『氷点(2001)』結末までのあらすじを相関図付きでネタバレ

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妻の不貞を許せず、夫は復讐のため娘の命を奪った犯人の子どもを養女にした…。三浦綾子さんによる『氷点』は人間の原罪とは何かを問うた名作です。今回は、2001年にドラマ化された『氷点』の結末までのあらすじを相関図付きで振り返ります。

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『氷点(2001)』あらすじ

北海道旭川の医師・辻口啓造と妻・夏枝の3歳の娘・ルリ子が、自動車販売店に勤務する佐石土雄に命を奪われてしまう。

そんななか啓造は、夏枝が村井靖夫密会しているなかでルリ子が連れ去られたことを知り嫉妬するが、夏枝に問いただすことはできずにいた。

佐石はルリ子の件を自供したあとに留置場で命を絶ったが、彼には最近誕生したばかりの娘がいた。

その赤ん坊は、母親が出産してすぐ亡くなったため乳児院に預けられていた。

啓造は復讐心から、ルリ子の代わりに女の子が欲しいとねだる夏枝に、あろうことか加害者・佐石の子とされる幼い女の子を引き取ることにするが…。

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『氷点(2001)』相関図

※無断転載ご遠慮下さい。

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『氷点(2001)』最終回の結末

犯罪者の娘

旭川から神奈川県鎌倉市に引っ越しをした一家。

引き取った赤ん坊は「陽子」と名付けられ、何も知らない夏枝の愛情を注がれてスクスクと成長するが、啓造は陽子に複雑な感情を抱いていた。

陽子はどこか距離感のある父・啓造の態度を気にしていたが、ある日 車に轢かれそうになる自分を身を挺して助けてくれた姿をみて愛情を確認する。

ある日 夏枝の父が経営し啓造が副院長を務める病院に、ロンドンに行っていた村井靖夫が帰国して勤務することになった。

夏枝は村井の姿を見て、かつての燃え上がるような逢瀬を思い出し、動揺する。

そんななか啓造は、陽子が佐石の娘であるという事実を一人では受け止めきれなくなり、メールで親友の医師・高木雄二郎に告白する。

そのメールを見た村井は夏枝のパソコンに転送し、陽子の素性を知った夏枝の心は氷点に達した。

陽子を受け入れられない夏枝

夏枝は村井に自分が陽子が佐石の娘だと知っていることは黙っていて欲しいと言い、それ以来 陽子に冷たく当たるようになる。

そして、陽子が出場することになった弁論大会の原稿を白紙のものにすり返え、手作り弁当を捨てるなど嫌がらせを行った。

一方、啓造と夏枝の息子・は、妹の陽子に兄妹でありながら淡い恋心を抱くようになり、夏枝は二人の関係を警戒する。

あるとき、陽子は自分が辻口家の本当の子どもでないことを知る。

度重なる夏枝から陽子の嫌がらせを見て、啓造は夏枝に「陽子を傷つけるな。だったら引き取らなければよかったじゃないか」と責めた。

すると夏枝が、「ルリ子の命を奪った犯人の娘が欲しいなんて一言も言っていない」と告げ、啓造は驚く。

啓造は、夏枝が村井と会っていたせいでルリ子は亡くなったと、とうとう言ってしまう。

すれ違う家族

二人の会話を聞いていた徹は絶対に陽子に知られてはいけないと取り繕うが、陽子は夏枝に辛く当たられることに疑問を持ち、自分の両親が誰なのか知りたいと思う。

夏枝が家出したと知ると、陽子は村井から山中湖にいるかもしれないと聞いて、別荘へ迎えにいく。

夏枝は一人にして欲しいと夜にもかかわらず陽子を追い返すが、朝になって外を見ると陽子が庭で花飾りを作っていた。

陽子の健気な姿を見て夏枝は抱きしめようとするが、そこに啓造が現れ手を下ろした。

そんななか夏枝の父である院長が急性心筋梗塞で倒れ、病院に運ばれたと連絡が入り、家族が駆けつけるが、願い虚しく亡くなってしまう。

一方、看護師の松崎由香子は、これまでの想いを啓造にぶつけるが、拒絶される。

傷心の由香子は村井のマンションを訪ねるが、そこで村井から乱暴されその様子を電話越しに啓造に聞かれてしまい、姿を消した。

徹は一人で苦しんでいる陽子を放っておけず抱きしめ、目撃した夏枝に陽子を妹としては見れないと明かす。

ある日 夏枝は陽子の進路相談で学校に向かうが、そこで陽子は祖父や父のような医者になりたいから医学部を目指すと宣言した。

複雑な心境の夏枝は、陽子が本屋にいるときに万引きをしたように仕向け、警察に捕まってしまう。

陽子は懸命に否定し、啓造は陽子を信じるが、一瞬でも陽子を疑った自分が許せなかった。

とうとう真実を知る陽子

夏枝は陽子を愛することができず限界がきていたが、啓造は急な仕事に出て出張先で事故に巻き込まれて意識不明となる。

なんとか意識を取り戻した啓造を見て、夏枝は自分が本当に夫を愛していることを確認し、啓造も心配してくれる家族を大切に想った。

そんなか、村井は辞表を出し松崎由香子が温泉街で盲目となりマッサージ師をしていることを啓造に伝えた。

由香子はこんな姿を啓造に見られ、恥ずかしさから「ありがとう」と言えなかった。

村井が手の施しようのない病で倒れた。

啓造は夏枝を赦すためにも、村井を助けることで償おうとし、由香子も村井への治療を頼んだ。

啓造は夏枝と陽子のために離婚することを決意し、陽子を連れて北海道に戻ることを考える。

徹は陽子に離れ離れになる前に、夏枝に本当の気持ちをぶつけてみろとアドバイスし、陽子は絶対に家族は一緒にいなければならないと夏枝に伝えた。

その話を聞いた夏枝は、陽子の父がルリ子の命を奪った犯人だと告げた。

それぞれの結末

ショックを受けた陽子は、自分のなかに流れる血に氷点を感じ、川に身を投げて病院に搬送される。

陽子が目を覚ますと夏枝は安堵するが、罪の意識から陽子の前に姿を現すことができなかった。

一方、徹は真実を知ろうと陽子が引き取られたいた北海道の孤児院に連絡をする。

その頃、辻口家では話し合いがもたれ、夏枝は陽子が自分を受け入れてくれるまで母親として待っていたいと話した。

しかし陽子は、夏枝の親友・藤尾辰子の養子になる道を選ぶ。

入院していた村井は手術を行い、無事成功する。

村井は、陽子におきた悲劇は自分が原因であったと謝罪し、家族がみな幸せになって欲しいと願う。

陽子は辰子に連れられて家を出るが、夏枝が追いかけてきて「あなたの父親なんて関係ない。だってあなたは私の娘だもの」と陽子を抱きしめた。

そこへ乳児院からの手紙を持った徹がやってくる。

当時の乳児院の院長は、犯人の娘を引き取りたいという申し出に感動したが、その事実を知ったときに子どもが傷付くことを危惧し、別の赤ん坊を辻口夫婦に託していたのだった。

大きな困難を乗り越えた陽子、夏枝、啓造、徹は再び家族として歩みだすのだった。-おわりー

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『氷点2001』感想

クリスチャンである三浦綾子さん原作でこれまで何度も映像化されたことのある『氷点』は、「汝の敵を愛せよ」というように罪と赦しの物語です。

嫉妬心から犯人の赤ん坊を引き取り妻に育てさせる夫、不貞を犯したせいで娘を失い、出自がわかるや養女を憎む妻、幸福に満ち溢れていたときは人格者だった夫婦が、徐々に醜い内面を露わにしていく姿が生々しかったです。

家族をかき乱す存在の陽子は、夏枝がたくさんの愛情をかけたおかげで純真な心を持つ少女に成長しますが、その心が夏枝によって傷つけられていくのが辛かったです。

それでも母を信じ、明るく、健気に振る舞う姿が胸を打ちます。

『氷点』というタイトルは、そんな陽子が自分の本当の出自を知り、ついに心が凍ってしまう様子を指していますが、ドラマでは母・夏枝も陽子の出自を知り「自分の心のなかに氷点がある」と言っています。

結末は、陽子が自ら命を絶ったことで、娘を愛していることを知った夏枝が陽子に「あなたは私の娘」だと抱きしめました。

原作とは違って、陽子が犯人の娘ではなかったと分かる前に、また家族としてやっていこうと決意した夏枝という演出でしたが、ドラマの方の終わり方も良かったです。

登場人物たちが抗えない原罪にどう向き合っていくのか…哲学的なテーマも扱っていますが、昼ドラ的に描かれているので、かなりハマる作品となっています。

再放送の予定はありませんが、気になった方は原作の方もぜひ読んでみて下さい。

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