『おもかげ(浅田次郎)』あらすじ~結末までを相関図付きでネタバレ

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浅田次郎さんいよる『おもかげ』は、定年退職の送別会の帰りに地下鉄で意識を失った男が、幽体離脱のごとく骨身にしみるような体験をしながら、過去に向き合っていくお話です。そこで今回は『おもかげ』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『おもかげ』登場人物と相関図

登場人物

竹脇正一・・・昭和26(1951)年生まれの65歳。商社マンとして定年を迎えた日に地下鉄で倒れる。
竹脇節子・・・正一の妻。
竹脇茜・・・正一と節子の娘。
竹脇春哉・・・正一と節子の息子。4歳のとき亡くなる。
堀田憲雄・・・正一の同期入社。かつての親友。現在は出世して社長となった。
大野武志・・・茜の夫。大工として師匠・永山の下で働く。
永山 徹・・・大工の棟梁。正一と同じ児童養護施設で育った幼なじみ。
児島直子・・・看護師。正一とは通勤電車で20年来の顔なじみでもある。
マダム・ネージュ・・・貴族のような80歳位の老女。
入江 静・・・白いサンドレスをきた60歳前後の美しい女性。
榊原勝男・・・集中治療室で正一の隣のベッドにいた患者。
峰子・・・勝男の初恋の人。浮浪児たちのカリスマだった女性。30歳半ばくらい。
古賀文月・・・正一の大学の同級生で恋人だった女性。

相関図

※無断転載ご遠慮下さい。

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『おもかげ』あらすじ

56歳になる竹脇正一(まさかず)は、商社マンとして定年を迎え、送別会から帰る途中の地下鉄の車内で意識を失って集中治療室に運びこまれました。

病室には妻の 節子をはじめ、同期入社で今や社長となった堀田憲雄、娘婿の大野武志、幼なじみの大工の棟梁・永山徹が代わる代わる現れて正一に話かけるが、彼の意識は戻りません。

また、正一やその家族を見守る看護師の児島直子は、偶然にも竹脇と通勤電車で言葉こそ交わしたことはありませんが、20年来の顔なじみでした。

そんななか正一は、ベッドの上で眠る自分自身の体を横目に、様々な人たちと出かけることに。

マダム・ネージュと名乗る老女と洒落たレストランで食事をし、 入江静という女性と夏の入り江で語らい、集中治療室で隣のベッドにいる患者・ 榊原勝男とは銭湯に行って昔話を聞かされることになりました。

さらに、正一は勝男の戦後・浮浪児時代の初恋の人・ 峰子と地下鉄に乗ってデートをします。

はじめは、彼女たちのことを節子の知り合いだと考えていた正一でしたが、これは亡くなる前に肉体から解放される不思議な体験だと考え始めました。

そんな奇妙な時間を彷徨っていた正一は、自らに蓋をしてきた過去を思い出すことに…。

定年の日に倒れた男に舞い降りた幸福とは?心揺さぶる、愛と真実の物語。

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『おもかげ』ネタバレと結末

本作は、浅田次郎さんの代表作でもある『地下鉄に乗って』の姉妹作のような作品で、『地下鉄に乗って』が父親のルーツを探るとすれば、『おもかげ』は母親のルーツを探る物語です。

ではここからは、『おもかげ』の簡単なネタバレと結末を明かしたいと思います。

未読の方はご注意下さいね。

正一の過去とは?

正一は、捨て子で、両親の顔はおろか名前さえ知らず、「竹脇正一」という名前も、どこか借り物のようで愛着もありません。

幼少期は永山徹と共に養護施設で過ごし、新聞配達で学費を貯め、国立大に入学。

今の商社に入社してからはがむしゃらに働き、定年まで勤めあげました。

正一は辛い過去を忘れるようにプライベートでは、節子と結婚し、長男・春哉を授かりますが、春哉は4歳のときに交通事故による肺炎で亡くなってしまいます。

最愛の息子を失った正一と妻の節子は、正気を失い喧嘩ばかりの日々。

同期の堀田憲雄が、仲をとりもってくれなければ離婚していたかもしれません。

そんな苦労を乗り越え、やっと定年を迎えた正一でしたが、不運にも定年退職の日に倒れてしまうのでした。

謎の美女たちの正体

走馬灯なのか幽体離脱なのか、正一はベッドの上で眠る自分自身の体を抜け出し、様々な年代の美女たちと過ごします。

実はその美女たちこそ、正一の母だったのでした。

三十五歳の美しいあなたと、地下鉄に乗りたい。
六十歳のもっと美しいあなたと、静かな入江を歩きたい。
八十を過ぎて、もっともっと美しいあなたと、輝かしいふるさとの光を眺めながらクリスマスを祝いたい。

三十五歳の女性は峰子、六十歳の女性は入江静、八十歳の女性はマダム・マダムネージュ。

物語では別々の女性として描かれてきましたが、すべては年を重ねていった母でした。

峰子は終戦後、浮浪児となり、15歳のときに見知らぬ男に乱暴され、子どもを身ごもってしまいました。

産まれた赤ん坊はとても可愛く、できることなら一緒に暮らしたかったけれど、戦後の貧しい日本で女で一つで、しかも少女が育てられる訳がありません。

だから峰子は、赤ん坊を生かすために、クリスマスに地下鉄の車内にそっと置き去りにしたのです。

これが正一の出生の秘密でした。

これまで正一は、自分を捨てた母を恨みながらも、心の底で会いたいと切に願っていました。

そして、クリスマス・イブに捨てられた男が、クリスマスに神様から最高のプレゼントを与えられたのです。

結末

自分の「幸福な」出自を知った正一は、なぜか地下鉄のプラットホームに立っていました。

そこで「おとうさん。」と呼ぶ、4歳のときに亡くなった春哉に出会います。

「ねえ。おとうさん。お願いがあるの 百歳になったおとうさんと、もういちど地下鉄に乗りたいんだ」

そして、もう少し節子と茜ともっと一緒にいてあげて欲しいと言い残し、やってきた地下鉄に乗っていってしまいました。

正一は「ハルヤ ハルヤ」と呼びながらプラットホームを歩き、「ありがとう」と言いました。

誰も泣かせないと気合を入れなおした正一は、地下鉄からもう一度生まれ変わったのでした。

『おもかげ』感想

『おもかげ』は、意識を失った男の様々な記憶が呼び起こされていき、人物像が少しずつ浮き彫りになっていくノスタルジー溢れる物語。

心の中の固く結んだ紐がスルスルとほどけていき、すべてが浄化され地下鉄で生き返るという余韻のあるラストまで終始 美しかったです。

終戦後の混乱期を生き抜いたカッっちゃん、江戸っ子弁で涙もろい徹、マイルドヤンキーだけど根はまじめな娘婿。とにかく脇を固めるキャラクターが魅力的。

冒頭で登場する、今や4000人の社員を抱える社長となった同期の親友・堀田の章からウルッときてしまいました。

両親には恵まれませんでしたが、妻の節子、幼なじみの永山徹、娘婿の大野武志など血の繋がらない人々から深く愛された正一。

最後 正一が亡くなったのかどうかは明かされていませんが、事故で亡くなった息子と一緒に地下鉄に乗らなかったという点から、私は彼が意識を取り戻したと解釈しました。

また、途中に代わる代わる登場する女性たちが母親だという仕掛けも浅田さんらしいですね。

ファンタジー部分はサラッと読んでしまっっていたので、母だと分かった途端に興味がわいて、女性の章を読み返さずにはいられませんでしたwww。

カッっちゃんが峰子と一緒になり、正一の父になっていたら…と想像も膨らむような、まさに大人のパラレルワールド。

自分の知らないところで紡がれてきた命、自分が生かされている、愛されているという気持ちを忘れないように日々を過ごしたいなと思わせてくれる一冊でした。


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