つまらない住宅地のすべての家ネタバレ!巧みな伏線や結末を相関図付きで

ドラマ

女脱獄囚の事件をきっかけに、どこにでもあるような住宅地の住民が抱える問題が浮き彫りになるホームサスペンス『つまらない住宅地のすべての家』。そこで今回は津村記久子さんによる『つまらない住宅地のすべての家』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『つまらない住宅地のすべての家』相関図

この物語は、住宅地という狭い範囲が舞台ですが、登場人物が非常に多く、整理しないと混乱します。

中盤からは、登場人物が意外なところで繋がっていき、パズルのように当てはめながら読み進めると楽しいので、相関図で確認してみて下さいね。

相関図

『つまらない住宅地のすべての家』あらすじ

物語の舞台は、都会でもなく田舎すぎるわけでもない とある町の十軒の家が立ち並ぶ袋小路状の住宅地。

ある日、横領の罪で服役していた女性受刑者が脱獄したというニュースが報道される。

女性はこの地域の出身者であり、どうやらこの町に向かっているらしい。

そこで、住宅地の自治会長である丸山明の提案で、住民は交代で見張りをはじめることに。

そこで初めてご近所と深く関わることになった住人たち。

脱獄事件をきっかけに、人々は、子育ての悩み、社会からの疎外感、児童虐待、家族崩壊など、人知れず抱える問題を浮き彫りにさせてゆく。

果たして、逃亡犯が脱走した目的とは?住人が抱える問題は解決するのか?

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『つまらない住宅地のすべての家』ネタバレと結末

脱獄囚が犯罪を犯したキッカケ

住宅地を騒がす脱獄囚・ 日置昭子の両親は、かつて工務店を営んでいた。

しかし、ある工事で昭子の父が営む工務店の見積もり金額が外部に漏れ、その下の金額を提示した長谷川家が営む工務店が仕事をうばった。

それにより、昭子の父の会社は資金繰りがうまくいかずに倒産

その後、昭子の両親は離婚し、母親は病気で亡くなった。

成績優秀だった昭子だったが、経済的な理由から登山サークル事務局に就職することに。

そこに、自分の父の会社を倒産に追い込んだ長谷川建設の社長が会員としてやって来た。

昭子は、復讐と怒りで会員の装備や交通費から少しづつ横領を始めたのだった。

昭子が脱獄した目的は?

昭子は、いとこの 恵一の手紙より、自分の父が余命いくばくで入院していることを知る。

昭子には、22年間一つだけずっと引っかかっている疑問があった。

父が会社の再建を賭けていた工事の金額が、なぜ外部に漏れてしまったかということ。

そこで何一つ話してくれなかった父に、真相を聞こうと脱獄したのだった。

父が入院する病院までたどり着いた昭子は、自分を取材している大学生・梨木由歌を利用して、父の病室に潜り込んだ。

そこで父から聞かされたのは、 昭子の父と長谷川建設の祖母・小夜は当時愛人関係にあり、どうせ再婚するからと小夜に騙された昭子の父は、見積金額を漏らしてしまったということだった。

昭子は捕まったのか?

父から真相を聞き出した昭子だったが、まだ彼女にはやることが残っていた。

それは、脱獄する際に協力してくれた峠坂の神戸にいる娘に手紙を渡すこと。

そこで、偶然 連絡がとれた いとこの恵一に頼み、着替えの服を持ってきてもらうが、恵一は友人の丸山亮太にこの秘密を明かしてしまう。

恵一と亮太の話を盗み聞きした亮太の父・丸山明は、彼らが昭子と接触することを知り、待ち合わせ場所である住宅地の倉庫で待ち伏せをすることに。

そして現れた昭子を見つけ、その様子に気づいた住民がぞろぞろと出てきたことにより、昭子の逃亡は終了した。

結末

この住宅地には、昭子の同級生である真下耕市も住んでいた。

耕市は、昔から学年一の成績を誇った昭子に一目置いており、出頭は明日でもいいから、一晩自分の家で休ませることにした。

そこで耕市は、昭子から神戸にいる峠坂の娘に手紙を渡すように頼まれた。

翌朝、昭子は叔母に連れられて警察に出頭した。

~エピローグ~

耕市は、ゲーム大会に参加する亮太、恵一、三橋博喜(ヒロピー)を連れて神戸に向かうことになった。

博喜の失踪グセを心配して倉庫に軟禁しようとしていた両親を、オンラインゲームで繋がっていた恵一が説得したことで、博喜は神戸まで出かけることができた。

矢島みづきは、母親から山崎に料理を教わることを許され、ひもじい思いをすることはなくなった。

引っ越しする予定だった山崎は、もうしばらく今の家に住み続けることに決めた。

みづきを誘拐しようと計画していた大柳望は、笠原家の老夫婦の優しさに触れたことで犯行を思いとどまった。

今では、松山と一緒に行った居酒屋で、想いを寄せる女性も出来た。

そして、丸川明は出ていた妻とようやく連絡が取れ、まだ一緒に暮らすことはなさそうだが、前向きに話し合うことができた。

脱獄囚の事件をきっかけに、住民たちの生活は少しづつ好転し、以前よりも交流することが増えていったのだった。-END-

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『つまらない住宅地のすべての家』感想

お互いに詮索などしなければ、平凡な一軒のままだったのに、非日常の事態をきっかけに、互いのことを少しずつ知ることになるという設定が、まず全然つまらなくない!。

そして、「脱獄」という割と派手めな事件は起こりますが、ただ怖いことが起こるのではなく、日常のほんの少しずれたところにある事がらとして扱っているのが実にリアルでした。

終始不穏な雰囲気はあるものの、伏線を張ってます感やトリックはこうだ!(ドヤッ)みたいな気負いは全くなく、「この人はさっきの…」みたいにサラッと種明かしされるのも好みでした。

このように、全然関係のないと思っていた人物が、意外なところで繋がっていることを俯瞰的に知ることができるので、パズルを解くようなワクワク感も味わえます。

本作は、市井の人々のドラマを、あくまでも淡々と描いているのですが、不意打ちで胸にグッくる台詞が出てきたりするのも津村さんらしいです。

叔母が脱獄した女性に言った

あんたが罪を重ねるたびに、あんたの人生が浪費される、横領をした時点でもう一生普通の幸せなんてないかもしれないけれども、その中でいちばんましな人生を生きてほしいと思ってたのに。

という言葉は、脱走犯がそこまで悪人ではないことを知っているだけに、胸にズーンとくるものがありました。

また、害の無さそうな男が少女誘拐犯を計画していたり、子どもを軟禁しようとする親がいたり、ネグレクト気味の母親がいたりと、平穏な毎日に潜む犯罪の芽も垣間見えます。

実際の世界でも、小説のように問題を抱えながら、危ういところで生きている家庭は多いんだろうなぁ。

そして、それぞれの家族の秘密や闇をすべて把握したうえで迎える最後。

住人に確実に変化が起こったことが細やかな交流で明かされたとき、登場人物の暮らしを共有できるような温かさを感じました。

群像劇のなかでも伊坂幸太郎作品が好きな人にはオススメかもしれません。

なお、本作の詳細な登場人物の秘密や関係性などのネタバレは大幅に省略していますので、小説でじっくりお楽しみくださいね。

最後に

どこにでもありそうな危うい家庭の問題を、絶妙なさじ加減でユーモラスに描いた『つまらない住宅地のすべての家』。

2022年10月10日からは、NHKで井ノ原快彦さん主演でドラマ化されますのでお楽しみに。

ドラマ『つまらない住宅地のすべての家』のキャスト相関図は⇒こちら


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