『よだかの片想い』あらすじから結末をネタバレ

邦画

生まれながらに顔にアザがある女性と映画監督の男性との切ない恋模様を描いた島本理生の小説『よだかの片想い』。島本理生さんといえば『ナラタージュ』『Red』『ファーストラヴ』など恋愛小説が有名ですが、本作も繊細な表現力と見事な心理描写が名作です。そこで今回は、松井玲奈さん主演で映画化もされる『よだかの片想い』のあらすじから結末をご紹介いたします。

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『よだかの片想い』あらすじ


よだかの片想い (集英社文庫) [ 島本理生 ]

生まれつき顔にアザがある理系女子大生の 前田アイコは、その容姿のコンプレックスから恋愛には程遠い生活をおくっていた。

しかし、自分の顔には自信がないものの「可哀そう」と他人から同情されるのが嫌で、堂々と誠実に生きてきた。

あるとき、友人から「顔にコンプレックスのある人をテーマにした本を作成したい」と頼まれ、アイコは了承し表紙を飾った。

すると、その本は話題となり映画化の話が舞い込む。

アイコは勝手に独り歩きする自分の話に抵抗はあったが、映画監督・ 飛坂逢太と対談することを了承した。

飛坂はアイコの強い表情が気に入ったといってくれ、飲み会の帰りに手鏡をプレゼントしてくれた。

自分の顔のことに同情せず、自然に振る舞ってくれる飛坂にアイコは初めて恋をする。

アイコは生まれも育ちも、住んでいる環境も全く違う飛坂に戸惑いながらも、もっと彼を知りたいと暴走したり、妄想したり、落ち込んだり、舞い上がったり。

そんなアイコの不器用な恋の行方は…。

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『よだかの片想い』結末ネタバレ

家庭環境の違い

忙しく、これまで彼女と長続きしたことがないという飛坂と付き合うことになったアイコ。

あるデートの帰り道、アイコの母親に偶然見られてしまった二人は、アイコの家に招かれる。

そこでアイコの母は飛坂に、

「アイコは本当にいい意味で普通に育ったの。(中略)意思が強くて頑丈そうに見えるけど、実は強い石ほど脆いでしょう。この子は繊細な子なんです。恋愛して、いっぱい泣いたり笑ったり、そうやって細かい傷をたくさん作って、本当に強くなればいいと思うの。ただ、この子の真っすぐにものを見るところだけは、失われないでいてほしい。」

と真剣に話した。

実は飛坂は、有名な役者の父親のスキャンダルのせいで誹謗中傷を受け、普通とは程遠い人生を歩んできた。

だから、飛坂はアイコの母親の言葉を聞いて少し寂しくもあり、両親から愛され大切に育ったアイコと付き合う重みを感じていた。

週刊誌の記事

撮影で忙しい飛坂となかなか会えないでいたアイコは、偶然 飛坂と女優の路上キスの週刊誌の記事を目にする。

飛坂は女優とは付き合っておらず、父親の葬儀のあとで落ち込んでいたこともあり酔った勢いでキスをしたことを認め謝罪した。

しかし、アイコはどうしても飛坂の行為が許せず、「飛坂さんは1人になったほうがいい。そばにいたら、みんなあなたに優しくしたくなる。私はずるい人は嫌です。」言い放ち、気まずいまま別れてしまう。

「こんなみじめな自分は、もう捨てたい」

数日後、アイコはレーザー治療でアザを薄くしようと決め、病院を訪れた。

飛坂と会えないままでいたアイコは、ある日 大学の研究室で泣いているところを後輩の原田くんに見られてしまう。

原田は、以前よりアイコに好意を抱いていたためデートに誘った。

そこでアイスを食べるアイコを見て原田は素直に「可愛い」と言った。

男の人から初めて可愛いと言われたアイコは、原田くんのことを好きになってもならなくても、この大切な日は忘れないでおこうと心に誓うのだった。

ミュウ先輩のヤケド

そんなある日、アイコは相談相手のミュウ先輩こと筧奈穂美がバーキューをした際に大やけどしたことを知る。

包帯でグルグル巻きにされたミュウ先輩を見ると、アイコはどう接していいか分からず、病室の前から逃げ出してしまう。

アイコは、たまらず飛坂に電話をして相談すると、

「アイコさんの真面目さや真剣さを、その先輩はきっと欲してるんだよ。僕がそうだったからよく分かる」

と励ました。

その言葉を胸に、アイコはミュウ先輩に会いにいくと、ミュウ先輩は、ヤケド跡が目立つ姿で人前に出ることを怖がっていた。

そしてアイコに「アイコちゃんのアザはレーザーで取れるの?」と聞いた。

「私はずっとこのアザを通して人を見てた。でも、だからこそ信頼できる人と付き合ってこられたんです。ミュウ先輩もその一人です。」

そしてアイコは病院には行ったものの、治療はやめたことを打ち明けた。

結末

飛坂と会う約束をしていたアイコだったが、時間に間に合わなくなり飛坂に電話をかけた。

飛坂は、

「君の一生懸命な言葉、真摯な対応、そういうものが無性に欲しくなるときがあった。(中略)初めて、本当の意味で他人に受け入れられることを知った。でも、それはアイコさんばかりに負担をかける、残酷なことだから。僕はまた君を傷つけると思う。それでもいいなら僕とやり直して欲しい。」

と素直な言葉を述べた。

しかし、求められることの幸せを知ったアイコは、片想いじゃなくて両想いの関係でいたい…と思い、飛坂に「さよなら。そしてありがとう。」と告げた。

数日後、飛坂からアイコを題材に制作した映画の試写会のチケットが送られてきた。

飛坂は舞台の上で、

「アザと呼べば、欠点のように聞こえてしまうけれど僕は純粋に目を奪われました。その女性が葛藤して強く生きてきた証に。」

とアイコのことを静かに語った。

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『よだかの片想い』感想

結局アイコは飛坂と、恋人と呼べる意味で結ばれることはなかったけれど、不器用に告白して、挫けて、それを越えて成長できたと感じられる片想いには胸が熱くなりました。

「アザ」というフィルターを通して世間や他人と関わってきたきたからこそ、飛坂はもちろん、ミュウ先輩や原田くんといった素晴らしい人間と出会うことが出来たアイコ。

だから、アイコがレーザー治療をせず「アザがあって良かった」と堂々と答えるところは説得力がありました。

冒頭のほうで、学校で男子から「あいつのアザの形は琵琶湖だ」と言われても、その頃のアイコは、ちょっと嬉しく思いアザ気にしていなかったのに、担任が「なんてひどいことを言うんだ」と怒ったことで、自分のアザは恥ずかしいものなんだと認識します。

母親から大切に普通に育てられてきたアイコはアザを恥じてなかったのに、他者から別の価値観が植えつけられるこのシーンは実にリアル。

最後にその琵琶湖が、飛坂の作品により美しい夜空になるところも素晴らしい!

それにしても、島田さんはどうしてここまで、女の子の心の描写を鋭く繊細に表現することができるのでしょうか。アイコの気持ちに痛いほど共感して、何度もウルウルさせられました。

これまでの島田さんが描いてきたヒロインは、精神的に脆く救いを求めてる女性が多かったですが、今回のアイコは芯があって本当に真っ当な女性。

そんなアイコは、恋愛を通して人間としても大きな一歩を踏み出しました。

きっとこれからも、いい恋愛ができるんだろうな…と思わせる希望のあるラストには清々しい気持ちになれました。

映画『よだかの片想い』公開日

顔に大きなアザを持ち、野武士のように世間の目線と戦ってきたアイコの恋愛を描いた映画『よだかの片想い』は、安川有果監督により2022年に松井玲奈さん主演で公開されます。お楽しみに。

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