『シリウスの反証』ネタバレ!あらすじを登場人物&相関図付きで解説
「冤罪事件」をテーマにした大門剛明さんによる小説『シリウスの反証』が、中島裕翔さん主演でドラマ化されることが決定しました。そこで今回は、若き弁護士が死刑囚の再審請求に挑む社会派リーガルミステリー『シリウスの反証』のあらすじをネタバレ有りでご紹介いたします。
『シリウスの反証』あらすじ
弁護士の藤嶋翔太は、友人で弁護士の安野草介と共に若き女性リーダー東山佐奈が率いる冤罪被害者の救済活動を行う団体「チーム・ゼロ」に所属している。
ある日そんな「チーム・ゼロ」の元に、25年前に岐阜県郡上八幡で起きた一家惨殺事件の犯人とされた死刑囚宮原信夫から「俺はやっていない。助けてくれ」と救いを求める手紙が届く。
藤嶋は岐阜県を訪れ、宮原を担当した弁護士、当時捜査を担当した鑑識、被害者遺族から話を聞くうちに、信頼の置けない科学捜査や心理的なバイアスによって事件の真相が歪められていることに気づく。
そして再審を認めさせる大きな手掛かりをつかんだと思った矢先、東山佐奈が以前依頼を断った太田重子の父親に逆恨みされ刺されてしまう。
さらに再審裁判で宮原の指紋鑑定に関わった元鑑識課・志村が証言を覆し「チーム・ゼロ」は窮地に立たされ…。
『シリウスの反証』登場人物&相関図
◆登場人物
【チーム・ゼロ・・・冤罪被害者の救済活動を行う団体】
◆藤嶋翔太・・・弁護士。友人の父が営む安野法律事務所で働く。
◆東山佐奈・・・チーム・ゼロの若きリーダー。元弁護士の大学准教授。華のある美人。アメリカでの講演に感銘を受け、冤罪被害者を無償で救うチーム・ゼロを立ち上げた。
◆安野草介・・・藤嶋と同じ法律事務所で働く友人。藤嶋とは高校の同級生。
◆諏訪部宗行・・・元科捜研の大学教授。チーム・ゼロのメンバー。何かと及川と意見が対立する。
◆及川景子・・・元検事の弁護士。チーム・ゼロのメンバー。佐奈の恩師。
【警察・裁判関係者】
◆小野原珠子・・・藤嶋と安野が勤める法律事務所の事務員。
◆稗田一成・・・岐阜地検のトップの検事正。63歳。宮原に取り調べで自白させ死刑求刑を下した。
◆鈴木良蔵・・・元裁判官で現在は法務大臣。
◆大坪志郎・・・宮原信夫の弁護人を務めた。
◆志村寛文・・・宮原の指紋鑑定に関わった元鑑識課の警察官。
◆廣川光昭・・・宮原の指紋鑑定に関わった首席鑑定官。
【吉田川事件の関係者】
◆宮原信夫・・・一家惨殺事件の犯人。死刑囚。チーム・ゼロに救済を求め、冤罪を証明して欲しいという手紙を出す。
◆宮原信也・・・信夫の息子。事件当時は小学2年生。母は幼い頃に病死し、父の信夫が男手一つで育てた。現在30代で小さな工場で働いている。
◆棚瀬克己・・・殺害された棚瀬治の甥。岐阜で夫婦で喫茶店を経営。
◆清水梨沙子・・・唯一生き残った棚橋治の娘。克己の喫茶店で働いている。
【その他】
◆藤嶋文太・・・藤嶋の父。酒に溺れ、暴力を振るっていた。生活に困り、藤嶋を訪ねてくる。
◆太田重子・・・チーム・ゼロに冤罪支援を希望するが、証拠不十分で断られた依頼人。その後 自ら命を絶つ。
◆相関図
※無断転載禁止
『シリウスの反証』ネタバレ
ここからはネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。
◆
米穀店を営む棚瀬一家4名が命を奪われた「吉田川事件」の犯人として死刑囚となった宮原信夫には
◆被害者宅の包丁に宮原の指紋がついていた
◆犯行当日の様子を事細かに語った
という証拠と自白が揃っており、再審請求は難しいと思われていた。
そんななか「チーム・ゼロ」のリーダー東山佐奈は、
◆宮原が被害者宅から盗んだ手提げ金庫の捨てた場所の供述を変えている
ことに注目した。
宮原は当初 金庫を路地裏に捨てたと供述したが、実は宮原が起訴される直前に、別の人物が橋の下で金庫を拾って路地裏に捨てたと明かした。
これにより宮原の供述の辻褄が合わなくなるので、警察はこの事実に合うように、宮原に金庫を路地裏に捨てたと訂正させていた。
沙奈はこれは真犯人が言うはずのない供述「無知の暴露」で宮原が犯人ではない証拠になると話した。
しかし宮原は、どのみち凶器から自分の指紋が発見されているので「やっていない」と言っても信じてもらえないと思い、検事が望むように供述した。
また事件現場で採取された指紋というのは、だいたいどこかが欠けたものであることが多く完全なものは採取できない。
宮原が前科者だったことがバイアスとなり、指紋鑑定人はコンピューターから選び出したもののなかから無意識に宮原を疑った可能性もある。
そんななか吉田川事件の指紋を鑑定した志村が、凶器の指紋と宮原の指紋に相違があったと明かしたが、当時 熟練した鑑定人がすべて一致したと判断したため、志村は鑑定結果を訂正するしかなかった。
志村は「チーム・ゼロ」の味方をするわけではなく、あのときの鑑定の何が正しく、何が間違っていたのか確かめるたいと思い、再審のための裁判で証言することを約束した。
大きな手掛かりをつかんだと思った矢先東山佐奈が、以前依頼を断り自ら命を絶った太田重子の父親に刺されて亡くなってしまう。
実は太田の父のもとに、佐奈が書いたように偽造した手紙が届き、その内容を人事た太田の父は逆恨みし佐奈を襲ったということが分かった。
(↑手紙を送るように指示したのは「再審裁判」を阻止したい鈴木良蔵の仕業)
リーダーの佐奈を失った「チーム・ゼロ」は志村が証言を覆したこともあり、再審裁判は絶望的になってしまう。
(↑志村は孫の手術費を工面するため、再審を邪魔する何者かから金を受け取っていた)
一方、宮原に取り調べで自白させ死刑求刑を下した検事・稗田一成は、生前 佐奈が訪ねてきて「真犯人を知っています」と言っていたことが気になっていた。
藤嶋翔太も、被害者柳瀬一家の唯一の生き残り清水梨沙子から、幼少期の佐奈が家族旅行で郡上を訪れ、事件の日に手提げ金庫を手に持ち、首にアザがある犯人を目撃していたことを知らされた。
藤嶋が首にアザがある男の手がかりを探っていると、宮原の弁護人を務めた大坪志郎から、吉田川事件直後に事故で亡くなった男の首にアザがあったと教えられる。
その名は柏木愛二。
当時 柏木が経営していた会社の経営は火の車で、彼が傾いた会社を立て直そうとして棚瀬一家を狙った可能性が出てきた。
真犯人が柏木だと確信した藤嶋と安野だったが、凶器に残っていた指紋が宮原のものではないと証明しなければならなかった。
果たして二人は、どのようにして宮原の無罪を証明するのか…。
ネタバレはここまでになります。詳しい内容と最終的な結末は、ぜひご自身の目で確かめてくださいね。
冤罪事件がテーマの大門剛明著『完全無罪』あらすじ~結末と相関図は⇒こちら

◆
大門さんらしい冤罪をテーマにした『シリウスの反証』は、一家惨殺の真相を探るために奔走する若き弁護士たちの情熱と、警察や国家の威厳が複雑に絡んだ重厚感のある小説です。
再審裁判の仕組みや科学捜査のセキュリティホールなど、一般の人々にはなかなか知られない社会問題扱っており、とても勉強になりました。
日本のDNA鑑定や指紋鑑定は絶対的なものだと思っていましたが、科学捜査にも脆弱な部分があることに驚きました。
中盤では「チーム・ゼロ」を率いてきた女性が亡くなるという予想外の展開は緊張感があり、最後まで飽きることなく読むことができました。
そして最後に安野がとった行動は正しいとはいえませんが、彼なりの「正義」を全うしたやむ得ない決断だったと思います。
皆によって「正義」は違うし、人間のやることに「絶対」はない。
「冤罪」をなくすためには、捜査を間違えたかもしれない警察が非難されることなく、柔軟に再検証できる制度が必要だと感じました。
そしてこれは他人事ではなく、冤罪被害にあう可能性は誰にでもあるということ。
そのため「チーム・ゼロ」のように冤罪被害者の救済活動を行う団体がもっと増えて欲しいと思いました。
なお、本作を原作にしたドラマ、WOWOWで2025年11月23日(日)より配信されることが決定しています。
WOWOWの登録方法は以下のリンクに詳しく記載していますので、ご覧ください。

この情報は2025年9月16日時点のものです。配信が変更、終了している場合もありますので詳しくは公式サイトをご覧ください。


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