『両刃の斧』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで解説
15年前に起きた未解決事件をめぐって現役刑事と退職した元刑事が、再捜査の中で交錯していく姿を描いた『両刃の斧』がWOWOWでドラマ化されます。そこで今回は、愛と憎しみから生まれた慟哭のサスペンスドラマ『両刃の斧』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。
『両刃の斧』登場人物・相関図
◆登場人物
◆川澄成克(46)・・・彌冨署の刑事。柴崎のかつての部下。
◆柴崎佐千夫(67)・・・退職した刑事で川澄の恩人。退職後も15年前の長女殺害事件の真相を追う。
◆山田太士(30)・・・彌冨署捜査一課の刑事。川澄の娘・日葵の婚約者。
◆川澄日葵(22)・・・女性警察官。川澄の娘。
◆川澄多映子(46)・・・川澄の妻で元警察官。
◆沢木美織(30)・・・元科捜研に所属していた専従捜査班の女性。
◆梶野彬(46)・・・専従捜査班の班長。
◆森下竜馬(45)・・・鑑識課の所属であったが、飲酒運転事故で退職。
◆青山陽太(37)・・・彌冨署地域課の巡査部長。
◆最上茂(54)・・・彌冨署捜査一課の係長。
◆谷口良二(47)・・・彌冨署の刑事で、強行犯係係長。
◆柴崎三輪子(66)・・・柴崎の妻。重い病で入院中。
◆白井哲史(74)・・・彌冨署の元捜査一課長。曜子の事件で森下の存在を隠した。
◆室田洋蔵(69)・・・刑事時代の柴崎の上司。
◆榊遥大(25)・・・彌冨署の刑事。
◆牧村早人(39)・・・彌冨署捜査一課の最上班所属の刑事。
◆柴崎曜子・・・柴崎の長女。15年前に名古屋で何者かに殺害される。
◆柴崎和可菜・・・柴崎の次女。白血病で亡くなる。
◆相関図
『両刃の斧』あらすじ
15年前に娘・曜子を殺害された元刑事の柴崎佐千夫は、病気の妻を看病しながら事件の真相を追っていた。
そんななか、未解決事件の再捜査を専門とする「専従捜査班」が立ち上がり、柴崎のかつての部下であり現在は所轄刑事である川澄成克が、犯人と思われる男の身元を特定。
しかし、逮捕を目前にして容疑者は、何者かに殺害される。
殺したのは復讐を目的にして柴崎なのか。
疑う側と疑われる側ー。
事件の裏に隠された、慟哭の真実とは。
『両刃の斧』結末・真犯人のネタバレ
◆15年前の事件の犯人
彌冨署地域課の巡査部長である青山陽太が、曜子が殺された真犯人は森下竜馬であると遺書により告発。
当時、曜子は森下からストーカー被害に遭っており、警察に相談していました。
最有力の容疑者となるはずだった森下でしたが、青山は当時の捜査一課長の白井哲史に「黙っていろ」と命じられ、事件は迷宮入りに。
実は、白井は捜査費用の不正流用した弱みを森下に握られており、彼のストーカー被害相談記録を消させていました。
しかし、目撃者が事件現場(曜子の部屋)から逃げていったのは森下だと証言。
これまで苦しんできた柴崎がようやく解放されると思っていた矢先、森下竜馬は殺害されました。
◆復讐のため柴崎が?
森下はお世辞にも良い警察官とはいえず、これまで脅迫、ストーカーなどの犯罪行為を行い、あげくに飲酒運転事故を起こして退職しました。
森下を恨んでいる人物は多いですが、川澄成克は柴崎が復讐のために殺したのではないかと疑いはじめます。
一方で、刑事を引退していた柴崎が森下を犯人だと知るはずもなく、警察の鑑ともいえる彼が殺人を犯すとも思えませんでした。
そんななか、柴崎が元捜査一課長の白井哲史の殺人未遂の現行犯で逮捕されてしまいます。
動機は15年前の娘の事件の復讐であり、柴崎が森下を殺したというのも確実になっていきました。
◆柴崎が隠していることは?
柴崎の家族は不幸に見舞われ続けてきました。
長女の曜子が殺された二年後に次女の和可菜が白血病で病死し、妻の三輪子は、余命一年と宣告されました。
刑事として優秀で人望の厚い柴崎が、この15年苦しんでいたのは間違いありません。
そんななか、柴崎の人柄を知る川澄のひとり娘・日葵が「本当に犯人は柴さんなの?」と言った言葉から、川澄は疑問を持ち始めます。
潔よい柴崎が事件についてはずっと完全黙秘であること、犯行現場周辺では別の男が目撃されていること、凶器が発見されていないこと…
柴崎が、殺人の汚名を着てまで隠していることは何なのか?
◆新たな事実
川澄はもう一度これまで起こったことを整理し、再捜査することにしました。
すると、森下の退職の原因となった飲酒運転運転事故で、新たな事実が分かりました。
事故で亡くなった被害者のシングルマザーは、森下に別れを告げたあと、子どもの目の前でひき殺されていたのです。
しかし、この事件も元捜査一課長の白井哲史がもみ消し、彼が罪に問われることはありませんでした。
川澄は、シングルマザーの遺族が復讐のために森下を殺したと考え、行方を探しますが彼女の両親は亡くなっていました。
一方で、この女性の子どもは、姓を変えて愛知県警の刑事になったことが判明します。
シングルマザーの息子の名は、山田太士。
捜査一課の刑事であり、川澄の娘である日葵の婚約者だったのです。
◆別人のDNA
柴崎は逮捕される前に、科捜研の沢木美織に「血液が別人のものと鑑定される場合があるか?」と質問していました。
血液が別人のものと鑑定される場合として考えられるのは、機器の精度が低い場合と、骨髄移植した場合が考えられます。
骨髄移植で言えば、骨髄移植を受けた人のDNAは、提供者のものと一致する場合があります。
柴崎は以前、次女の和可菜が白血病を患ったときにドナー登録し、骨髄を提供したことがありました。
しかし彼は、自分の骨髄が誰に移植されていたかは知る由もありません。
さらに明らかになったのは、以前、山田太士も白血病を患い骨髄移植を受けていたのです。
もしかしたら…。
◆山田が真犯人?
川澄は、骨髄移植を受けていた山田が真犯人ではないかと柴崎に聞きますが、彼は黙秘を続けたまま。
いっこうに進まない捜査に悩む川澄に、山田は「僕は犯人でありません」と伝えました。
山田が骨髄移植をうけたのは伯母からで、柴崎からではありませんでした。
さらに、山田は自分の母を殺した森下の自宅をたまに見に行くことがあると答えました。
事件当日に目撃されいた不審人物は、どうやら山田だったようです。
◆曜子の恋人
改めて凶器として発見されたものは森下が購入したものであることが分かりました。
川澄は、柴崎から白井に事件をもみ消してもらったことを突き付けられた森下が、ナイフで柴崎に襲いかかり揉み合いになった末に刺されたのでは?と推理しました。
しかし、柴崎は正当防衛を主張せず黙秘を続けたまま。
そんななか山田が、当時 曜子が、未解決事件を追う専門チームのトップであり、専従捜査班の班長の梶野彬と付き合っていたことを突き止めました。
ここでようやく川澄は、事件の真相が分かりました。
◆真相
森下が曜子のストーカーをしていたことを知らない柴崎が、なぜ彼の自宅に向かったのかというと、それは「曜子殺害の真犯人を公表されたくなければ金をよこせ」と脅迫されたからでした。
15年前の事件の日。
和可菜は、最近 元気のない曜子を驚かせて元気づけようと、曜子の部屋で隠れて待っていることにしました。(このとき鍵が開いていたのは森下が侵入したからです)
ストーカーに悩まされていた曜子は、帰宅するなり暗い部屋に誰かいると感じ、包丁を手にとりました。
そして、和可菜は正体を知らせる間もなく手を切られ、落ちた包丁を拾い上げるときに、その刃が曜子の首に当たってしまったのです。
頸動脈に傷を負った曜子は即死し、その事実を柴崎はひた隠しにしてきたのでした。
柴崎が、かつて「血液が別人のものと鑑定される場合があるか?」と質問したのも、曜子と和可菜の血液が同じと鑑定されるか知りたかったのです。
もし、現在の精度の高いDNA鑑定をして「和可菜が曜子を殺した」事実は明るみに出れば、入院した妻の病状が悪化するかもしれない。
そう思った柴崎は、白井に襲いかかり自分が復讐殺人を犯したと偽装しようとしたのです。(実は妻も和可菜から、事件の日のことを告白されていましたが、刑事だった夫には話していませんでした。)
『両刃の斧』感想
警察官同士でここまで偶然が重なり、二転三転する展開は、ミステリーとして少し無理がありますが、娘を亡くした親の底知れない悲しみと愛情が伝わる作品でした。
犯人は途中まで全く分からず、長女の恋人の伏線が回収されていないので、彼が犯人かと推理しましたが、やっぱりハズレましたねwww。
そして、タイトル『両刃の斧(りょうじんのおの)』とは、なんぞや?と思っていましたが、物語のなかでタイトルが回収されていました。
「両刃の斧はラブリュスと言って、怪物の閉じ込められた迷宮に掲げられていたそうです。ラブリュスはラビリンス、迷宮の語源とも言われています」
それがどうした。川澄は言いかけたが、先に相手が口を開いた。
「あなたには娘さんがいるんでしょう?」
「ああ?」
「迷宮を切り拓こうとするあなたの刃が、あなた自身や、大切な人を傷つけることにならないといいですがね」
迷宮入りの事件を解決することによって、自分の大切な人を傷つけてしまう。
まさに、この作品にピッタリのタイトルで思わず唸ってしまいました。
また、サイドストーリーとして描かれる川澄と結婚式を控えた娘の物語も良く、エピローグの親子で観覧車に乗るシーンは胸に迫るものがありました。
『両刃の斧』は刑事ものとしてはもちろん、複雑な謎解きと深い人間ドラマが両方楽しめる秀作でした。
この記事へのコメントはありません。