『愛のあとにくるもの』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで

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芥川賞作家・辻仁成さんと韓国人気女性作家・孔枝泳(コン・ジヨン)さんの共著である『愛のあとにくるもの』は、七年の歳月を経て再会した日本人の男性と韓国人の女性との愛の軌跡を描いた作品です。今回は映画化も決定した『愛のあとにくるもの』のあらすじから結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『愛のあとにくるもの』登場人物&相関図

登場人物

青木潤吾・・・30歳。大学生のときに紅と出会い惹かれ合う。現在は佐々江光というペンネームで小説家として成功する。
崔 紅(チェホン:ベニ)・・・29歳。潤吾と別れたあと韓国に戻り、祖父が創業したネイル出版社で働く。
小林カンナ・・・潤吾の元恋人。現在は潤吾の担当編集者をしている。潤吾との復縁を願う。
琢兜・・・潤吾の父。貧しいチェリスト。
青木ナオミ・・・潤吾の母。ピアニスト。
佐伯しづ子・・・京都にいる紅の父とかつて恋におちた女性。潤吾と紅が京都をおと
緑(ロク)・・・紅の妹。
珉俊(ミンジュン)・・・紅の幼なじみで元恋人。
枝希(ジヒ)・・・紅の友人。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

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『愛のあとにくるもの』あらすじ

青木潤吾(ユノ)と1つ下の崔 紅(チェホン/ベニ)は、7年前の1997年に日本で出会い惹かれ合ったが、ささいなことをきっかけに別れてしまう。

それから7年後ー。

お互いに後悔の念を抱えたまま、潤吾は日本で小説家となり、紅は韓国で祖父が創業した出版社で働いていた。

そんななか、潤吾の小説が韓国語で出版されることになり、訪れた金浦空港で通訳者としてやって来た紅と再会する。

運命のいたずらか偶然か。

潤吾が韓国に滞在する7日間の間に浮かび上がる、狂おしい愛の生活とそれぞれが歩んだ日々。

果たして二人の間に、7年越しの奇跡は起こるのか。

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『愛のあとにくるもの』結末ネタバレ

『愛のあとにくるもの』は、同じストーリーを韓国人女性と日本人男性それぞれの視点から描いたものです。

出会い

潤吾が大学生四年生の潤吾と1つ年下のは、井の頭公園の木橋で出会い、すぐに恋におちました。

潤吾の両親は離婚しており、貧しいチェリストの父に引き取られました。

母は有名なピアニストですが頼ることもできなかった潤吾は、学費を稼ぐためにいくつものアルバイトを掛け持ちしていました。

そんななか、母と妹に日本人との交際を反対された紅は、知り合いから借りていた部屋を出て、潤吾と同棲することに。

紅を養うため、さらにアルバイトを増やした潤吾は多忙を極め、二人はすれ違うようになっていきます。

別れ

それから間もなく、紅の祖父が危篤状態だと連絡が入ります。

紅は祖父が亡くなるまえに、潤吾と一緒に韓国に渡り、挨拶に行こうと思っていました。

しかし潤吾が帰宅するのはいつも深夜で、彼は疲れ切った顔をしたままベッドに横になってしまうので話をすることすらままなりません。

そんな紅のことを気にした潤吾は、美味しいレストランで食事をしながら話を聞くと提案しました。

そして約束の日ー。

潤吾は深夜0時を過ぎても帰ってきません。

紅は彼が事故にでもあったかと心配しましたが、雑誌社で働いていた潤吾は「今日、看板作家が亡くなって忙しくて連絡れきなかった」と帰宅しました。

紅は、今にも祖父が亡くなろうとしているときに、仕事関係の人が亡くなったと呑気に伝えてくる潤吾を許す余裕がありませんでした。

紅が「もう終わりにしよう」と告げると、潤吾は呆然としたまま言葉を発することができませんでした。

歯止めが利かなくなった紅は、

「ーわたしたちはあななたちに占領されていたのよ。それを、未だにわたしたちの方から謝れ謝れと迫るのもおかしいし、嫌で仕方ないの。まるであなたのように、全く悪かったと思ってない、あなたち日本人に!」

両国に長年 横たわる問題を言い分にして決定的な別れを切り出しました。

耐えられなくなった潤吾が部屋を出たあと、紅も荷物をまとめてそのまま韓国に帰国したのでした。

再会

それから7年後ー。

潤吾は小説家“佐々江光”として成功し、彼の本が韓国で出版されることになりました。

潤吾には紅と付き合うまえに交際していたカンナという女性がいましたが、彼女はいま潤吾の担当編集者をしています。

来韓するにあたり、潤吾はどこかで紅に会えるかもしれないと淡い期待を抱いていましたが、なんと空港で出迎えてくれたのは紅でした。

紅は急きょ、体調不良で来れなくなった通訳の代わりに来たのですが、佐々江光が潤吾であることは全く知りませんでした。

よみがえる後悔

潤吾は、あのときの誤解を解きたいと思っていましたが、紅は必死で忘れようとした潤吾が現れたことにとまどっていました。

あれから紅は、潤吾への想いを断ち切れず、幼なじみの珉俊から向けられる好意に対してもハッキリ拒絶するわけでもなく曖昧な関係のままやり過ごしてきました。

そんななか、紅は珉俊(ミンジュン)プロポーズされます。

紅の様子がおかしいと気づいた珉俊は、潤吾が韓国にいると知り、紅と婚約したと宣言しに行きました。

何も知らない紅は、潤吾の誕生日に花束を届けようとホテルに滞在する潤吾に会いにいきますが、そこで彼と一緒にいるカンナを目撃し、ショックを受けてしまいます。

すれ違い

誤解を解くことができずに、またもすれ違う二人。

そして潤吾が日本に帰国が明日にせまるなか、紅は潤吾に電話をかけます。

「明日、きみが会社に行く前に少しだけ時間をもらえないか」

「恋人と会う約束をしている・・・プロポーズを受けることにしたの」

「・・・おめでとう 幸せになってください」

今度こそ本当に潤吾に別れを告げた紅が、その場に泣き崩れたところに珉俊が現れました。

紅は、アメリカに一緒に行こうというプロポーズを断わり、珉俊も失いました。

結末

翌日、紅は久しぶりにジョギングに出発しました。

寒空の下スピード上げて走っていると、遠くから走ってくる人が見えました。

手をあげて自分の方に走ってくる…紅はそこで、その人物が潤吾だと気づきました。

実は潤吾は紅と別れて以来、あの時代の彼女が井の頭公園を走っていたように、ずっと走っていました。

そしてあるとき、紅が日本で毎日欠かさずに走っていた理由に気づいたのです。

「寂しさをぬぐい去るためにきみはずっと一人で走っていた。本当はあの頃一緒にきみと走るべきだった。(中略)すまなかった。僕が悪かった。あの頃、きみを孤独にさせて」

同じベクトルに立てた二人は、、手を握り合ってもう一度走り出すのでした。-END-

『愛のあとにくるもの』感想

『冷静と情熱のあいだ』、『右岸』『左岸』に続き、辻仁成さんが女性作家とコラボした『愛のあとにくるもの』。

先に辻仁成の男性(潤吾)版、後からコン・ジオンの女性(紅)版を読みましたが、やはり両方読んだ方がより克明に、そのときの登場人物の行動や想いが理解できました。(なぜか女性版「紅の記憶」が絶版で、なかなか購入できませんでした。映画化決定しているので、早くセットで出版してほしい)。

私が女性であることも関係しているかもしれませんが、男性版よりは過去と現在をいったりきたりしながら揺れ動く女性版の「紅の記憶」の方が共感できました。

ちょっと気が強くて意地っ張りで本心を伝えられない紅が、潤吾のために大人の女性になろうと背伸びする姿はとても愛おしかったです。

男性版は、辻仁成さんらしいといえば らしいのですが、装飾過多な言い回しが気になり、優柔不断な潤吾にヤキモキしました。

映像化では坂口健太郎さんが噂されていますが、優しく少し寂しそうな潤吾にピッタリで、すぐに脳内再生www。

魂が震えるほど愛し合った二人が別れた原因はほんのささいな出来事でしたが、潤吾の方は恋愛していても より現実的に紅を見ていて、紅の方は異国の地で夢想的な恋をしていて、少しづつズレが大きくなったのかなと思いました。

また、韓国人である紅が「日本人は…」「日本は…」言っていたのが印象的で、別れのときに発した

ーわたしたちはあななたちに占領されていたのよ。それを、未だにわたしたちの方から謝れ謝れと迫るのもおかしいし、嫌で仕方ないの。

という言葉にはドキッとしました。

戦争を知らない若い世代であっても、このような歴史認識が肌感覚で刷り込まれていることを感じて、少しショックでした。

とはいってもこれが紅の本心ではなく、独感や寂しさをうまく伝えることができずに、日本と韓国にある問題を感情的に出しただけだと後から分かったのが救いでした。

かつて紅の父も日本人の佐伯しづ子と別れるときに、「戦争を経験した祖父が反対している」と都合の良い嘘をついたようなので、紅が同じ行動をしたことをみると、やはり韓国人にとって日本人と結婚することは他の外国人と結ばれるよりも難しいことなのでしょう。

また潤吾が いきなり歴史問題を持ち出され、うろたえ絶句したことも、日本人の私にはとても理解できます。

最後、紅への想いを知るために7年間走り続けた潤吾と、別れたあと走ることができなかった紅が、もう一度手を握って一歩を踏み出す姿には、目頭が熱くなりました。

二人がどうなったのかはラストまで描かれていませんが、7年という長い月日を経て相手の立場にたつことができた潤吾と紅なら、きっと逆境も乗り越えることができると信じたいです。

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