殺害した少年A。当時は未成年だったため少年院に入所。出所後は果樹園農家に住み込みで働き、社会復帰している。
◆三崎駿輔(時任三郎)・・・少女を殺害した文哉と双葉、灯里の父。精密機器メーカーの課長だったが息子が逮捕され退職。加害者家族として誹謗中傷を受け職を転々する。
◆三崎/遠山灯里(福田麻由子)・・・双葉の妹。事件直後に生まれたため、事件のことや兄を一切知らず加害者の家族という意識も薄い。
◆三崎隆美(風吹ジュン)・・・少女を殺害した文哉と双葉、灯里の母。文哉と双葉の母は自殺で亡くなっており、二人とは血がつながっていない。
◆深見達彦(柄本明)・・・洋貴、耕平、殺害された少女・亜季の父。妻・響子の怒りを買う発言をして別居中。癌の告知を受け余命いくばく。
◆深見響子(大竹しのぶ)・・・洋貴、耕平、殺害された少女・亜季の母。興信所などを利用し、加害者家族を調べ嫌がらせをする。
◆深見/日垣耕平(田中圭)・・・洋貴の弟で亜季の兄。結婚して他家の婿養子となっている。加害者家族への憎しみはあるが、過去のことと割り切っている。
◆東 雪恵(酒井若菜)・・・東京医療少年院で文哉を担当していた看護師で文哉に興味を持ち、彼が出所後一時交際。あるとき妊娠が発覚し、文哉に報告するが…。
◆藤村五月(倉科カナ)・・・洋貴が知り合った、別の事件の被害者家族。洋貴に想いを寄せる。
◆草間五郎(小野武彦)・・・出所後に少年Aである三崎文哉受け入れた果樹園農家の主。
◆草間真岐(佐藤江梨子)・・・健二が働く果樹園農家の主の娘。離婚して娘を連れて実家に帰り稼業を手伝っている。文哉を気に入る。
◆臼井紗歩(安藤サクラ)・・・果樹園農家にやってきた健二の過去を知る女性。
◆相関図
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『それでも、生きてゆく』1話から最終回までのあらすじ
1話◆「禁断の出逢い…」
湖畔の釣り船屋『ふかみ』。深見洋貴(瑛太)は、ここで父の達彦(柄本明)を手伝いながら暮らしている。翌日は、15年前に亡くした妹、亜季(信太真妃)の誕生日。洋貴は亜季の顔をはっきりと思い出せなくなっていた。そんな時、達彦が倒れてしまう。遠山双葉(満島ひかり)は婚約者から別れを告げられて帰宅。双葉の家族は、15年前から名字を三崎から母、隆美(風吹ジュン)の旧姓に変えていた。父の駿輔(時任三郎)だけが三崎を名乗っていたためか、家族は執拗な中傷に追い続けられ、耐え難い現実に双葉は行動を起こす。達彦は重い病に冒されていた。洋貴が病院から夕暮れの釣り船屋に戻ると見慣れぬ女性、双葉がいた。洋貴は双葉を自殺志願者ではと警戒。空腹を訴える双葉のために洋貴が食料を買い出しに行こうとすると、弟の日垣耕平(田中圭)が車で達彦を連れて来た。達彦は病院を抜け出し、別れた妻、野本響子(大竹しのぶ)に会いに行ったらしい。会わせなかったと言う耕平は、達彦を洋貴に託して帰る。洋貴の家族は15年前の悲劇でバラバラになっていた。達彦を落ち着かせた洋貴は、双葉とファミリーレストランへ。そこで洋貴は、15年前の悲劇…妹の亜季が殺害されたことを話す。犯人は洋貴の友人だった。洋貴がなぜか話す気になった亜季の殺害状況を淡々と語っていると、双葉はいたたまれずに店を出る。亜季を殺したのは双葉の兄、文哉(風間俊介)だった。出展元:(C)フジテレビ
2話◆「想い、絶たれて…」
深見洋貴(瑛太)は三崎文哉(風間俊介)を見つけるのだが、遠山(三崎)双葉(満島ひかり)が「逃げて」と声を上げたため見失ってしまう。その時、洋貴の上着の中にはナイフが忍ばされていた。双葉は洋貴に文哉の妹だと明かす。洋貴はなぜ今まで文哉の居場所を探さなかったのかと問うが、双葉には答えられない。放っておいたら、さらに犠牲者が出るという洋貴を双葉は否定してしまう。敵だと宣言して立ち去ろうとする洋貴は、双葉から連絡先を書いたメモを渡されるが受け取らなかった。双葉の家族は嫌がらせから逃れるため、またしても引っ越す。引っ越し先に着いた途端、警官が来た。付近で小学生の女の子が行方不明になっていたのだ。双葉に、洋貴から言われた言葉がよみがえる。父、達彦(柄本明)の葬儀を終えた洋貴は、耕平(田中圭)が養子に入った家に誘われる。そこでは、母の響子(大竹しのぶ)も暮らしていた。洋貴は耕平から文哉と会ったことは話すなと口止めされたのだが、つい話そうとしてしまう。気まずい雰囲気から帰ろうとした洋貴は、車に乗るときに双葉から渡されたメモを見つける。釣り船屋に双葉が来た。洋貴が呼び出したのだった…。出展元:(C)フジテレビ
3話◆「お母さんだから…」
祭りの夜、深見洋貴(瑛太)と遠山双葉(満島ひかり)は、洋貴の母・響子(大竹しのぶ)、と弟の耕平(田中圭)の嫁・日垣由佳(村川絵梨)と出くわしてしまう。洋貴は双葉に響子を母だと紹介。しかし、響子の動揺を恐れた洋貴は、双葉が何者かは言わなかった。再び2人になると、洋貴は響子が自分を許していないと双葉に話す。そんな洋貴に、双葉は自分の家族が嫌がらせを受けていると打ち明けた。知り合うまでは洋貴を疑っていたという双葉。洋貴には、嫌な予感が走る。遠山家は引っ越したのだが、嫌がらせが終わる気配はない。そんな時、バイトの面接帰りに双葉は響子と会い、ボウリングに誘われる。その頃、洋貴は耕平から、響子がおかしな行動をとっていることを教えられる。耕平が帰った後、湖でつり客の世話をした洋貴が店に戻ると双葉と響子が来ていた。洋貴は双葉を帰らせると、今度は響子におかしな行動はやめるように言う。しかし、響子はやめるわけないと言い放って出て行ってしまう。店の近くで佇んでいた双葉は、再び響子と会う。そしてバスを待つベンチで双葉は、響子が抱える、亡き娘への思いを知る事に…。出展元:(C)フジテレビ
4話◆「明かされた真実…」
深見洋貴(瑛太)は、遠山(三崎)双葉(満島ひかり)と彼女の家族が事件当時に住んでいた家の跡地で果物を見つける。それは、東京で2人が雨宮健二=三崎文哉(風間俊介)を見た時に、彼が残していった果物と同じ。洋貴は、文哉がつい最近ここに訪れたことを確信するが、双葉は否定的だった。洋貴と双葉が釣り船屋に行くと、野本(深見)響子(大竹しのぶ)が来ていた。響子の様子がおかしい。響子は、双葉が遠山家の娘だと知っていた。興信所で教えられた住所をたどって、遠山家を訪ねていたのだ。双葉が帰ると、響子は事件当時の遠山家の様子を洋貴に話す。双葉は深見の人々と会っている事を、家族に明かす。父の駿輔(時任三郎)、母の隆美(風吹ジュン)は過敏な反応を示した。妹の灯里(福田麻由子)が嫌がらせを警察に訴えようと言うのを、自分たちは加害者家族なのだと双葉が止める。すると、隆美が生まれる前の灯里に事件は関係ないとかばう。隆美の言い方に引っかかりながらも、双葉は深見家への謝罪を促すのだが、駿輔たちは取り合おうとしない。出かけようとした駿輔は、双葉が拾った果物を見つけて日向夏だと教える。送ってもらう車の中で、双葉は東京で文哉を見た事を駿輔に話した。駿輔も数年前に文哉と会ったと言う。そして、駿輔は人を殺してしまった息子…文哉への思いを話しだす。出展元:(C)フジテレビ
5話◆「居場所を求めて…」
深見洋貴(瑛太)は釣り船屋『ふかみ』で、藤村五月(倉科カナ)に医療少年院で三崎文哉=雨宮健二(風間俊介)の担当看護師だった東雪恵が行方不明になっていることを話す。事件性を疑う洋貴に、五月は文哉探しの協力を申し出た。そこに、遠山(三崎)双葉(満島ひかり)が現れる。自分と文哉の出生の秘密を知ってしまった双葉は、行き場所を失ってやって来たのだ。その夜『ふかみ』に泊まる事になると、五月は双葉の洋貴への気持ちを探ろうとする。その頃、文哉は自分の過去を知る臼井紗歩(安藤サクラ)を車で連れ出していた。ひたすら森の闇に車を走らせる文哉に紗歩は恐怖をつのらせる。翌朝は朝早く起きなければならないと訴える紗歩に、文哉は…明日が来ると思っているのか?…と、冷たく言い放った。夜が明けると、五月は東京に帰った。昨晩は寝付けなかったと、遅く起きた双葉が帰ろうとすると駿輔(時任三郎)が洋貴を訪ねてきた。改めて挨拶をしに来たと言う駿輔を洋貴は達彦(柄本明)の部屋へ通した。駿輔は響子(大竹しのぶ)に謝罪させて欲しいと洋貴に頼み、文哉も見つけ出すと約束する。すると洋貴は文哉が描いた絵を駿輔に見せた。文哉に反省の意志はないと突きつける洋貴に、駿輔は言葉を失う。うたた寝をしていた双葉を促し帰ろうとする駿輔。双葉が自分と文哉を産んだ母のことを尋ねると、駿輔は死んだと答えた。2人の会話を洋貴が聞いてしまう。出展元:(C)フジテレビ
6話◆「招かれざる客」
深見洋貴(瑛太)の母、響子(大竹しのぶ)は亜季(信太真妃)の死亡時の足跡をたどり、娘への思いを再確認。耕平(田中圭)と一緒に住んでいた日垣家を出て三崎文哉=雨宮健二(風間俊介)を探すため洋貴が暮らす釣り船屋『ふかみ』に身を移した。そんな時、遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)が来る。家出した双葉(満島ひかり)を探しに来た隆美なのだが、響子と顔を遇わせてしまった。すると隆美の携帯電話に連絡が入り、駿輔(時任三郎)も来る事になる。駿輔と隆美は、響子に謝罪しようとするのだが会話が上手く噛み合わない。結局、謝罪の言葉を伝える事は出来なかった。一方、双葉は祖母のいる介護アパートで文哉に再会。文哉が帰ろうとすると双葉は一緒に連れて行って欲しいと頼み動物園へ。そこで文哉は小さな島に住みたいと言う。その島は文哉と双葉の母親が産まれた場所だった。一緒に行くかと問う文哉に、双葉はうなずく。文哉は翌日の出発を約束して双葉と別れた。洋貴は藤村五月(倉科カナ)から東雪恵(酒井若菜)が生きていたと連絡を受ける。早速2人は雪恵の母親に会い、勤め先を聞き出した。雪恵の仕事が終わるのを待つ間、洋貴は五月と別行動。その時、洋貴はようやく双葉と連絡がついた。カラオケ店で、双葉は洋貴に文哉と会ったと話しだすのだが…。出展元:(C)フジテレビ
文哉の居場所を教えて欲しいという洋貴を双葉はうまくはぐらかした。
しかし、文哉に加害者の家族にちゃんと謝罪して欲しいという思いから、双葉は待ち合わせ場所にきた文哉に洋貴に会って欲しいとお願いする。
しかし、文哉は全く反省をしておらず、洋貴に会うどころか双葉を置いて行ってしまった。
7話◆「心の闇について…」
深見洋貴(瑛太)は藤村五月(倉科カナ)と会いに行った東雪恵(酒井若菜)を、雨宮健二=三崎文哉(風間俊介)の話を聞くために釣り船屋『ふかみ』へと連れていく。ちょうど『ふかみ』には日垣耕平(田中圭)も来ていて、野本(深見)響子(大竹しのぶ)と一緒に雪恵の話を聞く事になった。雪恵が語る医療少年院での文哉との出会いから別れまでの話は、洋貴たちに衝撃を与える。また、雪恵は文哉が現在、千葉の果樹園で働いていることも教えてくれた。果樹園では文哉が幼女を手にかけたと知った草間真岐(佐藤江梨子)が、落ち着かせようとする父・五郎(小野武彦)の言葉も聞かずに激しく怯えていた。真岐にも小さな娘・悠里(原涼子)がいたからだ。そんな時、文哉の居場所を知った駿輔(時任三郎)から連絡があり、五郎は会いに行くため果樹園を留守にする。その間、真岐が目を離したすきに悠里の姿が消えた。真岐は文哉を疑い部屋に行くのだが、悠里はいない。そこで真岐は文哉に詰め寄るが答えはなかった。悠里を求めて、外へと飛び出す真岐。実は悠里は臼井紗歩(安藤サクラ)と果樹園で遊んでいた。そんな2人に、近づいて来たのは…。出展元:(C)フジテレビ
文哉の病気は治っていないことを知った響子たち。
真岐に「あんたみたいな人間、生まれてこなければよかったのよ」と、決定的な言葉を言われた文哉は、金づちで真岐の頭を殴打した。
8話◆「それぞれの覚悟」
深見洋貴(瑛太)と日垣耕平(田中圭)が三崎文哉(風間俊介)が働いているという果樹園に向かっている頃、その果樹園で新たな事件が発覚。草間五郎(小野武彦)が文哉に会いたいという駿輔(時任三郎)を果樹園に連れて行くと、娘の真岐(佐藤江梨子)が倒れていたのだ。動揺する五郎に変わって、駿輔が救急車を呼ぶ。付近に文哉の姿はなかった。五郎が真岐に付き添った救急車が出て行くと、臼井紗歩(安藤サクラ)が現れる。呆然としている駿輔に、紗歩は文哉の仕業だと言い放った。その後、ようやく到着した洋貴たちに、駿輔は果樹園で起きた事を話す。洋貴たちを釣り船屋『ふかみ』から送り出した野本(深見)響子(大竹しのぶ)は遠山(三崎)双葉(満島ひかり)と連絡を待っていた。と、双葉の携帯が着信。電話は文哉からだった。双葉は文哉に会いたいと話すのだが、お前が嫌だと言うからこんなことになったと電話を切られてしまう。双葉がショックを受けていると、店の電話が鳴る。それは、耕平から果樹園での出来事を知らせるものだった。一方、駿輔も隆美(風吹ジュン)に電話して、15年前のことも考え、灯里(福田麻由子)と家を出る準備をするよう促す。真岐の容態は重篤だった。救急隊からの報せを受けた警察も捜査に乗り出すが、文哉の足取りは不明。その頃文哉は、ある場所へと向かっていた。出展元:(C)フジテレビ
文哉は、船屋『ふかみ』で響子と対峙した。
すべての質問に「わからない。忘れました。病気なんです。」と答える文哉に、響子は「わたしはあなたを絶対に許さない」と詰め寄る。
9話◆「心はどこにある?」
深見洋貴(瑛太)が、三崎文哉(風間俊介)が新たに事件を起こした千葉から遠山(三崎)双葉(満島ひかり)を車で家に送ろうとしている頃、釣り船屋『ふかみ』では激しい攻防が繰り広げられていた。双葉を求めて訪ねて来た文哉と、息子の日垣耕平(田中圭)の妻、由佳(村川絵梨)と孫を守ろうとする野本(深見)響子(大竹しのぶ)が争っていたのだ。家具で文哉を殴り倒した響子は、どうして亜季(信太真妃)だったのかと積年の問いをぶつける。文哉はふらふらと立ち上がりながら、たまたま道で会った、誰でもよかったと言って店を出て行ってしまう。響子からの連絡で洋貴は双葉も伴って『ふかみ』に急いで戻って来た。意外にも落ち着いている様子の響子に安堵した洋貴は、双葉を遠山家へ送って行く事に。一方、警察署で聴取を受けていた駿輔(時任三郎)は文哉を逮捕して欲しいと懇願していた。だが、駿輔が留守にしている遠山家には『ふかみ』から離れた文哉が訪ねていようとは思ってもいない。遠山家で隆美(風吹ジュン)と灯里(福田麻由子)が文哉に対応していると洋貴に送られた双葉が帰って来た。そのまま来た道を帰ろうとする洋貴に、双葉から文哉がいるとメールが入る。すぐさま車を反転させ、再び遠山家に向かう洋貴。遠山家では、双葉に続いて帰って来た駿輔が文哉に自首を促していたのだが…。出展元:(C)フジテレビ
洋貴を見て逃げ出した文哉。
二人は揉み合いになり、文哉が洋貴を殴って再び逃走した。
10話◆「対決の果てに」
深見洋貴(瑛太)は三崎駿輔(時任三郎)から三崎文哉(風間俊介)の亡くなった母の出身地を聞き、広島行きの新幹線に乗る。その頃、すでに遠山(三崎)双葉(満島ひかり)は、その地で文哉を探していた。駿輔は隆美(風吹ジュン)、灯里(福田麻由子)と別居し、果樹園の草間五郎(小野武彦)のもとに謝罪のため足を運ぶのだが、会ってはもらえない。目的地に着いた洋貴は双葉を見つける。洋貴は、自分の車から持ち出した凶器を返すよう双葉を説得。初めは拒否した双葉だが、もし凶器を使う時が来たら共犯者になるということで了承した。文哉は亡き母の親戚の家で写真を探していた。家中をひっくり返して写真を探す文哉の異様さに親戚は警察に連絡。自殺すると文哉が家を出て行った後に、警官に説明する親戚たちの話を洋貴と双葉が聞きつけた。加害者家族として顔写真がタブロイド紙に掲載されてしまった隆美と灯里。15年前のことを知らなかった灯里は激しく絶望してしまう。そんな母子が暮らすアパートを野本(深見)響子(大竹しのぶ)が訪ねて来た。一方、ようやく五郎に会ってもらえた駿輔は、真岐(佐藤江梨子)が入院する病院に連れて行かれて厳しい現実を突きつけられてしまう。文哉が自殺をほのめかしたことを知った双葉は、このまま死んでしまえば…と考えるのだった。出展元:(C)フジテレビ
文哉は自分の手足をガムテープで縛り、プールに飛び込むが、そこに洋貴が駆けつけて助けた。
洋貴は双葉と共に、文哉を連れて定食屋に行き、もう恨むことはしないと思いを伝える。
しかし、文哉は洋貴の言葉のにも耳を貸さず「ご飯まだかな。お腹が空いた」と答えた。
その様子を見ていた双葉は、文哉に飛びかかり…。
『それでも、生きてゆく』最終回の結末
最終回(11話)◆「光の方に向かって…」
深見洋貴(瑛太)の目の前で三崎文哉(風間俊介)は逮捕された。亜季(信太真妃)を殺害したことに何の反省もせず、感情のかけらさえ見せない文哉を殴り続けた遠山(三崎)双葉(満島ひかり)は拳から血を流している。警察署の医務室で治療を受けた双葉は文哉の自殺を止めなければ良かったと後悔するのだが、洋貴はこれからの自分たちを考えようと語った。釣り船屋『ふかみ』に戻った洋貴は、藤村五月(倉科カナ)に今回の出来事を報告。五月は文哉に面会して反省を促すよう洋貴に勧める。しかし、洋貴は終わったことだと首を横にふった。洋貴は野本(深見)響子(大竹しのぶ)、日垣耕平(田中圭)と一緒に、達彦(柄本明)と亜季が眠る墓に報告に向かう。そこには、双葉、隆美(風吹ジュン)、灯里(福田麻由子)の姿もあった。響子が呼んだのだ。墓参りが済むと、洋貴と双葉は2人だけで話す機会を得る。そこで洋貴はずっと一緒にいたいと双葉への想いを打ち明けるのだったが、双葉はすでにある決意を胸に秘めていた…。出展元:(C)フジテレビ
双葉は洋貴と会うことを、これで最後にしたいと話し、文哉がこん睡状態にさせた真岐の娘の母親になりたいと打ち明けた。
一方、父の駿輔は文哉の面会に訪れていた。
駿輔は文哉が起こしたことは、すべて自分のせいだと謝るが、文哉は「(自殺した)お母さんの顔が思い出せない」と取り乱した。
それからしばらくたった頃ー
双葉は千葉の果樹農園で住み込みで働きながら、真岐の娘の母親代わりをスタートさせた。
駿輔から文哉の様子を聞いた洋貴は、刑務所の面会に向かった。
そして、洋貴は文哉に、母親が赤ん坊の文哉を抱いている写真をアクリル板越しに見せた。
文哉は始めて、自分の感情を出すように涙を流した。
双葉と洋貴は文通をしてお互いの近況を伝えあい、今でも交流は続いていた。
事件に関わった人々の傷が癒えることはないが、いつか悲しみの向こう側へ行けるように、みんなこの日常を生きていくーおわりー
『それでも、生きてゆく』感想
加害者家族と被害者家族の事件後の生活を、残酷なほどに丁寧に描いた『それでも、生きてゆく』。
妹を殺された兄・洋貴と、少女を殺した兄の妹・双葉が恋をするという設定は、ドラマティックなものではありますが、このドラマでは恋愛のセオリー通りには進行しません。
普通なら、お互いの境遇を恨み、それがかえって燃え上がるような恋に発展していくはずなのですが、洋貴と双葉は一緒にいるときも、どこか淡々と事件や色恋とは全く関係のない、とりとめのない会話を続けます。
なぜ二人が惹かれ合うのかといえば、加害者家族も被害者家族も、この世界から切り離されて生きていくことはできず、どんなに辛くても生活をしていかなければいけないという同じ境遇のせいかもしれません。
被害者の母も「全く違う立場なのに、同じ電車に乗ってるようなもの」と言っていたのが印象的です。
そして加害者本人である文哉も、視聴者を見事なまでに裏切ってくれます。
物語の途中までは、「もしかしたら、文哉は冤罪じゃないか?」「あれは事故だったのかも」と思わせておいて、やっぱり犯罪を犯していたという展開。
そして、被害者家族をはじめ加害者家族でさえ文哉を理解し、受け止めようとするけれど、文哉は反省もしないし、病気だから治らないと罪を重ねてしまう。
普通ならお涙頂戴を経て、心を入れ替え再スタートして、めでたし、めでたしなのでしょうが、この作品の面白いところは、ご都合主義にならないところにあると思います。
定食屋で文哉が「お腹がすいた」と呟いたときの絶望感たるや….。勝手に期待したのはこちらなのですが、いくら歩みよっても「こいつには何も刺さらない」という残酷な現実。
このサイコパス・文哉を演じた風間俊介さんは、ジャーニーズらしく好青年な顔立ちなのに、得体の知れない怖さを感じさせる俳優さんですね。
最近でも、『カムカムエブリバディ』や『先生の白い嘘』で、いや~な奴を演じていて、ほんとに嫌いになりそうでしたw。
他にも満島ひかりさん、瑛太さん、大竹しのぶさん、風吹ジュンさん、柄本明さんなど、豪華キャストバケモノ染みた演技にも圧倒され、映画をみたような満足感を感じました。
最終回では、「例えば月曜日と木曜日に泣いたり、火曜日と金曜日は笑ったりして、そうやって続いていくのだと思います」というように、加害者家族と被害者家族は、過去を背負いながら淡々とした日常を送っていきます。
そして一方で、誰かを思いながら願うことで、日常のなかで生きる希望を見出していくという終わり方は、余韻があって素晴らしかったです。
『それでも、生きてゆく』は、坂元裕二さん脚本作品のなかでも、あまり知られていないドラマですが、魂を揺さぶられるような心に残る物語でした。
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