映画『ノイズ』の原作ネタバレ!漫画の衝撃の結末と感想
漫画『ノイズ』は、鬼才・筒井哲也により2017から2020年に「グランドジャンプ」で連載された作品です。2022年には藤原竜也さん×松山ケンイチさんで映画化されることも決定。そこで今回は、田舎の青年たちが異物を排除するために過ちを犯し、それを隠蔽するために罪を重ねていく様子をサスペンスフルに描いた『ノイズ』のあらすじから結末ネタバレをご紹介いたします。
漫画『ノイズ』あらすじ
◆主な登場人物
◆泉 圭太(34)・・・猪狩町でイチジクを栽培・販売する“イズミ農園”を営む。娘の教育問題でもめ、妻と別居中。
◆田辺 純(32)・・・イチジク農家手伝い兼 猟師。
◆鈴木睦夫(小御坂睦夫)・・・14年前に女子大生ストーカー殺人事件の犯人で18年の実刑判決を受け、出所したばかりの男。
◆守屋真一郎(25)・・・猪狩町勤務になった新人警官。色白で頼りない。前任の先輩警察官から地域の平穏を守るため、多少の犯罪は目をつぶるようにと教えられる。
◆岡崎 正(48)・・・警察官。守屋の前に、猪狩町の警察官を務めていた。
◆畠山 努(56)・・・愛知県警捜査第一課刑事。14年前のストーカー殺人事件の担当をしていたが依頼主が殺されてしまう苦い経験を持つ。
◆ふるさと納税に湧く限界集落に異物(ノイズ)が現る
舞台は、名古屋から2時間ほどの限界集落の猪狩町。
最近、地域特産の黒イチジクをふるさと納税返礼品にしたことで、町は潤い、町役場をはじめ、助役の一声によりハコモノが建設されていた。
主人公は、 イチジク農園の経営者・泉圭太。妻とは娘の教育を巡り別居中で、その娘のために町を発展させたいと小学校建設を願っていた。
そんな、平和な集落に、 鈴木睦夫と名乗る14年前に女子大生ストーカー殺人事件を犯した元受刑者が現れる。
路上販売のイチジクを盗み食いしていた鈴木睦夫を、圭太と農園を手伝う 田辺 純が発見するが、男の異様な雰囲気を察知した圭太と純は、すぐに男を追い払った。
圭太たちに追い返された睦夫は、偶然にも圭太の妻と娘を見つけイヤらしい目で眺めていた。
◆鈴木睦夫の正体
名古屋にある愛知県警では、ある女性が父親の失踪について刑事部捜査第一課の 畠山努に相談していた。
父親は鈴木鈴木賢治といい、警察を退官後はボランティアで保護司の活動をしていたが、1週間前に名古屋刑務所で十年以上の長期受刑者を養子縁組した直後に姿を消した。
畠山は、その受刑者が14年前にストーカー殺人を犯した小御坂睦雄だと直感する。おまけに言葉巧みに、養子縁組で苗字を変え鈴木睦夫と名乗っていることを突き止めた。
すぐに畠山は、鈴木睦夫のアパートに向かうが、仮釈放中の身でありながら出頭要請を無視して姿を消していた。
◆予期せぬ事件
妻と娘が鈴木に狙われるという知らせを聞いた圭太と純は、すぐに現場に向かった。
新人警官の 守屋真一郎から職務質問を受け、追い詰められた鈴木はナイフを取り出し抵抗、圭太はとっさに鈴木を取り押さえるも、不可抗力で窒息死させてしまう。
圭太と純は、この件を無かったことにしたいと提案。先輩警官から“地域の平穏を守るため、多少の犯罪は目をつぶるように”とアドバイスを受けていた巡査の守屋は、隠蔽することに協力することに。
3人が鈴木の遺体を運ぶ途中、隣の農家の老人・庄吉に見つかったが、庄吉は「懐かしい」という謎の言葉を発しただけで、咎めることはなかった。
◆いよいよ警察の捜査が
鈴木が乗ったレンタカーの場所を突き止めた刑事の畠山は、猪狩町にやってきた。
そして、車の中から失踪している保護司の鈴木賢治の遺体を発見。
14年前、鈴木の犯したストーカー事件を担当し、被害者遺族に責められた悔しい過去のある畠山は、必ず鈴木睦夫を逮捕してやると心に誓った。
まず駐在所の守屋真一郎巡査を問い詰めた畠山は、守屋が何か隠していると感じ尾行を付けた。畠山の目論見通り、守屋は純に相談をしていた。
その後、目撃者の庄吉に聞き込みに言った畠山だったが、相手にされず追い返されてしまい、圭太にも話を聞くが、顔色一つ変えず事件の関与を否定されてしまう。
◆新しい異物(ノイズ)
ある日、農林水産省創生局局長の 酒井華江が、町おこしに成功した圭太の経営する“イズミ農園”を表彰するために訪れる。
おまけに、猪狩町には国から3億円の交付金が下りることになり、助役の 庄司義昭も、圭太の念願である小学校を建設しようと約束してくれる。
そんななか、町のイメージを悪くした鈴木に苛立っていた助役・庄司は、偶然にも庄吉に出くわした。その庄吉から、「鈴木は、もうもう死んどるぞ」と庄司は聞かされ驚く。
70年前にシベリアに抑留されていた庄吉は、亡くなった仲間を火葬場まで運ぶ役目を担っていたため、圭太たちが運んでいるのが遺体だとすぐに気づいたという。
事件の真相を知った庄司は、守屋に警察を辞めるように圧力を掛ける。
守屋は、町の平穏を守るため罪を被り、ボイスレコーダーに何かを吹き込んだあと、拳銃で自殺を図る。
そのボイスレコーダーを圭太は回収しようとするが、拳銃で制止させられる。その際に、警察が圭太に対して拳銃を向けたことがマスコミに写真に取られてしまい捜査に 待ったをかけられる。
◆全部オレが片を付ける
庄吉から事件の真相を聞き出した助役の庄司は、今度は純に事件の罪をすべて被るように指示。
猪狩町の将来のことを考えると、町の収入源であるイズミ農園の経営者である圭太を犯罪者にする訳にはいかなかったからだ。
しかし、本当の庄司の狙いはイズミ農園を乗っ取ることだった。
それを知った純は、庄司を斧で殺害し、これまでのすべてを警察に自供することを圭太に話した。
それを聞いた圭太は、「全部オレが片を付ける」と話し、偽装工作を計画。
その計画は、
圭太が助役の横領疑惑を問い詰めるが、話し合いは上手くいかず、最終的に助役の殺害し、圭太は首吊り自殺を図る。その際、圭太が亡くなったように見せかけるため、遺体は鈴木睦夫のものを使い、圭太は町から姿を消す。
というものだった。
◆計画実行
計画通り、圭太は失踪し、純は圭太の言う通り、鈴木の遺体を偽装工作に使って事件を隠蔽した。
畠山は、自殺をするのに、圭太がガソリンを撒いて念入りに燃やしたことを不審に思ったが、純は不正会計が公になれば返礼品の指定が取り消しになるかもしれないから帳簿ごと燃やしたのだ と畠山に説明した。
守屋の後に、岡崎警察官が再び猪狩町駐在所に勤務することになった。岡崎は、田舎の治安を守るため、警察官の仕事を長く続けるためにには、過度な追求をしないことをモットーとしているため、事件現場の不審な点も上には報告しなかった。
それでも畠山は、焼死体の身長が圭太よりも10cm低いこと、結婚指輪に少ししかススがついておらず刻印もハッキリ読めたことから、遺体は鈴木睦夫だと確信。
そして、泉圭太の消息を明らかにするため、二百人体制で山狩りを決行するが圭太は見つからなかった。
さらに、イチジクに含まれるフィシンという成分により、圭太や純の指紋が溶けて消えていることが判明。
証拠ともいえる指紋も検出されず、町民の証言もすべて一致していることから、捜査は難航。
そんななか、富士の樹海で鈴木睦男のスマートフォンが発見される。
鈴木睦夫の行方が分かったとして、猪狩町で起こった事件は疑問を残しながらも捜査本部の解散が決定した。
◆3年後
事件から3年たっても、畠山は圭太の消息だけが胸に引っかかっており、圭太は一人で山にこもって潜伏生活を続けているのではないかと疑っていた。
久しぶりに猪狩町の純の元を訪れた畠山は、純が泉圭太の妻と結婚し、小学校も建設され、圭太の 娘・恵理奈は小学校6年生になったと知らされる。
小学校が出来たうえ、移住者には助成金も出ることから、都会から若い夫婦が移り住み、町は活気を取り戻していた。
畠山は、圭太に定期的に生活物資を供給できる支援者がいれば、山で生存することは可能だろうと純に話した。
それを聞いていた娘の恵里奈は、純が月に一回、軽トラックで荷物を乗せ運び出していることを思い出し、純の携帯から、次の圭太との待ち合わせの日を知る。
◆結末
恵里奈は父親の圭太に会いたい一心で、山に入るが、崖から転落して大けがを負い動けなくなった。
恵里奈の登山グッズが無くなっていることに気づいた純は、捜索隊を要請し、圭太との待ち合わせ場所に向かうと、そこには恵里奈を抱えた圭太が立っていた。
圭太は警察に「輸血が必要なら俺の血を使ってください。手錠はその後でいいですか?」と、娘の命を優先して、すべての罪を告白した。ーEND-
映画『ノイズ』キャスト相関図・あらすじは⇒こちら
原作『ノイズ』感想
14年前の事件の凶悪犯が、限界集落を訪れたことから、そこで暮らす人々の人生の歯車が狂い始める…というストーリーは、スリリングで冒頭からグッと掴まれます。
表紙のグロテスクなイチヂクの絵とノイズのタイトルが、すでに不穏な空気を醸し出しており、予想通り筒井さんの作品は、やはり面白い!
うすっぺらい事件ものではない、本格ミステリーで、いつどこで同じ事が起こるか分からないリアリティが感じられます。
それゆえに、ストーカー男の鈴木睦夫が気持ち悪すぎて目を背けたくなるほど。
若い女を物色し、無駄にマッチョで、ポケットには謎肉のジャーキーwww。(人肉?!それは最後まで分からず仕舞いだったけど。)
クズ人間すぎて、正直 さっさとお陀仏になってくれてホッとしました。
舞台が、ふるさと納税返礼品が当たった田舎というのも現代の世相を取り入れており、物語に入りやすいし、閉鎖的な町民が主人公たちを密かに庇うという設定も、横溝正史の世界っぽくて良い。
ちょっと疑問だったのが、鈴木がナイフを取り出した時点で、正当防衛が完全に成り立つのに、殺人の隠蔽を測るのは少し違和感があります。しかも警察官もいるのに、共犯になるなんて!
さらに、自殺をはかった警察官のその後と、純と再婚した圭太の奥さんの心情、3年間の山での潜伏生活などのエピソードが物足りなかったので、2022年公開の映画に、そのあたりを詳しく描いて欲しいと思います。
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