『口に関するアンケート』ネタバレと考察!赤い文字の意味は?

●記事内にPRを含む

『近畿地方のある場所について』で知られる背筋さんの短編『口に関するアンケート』を読みました。全体にフィルムをかけられ、手のひらサイズの不気味な本。そこで今回は、読後にふつふつと恐怖が味わえる仕掛けがある『口に関するアンケート』についてネタバレ有りで考察したいと思います。

-Sponsored Link-

『口に関するアンケート』あらすじ

4人の同級生は山奥の墓地にある心霊スポットに肝試しにやってきた。

彼らは、霊園の敷地内にある「呪われた木」をタッチしてくるルールを設け一人づつ実行した。

しかし翌日から肝試しに参加した女性が行方不明となり、1か月後に「呪われた木」にロープをかけ首を吊った杏の遺体が発見される。

以下ネタバレを含む内容になっていますので未読のかたはご注意ください。


-Sponsored Link-

登場人物

この物語の登場人物は少なく、「①肝試しにきた4人の同級生」と「②オカルト研究部の2人」の計6人で、①の方が先に肝試しにやってきて、②の方は杏の遺体を発見していることからあ時系列的には後になります。

【肝試しにきた4人組】
◆村井翔太・・・杏の元彼。
◆伊藤竜也・・・杏の彼氏。
◆杏・・・「呪われた木」で自ら命を絶つ
◆原 美玲・・・杏の友人。
【大学のオカルト研究部】
◆川瀬健・・・颯斗に誘われ「呪われた木」に肝試しに行き杏の遺体を発見する。
◆堀田颯斗・・・健と共に杏の遺体を発見する。

『口に関するアンケート』は短編なので文章量としては30分で読み終えますが、それとは裏腹に内容はとても濃いです。

構成は一人一人が肝試しの日を思い出しながら語るインタビュー?形式のようになっており、音声データであることを示す「201908262310.m4a」というものが各章のタイトルになっているという特徴があります。

ちなみに「m4a」というのは携帯電話で使用されるデータですので、彼らの声はスマホで記録されたものだと分かります。

しかし彼らの独白を聞いていくうちに読者は徐々に違和感のようなものを感じはじめ、最後のアンケートを答えるとその違和感の正体が分かるという仕掛けとなっています。

内容自体はよくあるホラー話なんですが、アンケートを答えるだけで恐怖度が何倍にも跳ね上がるというのは斬新すぎますね。

ではここから結末に触れるネタバレを行っていきます。

-Sponsored Link-

『口に関するアンケート』ネタバレ

杏はなぜ亡くなった?呪い1

杏が自ら命を絶ったのは元彼・翔太がかけた「呪い」のせいでした。

しかし翔太が呪いをかけたかったのは杏ではなく、杏の現在の彼氏である竜也。

杏を竜也に取られ、結婚の約束までしていることにジェラシーを感じていた翔太は、「呪いの木」の噂を知り肝試しと称して竜也を誘いました。

一番最初に「呪いの木」に向かった翔太はそこで

もうすぐあなた(木)の前を通る人を、羽化途中で死んだ白いセミのように殺してほしい。(結婚という幸せの絶頂にある竜也を殺して欲しい)

とお願いしたのです。

その後、2番目に肝試しをスタートした竜也は、木の前を通らずにショートカットして車に戻ってしまったため、次にスタートした杏が呪いの対象となったのでした。

最後に出発した美玲は、セミのように木に登ろうとする杏を発見し、半ば無理やり車に連れ帰ります。

呪いを実行できなかった杏は1か月後、セミが羽化して飛び立つところで死ぬ=木に登って首をくくるという「呪い」によって命を落としました。

変化する呪い(杏の呪い)

翔太に復縁を迫られ揺れ動く杏。

竜也はそんな様子の杏に気づき、肝試しに行く前から二人は険悪なムードに。

そして杏はこのいざこざを美玲に相談しますが、冷たくあしらわれてしまい辛い状況に立たされていました。

その後「呪い」によって再び木を訪れた杏は、木の前で真実を知りたい、セミの声を聞いた人(翔太、竜也、美鈴)に自分と同じ苦しみを味わってほしいと願ったのかもしれません。

(このとき杏は自分のスマホを落としています)

そして木は、セミの鳴き声を聞いた人は自分と同じ苦しみを味わってほしいという杏の願いを聞き入れました。

杏のスマホが落ちている場所に導かれるように集合した翔太、竜也、美鈴、そして杏の遺体を発見した「オカルト研究部」の健と颯斗。

健と颯斗は「呪われた木」についての知識があり真実を語ってくれるということから木が連れてきたと考えられます。

こうして集められた5人は、真実を語ったあと自ら命を絶ったのでした。(死が近づくと文字の色が変わる仕掛けもあります)

-Sponsored Link-

アンケートの意味と仕掛け

口は災いの元だと言えるのか

「口が災いの元」というのはこの物語のなかでは少しニュアンスが違って、言葉に内在する霊力「言霊」といった方がしっくりくるように思います。

初めはただの木だったものが、寺が建立され信仰対象となり、霊園になったあとは人々の噂によって「呪いの木」になったことからみても、言葉というものには不思議な力があるということが分かります。

また亡くなった女性の名前の「杏」という感じは木の下に口と書き、この物語のすべてを表わしていますね。

そして…このブログを書いていいる私自身も、この噂を広げてしまっているので少し怖さを感じてしまいます。

セミの鳴き声は聞こえましたか

この本のなかで「セミの鳴き声」というのは呪いへのトリガーであり、亡くなる直前の合図のような役割を果たしています。

もし読者がセミの鳴き声を聞いてしまったなら、「呪い」をかけられてしまったかも…。

ちなみにオーディブルでは蝉の鳴き声が収録されており、恐怖が倍増する仕掛けもあります。

このように『口に関するアンケート』は創作怪談ではありますが、読み手が当事者になったような演出が施され、時系列が入れ替わる構成によってミステリー要素も加わった非常に濃厚なお話になっています。

ちょっと変わったホラーをサクッと楽しみたい方は、ぜひ手にとってみてくださいね。

『近畿地方のある場所について』のネタバレ考察は⇒こちら


-Sponsored Link-

  1. この記事へのコメントはありません。