『十角館の殺人』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで!実写化は不可能?!

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綾辻行人さんによる『十角館の殺人』は、緻密なトリックで物語に引き込み、たった1行で事件の真相を描いた大胆な手法が光る作品です。今回はミステリ小説の金字塔『十角館の殺人』のあらすじ~結末をご紹介します。

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『十角館の殺人』あらすじ

大分県にある とある大学の推理研究会のメンバーは、角島(つのじま)と呼ばれる無人の孤島に1週間の合宿のため訪れた。

ここ角島では、半年前に凄惨な四重殺人事件によって焼失した「青屋敷跡」と、奇抜な十角形のデザインをした「十角館」と呼ばれる唯一の建物がある。

一方 本土では、推理研究会の元会員・江南孝明のもとに、

という怪文書が送りつけられていた。

この怪文書は他の推理研究員のもとにも送付されており、かつて会員であった中村千織の事故死について告発するものだった。

差出人は千織の父・ 中村青司で、彼は青屋敷の設計者であり、半年前に四重殺人事件ですでに亡くなっていた。

この手紙に興味をもった江南は青司の弟で、千織の伯父にあたる中村紅次郎を訪ねる。

そこで、紅次郎の後輩である島田 潔と出会った江南は、一緒に事件の真相を探ろうと調査を開始。

同じく怪文書を受け取った会員で友人の守須恭一に話を聞きにいく。

その頃角島では、3日目の合宿の最中、オルツィが寝室で絞殺された上に、左手を切断されているところを発見され、部屋の扉には「第一の被害者」というプレートが掲げられていた。

さらに同じ日の昼に、 カーが毒の入ったコーヒーにより毒殺されてしまい、彼の部屋には「第二の被害者」のプレートが…。

孤島で学生たちを襲う連続殺人。

果たしてミステリ史上最大級の、驚愕の結末はーー。

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『十角館の殺人』登場人物&相関図

登場人物

【推理小説研究会】
※ミステリ研のメンバーは、創設当時からの慣習で欧米の有名作家の名前で呼び合います。
ポウ・・・医学部四回生。髭を生やした大柄な男性。口数は少ないが毒舌。オルツィとは幼馴染。
カー・・・法学部三回生。骨太で猫背。青髭の目立つ顎はしゃくれている。ひねくれ者で何かとメンバーにつっかり、特にエラリイと衝突。
エラリイ・・・法学部三回生。金縁の伊達眼鏡をかけた色白で背が高い男性。会誌『死人島』の現編集長。マジックが趣味。
ヴァン・・・理学部三回生。中背の痩せた男性。不動産業を営む伯父が角島を購入したことを研究所に報告した。
アガサ・・・薬学部三回生。ソフト・ソバージュの長い髪をした美しい女性。男性的な性格。
オルツイ・・・文学部二回生。ショートヘアでふくよかな体型。引っ込み思案な性格。日本画を描くのがうまい。ポウとは幼馴染。
ルルウ・・・文学部二回生。銀縁の丸眼鏡をかけた童顔で小柄な男性。会誌『死人島』の次期編集長。合宿の提案者。
【青屋敷に関わる人々】
中村青司・・・建築家。十角館の設計者。偏執的な性格。半年前の事件で46歳で亡くなった。
中村和枝・・・青司の妻。半年前の事件で亡くなった。旧姓は花房。
中村千織・・・青司の娘。推理研究会に所属していたが、1年前に急性アルコール中毒からの持病の悪化で急死している。
北村夫妻・・・住込みの使用人夫妻。半年前の事件で亡くなる。
吉川誠一・・・庭師。月に1度数日間滞在して青屋敷の庭の手入れをしていた。半年前の事件では遺体が見つからず行方不明となっている。当時46歳。
【本土の人々】
江南孝明・・・推理研究会の元会員。研究会時代のニックネームは「(コナン)ドイル」。
守須恭一・・・推理研究会の会員。怪文書をきっかけに事件に興味を持つ。
島田 潔・・・中村紅次郎の後輩で友人。寺の三男坊。
島田 修・・・潔の兄。大分県警の警部。兄弟仲はあまり良くない。
中村紅次郎・・・中村青司の弟。高校の社会科教師。潔の先輩。
吉川政子・・・庭師・吉川誠一の妻。結婚前は紅次郎の紹介で青屋敷で働いていた。現在は安心院にある誠一の実家に住んでいる。

相関図

※無断転載ご遠慮下さい。

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『十角館の殺人』結末と犯人をネタバレ

中村千織が命を落とした原因

まずは、この一連の事件は怪文書に書かれてあった中村千織に起きた事故から始まりました。

一年前ーー。

千織は、ミステリー研究会の飲み会に参加していました。

その三次会でのこと、いくらか強引に酒を勧められた千織は、急性アルコール中毒から心臓発作を起こし亡くなってしまったのです。

江南守須は、途中で帰宅したため三次会には参加しておらず、事故現場にいたのは角島に行ったメンバーたちでした。

青屋敷の惨劇

千織が亡くなって約8か月後ーー。

当時角島に住んでいた中村青司が設計した「青屋敷」が全焼する事件が発生します。

焼け跡からは、中村青司とその妻・和枝、使用人の北村夫妻、計4名の他殺体が発見され、和枝にいたっては左手首が切断されていましたが、現場からはみつかりませんでした。

また、当日庭の手入れのため訪れていた庭師・吉川誠一の遺体は発見されず行方不明であったことから、警察は吉川が痴情のもつれ、または財産目的で4人を殺害し、逃亡したと結論付けました。

さらなる被害者

青屋敷で起こった四重殺人事件から半年後、ヴァンから不動産業を営む伯父から角島を購入したと聞いたルルウは、合宿を提案。

興味津々で島を訪れた推理研究会のメンバー7名でしたが、オルツィ、カーが犠牲になってしまいます。

残ったメンバーは、青屋敷跡にある地下室の調査を行います。

その地下室の階段にテグスが張られていたことや床が掃き清められていたことより、外部犯が潜んでいると考えました。

さらに5日目の朝、アガサが洗面所で口紅に毒物を仕込まれたことにより遺体で発見され、ルルウが青屋敷跡前にある海岸で石のようなもので殴打され亡くなっていました。

残された3人ポウエラリイヴァンは、カーの毒殺事件に使われたカップだけ11角形だったことに気づき、やはり内部犯の可能性も捨てきれないと推理します。

そんななか、ポウがタバコに仕込まれた毒で命を落とします。

エラリイとヴァンは、千織の父であり、この「十角館」を設計した中村青司がやはり犯人だと考えます。

そして、11角形のカップからヒントを得て、偏執狂の青司が11番目の秘密部屋を作りそこに潜んでいると推測。

厨房から繋がる地下室を発見した2人は、そこで白骨化した行方不明の庭師・吉川の遺体を見つけました。

そしてその夜、十角館から火の手があがり…

真相

翌日、「十角館が火事になりメンバー全員が死亡」という一報が本土に伝わってきました。

島田の兄である捜査一課の島田修警部によると、 エラリイを除いた他の遺体は亡くなったあとに焼かれており、エラリイは灯油をかぶって命を落としたことが明かされました。

怪文書を送り、角島で犯行を重ねていたのはエラリイだったのでしょうか?

真相を明かす前に、中村家の「秘密」から説明します。

千織は青司の娘ではなく、紅次郎と和枝の子どもでした。

異常な独占欲で妻・和枝を愛していた青司は、妻の不義を疑いつつも、千織だけが自分と妻をかろうじて繋ぎとめる絆だと感じていました。

しかし、千織が事故で亡くなり心のバランスをくずした青司は、妻を永遠に自分のものにするため四重殺人事件を起こしたのです。

このとき切断した和枝の左手首は、紅次郎に送りつけていました。

つまり半年前に青屋敷で起こった事件は、青司による無理心中だったのです。

犯人

青司が亡くなっていたならば、十角館の殺人の犯人は一体だれなのでしょうか。

事件後、島田修警部補は推理研究会の会員を集めて、事件の概要を説明して情報を集めていました。

灯油をかぶって亡くなった容疑者・松浦純也が、エラリイというニックネームで呼ばれていることに気づいた島田は、守須にも何気なく訪ねました。

「守須くんはじゃあ、モーリス・ルブランあたりですか」

「いいえ。ヴァン・ダインです。」

真犯人は守須=ヴァンだったのです。

動機

守須は本土で江南や島田と会いながらも、叔父のゴムボートで何度も島に渡っていました。

昼間はヴァンとして角島で過ごしながら「風邪気味だ」と早々に部屋に引きあげ、夜になると十角館の窓から抜け出して、本土の江南たちの前に顔を出していたのです。

守須は千織と、誰にも知られることなく愛し合っていました。

当時、三次会のメンバーによって千織が亡くなったと知った守須は、仲間たちに復讐と憎悪の感情を向けていきました。

綿密な計画により次々と犯行を重ねていった守須は、最後に残ったエラリイを睡眠薬で眠らせ、灯油をかけて焼身自殺に見せかけました。

オルツィの左手首を切断したのは、彼女が形見分けでもらった千織の指輪をはめていたからです。

この指輪は守須がプレゼントしたもので、内側には守須のイニシャルが刻まれていたため、バレないように持ち去る必要があったのです。

十角館の火災現場から発見された遺体は七名であるはずが、六名だったのも、守須(ヴァン)が犯人だったからです。

結末

なんとか復讐を遂げた守須でしたが、なぜか虚無感に襲われ、夕暮れ時の海を眺めていました。

そこにマンションの管理人から居場所を聞いた島田 潔がやって来ました。

島田はあれからも事件について調べており、守須は警戒をしていました。

すると、足元にキラリと光る小ビンを見つけます。

それは、事件前に守須自身が海に投げ入れたビンで、中には遂行した計画の全貌が書かれた紙が入っていました。

審判が下ったーー

観念した守須は、近くにいた子どもを呼び止め、島田にこのビンを渡すようお願いしたのでした。-おわりー

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『十角館の殺人』感想

推理小説好きには、あまりにも有名な『十角館の殺人』。

タバコはやたらパカパカ吸うし、携帯電話やメールは出てこないけれども、これが30年以上前の1987年の作品で綾辻さんのデビュー作とは驚きです。

最初は、カタカナの名前の人物がいっぱい出てきて混乱しつつ、何度も図を確認。

でも、登場人物も細かな描写により次第に物語に引き込まれて、思わず自分も推理に参加してしまいました。

「江南=コナン」のミスリードに騙され紅次郎が犯人だと思っていましたが、全てを反転させる「ヴァン・ダインです。」という一行には、頭を殴られたような衝撃を感じました。

この一行は小野不由美さんのアイデアだそう!すごいエピソード。

アガサ・クリスティの長編推理小説「そして誰もいなくなった」のオマージュも随所に感じられて良かったです。

Huluで映像化されるみたいですが、守須とヴァンのシーンをどうやって撮影するのか今から興味津々。

閉鎖された孤島に佇むミステリアスな十角館が舞台、個性的なキャラクター…あとは犯人の描き方をクリアできれば、とても映像化に向いている作品なので楽しみです。

『十角館の殺人』はHuluにて独占配信

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最後に

これで『十角館の殺人』のあらすじネタバレと動画を見る方法を終わります。

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