『私の死体を探してください。』ネタバレ!原作小説のあらすじと結末
『私の死体を探してください。』は、ベストセラー作家がブログで自死をほのめかす投稿して、行方不明になるところから物語が始まるミステリーサスペンスです。今回は、ドラマ化も決定して注目される『私の死体を探してください。』のあらすじから結末をネタバレありでご紹介いたします。
『私の死体を探してください。』あらすじ
「私の死体を探してください」
そうブログに遺してミステリー作家・森林麻美は姿を消した。
担当編集者の池上沙織は、麻美の夫・三島正隆の元に向かい、麻美のパソコンのデータを探しながら行方を追うが、その後も麻美のブログ記事の更新は続いていた。
次々と暴露される関係者たちの秘密、明かされる麻美の衝撃的な過去。
果たして麻美は生きているのか?彼女の目的は?
『私の死体を探してください。』登場人物&相関図
◆登場人物
◆森林麻美・・・ベストセラーの小説家。自身のブログに「私の死体を探してください。」と投稿して行方不明となる。
◆三島正隆・・・麻美の夫。小説執筆を理由に、定職に就いておらず麻美の金で生活している。
◆池上沙織・・・麻美の担当編集。かねてより麻美の作品の大ファンだった。正隆と不倫している。
◆神永 進・・・麻美と正隆が大学の時に所属していた小説創作サークルの代表。現在は出版社の文芸編集部の編集長をしている。
◆義母・・・正隆の母。何かにつけて息子夫婦のマンションにやって来て、一方的な家事の指導と孫の催促をして麻美の仕事の邪魔をする。
◆橋本良介・・・正隆の母の中学の同級生。マルチ商法を立ち上げては潰すずる賢い男。
【姫上女学院高校の麻美の同級生】
◆絵美・・・教師の父を持つ。最初に麻美と仲良くなった。
◆奏・・・吹奏楽部。ダウン症の弟を持つ。両親は弟の世話ばかりで奏は放置されている。
◆由樹・・・陸上部。祖母の介護を母親から押し付けられている。
◆友梨佳・・・美術部。両親から医者になることを強要されている。
◆相関図
※無断転載ご遠慮ください。
『私の死体を探してください。』結末をネタバレ
◆以下ネタバレが含まれますので未読の方はご注意ください。
◆関係者の秘密1
麻美が最初にブログで暴露したのは正隆の母で麻美の義理母についてでした。
義理母は、息子の正隆がいないときにマンションを訪れ、一方的に麻美に家事の指導をしたり、孫の催促をしたりと仕事の妨害をしてきました。
義理母は、退屈な時間があるから異常な干渉をしてくるのだと感じた麻美は、義理母の中学の同級生でマルチ商法に手を染めている橋本良介という人物に情報を渡しました。
義理母はまんまと橋本の話術に騙され、結婚をほのめかされて、金をつぎ込んでいました。
そして義理母に頼まれて麻美は、3千万円を用立てていました。
麻美はブログで、自分の遺体が発見されなければ、夫の正隆には動かせるお金がないので、義理母も橋本に捨てられてしまう。
だから「お義理母さん。ぜひ私の死体を探してください」とブログで訴えかけたのでした。
◆関係者の秘密2
担当編集の池上沙織と麻美の夫・三島正隆は、不倫関係にありました。
沙織はかねてより麻美の大ファンで、出版社に入社したのも麻美が小説を生む現場に立ち会いたいという願望がありました。
沙織は、いざ憧れの麻美の担当編集になったものの、麻美は沙織に関心がなくそっけない態度を取り続けました。
怒りと焦燥感でいっぱいになった沙織は、好奇心もあって正隆と関係を持ってしまいます。
一方、小説家を目指していた正隆は、どんどん成功を掴んでいく麻美に焦りを感じつつも、自分の小説を書き上げることもなく、生活費のすべてを麻美の稼ぎに頼り、ヒモのように暮らしていました。
そんななか沙織から妊娠したと伝えられた正隆は、麻美と別れ、自分なりにケジメをとろうとしていました。
そして麻美が失踪したいま、離婚して一緒になろうと沙織に伝えると、沙織は妊娠は嘘だったと明かしました。
沙織は、妊娠したと面倒なことを言って、正隆と別れようと考えていたと答えましたが、それも嘘でした。
◆麻美の目的は…
麻美の失踪から3か月前、沙織は麻美から正隆との不倫について指摘されました。
沙織が震えながら土下座して謝ると、麻美はその様子を笑い、許すかわりにある条件を出してきました。
その条件は、正隆に小説を書くように励ますことと、麻美が指示したタイミングで「妊娠した」と嘘をついて欲しいというものでした。
麻美は実行してくれれば、不倫のことは誰にも言わないし、担当からは外さないと約束しました。
◆白い鳥籠事件
再び麻美のブログが更新されました。
内容は、十四年前に、仲良し女子高生5人が集団自殺した「白い鳥籠事件」についてでした。
夏休みの教室に集まった5人の女子生徒は、毒を飲んで自殺をはかりましたが、1人だけ生き残った生徒がいました。
その生徒こそ森林麻美だったのです。
その後、残された麻美は、他の4人を殺した疑惑がありましたが、警察の取り調べにより無実であることが分かりました。
麻美は、母が麻美を産んですぐ亡くなってしまったため、父により育てられました。
しかし、その父は麻美を虐待し、ある日ベランダから麻美を落とそうとしたところを通報されました。
以来、麻美は児童養護施設で育ち、地域でも評判の姫上女学園に進学し、 絵美、奏、由樹、 こ友梨佳という4人の友人と仲良くなりました。
その友人たちは、
奏→ダダウン症の弟を持ち、両親は弟の世話ばかりで奏には無関心。
由樹→祖母の介護を母親から押し付けられている。
友梨佳→両親から医者になることを強要されるが、成績がよくない。
とそれぞれ悩みを抱えていました。
絵美にいたっては、父から性的な虐待を受け、妊娠までしていました。
それを知った麻美は、自分たちのこの酷い現状を大人たちにアピールするため、5人で狂言自殺をしようと提案しました。
そして夏休みに誰もいない教室に集まった5人は、睡眠薬を飲みますが、病院で目覚めたのは麻美一人だけでした。
◆白い鳥籠事件の真相
事件からたった一人生き残った麻美は、刑事から携帯を返却してもらいました。
ふと麻美が、SNSの自分の日記にログインすると亡くなった4人が予約投稿した日記が目にとまりました。
それぞれ深刻な悩みを抱えていた4人は本当に自殺をしようと覚悟し、麻美を巻き込まないように計画を内緒にしていたのです。
家族もおらず、ずっと一人で過ごしてきた麻美にとって、この4人の友達はかけがえのない存在でした。
そんな4人を、自分が狂言自殺しようと言い出したばっかりに失ってしまった…。
そんな罪を背負いながら、これまで麻美は生きてきました。
今回の麻美の失踪で「白い鳥籠事件」の真相が明かされたブログが公開されると、絵美の父は自ら命を絶ちました。
◆最後の投稿
「白い鳥籠事件」の真相が分かったあと、麻美のブログに最後の投稿がありました。
イニシャルにはなっていましたが沙織宛ての内容で、今後一切 自分の作品には関わって欲しくないこと。
小説家と同化したい沙織の行動は異常で、人との距離感をもっと考えた方が良いというものでした。
そして正隆にもメッセージが遺されていました。
このブログの騒ぎを糧にして小説を書いて欲しいことや、必ず成功すると信じていることと、これまでの感謝が書かれていました。
しかし、沙織は正隆へのメッセージの部分だけ、普段の麻美では書かない表記の揺れがあることに気づきます。(私→わたし、ください→下さい になっているなど)
沙織は、正隆宛てのメッセージの部分を、正隆自身で書き変えたと推測し、彼がいる山中湖の別荘に向かいました。
そして、沙織は麻美を殺したのは正隆ではないのかと問いつめると、正隆は沙織の後頭部を殴って殺害したのでした。
◆最後の投稿
麻美を殺したのは正隆で間違いありませんでした。
3カ月前、正隆は沙織に催促されて小説を書き上げ、麻美に見せました。
しかし、麻美は「設定が古くさい、ゴミ」だと馬鹿にするように批判しました。
頭に血が上った正隆は、気づいたときには麻美の首を絞め、そのまま殺害したのでした。
そして麻美の遺体を山中湖の別荘に運んでバラバラにし、冷凍庫に保管しながら少しづつ処理していこうと計画していました。
そんななか、亡くなったはずの麻美のブログが更新され、焦った正隆は必死でブログのIDとパスワードを探し、入手しました。
麻美が最後に投稿する遺書とも呼べるブログには、沙織については書かれていたものの、自分宛てには一言も書かれていませんでした。
そのことにショックを受けた正隆は、咄嗟にブログを書き変え投稿しましたが、沙織に見破られてしまったのでした。
◆結末
麻美が自殺をほのめかすブログを書いてから一年たった頃、正隆の遺体が山中湖の別荘で発見されました。
それと同じ頃、出版社の編集長・神尾進のもとに大学の小説サークルの後輩である麻美から、10年先まで日時を指定して送ることができるタイムカプセル郵便が届きました。
これが神永先輩の元に届いたということは、私は予定通り、三島に殺されてしまったのでしょう。
なんと麻美は、自分が正隆に殺されるように自ら計画していたのです。
麻美は親に縁のなかった自分だけが生き残り、希望の大学に進学したことに罪悪感がいっぱいでした。
そんななか、神永に創作サークルに誘われた麻美は、どんどん作品を書いて部誌に掲載されるようになりました。
それと同時に正隆は、神永と麻美と間に割ってはいるように距離を縮め、半ば強引に麻美のアパートにやって来て関係を迫ってきました。
なし崩し的に二人の関係は始まったのです。
そんななか、麻美は小説家としてデビューし、ある賞をもらって授賞式に出席しました。
しかし 正隆は、そんな大切な日を選んで、麻美のアパートに女性を連れ込み浮気していたのです。
このときから、麻美のなかで正隆への気持ちがすこしづつ変化し、次第に復讐したいと思うようになっていきます。
正隆が羨ましがるような仕事ばかり受け、義理母がマルチ商法に陥るように仕向け、書き上げた小説をバカにしてやりました。
その後、麻美は脳腫瘍を宣告され、自分の感情が壊れる前に自ら命を絶とうと考えるようになっていきます。
そして最後の復讐として、自分がされて一番嫌なことをすることで、正隆が麻美を殺すように仕向けたのです。(沙織を利用して小説を書かせ、その作品を酷評して逆上させたうえで殺人を起こさせたこと。)
そして正隆に遺書を書かないことで、彼に麻美が何を考え、何がしたかったのかということをずっと考えさせ、少しづつ精神を蝕んでやったのです。
麻美はすべて告白したうえで、信頼する神永に新作の原稿を託しました。
神永は、手紙を読み終えると、震える手で沙織の携帯に電話をかけましたが、やはり連絡がつきません。
そもそも麻美は本当に脳腫瘍だったのだろうか?
神永は、もしかしたら麻美は集団狂言自殺に取り残されてからずっと、計画的に自殺する方法を考えていたのではないかと思ったのでした。-おわりー
『私の死体を探してください。』感想
書店で見かけて、そのインパクトあるタイトルから手にとった本作。
ありえない設定ではあるものの、公開日時を指定して亡くなったであろう小説家のブログが更新され真実が明らかになっていく展開はぐいぐい引き込まれました。
私も、正隆や沙織と同様に、麻美の意図した伏線やミスリードに翻弄されて最後まで振り回された一人です。
また、クズでヒモな夫、ストーカー気質の編集者、嫌味を言いつつ金を無心する義母、主要人物がみんな歪んでます。
主人公の麻美も例外ではなく、あんな長い時間をかけて夫のプライドをズタズタにして、用意周到に自殺に追い込むなんてクレイジーすぎます。
麻美がそんな風になったのも、過去に虐待を受け、親の愛をしらず、やっと信頼できた友を失うという悲しい過去があるから。
ミステリー作家になった麻美から読者へ捧げられた最後の謎。
彼女にとって、自分らしくいられたのは高校時代の3年弱だけと考えると、最終章を読み終えた後はとても切なくなりました。
本作はNoteに投稿された小説だそうですが、ブログ投稿で真相が明かされていくというストーリーと何となくリンクしていて、新しくて面白い作品だなと思いました。
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