『木挽町のあだ討ち』ネタバレ!目撃者の証言に隠された衝撃の真実とは?

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直木賞を受賞した永井紗耶子さんによる『木挽町のあだ討ち』は、江戸時代の芝居小屋を舞台に、若い侍が果たした“あだ討ち”を目撃した人々の証言により真相が明かされていく物語です。今回は『木挽町のあだ討ち』の結末をネタバレ有りでご紹介いたします。

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『木挽町のあだ討ち』あらすじ

雪の降る夜のこと、木挽町芝居小屋の裏通りで傘を差し白装束をまとった美少年・菊之助父の仇として作兵衛を討った。

返り血で白装束を真っ赤に染めた菊之助は作兵衛の首を高らかに掲げ、この見事な仇討ちは見物人に称賛された。

それから二年後のこと。

菊之助の縁者と名乗るひとりの侍が、仇討ちの経緯を詳しく知りたいと木挽町を訪れる。

果たして目撃した芝居小屋の関係者によって語られ、浮かび上がってきた真相とは…。

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『木挽町のあだ討ち』登場人物

登場人物

一八・・・28歳。木戸芸者(芝居小屋の前で芝居の見所や面白さを伝える者)。母は吉原の女郎。かつては花柳界で酒の席を盛り上げる幇間(ほうかん)をしていた。
与三郎・・・30歳。芝居小屋の殺陣師。下級武士の三男として生まれる。ある事件をきっかけにお三津と結婚。
芳澤ほたる・・・40歳。芝居小屋の衣装係。時々 女形として舞台にあがる。男だが男性として扱われると不機嫌になる。
お与根・・・小道具係の久蔵の妻。木彫り職人の父のもとに久蔵が弟子入りしたことを機に夫婦となった。政吉という息子を亡くしている。
篠田金治・・・50歳。戯作者。音曲、浄瑠璃などを手掛ける。旗本の生まれで裕福な家で育つ。菊之助の両親を知る人物。
菊之助・・・父親・伊納清左衛門の仇として作兵衛を討った15、16歳の若者。
作兵衛・・・「木挽町の仇討ち」で菊之助の討たれた博徒。
総一郎・・・18歳。江戸番。

相関図

※無断転載禁止

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『木挽町のあだ討ち』結末をネタバレ

仇討ちが起こったのは、菊之助の父・伊納清左衛門御家老の怒りを買ってしまったことが発端でした。

清左衛門は使者を迎えるときに不手際があり、それを御家老に激しく叱責され、夜も眠れないほど気に病んでしまいました。

人相が変わるまで精神を病んだ父は菊之助を斬ろうとしますが、作兵衛は菊之助の父の前に立ちはだかりました。

それでも斬りかかろうとする菊之助の父を作兵衛が抑えようとするうちに、二人は揉み合いに。

その際に刀が菊之助の父の首に触れてしまい、首を斬られた菊之助の父は亡くなってしまったのでした。

菊之助は父が自害したことにしようと思っていましたが、悪いことに ちょうどその場に御家老からの遣いが訪ねてきて、返り血を浴びた作兵衛と倒れた菊之助の父を見てしまいます。

菊之助は作兵衛を逃がしますが、次の朝には作兵衛が主を殺して逃げだしたという噂が広がり、御家老と叔父は菊之助に「仇討ちせねばならぬ」と命じたのでした。

菊之助は母から芝居小屋にいる篠田金治を尋ねるように勧められ、江戸へ送り出されました。

金治は金を横領していたのは清左衛門ではなく御家老で、清左衛門は御家老から賄賂を渡されましたが拒否したせいで横領の汚名をきせられました。

濡れ衣を晴らす機会も失い、菊之助や妻の命も狙われていると知った清左衛門は、作兵衛に自分を斬るように頼みました。

そして弟が菊之助を仇討ちに立たせるから、作兵衛は御家老に命じられて裏帳簿を盗み出したとの告白をして菊之助に討たれて欲しいと涙しました。

清左衛門に恩義を感じている作兵衛が、とてもそんなことはできないと断ると、清左衛門は最後の手段として刀を菊之助に向けました。

清左衛門は気が触れてしまったと感じた作兵衛は、菊之助の間に入って助けようとしましたが、揉み合いの末に清左衛門は亡くなってしまったのでした。

家を継ぎたいと思っていた清左衛門の弟(菊之助の叔父)は、菊之助を仇討ちに追い立てました。

仇討ちを成功させなければ母がいる故郷に帰れない菊之助は、大好きな作兵衛のことを討ちたくはないけれど、父の志を受け継いで不正を暴きたいという間で思い悩みます。

菊之助の事情を知った芝居小屋の人々は、彼に同情して仇討ちを芝居にしてでっちあげようと思いつきます。

こうして芝居のプロたちは、自分たちの技術と知恵を持ち寄って、菊之助と作兵衛は芝居の訓練を重ねて仇討ちの演目を成功させたのでした。

江戸で「木挽町の仇討ち」の詳細な経緯を知った総一郎(菊之助の許嫁お美千の兄)は、菊之助を尋ねました。

実は総一郎と妹のお美千は、当家の家臣だった作兵衛に面倒を見てもらい懐いていた過去がありました。

事の顛末を知った総一郎は、現在 作兵衛が権太と名を変えて、芝居小屋の奈落で働いていることを知り、涙を流しました。

そして菊之助は総一郎に、一緒に木挽町の芝居仲間に会いにいかないかと誘うのでした。

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『木挽町のあだ討ち』感想

『木挽町のあだ討ち』若い侍が果たした仇討ちの目撃談と共に彼らの半生が語られ、真相が浮かび上がってくる物語。

六幕からなる話が結末に繋がっていく構成で、すべて登場人物の語りによって進行していきます。

木戸芸者、殺陣師、女形衣装係、職人夫婦、筋書…市井の人らによって語られる半生は、切なくも愛おしく、胸を打たれるものばかり。

仇討ちの謎解きというミステリーを軸に、江戸時代の庶民の生き生きりした生活が垣間見え、時代ものが苦手な私でも十分楽しめました。

身分を越え、利害を捨てて「義」のために仲間と共に作り上げた一世一代の大芝居は見事に成功し、菊之助が総一郎を芝居見物に誘う鮮やかな大円団。

「忠義」というのは武士だけのものではなく、芝居小屋の人々の「情」と「粋」が感じられ、後味も最高。

幕が開いて幕が降りるまでの「業を追わない仇討ち」は、まるで舞台を見るような臨場感があり、まさに舌を巻く面白さでした。

このまま芝居の演目にもできそうと思っていたら、柄本佑さん、渡辺謙さん出演で映画化が決定していて納得。

すべて読み終えると思わず膝を打ちたくなる小粋な時代小説で、とても読みやすいので、気になった方はぜひ手にとってみて下さい。

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