『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』ネタバレ!痛快ミステリーの結末は?

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弁護士資格を剥奪された上水流涼子が優秀な助手・貴山と共に探偵エージェンシーを運営し、ろくでもない奴らを葬っていく勧善懲悪ミステリー『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』。そこで今回はドラマ化も決定した柚月裕子さんによる『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』のあらすじから結末をネタバレ有りでご紹介いたします。

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『合理的にあり得ない』原作

原作

フジテレビでドラマ化された『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』は、柚月裕子さんによる同名小説が原作となっています。

柚月裕子さんと言えば『孤狼の血』シリーズから分かるように重厚感ある任侠の世界のイメージが強いですが、今回は単純爽快で軽い切り口が魅力の作品です。

犯人がアウトローな人物だったり、主人公が堅気(かたぎ)に出させないように守るという設定では過去作品に共通する部分もあります。

主な登場人物は、弁護士資格を剥奪された美女・上水流涼子と、東大出のIQ140の助手・貴山伸彦で、そんな最強の2人が「あり得ない」敵を「あり得ない」方法でやっつけていきます。

アイコニックなキャラクターが繰り広げる1話完結のストーリーは、とっつきやすくサクサクと読めるので小説が苦手な人にもオススメ。

とはいっても、斬新なトリックや細かい伏線などミステリーの醍醐味も味わえ、プロットの巧みさが光る作品です。

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『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』あらすじとネタバレ

確率的にありえない

あらすじ

未来が予測できるという予知能力を持った男が建設会社の社長に近づき、自分の力について話を始めました。

最初はそんな胡散臭い話を信じていなかった社長でしたが、ボートレースの6レースをすべて的中させた男に驚愕。

まさに確率的に有り得ないこと

(ただし男の能力は、自分の欲のためには使えないらしい。)

すっかり男を信じた社長は、彼に多額の報酬を支払い経営アドバイスを求めるように。

ある日、ホテルの高級ラウンジで社長が男に 五千万円の小切手を支払っているところに、中国人の社長・楊と美しい秘書が現れ、ロト6の当せん番号を予知するように依頼してきます。

ネタバレ

中国人の社長の正体は貴山で、その秘書は上水流涼子でした。

息子の様子を危惧した社長の母が、上水流涼子に「詐欺師の化けの皮を剥がし、息子の目を覚まさせて欲しい」と依頼してきたからです。

上水流が扮した中国人の社長・楊と美しい秘書は、自分たちのためにロト6の当せん番号を予知するように男に求め、ロトの一等賞金の半分の五千万円支払うと持ち掛けました。

男はそんなことも知らずロト6の当選番号をメモに書き、自信満々で上水流たちに渡しました。

そして 楊は待ってましたとばかりに、中国に戻ってから現金を渡すとなると手数料がかかるので、当選番号を書いたメモを男に渡すかわりに社長からもらった五千万円の小切手をくれないかと交渉してきました。

「遠慮なさることはございません。何億円もの価値があるメモをあなたが受け取り、楊はあなたから五千万円の小切手をいただく。これで、楊はあなたに差額を支払うことになります。」

書いたメモはもちろん全部デタラメなので、男は社長からもらった小切手は手放したくありません。

でも小切手を渡さなければ、自分が詐欺師だとバレてしまいます。

罠にハメられ追いつめられた男は、小切手を置いてそそくさと逃げていきました。

ボートレースの予言は、事前に男が社長の家の衛星放送アンテナに細工をして、過去の録画データを流し的中させたように見せただけでした。

合理的にありえない

あらすじ

最近、資産家の神崎恭一郎は妻・朱美が頻繁に外出し、自分の口座から黙って二千万円を引き出していたことを知ります。

問い詰めてみると、引きこもりの息子に悩んだ朱美は霊能者に入れ込み、幸運が訪れる皿や石を購入していました。

朱美は霊能者に「幸運が訪れる」と告げられてすぐ、長い間探し続けていた貴重な本を購入できたり、亡くなった愛猫にそっくりデザインのマグカップと運命的な出会いを果たしたと言います。

神崎は激怒しますが、気になるのは朱美が霊能者に指定された場所ではなく、彼女が自分の意思で偶然訪れた場所で「幸運」に出会っていたこと。

合理的に有り得ない…。

どうやって霊能者は朱美の行動を予測して、予言していたのでしょうか。

ネタバレ

とりあえず神崎は、二千万円の金を取り返そうと霊能者・綾小路緋美子の元に乗り込みます。

しかし綾小路は品物の代金を返金する必要はないとキッパリと神崎の要求を断りました。

もうお気づきかもしれませんが、綾小路緋美子の正体は、上水流涼子でした。

涼子は神崎の過去について語りだしました。

神崎はかつて松下昭二という男を土地売買でだまし、彼を自殺に追い込んでいました。

今回の涼子の依頼者は松下の妻で「夫がだまし取られた金を取り返してほしい」というものでした。

だから涼子は、松下が被った損害額二千万円をそっくりそのまま朱美から手に入れました。

さらに驚くことに朱美は、涼子が勧めた皿や石が何の効力もないと知って購入していました。

それを知って困惑する神崎に、涼子は朱美からもらった手紙を見せました。

その手紙には、神崎が人を陥れて金を手に入れてきたこと、自分も夫のやってきたことを見て見ぬフリをしてきた後悔の気持ち、息子が引きこもりになった原因をつくったのは自分たち夫婦の行いが悪かったことだと綴られていました。

これまで神崎は自分勝手に生きてきて、妻に子どもや家庭のことは任せっきりでした。

そんな神崎に見切りをつけようと、朱美は涼子に離婚届を預けていました。

涼子は離婚届けを神崎に手渡してその場を後にしようとしますが、神崎が最後に「どうやって朱美を幸運が待つ目的の場所へ行かせたんだ」と質問します。

涼子は、

「あれはたまたま上手くいった例です。蓋然性を高めるために腐心しましたが、百パーセント確実ではない。ネタはほかにも、いろいろ仕込んでいたのです」

と答えほほ笑むのでした。

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戦術的にあり得ない

あらすじ

極道の大親分・ 日野照治が「次に開催される一億円を賭けた将棋の勝負に、どんな手を使ってでもいいから勝たせろ」と上水流涼子に依頼してきます。

日野はアマ四段の実力者でしたが、これまで横山一家の総長・財前満との対局が五分五分だったにもかかわらず最近は三連敗。

負けによる損失は九千万円に膨れ上がっていました。

急に強くなった財前に疑問を持っていた日野は、彼の不正を暴いてくれたならば報酬一千万円を約束すると宣言。

願ってもない大仕事に涼子と高山は、依頼を引き受けることにしました。

ネタバレ

東大将棋部の主将だった貴山伸彦は、寝る間も惜しんで棋譜とにらみ合い、財前の不正の正体が将棋ソフトを使ったものだと突き止めました。

そして対局当日。

小型カメラで対局を見守っていた涼子と貴山は、ある人物が将棋ソフトの指しをブロックサインで財前に伝えていたことを発見します。

その人物は、財前の向いで日野の傍にいた 日野組の若頭・米澤でした。

米澤は将棋ソフトの指示を耳に付けたイヤホンで受け、指を立てたりや身体の一部を触るのなどして、財前にサインを送っていたのです。

親分を裏切った米澤のその後どうなったのかは、涼子たちが知るよしもありません…。

心情的にあり得ない

あらすじ

次に涼子に依頼をしてきたのは、巨大グループ企業の会長・諫間慶介

かつて涼子の父とも交流があり、涼子が弁護士資格を失った原因にもなった人物。

涼子を陥れた男からの依頼に貴山は渋りますが、涼子は、

「そうね。心情的にあり得ない。でも、私を陥れた男が頭を下げにくるのよ。その姿を拝むのも一興じゃない」

と諫間に会いにいくのでした。

ネタバレ

諫間の依頼は「家出した孫娘を捜し出してほしい」というものでした。

諫間の孫娘は大学の二年生・諫間久実で、評判の悪い男に騙されていました。

それを知った久実の父は手切れ金を男に渡して別れさせますが、久実は影で両親が裏で動いていたことに気づき家出してしまったのです。

結局 久実は家出したのではなく、覚せい剤におぼれさせられて男を追いかけていただけでした。

無事に男を警察に引き渡した涼子は、馴染みの刑事に久実の保護を頼みました。

涼子は依頼解決に満足していましたが、孫を逮捕に追い込まれた諫間はきっと報酬を払うことはないだろうと思うのでした。

涼子の過去と貴山との出会い

「心情的にあり得ない」の章では、涼子が弁護士を剥奪された経緯と貴山との出会いが明かされています。

涼子が弁護士だったときのある日、椎名保という男とホテルのラウンジで打ち合わせをしていました。

そんななか突然 涼子の記憶が無くなり、気づいたときには、椎名が床に倒れ頭から血を流していました。

ほどなくして涼子は逮捕され、裁判で懲役一年、執行猶予三年の判決を言い渡されました。

禁錮刑以上の処罰を受けた者は弁護資格を剥奪されることから、涼子は職を失います。

後に涼子が調べてみると、椎名を操っていたのは諫間慶介であることが判明しました。

かつて諫間の会社では事業拡大派と事業縮小派が繰り広げられており、顧問弁護士の涼子は縮小派を支持していました。

事業拡大を推し進めたい諫間は椎名に金を払い、涼子を罠に嵌めて失脚させたのでした。

椎名という男は後催眠暗示(催眠中にかけられた暗示に従い行動を起させること)を使って、「涼子から殴られる」という状況を作り出していました。

そして椎名という男こそ、現在の涼子の相棒である貴山伸彦だったのです。

涼子が事務所を立ち上げると知った貴山は、罪滅ぼしのためなのか、雇われた方が楽だと思ったのか「私をそこで、雇ってくれませんか」と彼女に申し出ました。

こうして涼子と貴山のバディが誕生しました。

心理的にあり得ない

あらすじ

二十年以上も野球賭博にハマっている予土屋という男は、ある日 飲み屋で知り合った金持ちのボンボン・天見篤史に目を付けました。

予土屋は天見を野球賭博に誘って、以前 大儲けした方法で金をだまし取ろうと計画したのです。

一方、今回の涼子の依頼人は、かつて予土屋に野球賭博で騙され自殺に追い込まれた父を持つ桜井由梨です。

予土屋は、賭けの予想を胴元である極道に伝えず、試合のハンデを操作して自分が胴元になって由梨の父を騙していました。

ネタバレ

いきなりネタバレですが、予土屋が標的にした天見篤史という金持ちは貴山伸彦です。

天見は予土屋に騙されるフリをして、阪神・巨人戦に百万円を賭けました。

貴山は天見という男を演じるにあたり、ずっと阪神ファンを匂わせてきましたので、予土屋は彼が巨人に賭けるなんて心理的にあり得ないと思っています。

しかしいざ予土屋が天見からのメールを確認すると、「G100(巨人に百万円を賭ける)」の文字が飛び込んできました。

こうして由梨は無事に父の無念を晴らすことができ、予土屋を破滅に向かわせることができました。

最後に

弁護士資格を剥奪された涼子も魅力的でしたが、東大卒・IQ140の貴山の万能さがめちゃめちゃ光っていましたね~。

ろくでもない奴らに きっちりお灸を据えてくれる展開は、かなりスカッとします。

あり得ない事象を「確率的」「合理的」「戦術的」「心情的」「心理的」に分けて短編集にしたのは面白いアイデア。

東野圭吾の「ガリレオ」シリーズが好きな方にもオススメです。

エンタメ全開の作品も書けるという柚月裕子さんの新しい可能性を感じさせる作品でもありました。

キャラ立った涼子と貴山を天海祐希さん×松下洸平さんが演じるドラマの方も楽しみに。


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