『ハルとナツ~届かなかった手紙』あらすじから結末を相関図付きでネタバレ

家族と共にブラジルに渡り過酷な労働を強いられた姉と日本で一人家族の帰りを待ちわびた妹。ドラマ『ハルとナツ~届かなかった手紙』は、戦中、戦後の激動を生き抜いた姉妹の愛情の物語です。今回は2005年に放送された『ハルとナツ~届かなかった手紙』の結末までのあらすじを相関図付きで振り返ります。
『ハルとナツ~届かなかった手紙』相関図
※無断転載禁止
『ハルとナツ~届かなかった手紙』結末までのあらすじ
◆姉妹
今から70年前ー北海道では凶作が続き、飢え死にするところまで追い詰められた高倉一家は、ブラジルに移住することを決意した。
両親、兄2人、9歳のハルと7歳のナツ、叔父叔母と8名は、ブラジルに行く手前の神戸で身体検査を受けるが、ナツが目の感染症トラコーマにかかっていることが発覚。
ブラジルではトラコーマ感染症は入国できない決まりになっており、簡単には治る病気でもなく、ナツ1人北海道に残ることになった。
父の忠次は、3年ブラジルで働いたらお金を貯めて帰ってくるから待っていて欲しいとナツに言い聞かせる。
こうしてナツ以外の家族は泣く泣くナツを置いて移民船に乗り込むが、ブラジルでの生活はそんなに甘いものではなかった…。
場面は現代ー
ブラジルから孫の大和が日本の大学に進学するため一緒についてきたハルは、大手企業 北王製菓社長になったナツに会いにいくが、「私を捨てたくせに!手紙一つもよこさないで」と言われて追い返される。
そんななかナツは、北海道の伯母・カネの娘を訪ね、そこで亡くなったカネから預かったという手紙を渡される。
それは、ハルがブラジルから贈り続けたナツへの手紙だった。
実はハルからの手紙は北海道の家に届いていたが、叔母のカネが最初の手紙に入っていた現金を黙って使いこみ、それがバレないように以降届いた手紙もナツには渡していなかった。
ナツは手紙を読みながら、ハルたち家族のブラジルでの生活や自分への思いを知ることになる…
一方、ナツからハルに送った手紙も、最初に行くはずだった農園近くの日系人の家に保管されていることが分かり、ハルもブラジルからその手紙を取り寄せることになった。
70年前のブラジルー
日本の役所から教えられたのとは違う農園に割り当てられた高倉家。
ハルはナツへ新しい住所と少しのお金を封筒に入れて、ナツが預けられている北海道の叔父・叔母の家に送った。
朝5時から夕方の6時過ぎまでコーヒー農園で労働する家族たちだったが、食事は粗末なものばかりで、給料も1年に1度だけなので買い物もツケで支払うことになった。
高倉家が割り当てられたコーヒー園は日当たりも悪く、収穫も他の場所の半分ほどだったので、生活は日本にいるときと変わらず苦しかった。
ハルは、ナツは北海道で叔母にいじめられ辛いかもしれないが、こんな過酷な労働を強いられるブラジルには来なくて良かったと思うのだった。
◆北と南の大地に別れて
ブラジルの劣悪な環境のかなかで長男の繁がマラリアにかかって命を落とした。
高倉家は運が良ければ日本の船に乗せてくれるかもしれないと最初の入植地から逃げて、自分たちで開墾できるところに移住することにした。
その際 夜逃げに失敗した忠次の弟・洋三と妻のキヨは、農場に留まり数年かけて高倉一家の背負った借金を返済することになった。
次男の実は家族と離れて、日本へ帰国するための費用をためるためにサントス港で荷役労働を行うことになった。
父・忠次と母そしてハルの3人だけになった高倉家は、移住先ですぐに畑を開墾し、綿花栽培を始めた。
一方 家族と離れて3年経ち、北海道で暮らすナツは 捨てられたと思い、少しでも自分を想い出して欲しくて手紙を書いた。
祖母が亡くなったあと、叔母といとこのイジメに耐え切れなくなったナツは、牛飼いの徳次に拾われる。
徳治にチーズ作りを教わっていたナツだったが、徳次が肺炎で亡くなってしまい、ナツは酪農家として生計を立てることにした。
新しい入植地で綿作りを成功させた高倉家は、自分たちの家を建て、食べるものにもようやく困らない生活ができるようになった。
実は港で働いていた際に海野中佐・ 海野に誘われて帰国し、軍人になることに。
ちょうどブラジルに来て7年になり、ハルは16歳になった。
畑も倍の広さになり来年こそは日本に帰れると思っていた高倉家だったが、アメリカと日本が戦争を始めたため、アメリカ人から借りていた土地が使えなくなってしまう。
高倉家は、移民仲間の中山昭三のツテで入植地日本人会会長である中山耕太郎の農場で働かさせてもらうことになった。
しかしアメリカと友好関係を結ぶブラジルは、日本人を良く思っておらず表で日本語を話すことを制限される。
さらに、中山が米軍が使用する落下傘の素材となる絹糸を作っていることを知った父の忠次は反感を抱く。
そんななか中山の息子・ 隆太にポルトガル語を教わっていたハルは、いつしか彼の恋心を抱くようになるが、忠次は面白く思わなかった。
そして忠次は、警察に日本語で立てついたために留置所に入れられてしまう。
◆流転の青春
場面は現代ー手紙を読んだナツがハルに会いに来た。
二人はこれまでの誤解を解き、お互いの苦労や思いを確かめ合った。
戦時中のブラジルー
父の忠次は、ハルと隆太の交際に反対し、ブラジル人のように振る舞う中山家を好ましく思わず、彼らの養蚕小屋に放火したことが発覚する。
一方ナツは、牛乳を搾ってチーズを作って生活をしていたが、国により牛乳の統制が始まり、思うように商売ができなくなっていた。
そんななか終戦を迎えた日本。ナツはやっと自由にチーズが作れると喜んだ。
ブラジルでは日本が戦争に勝ったと思い込む「勝ち組」と敗戦を認める「負け組」が分断され、忠次と中山も対立した。
忠次の心の支えだった実は、特攻隊としてレイテ島沖で敵艦に激突し戦死していた。
ハルは日本の勝利にこだわる父に呆れていたが、見捨てることができず泣く泣く隆太と別れた。
ナツは、戦後の闇市でのチーズ販売で知り合った日系アメリカ人2世の米軍中尉のジョージ原田と出会い、クッキー作りを習うようになった。
そしてジョージの子どもを身ごもり婚約したナツは、酪農仲間の金太と 勉は反対してクッキー工場を出ていった。
東京の学校で菓子作りを学んだ女性を雇って、菓子工場をスタートされたナツだっだが、ジョージに除隊のため帰任命令が出てしまう。
ジョージはアメリカに一緒に来るように言うが、ナツが誘いを断ったため、ナツと子供を必ず迎えに来ると言い残し帰国した。
しかし、ジョージは二度と戻ることはなかった。
それからナツは長男・照彦を出産し、子育てしながら必死にクッキー作りをした。
◆日本よ 運命の愛と哀しみーブラジルへ
戦後のブラジルー
ハルの前に、移民船で一緒で仲が良かった山下拓也が実の戦死を知り高倉家に哀悼のために訪れた。
北王製菓を創業したナツは大手に負けないように設備投資をして大量生産しようとするが、売り込む人間がいないため取引先の社員・ 山辺康夫に任せることにした。
そしてナツは事業目的のため近づいてきた山辺と再婚して、次男・公彦を設けるが、山辺は結婚後も浮気を繰り返した。
山辺の経営手腕は優れたもので会社は大きくなったが、バブル時代に公彦と共にゴルフ場建設を行い会社に大きな負債を背負わせた。
ブラジルにいるハルは、高倉家の農場を手伝うようになった山下拓也と結婚し、長男と次男を設けた。
その後、高倉家の婿となった山下は、サンパウロ郊外の耕作放棄地寸前の農場を買い取り菊栽培事業を始めた。
父の忠次は、昭仁皇太子・正田美智子結婚の「御成婚パレード」を見た後、祝い酒をしていた最中に倒れて亡くなった。
ナツはパーティーで、北王製菓のライバル会社・シラカバ乳業の社長となった金太と部長を務める勉と再会する。
高度経済成長のなか会社を大きくするために、精力的に働くナツ。
ハルは、長男の達雄がブラジル人マリアと結婚することに反対していたが、マリアが菊栽培を健気に手伝う姿を見て、息子夫婦を許すことにした
その頃からハルと山下は、達雄夫婦の子どもたちと賑やかに暮らした。
場面は現代に戻り、ナツはの巨額の負債を抱えた北王製菓を、金太が会長を務めるシラカバ乳業に買収してもらうことに決め、家も家財道具もすべて処分した。
そして金が目的の息子たちにも見切りをつけて、念願だった姉と暮らすためブラジルに渡った。
ブラジルに到着したナツは日本移民の慰霊碑に手を合わせ、ハルの家に向かった。
ハルの家ではナツの歓迎のための準備が行われ、日本からはるばるやって来たナツを温かく迎えた。-おわりー
『ハルとナツ~届かなかった手紙』感想
貧しさゆえにブラジルに出稼ぎに出た家族についていった姉と日本に取り残された妹との波乱の人生を描いた『ハルとナツ~届かなかった手紙』。
原作、脚本は橋田寿賀子さん。
主人公のハルとナツは、森光子さん、野際陽子さん、米倉涼子さん、仲間由紀恵さんと錚々たる方たちが演じています。
まだ子役だった志田未来さんもナツ役で出演していますが、家族と別れるときの泣き叫ぶ演技は目を見張るものがあり、この頃からすごい女優さんだなと思いました。
ブラジルで大家族と共に暮らす姉と大手菓子メーカーの社長となった妹が再会し、離れていた時間を埋めるように晩年は一緒に暮らすという設定は、多少ご都合主義なところもありますが、ブラジル移民について広く知ることができる作品だと思います。
今から100年以上前「ブラジルなら自分だけの肥沃な土地を持ってたくさん稼げる」という誘い文句にのせられ、家督が継げない農家の三男や四男が出稼ぎに行きました。
出稼ぎといえば聞こえが良いですが、本当のところは「口減らし」で、希望を持ってブラジルに渡った日本人を待っていたのは、奴隷同然の過酷な労働でした。
ドラマのなかでハルが、ナツをブラジルに連れてこなくて良かったと思うシーンがありますが、日本にいるときに聞かされた説明とは大きくかけ離れたものだったのです。
現に高倉家は、数年間の貯蓄の後に日本へ帰国を目指す「出稼ぎ」だったのが、結局は定住せざる負えなくなっています。
そんな日本とブラジルの歴史の影響は今でもあり、ブラジルの日系3世4世が祖先のルーツを求めて日本へ旅行に訪れています。
また、1990年代よりブラジルから出稼ぎの移民が日本に多く押し寄せ、静岡県、愛知県などに多くの日系ブラジル人が定住。
アメリカ大陸のなかでもブラジルは親日家が多いことで知られますが、それはブラジル社会で力強く生き抜いた日本人の影響も大きいのだと感じました。
なお『ハルとナツ~届かなかった手紙』は、2025年2月12日~3月12日の毎週水曜日(全5回)で再放送されることが分かりましたので、ぜひ視聴してみて下さい。
この記事へのコメントはありません。