『完全無罪』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図つきで簡単に解説

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小説『完全無罪』は、再審裁判を担当した若き弁護士が、自身のトラウマと向き合いながら真相究明に迫る本格ヒューマンミステリーです。今回は広瀬アリスさん主演でドラマ化も決定した『完全無罪』のあらすじから結末をご紹介します。

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『完全無罪』あらすじ

日本でも有数の大手弁護士事務所に所属して二年の若き弁護士・松岡千紗は、上層部の真山健一から、少女誘拐殺害事件「綾川事件」の冤罪再審裁判の弁護士に抜擢されます。

実は千紗は、この事件と同時期に香川県で発生した2件の少女誘拐の被害者の1人で、今なおトラウマに苦しんでいました。

再審で無罪を勝ち取るのはとても困難なことですが、千紗は再審の弁護士を引き受け、10年ぶりに地元の香川に帰りました。

まず当時の事件について再調査するため、香川第二法律事務所の所長・熊弘樹の協力を得ながら、容疑者の平山聡史と面会をします。

平山は、もしかしたら自分を誘拐した人物の可能性がありますが、千紗は彼と言葉を交わすうちに無罪だと確信していきました。

そして、自らも真犯人を突き止めたい思いで、危険を感じながら懸命に真実を追い求めていきますがーー。

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『完全無罪』登場人物&相関図

登場人物

松岡千紗・・・フェアトン法律事務所に勤めて2年の弁護士。香山県出身の29歳。実家は丸亀市でうどん屋を営む。「綾川事件」の再審請求を担当。自身も幼少期に誘拐され逃げ出した経験を持つ。
真山健一・・・日本有数の法律事務所フェアトンのシニアパートナー(トップ)。元最高裁判事。
平山聡史・・・綾川事件の犯人として無期懲役で服役中。事件前は小学校の用務員をしていた。妹の佳澄は兄の無実を信じていたが警察から自白したことを知らされ命を絶った。
有森義男・・・元警察官で21年前に綾川事件を担当し、平山から自白を引き出した。今は被害者サポートセンターでボランティア。
今井琢也・・・21年前綾川署で有森と共に綾川事件を追った。派手な身なりで、強引な取り調べを行っていた。
瀬戸口則夫・・・有森にサポートセンターの仕事を紹介した元検事長。
熊 弘樹・・・香川第二法律事務所の所長。千紗と同じ小学校の先輩。
池村明穂・・・「綾川事件」の被害者。当時7歳。犯人により命を奪われ綾川河川敷に遺棄されていた。
池村敏江・・・明穂の母親。娘を放課後一人にさせたことを後悔し、自殺を図るが助けられ、今は有森と共に被害者サポートセンターで働く。
川田 清・・・高木悠花失踪事件で、失踪した場所で平山に似た人物の目撃した老人。小柄。現在は90歳を過ぎ、ヘルパーの世話になっている。
田村彪牙・・・交際相手の2歳になる連れ子をマンションの3階から突き落としたとして殺人罪で起訴されたが、千紗の弁護で無罪を勝ち取った。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

◆以下ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

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『完全無罪』結末までをネタバレ

自白の真実

21年前、逮捕後に平山の取り調べを担当したのは、有森義男今井琢也という警察官でした。

有森は過去に娘を交通事故で失った経験から、被害者の池村明穂の母・敏江を気づかい、今は有森の勧めで共に被害者サポートセンターで働いています。

チンピラ崩れの今井は、平山を暴力で締め上げ違法ともいえる取り調べを行い、有森も黙認しました。

千紗は、平山が妹が自殺した翌日に自白したことに注目し、調査しました。

その結果、警察は平山の妹に「平山が自白した」と嘘をつき、無罪を信じていた妹は自ら命を絶ったと分かりました。

妹が亡くなったことを知らされた平山は、生きてても仕方がないと思い、無罪を主張することを諦めたのでした。

逆転裁判

高松地裁の三者協議で、なんと今井が平山の車に、明穂ちゃんの遺体から毛髪を抜いて置いたことを証言しました。

つまり平山の自白は、警察による捏造だとハッキリ認めたのです。

ギャンブルで借金が膨らんでいた今井は、罪の意識から真実を告白したのではなく、「綾川事件」の捜査の経緯を本にして金儲けをしようと企んでいたのです。

世論は今井に味方し、捏造を指示したと名指しされた有森は、激しく批判されて仕事を失い住むところも追われました。

その後、平山は冤罪が認められ社会復帰を果たし、千紗は「完全無罪」を勝ち取った弁護士として時の人となりました。

しかし、平山が犯人でないことが証明されたいま、千紗の心のなかには真犯人は別にいるという不安が残っていたのでした。

平山は本当に無罪か?

無罪判決を祝ってパーティーが開かれましたが、千紗は平山から「ありがとう、こんな人殺しを無罪にしてくれて」という言葉を投げかけられました。

千紗がその言葉の意味を確かめるため平山を尾行すると、彼は空き家を訪れていました。

見覚えのあるコンロ、ゴミ箱…それは千紗が幼少期に誘拐され一時監禁されていた家だったのです。

一方、元警察官の有森の元に、千紗が誘拐された事件で行方不明になっているもう1人の少女・高木悠花ちゃんの遺体の場所を知らせる電話が何者かによりかかってきました。

電話の主は、平山の毛髪を悠花ちゃんの遺体に置けば、もう一度誘拐犯として逮捕でき、有森の名誉も回復できると告げました。

しかし有森は、その悪魔のような取引には応じませんでした。

しばらくして、廃寺の古井戸から高木悠花ちゃんの遺体が見つかり、その遺体には平山の毛髪が付着していたとニュースで報じられました。

混乱した美沙は、すぐに平山に連絡をとりますが、彼は姿を消してしまいました。

そんななか、何者かから千紗に「真実を知りたければ、空き家にくるといい」という内容の電話がかってきました。

真犯人

千紗が急いであの空き家に到着すると、有森は包丁を持ち、今井が腹部を刺されて倒れていました。

有森によると、彼も謎の人物から空き家に呼ばれ、到着したときには今井が刺されていたと言います。

すると空き家に置かれていた平山の携帯の着信音が鳴りました。

そこには、平山が被害者を連れ去る様子を目撃したと証言していた老人・川田 清の告白を記録した動画がありました。

川田こそが誘拐殺人事件の真犯人でした。

動画のなかで川田は、21年前の明穂ちゃんと悠花ちゃんへの犯行を武勇伝のように得意げに話していました。

しかし、川田はすでに亡くなっており、裁きを受けることはありません。

結末

川田の動画を隠し撮りし、今井を刺したのは平山でした。

平山は自分が冤罪に陥ったことではなく、有森と今井が、妹に「平山が自白した」と嘘をつき、自殺したことがどうしても許せませんでした。

だから今井を刺し、その罪を有森になすりつけようとしたのです。

平山は「私も怪物になった」と言い有森に刃を向けましたが、次の瞬間、駆けつけた若い警察官により撃たれてしまいました。

平山は、冤罪で逮捕され、妹は死に追いやられ、無実の罪でようやく釈放されたにもかかわらず、自由を犠牲にして復讐をしようとしていたのでした。

数日後ー千紗は平山が入院している病院にお見舞いにやってきました。

幸い、平山が受けた弾丸が急所を外れ、命は助かったのです。

千紗は、あのとき平山が言った「ありがとう、こんな人殺しを無罪にしてくれて」という言葉の意味が、これから元刑事を殺すという告白だったことをようやく知りました。

そして、本当に冤罪を晴らしたかった妹が、この世にいないという平山の無念さを思うのでした。

『完全無罪』感想

「綾川事件」の冤罪を担当した弁護士が誘拐事件の被害者だったという設定は、有り得ないながらも、二転三転する展開に引き込まれました。

主人公の千紗が自分を誘拐したかもしれない平山と対峙するシーンは、悪夢のトラウマも相まって緊迫感があり、真犯人についてはオマケ的なものでしたが、平山という男が辿った人生の理不尽さに心を打たれました。

中盤で平山が無罪となっても、どこか拭えない不安感は、一度「犯罪者」のレッテルを貼られると、なかなか偏見からは解放されない今の社会を表わしており、警察による自白の強要や証拠の捏造、マスコミの行き過ぎた報道などが、冤罪を助長していることも分かります。

被害者の無念に寄り添い違法な捜査を黙認した警察官、邪魔な男を失脚させるため冤罪を晴らそうとする上司、無実であるのに21年間も服役した男、卑劣な犯行を行いながら寿命を全うした犯人などをみると「正義」とは何かを考えさせられました。

誰にとっての「正義」が他の人の人生を狂わせてしまう。

『完全無罪』は、無実であっても完全に疑惑は消えないという「冤罪」の複雑さ、恐ろしさを感じさせてくれるミステリーでした。

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