『天使の耳~交通警察の夜』ネタバレ!あらすじ~結末

ドラマ

私たちの身近に起こる交通違反や交通事故にスポットを当てた東野圭吾さんによるミステリー『天使の耳』がNHKでドラマ化されます。そこで今回は、ドラマをいち早く楽しむため『天使の耳~交通警察の夜』の原作小説のあらすじ~結末をご紹介します。

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『天使の耳~交通警察の夜』あらすじとネタバレ

『天使の耳~交通警察の夜』は、1995年に発表された東野圭吾さんによる小説です。

物語は全6篇で構成されており、日常生活に起きた交通事故により人生が急展開する恐怖や人間の醜さ、弱さを描いています。

事故原因や結末も一筋縄とはいかず、加害者や被害者に復讐を果たすような背筋がゾッとする話もあります。

天使の耳

あらすじ

深夜の交差点で衝突事故が発生した。事故を起こしたのは軽自動車と外車だったが、軽自動車のドライバー・御厨健三だけが死亡してしまった。外車のドライバー・友野和雄と同乗者の畑山瑠美子は、軽自動車の信号無視を主張し、軽自動車の同乗していた健三の妹・奈緒は、外車の信号無視を主張した。しかし、奈緒の目が不自由であったことから、彼女の主張の信憑性が疑問視されることになる。しかし、交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で、奈緒は兄の正当性を証明してみせた。

ネタバレ

交通事故直前に流れていたユーミンの歌

奈緒はその歌詞のどこで兄が「よし青だ」と言ったのか、ぶつかった時のフレーズまで正確に覚えていました。

奈緒は視力は失っていましたが、その分 聴力や記憶力は研ぎ澄まされており、その超人的な能力が警察に認められ、奈緒の証言も信ぴょう性が増しました。

その後 ドライバー・友野和雄は、車内で彼女と揉めたことに気をとられ、信号無視をしたことを認めました。

事件は一件落着かと思いましたが、後日 警察官の陣内は、たまたま友野の彼女からぶつかった時の銀行前のデジタル時計の時刻を聞きます。

陣内はその証言から導きだされたのは、健三も友野も どちらの信号も赤になる4秒間に交差点に進入したことに気づきました。

奈緒が事故直後に公衆電話に入ったのは、時報を聞きながら、歩行者用の盲人向けの「通りゃんせ」を聞き、信号が変わるインターバルを測って、兄に有利な証言をするためでした。

奈緒が聡明な美少女で障害者であること。

警察も読者もそんな彼女が「嘘はつくわけない」という先入観を持ってしまった結末となりました。

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分離帯

あらすじ

トラックがスリップし中央分離帯を超え、対向車線の車と衝突する事故が起こった。トラックの運転手がこの事故で死亡した。県警本部の交通課・世良は、亡くなった運転手の妻を見て驚くことになる。彼女は、高校時代に片想いしていた同級生だった。彼女の力になろうと事故の原因を捜査する世良だったが、ある重要な目撃証言を得ることになる。それは、左側に路上駐車していた外車が、方向指示器を出さすに突然飛び出してきて、それに驚いてトラックが事故を起こしたのではないか、というものであった。そして、この外車の持ち主を見つけ出そうとするのだが・・・。

ネタバレ

外車の持ち主である中年女性を突きとめた世良と亡くなった運転手の妻・菅沼彩子は、家を訪ねます。

すると中年女性は、中央分離帯を横切っていたところ、サンダルの片方を落としてしまい戻ったところトラックに轢かれそうになったと話しました。

目撃者が、左から車が飛び出してきたというのは、彼女の車が左ハンドルのため、いつも駐車するときに 右側がはみ出してしまう癖を勘違いしたせいでした。

中年女性は歩行者だったため事故に対する責任は問われず、彩子は落胆しました。

数日後、その中年女性が人を轢いたという一報が入ってきました。

現場に駆け付けた世良は、倒れている被害者が彩子だと気づきました。

彩子は法律の矛盾を、身をもって証明しようとしたのでした。

危険な若葉

あらすじ

帰りを急いでいた男の前に走っていた車。それは、若葉マークを付けた女性が運転する車だった。男がその若葉マークの車を必要以上に煽ったところ、その車は事故を起こしてしまう。恐くなった男は、事故を通報せずにその場から逃走した。事故を起こした女性に大したけがはなかったが、記憶障害を引き起こしていた。しかし、この女性の記憶障害には、とんでもない裏があったのだ。

ネタバレ

記憶障害の真智子は、仕事場の近くの雑木林で幼い子供におおいかぶさるように男を目撃してから、命を狙われるようになったと話しました。

その雑木林では、先日 幼女の遺体が発見されたばかりだったので、警察もすぐにその場所を捜査しました。

すると、そこには血のついたイニシャル入りのリストバンドが落ちていました。

リストバンドの持ち主を探ると、真智子に煽り運転をした男であることが判明します。

すぐに、男は警察に連行されますが、男は幼女に事件とは全く無関係で、リストバンドもテニススクールで紛失していたのです。

男は無実を訴えますが、煽り運転の末に女性を救助せずに立ち去ったので、警察は聞く耳を持ってくれませんでした。

実は、男を幼女の事件の犯人に仕立てあげたのは真智子でした。

真智子は事故当日に、男の持ち物からテニススクールを突き止め、リストバンドを盗み、看護師の妹に頼んで血痕をつけてもらいました。

記憶障害も嘘で、計画を練るための時間稼ぎだったのです。

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通りゃんせ

あらすじ

「いつも誰かの車が止まっている」そんな彼女の言葉を信じて、雄二は駐車禁止の場所に自分の車を駐車した。翌朝、車には当て逃げされたキズが残っていた。犯人は見つからないだろうと諦めていた雄二だったが、何と当て逃げをした犯人から連絡が来た。しかし、この犯人が現れたことがきっかけで、雄二は恐ろしい体験をし、自分がとんでもないことを犯していたことを知ることになる。

ネタバレ

雄二の車を当て逃げしたのは前村という男で、修理代を払ってくれることになりました。

しばらく経って雄二は前村とバッタリ会い、彼から伯父が所有する別荘の空気を入れ替えるために、2,3日滞在して欲しいと頼まれました。

スキーをする雄二は彼女のために、前村の頼みを聞き、別荘の件を引き受けることにしました。

当日、別荘にはなぜか前村本人が現れ、別荘の説明と共に、美味しい料理をふるまってくれました。

そして食事のときに前村は、不幸な知り合いの話をし始めました。

お正月のある夜、晩婚の夫婦の子どもが風呂に落ちてしまい、父親は子どもを車に乗せて病院に運びましたが亡くなってしまいました。

あと10分か15分早ければ子どもは助かっていましたが、途中の道で違法駐車している車があったてめ到着が遅れてしまったそうです。

その話を聞いた雄二は、前村が自分のことを言っていることに気づき、怖くなってしまいます。

そして、食事のあと夜中にもかかわらず彼女と荷物をまとめて別荘から逃げることにしました。

しかし帰りの細い山道を塞ぐように、前村の車が停まっていました。

ギリギリ通れそうだったので、雄二はアクセルをふみましたが、横がだったため車は傾いてしまいました。

すると、前村が現れ自分の車を動かしはじめ、雄二の車はガクンと音をたてました。

落ちると思った瞬間、前村は自分の車と雄二の車をロープで結び、引っ張ってくれました。

雄二は前村に違法駐車の件を謝罪すると、前村は目を閉じたまま「 早く…行ってくれ」と答えるだけでした。

捨てないで

あらすじ

高速道路走行中の車から投げ捨てられたコーヒーの空き缶。その空き缶が後続車の助手席の女性の目に当たり、彼女は失明することに。だが、空き缶を投げ捨てた張本人の斉藤はそのことを知らない。失明した女性の婚約者は、車の車種と空き缶だけを頼りに犯人を探し出そうとするが、とうとう見つけ出すことはできなかった。しかし、その空き缶が、思わぬ形で斉藤に罰を与えることになる。

ネタバレ

斉藤は、妻の殺害計画を手伝ってくれと嘘を言って、愛人の春美を山中湖の別荘まで誘い出しました。

斎藤が狙っていたのは妻ではなく、別れてくれない春美でした。

そして、斎藤はうまく言いくるめて春美をトランクに乗せ、山の中で命を奪いました。

その頃、失明した女性の婚約者の深沢は、空き缶を投げた車・ボルボを探しに山中湖にやってきていました。

すると、一つの別荘であの日見たボルボを発見。

深沢は、犯人を突き止めようと別荘の倉庫に潜入しますが、斎藤の妻に見つかってしまい、事故の証拠である空き缶をその場に落としたまま追い出されてしまいます。

数日後、警察は春美殺害の容疑者として斎藤に目を付け、別荘で手がかりを探していました。

すると、そこに最近飲んだであろうコーヒーの空き缶を発見します。

警察は、ここで春美が隠れてコーヒーを飲んだのかもしれないとして、空き缶の指紋に彼女の指紋が付いていないか鑑識に回しました。

しばらくたった後、何もしらない深沢と婚約者は、ある男が愛人殺害で捕まったというニュースを聞きながら、「いろいろな人がいるものねぇ。」「僕たちには関係ないことだよ」と話したのでした。

鏡の中で

あらすじ

地元では有名な東西化学株式会社の陸上部コーチ・中野文貴の運転する車が、交差点で原付バイクと接触事故を起こした。そして、原付バイクの運転手はノーヘルだったため、頭部の打ち所が悪く亡くなってしまうことに。全面的に自分の非を認める中野。だが、現場のスリップ痕から、交通警察官の古川と織田は、中野の供述に疑問を抱きはじめる。

ネタバレ

中野文貴の供述や、スリップ痕などに違和感を持っていた織田は、あるとき中野の教え子の田代由利子の首の傷に気づきます。

それは、擦過傷でシートベルトの跡でした。

中野は大切な試合を控え、なおかつ恋人だった由利子の身代わりになっていたのです。

海外生活が長かった由利子は、交差点を曲がる際に左側車線に入らなければいけないところを反対車線に入ってしまい 原付バイクと接触してしまったのです。

『天使の耳~交通警察の夜』感想

人が亡くなるとか、凶悪犯が登場するわけでもないのですが、交通事故によって人間の心が削がれる様子がとても怖い作品でした。

空き缶、ユーミンの歌など、一見 事故の捜査に繋がらないことが謎を解くキーになるところは、さすが東野圭吾さんといったところです。

また、チェイサーやシーマ、電話ボックス、自動車電話が登場する30年前のストーリーですが、古さは感じられず、煽り運転、違法駐車など今私たちが身近に直面している問題も登場します。

まぁドライブレコーダーの搭載率が高い現在では、成り立たない話も出てきますが…。

小さな交通違反が大きな事故に繋がり、身を滅ぼしてしまう。

そして、嘘に嘘を塗り重ねても、交通警察の目からは逃れないことが分かりました。

車を運転する限り私たちは、いつ当事者になるか分かりません。

『天使の耳~交通警察の夜』を読んで、みんながやっているからと言っても駐車違反などはせず、ハンドルを握るときは「車は凶器なんだ」という意識を忘れないようにしたいと思いました。

また、本作を自動車教習所での授業や免許更新時に採用したら、運転者の戒めになるのでは感じました。


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