『雨に消えた向日葵』あらすじから結末をネタバレ!犯人は?

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豪雨のなか、傘だけを残して少女が忽然と消えた失踪事件を通して、家族の葛藤と、警察の必死の捜査を描いた吉川英梨による『雨に消えた向日葵』。今回は、ムロツヨシさん主演でドラマ化も決定している『雨に消えた向日葵』のあらすじから結末、犯人ネタバレをご紹介いたします。

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『雨に消えた向日葵』登場人物&相関図

『雨に消えた向日葵』登場人物

石岡葵・・・小学校五年生の11歳。突然失踪する。
石岡征則・・・葵の父。秋菜とは別居して目白のタワマンに住む。
石岡秋菜・・・葵の母。
石岡紗希・・・葵の4歳年上の姉。
藤岡絵麻・・・葵の同級生で親友
藤岡綾羽 ・・・絵麻の姉。沙希の同級生。
笠原智樹 ・・・沙希の同級生。サッカー部。綾羽の彼
奈良健市・・・埼玉県警本部捜査一課の警部補。43歳。
森川淳一・・・奈良の部下。アニメオタク。
小山啓泰・・・奈良の部下。刑事畑一筋のベテラン。
大前緋沙子・・・ 奈良の警察学校時代の同期。
浮島航大・・・葵の担任。
岡部正克・・・警察官僚の息子。同人漫画を描く趣味を持つ。
中本郁也・・・岡部の描く同人誌のファン。
田中晃教・・・不動産収入などで生活しピアノ講師をしている。
鳥山陽介・・・南池袋にある美容院の店長。秋奈の中学時代の同級生。
奈良真由子・・・健市の妹。10代の頃に乱暴された過去を持つ。

相関図


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『雨に消えた向日葵』あらすじ

小学五年生の 石岡葵は、豪雨のなか帰宅途中に傘1本だけを残し、突然失踪した。

警察は葵が、約1か月前に同じ場所で男に付きまとわれていたという姉に供述を受けた。

川から離れた通学路で傘が発見されている
以前より男の付きまといにあっていた

を考慮ひた警察は、事故よりも事件の可能性が高いとして一斉捜査を開始した。

しかし、目撃者たちの二転三転する証言、電車内で発見された葵と親友の交換日記、美少女の葵に目をつけていた中学生の不良グループやロリコンの男たち…。

情報が錯綜し、家族が激しく焦燥に駆られるなか、刑事の奈良健一は、執念の捜査で真相に迫っていく。

『雨に消えた向日葵』結末ネタバレと犯人

本作は、サスペンス小説ではあるのですが、エンターテイメント性を排除した、リアリティーのある作品です。

警察の粘り強い捜査、家族の葛藤など、事件から解決までの3年月日を、コツコツと積み上げていくようなお話です。

そのため、登場人物も多く、容疑者も次々と出てきますが、特に怪しい人物からのネタバレを明かしていきます。

容疑者①担任の男性教師

まず始めに容疑者として浮上したのは、事件の日に校門で葵を見送った担任浮島航大です。

彼は葵ちゃん失踪後に、は小児性愛者向けの違法な本を処分したところ、奈良の部下・小山に目をつけられ取り調べを受けました。

彼にはアリバイがありませんでしたが、

「僕は小児性愛者かもしれない。でも、非接触派です。幼女が好きだから見守っていたい。でも触れたいとは思わない。眺めるのは好きだけれど、いたずらしたいとも思わない」

と語るように、葵を始め他の生徒にも一度も手を出していないこと、証拠も一切ないことから釈放されました。

幼い子どもに触れたいために教師になったかと思って最初はゾッとしましたが、彼はただ”カワイイ”と愛でるだけでよかったようです。

それだけでも気持ち悪いですが…。

容疑者②葵に付きまとっていた男

二人目の容疑者は、事件が起こる1か月前に葵を付け回し写真を撮っていた、シルバーの車の男です。

男は、同人漫画のキャラクターをモチーフにした特徴的なスマホカバーを装着していたことから、この同人誌の作者を奈良は探しました。

その少女を辱める内容の同人漫画の作者は、なんと警察官僚の息子である岡部正克という男でした。

奈良は岡部にスマホカバーの持ち主の心当たりがないか聞くと、岡部はすぐにひとりの読者ファンに思い当たりました。

その男は、37歳フリーターの中本郁也。強姦未遂で逮捕歴(被害者と和解して前科はなし)もありました。

これは、めちゃくちゃ怪しいですね~。

奈良はすぐに中本を取り調べますが、彼にはアリバイがあり、

「かわいい少女を見つけて、追跡して、いたずらしたいんだけど、うまくやり遂げる自信がない。それで。俺はもう実行に移すのをあきらめて、仲間にやってもらおうかと。」

と発言します。

とはいっても、葵には間接的に危害を加えていました。

中本は、ダークウェブと呼ばれる闇サイトに、葵の氏名、住所、学校、通学路、習い事先、行動などを細かく書き込み、いつかヤバイ男が彼女に手を下すことを妄想して楽しんでいました。

なんとも下劣な行為です…。

これには奈良も我慢がならず、中本を殴りつけました。

それにしても、誰もが振り返るほどの美少女の周りには、ここまで怪しい人物が集まるのか…。

奈良の過去

奈良が、女性に危害を加える事件に、強い怒りを覚えるのには理由がありました。

実は奈良の妹・ 真由子は20年前に強姦被害に遭い、いまもそのトラウマに悩まされているからです。

事件当時 奈良は、妹が男に襲われ悲鳴をあげ続けていたにもかかわらず、ヘッドホンをしていたため気づいてあげることができませんでした。

奈良は妹の事件をキッカケに、普段から音に敏感になっていきますが、この特技が事件解決に大きく関わっていきます。

容疑者Mランドセル発見

事件は暗礁に乗り上げ、途方にくれる奈良のもとに、ゴルフ場で葵のランドセルが発見されたという一報が入ります。

ランドセルはバラバラに切り刻まれ、ゴルフ場の池に遺棄されており、指紋の一部も発見されました。

それは、このゴルフ場を訪れた全員を調べる必要がり、捜査員が減らされるなか、奈良は必死で名簿を当たっていきます。

そんななか、奈良は偽名を使い、架空の住所を書いた男(Mと仮称する)を発見します。

しかし、月日が経ちすぎていたため、捜査本部は解散され、葵の事件はお蔵入りとなっていたのです。

犯人まであと少しというところで悔しい!すぐに犯人に行きつかないところがリアリティがあります。

果たして、葵は生きているのか?それとも…。

重要な手がかり発見

とうとう事件から丸三年経過しました。

葵の父親は、テレビの公開捜査番組に出演し、「葵を探す会」を立ち上げ、母・秋菜はそのPTA支部長に就任。

姉の沙希は、無事に有名私立校に合格したあとも、粘り強く妹の目撃情報を集め続けていました。

家族は事件当初から誹謗中傷と戦いながらも、葵というかけがえのない家族を忘れることはありませんでした。

そんななか、「葵を探す会」高校生支部のメンバーが葵への手がかりを発見します。

郵便局でアルバイトしていた高校生メンバーは、書き損じはがきに葵の※ オリジナルのキャラクター(カウボーイ犬)が描かれているのを目撃します。

※以前より葵は絵を描くことが得意で、親友の藤岡絵麻のため漫画を描いていました。

葵のイラストを高校生が覚えていたのは、父・征則が牛乳会社に頼み、流通する牛乳パックにカウボーイ犬を印刷したことにありました。

そして、その書き損じのハガキを交換しにきた人物こそが 容疑者Mだったのです。

真犯人発見!葵は…

再生紙工場で、必死に葵の描かれていたハガキを探す奈良と捜査員たち。

そして執念の捜索で、膨大な紙の束から、たった1枚のハガキを探すことは、干し草の中から針を探すようなもの。

奈良は、高校生にもう一度書き損じハガキ交換を受け付けた日のことを思い出してもらいました。

すると高校生は、その男がボールペンをカチ、カチ、カチと3回鳴らしていたことを話します。

それを聞いて、奈良のなかで「英雄ポロネーズ」の旋律が浮かびました。

犯人は、 田中晃教という不動産収入で生活するピアノ講師の男でした。

実は奈良は、田中の自宅を、捜査当初に訪れていましたが、事件の日は不動産社員と会っていたということで容疑者から外していたのです。

このとき奈良は、田中の「英雄ポロネーズ」の音色と、ボールペンをリズム良く鳴らす音を聞いていました。

確かに、田中という男は小説の前半に登場しますが、上品で清潔感のある人物で、事件後も地元消防団と一緒に葵の捜索を手伝っていたため、私もスルーしてしいました。

その後、奈良たち捜査員は、田中をすぐに逮捕して家に潜入し、やせ細った葵を発見します。

彼女は、つっかえながらも「第七小学校五年二組二番、石岡葵です」と声を絞り出しました。

田中は事件当日、ダークウェブで情報を得た葵を ゲリラ豪雨のなか見つけ、車のトランクに放り投げて家に連れ帰りました。

それから3年間、葵の足の爪を剥がすなどの拷問を加えるなど脅して、精神的にも肉体的にも葵を支配し、三年間も監禁してきたのです。

葵は自分を見つけてくれた奈良の手を強く握り、言葉は出なくても精一杯の感謝を伝えた。

奈良は、葵の手を握り返し「よく頑張った、よく耐えた、よく生き延びてくれた」と言いたかったのですが、三年間も男に暴力で支配されていた少女が、異性に触れられることに驚き、何もできませんでした。

葵と真由子がダブって見え、自分だけが二十年以上前の事件に取り残されたままだと感じるのでした。

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『雨に消えた向日葵』感想

この手のサスペンスのなかには、あっと驚く展開や突拍子もないトリックなどを散りばめた都合の良い展開が作品が多いですが、本作は、ただただローラ作戦でストーリーが進行していきます。

の中から砂金をさがすような3年間の地道な捜査を通して、現実に起こるであろう出来事が粛々を描かれてます。

特に、葵の家族への周囲の人の行動がリアルで、腫れものの触るように接する人、ネットで中傷する人、陰口を叩く人、そして群がるマスコミ…。

葵がいなくなって、ただでさえ弱っているところに、これでもかと問題が発生し、被害者家族を追い詰めていきます。

事件が事故かもハッキリしないなか、残りのページが減っていく…葵ちゃんが生きていて欲しいと祈りながら読み進めました。

ドラマティック結末を期待する方にはオススメはできないですが、葵の家族が再生していく過程や奈良と真由子の関係性など、登場人物の心の揺れを丁寧に描いているので臨場感はたっぷりあります。

また、少年少女の非行、いじめ、アニメ、コミケにダークウェブ、詐欺…事件の結末には一見無駄なことが多く取り入れられ、話が取っ散らかりそうなところを、うまくまとめられているのは作者の力量でしょう。

次は、終盤の登場する女刑事・大前緋沙子さんでシリーズ第2弾が作られそうな予感がします。

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