『勁草(BAD LANDSバッド・ランズ)』原作ネタバレ!

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黒川博行さんによる小説『勁草』は、トラブルに巻き込まれるオレオレ詐欺の一味の主人公とそれを追う刑事の姿を描いたクライムサスペンスです。2023年には、 安藤サクラさん、山田涼介さん出演で、本作を原作にした映画『BAD LANDS バッド・ランズ』の公開も決定し、話題となっています。そこで今回は『勁草』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『勁草』登場人物&相関図

登場人物

橋岡恒彦・・・33歳。「名簿屋」の高城に雇われ、与えられた名簿からオレオレ詐欺の標的リストの下見を行う。被害者から金を受け取る「受け子」の指示役。
矢代穣・・・22歳。「名簿屋」の高城に雇われている。
高城政司・・・55歳。名簿屋。貧困ビジネスを行うNPO法人を隠れ蓑に受け子を差配して詐欺グループの仲介を行う。
新井登茂子・・・54歳口座や携帯電話を違法売買する道具屋の女性。高城と共同出資してオレオレ詐欺のサブオーナーを務める。
青木亮・・・25歳掛け子のリーダー。亥誠組の傘下・滝沢組の元暴力団員。
小沼英二・・・26歳。青木の下で働く掛け子。
徳山・・・亥誠組の暴力団員。
佐竹正敏・・・特殊詐欺特別班の刑事。湯川の先輩。
湯川優・・・特殊詐欺特別班の刑事。佐竹の相棒。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

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『勁草』あらすじ

33歳の橋岡恒彦は、「名簿屋」の高城政司に雇われていた。

高城は、貧困ビジネスを生業とするNPO法人「大阪ふれあい運動事業推進協議会」を隠れ蓑に、オレ詐欺の標的リストを作り受け子の差配を行っている。

老人から騙し取った金の大半は高城に入る仕組みが出来ており、金庫や銀行口座には多額の金がプールされていた。

そんななか、橋岡と共に名簿の下見(詐欺相手の事前調査)を一緒に行っていた矢代穣がヤクザに高利の借金をしてしまう。

矢代に勝手に連帯保証人にされてしまった橋岡。

困った二人は高城に金の融通を迫るが、金を貸すことを断れた矢代は、激高したはずみに高城の命を奪ってしまう。

橋岡は成り行きで殺人の共犯にされたうえ、遺体の遺棄まで手伝うはめになるが、高城の存在をうまく消し去れば、通帳の金、株などのトータル2憶5千万円もの金を山分けすることができる。

しかし、高城と連絡が取れなくなったことを不審に思った詐欺グループのケツ持ちのヤクザ・徳山が橋岡と矢代の前に現われ、二人は右往左往するはめに。

一方で、府警特殊詐欺班の刑事・ 佐竹湯川のコンビもオレ詐欺の捜査に動き出していた。

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『勁草』結末とネタバレ

組織化された詐欺集団

オレ詐欺の方棒をかつぐ橋岡ですが、彼の上には「名簿屋」の高城がおり、高城は「ケツ持ち」(トラブルなどに巻き込まれた際に解決する)をヤクザの徳山に頼んでいます。

また、詐欺集団には他にも、高城の名簿により標的リストあげられた老人を騙す「掛け子」のリーダー・青木とその下で働く小沼、詐欺に使うための携帯電話や架空口座を調達する「道具屋」の新井登茂子、末端の「受け子」は生活保護受給者たちが担います。

詐欺集団ではあるものの恐ろしいまでに細かく組織化されており、警察が検挙するのは出し子と受け子が大半で、金主はおろか 掛け子をまとめている番頭までたどり着くのも至難の業なのです。

事態は最悪の方向に

そんな詐欺集団組織で仕事をする橋岡ですが、相棒の矢代の愚かな行為により次々とトラブルに巻き込まれていきます。

まず高城と連絡がとれないことを不審に思った道具屋・新井登茂子が、事務所に現れ橋岡と矢代に彼の行方を尋ねにきます。

しかし、新井は二人の様子がおかしいと判断して、ケツ持ちヤクザの徳山に連絡。

徳山は短刀を持って掛け子の小沼と一緒に押しかけ、矢代をボコボコにして脅しますが、口を割ることはありませんでした。

高城の正体

橋岡と矢代はヤクザや警察から追われるなか、高城の通帳から金を引き出そうとしますが、なかなかうまくいきません。

相当な金を溜め込んでいた高城ですが、「名簿屋」だけどで2憶以上の金を得ていたわけではありませんでした。

橋岡と矢代は掛け子の平岡の話から、高城がオレ詐欺の頂点である金主(会長)であることを知ります。

徳山がいる亥誠組は、高城から「用心棒」とオレ詐欺の売上金をもらっていたため、彼を探しにきたのです。

その後、徳山は橋岡と矢代が証拠隠滅のため「名簿」を破棄しようとしているところを発見し、追及してきますが、またしてもトラブルメーカーの矢代が徳山の頭をゴルフクラブで殴り、命を奪ってしまいます。

橋岡と矢代は、徳山の遺体を高城を同じ場所に埋めますが、仲間を消されたヤクザは、復讐のため地の果てまで追ってきます。

掛け子のリーダー逮捕

一方で、刑事の佐竹と湯川は地道な捜査を行い、小沼の足取りから、掛け子の番頭(リーダー)・青木亮を逮捕しました。

徐々に警察の手が橋岡たちに迫るなか、徳山が居なくなったことを知った亥誠組の組員が事務所にやってきました。

矢代は組員に拉致されてしまいますが、橋岡なんとか逃げることができました。

すぐに橋岡は、高城の口座から1千万円を引き出し、沖縄県へ逃走。

とりあえずヤクザから離れることはできましたが、今度は刑事たちが橋岡を追いつめます。

結末

石垣島のホテルに潜伏していた橋岡。

しかし、窓から刑事が乗ったミニバンがこちらに向かってくるところを見つけました。

すぐに金の入ったバッグを持って、バルコニーから飛び降り、岸壁に身を潜めます。

しかし刑事の佐竹と湯川は、橋岡が吸うたばこの火の明かりに気づき「橋岡ーあがってこいー」と呼びかけます。

橋本は「もはや、これまで」と判断し、崖を登ろうとしますが、足をかけた窪みが崩れて海へ転落。なんと!亡くなってしまいました。

その後、瀕死の状態で警察に発見された橋岡は、2件の殺人容疑を亡くなった橋岡にかぶせ、懲役10年を求刑されました。

また、刑事の佐竹と湯川は、橋岡が亡くなった責任を取らされ本部から異動させられたのでした。-END-

『勁草』感想

善良な老人から金をだまし取る「オレオレ詐欺」の方棒をかついでいる橋岡と矢代。

虫けらのような生活をして、かみ合わない歯車に乗りながら挙句には人の命まで奪ってしまう二人ですがが、なぜか憎めない…。

「なんとか逃げ切れ~」と応援せずにはいられなくなります。

どうしようもない小悪党たちの下品な大阪弁もクセになります。

貧困ビジネス、賭博、ヤクザ、詐欺に加え、躊躇なく人が亡くなっていくダーティーなシーンもありますが、嘘に嘘を重ねて奔走する橋岡と矢代の滑稽な姿が息抜きになり、重すぎなくて良かったです。

もう一つのパートである、刑事コンビ・佐竹(先輩)と湯川(ゆ~ちゃん)のユーモラスのある掛け合いも軽妙で心地よい。

また、ターゲットになった人物が、手を替品を替えの作戦に、どんな風に騙されて被害者になっていく過程も丁寧に描かれています。

ここまで巧妙な手口を知ると「自分は絶対に大丈夫」と言える人がどれ位いるだろうか?と考えさせられます。

ラストは、必死に逃走する橋岡が崖から落ちて亡くなるという あっけないものでしたが、人生においては、ほんの小さな躓きが大きな転落に繋がるという教訓にも感じました。

『勁草』は、黒川博行さんによる疫病神シリーズにも通じる刑事&ヤクザものであり、テンポの良さは期待通り。

映画化で気になった方は、ぜひ手にとってみて下さいね。本当に面白いです!

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