『六人の嘘つきな大学生』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで解説

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小説『六人の嘘つきな大学生』は、ある種 独特な就活を舞台に、内定の座を競い合う6人の学生のグロテスクな心理戦を描いた作品です。そこで今回は、映画化も決定した『六人の嘘つきな大学生』のあらすじから結末をご紹介いたします。

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『六人の嘘つきな大学生』あらすじ

2011年ー

急成長中のIT企業スピラリンクスが初の新卒採用試験を行うことになった。

勤務地は渋谷、初任給50万円、若干名採用…誰もが憧れる企業に5千人もの応募が集まり、最終選考には6人の大学生が残った。

最終選考まで勝ち残った就活生たちには、1カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするという課題が与えられる。

全員で内定をとるため波多野祥吾をはじめとする学生6名は親交を深めるが、本番直前になって最終課題が「6人の中から最も内定に相応しい1人を自分たちで決める」というものに変更される。

そして最終選考の当日ー

仲間だった6人はお互いにライバルとなり、誰が内定者としてふさわしいか議論するなか、会場で六通の封筒が発見される。

それは、6人の過去の犯罪が書かれた告発文だった。

選考においては30分ごとに内定者にふさわしい人物に投票するシステムだったが、封筒の中身が明らかになるにつれ、1人、また1人と脱落していく…。

果たして勝ち残るのは誰か?そして、告発をおこなった犯人は誰なのか?

究極の心理戦がいま幕をあけるーー

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『六人の嘘つきな大学生』登場人物&相関図

登場人物

波多野祥吾・・・立教大学経済学専攻で散歩サークルに所属。最終選考に残った嶌衣織に好意を抱く。
九賀蒼太・・・慶應大学総合政策学部。俳優のような端正なマスク。一緒にスピラを受けた友達は二次面接で落とされた。口グセは「フェア」。
袴田 亮・・・明治大学国際日本学部。宮城県出身で元高校球児。大柄。体育会系のムードメーカー。
矢代つばさ・・・お茶の水女子大で国際文化専攻。海外旅行好き。美人で人脈も豊富。
嶌 衣織・・・早稲田大学社会学専攻。飲食店でアルバイトしているが下戸。洞察力が高い。二次面接で波多野と一緒だった。脚が悪い様子。
森久保公彦・・・一橋大学社会部。一浪しているため他5人より年上。眼鏡をかけている。口数が少ないが野心家。
鴻上達章・・・スピラリンクス人事部長。

相関図

※無断転載ご遠慮下さい。

以下、ネタバレを含む内容となりすので未読の方はご注意ください。

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『六人の嘘つきな大学生』結末と犯人をネタバレ

告発文

扉付近の壁に立てかけてあった白い封筒に入っっていた告発文では、

袴田 亮→部員をいじめて自殺に追い込んだ
久賀蒼汰→交際相手を妊娠、中絶させ捨てた
矢代つばさ→キャバクラ勤務
森久保公彦→高齢者への詐欺

という4人の罪が暴かれました。

致命的なスキャンダルを負った人物は、当然ながら票が集まらず、反対に秘密を暴露されていない波多野祥吾嶌 衣織の2人は内定に近づきました。

しかし、それはどちらかが他の候補者を陥れるために告発文を用意した犯人の可能性があるというこということです。

また、 矢代つばさの「キャバクラで働いている」というのは、他の3人よりも軽い暴露にも思われ、犯人としての疑わしさが残ります。

波多野のアリバイ

5回目の投票が行われ、波多野に多くの票が集まり、波多野自身もこの結果に気分が高揚していました。

そんななか告発文には証拠写真が添えられていましたが、それがすべて同じ日に撮影されたものだと久賀蒼汰が気づきました。

そして写真の撮影日に証明できるアリバイがなかったのは波多野だけでした。

さらに波多野の告発文の内容は、サークルの飲み会で未成年でありながら飲酒をしていたという軽いもので、ご丁寧にもカメラに向かってキリンラガービールを掲げる写真が添えられていました。

波多野は自分が犯人でないと分かってはいたものの、それを覆すだけの反論が見つからず、「僕が犯人だ。嶌さんに票を入れる」と言い残して、その場を去りました。

このあと、最後の投票が行われ、内定者は嶌 衣織に決定したのでした。

8年後

最終選考試験から8年後ー

スピラリンクスに採用された嶌 衣織は、重要な仕事を任されるまでに成長していました。

そんななか波多野祥吾の妹だという人物から波多野が亡くなったことを知らされた嶌は、彼の実家を訪れました。

遺品のなかには「犯人、嶌衣織さんへ」と書かれたメモ、USBメモリ、小さな鍵がありました。

最終試験を終えたあと、波多野は独自に事件の再調査を行っていたのです。

そして嶌は、波多野が自分のことを犯人だと思っていたことに衝撃を受けました。

内定をかっさらった嶌を犯人だと結論づけたことに無理はありません。

しかし犯人は波多野祥吾じゃなかった…そして私でもない。

真犯人

嶌は、真相を確かめるため、最終選考の映像を波多野の妹と見返すことにしました。

すると波多野の妹が「この久我さんって人の学科のキャンパス三田じゃなくて神奈川ですよ。」と言い出しました。

告発文に添えられていた3枚の写真は、犯人が同じ日撮ったものと思われていましたが、1日で3人が通うキャンパスを回ることは不可能に近いことだったのです。

また、波多野への告発文で使われた写真は、彼が所属していた散歩サークルのサイトに掲載されているものでしたが、よく撮れている綺麗な写真ではなく、採用していたのはボツ写真のなかの一枚でした。

なぜ犯人は、スミノフを持った映りの良い写真ではなく、ピンボケしたキリンラガービールを掲げている写真を選んだのか。

この写真を選んだ人物は、スミノフがお酒だと認識できなかった。

つまり、犯人は酒に詳しくない。

普段からお酒を呑まない人物といえば、下戸の嶌 以外には「酒に興味がない」と言っていた九賀蒼太しかいません。

そう。あの日、告発文を準備したのは久我だったのです。

久我の動機

久我が悪質な告発文を仕込んだ動機は、優秀な友人の存在がありました。

久我の友人は今では一部上場の会社の社長になっていますが、なぜかその友人はスピラリンクスの2次試験で落とされたのです。

就職試験はきちんと機能しているのか?

久我がそのような思いを抱いているなか、最終選考メンバーの懇親会が開かれました。

そのとき久我は遅れて参加しましたが、バカ騒ぎする他の5名に失望しました。

やはりどんな一流企業であっても、嘘で固められた学生を正しく評価などできていないのだと感じた久我は復讐心もあって、あのような事件を起こしたのでした。

裏の裏の顔は

実は波多野は久我にも手紙を遺していました。

波多野は、久我が恋人を妊娠、堕胎させて捨てたという内容を確かめに、久我の当時の恋人・原田美羽に会いにいっていました。

美羽は、久我のことを「悪くない」と涙ながら時間をかけて擁護しました。

そして、袴田においては、いじめをしていたのは自殺をした部員本人で、それを知った袴田たちに強く叱責され自殺したというのが真実でした。

矢代つばさは、少ない時間に効率的に稼げると割り切ってキャバクラで働いて堅実にお金を稼ぎ、今では発展途上国を支援する慈善団体を立ち上げました。

森久保は母子家庭で学費を稼ぐため、友人から高額バイトに参加しましたが、それが詐欺セミナーだと分かり、結局は報酬ももらわずすぐに辞めていました。

このように人間には、ある一面だけでは「悪人」「善人」という判断はできないということです。

波多野はこれらを踏まえ

人事が学生の本質を見極めることができないように、わたしたちもまた彼らに誤った印象を抱いてしまっていました。

という言葉を残していました。

嶌の告発文の内容は?

嶌の告発文が入った封筒は、結局 最終選考で開けられることなく波多野が持ち帰りましたが、その内容はどんなものだったのでしょうか。

嶌には、薬物使用で逮捕されたアーティスト・ 相楽ハルキという実兄がいました。

就職試験当時の相楽ハルキは、車の事故を起こしたり、違法薬物を使用したりと嫌われ者の代名詞でした。

そんな兄がいるとなったら、嶌の印象が悪くなることは間違いありません。

そして、嶌の脚が悪いのは恐らく兄が起こした事故が原因であることが考えられます。

結末

波多野から嶌への手紙の最後には、「嶌さんの秘密がどんなものであっても、それはささやかな一面であり、価値を貶めるものではない。あなたのことが、とても好きでした。」と綴られていました

その後、嶌は波多野が残した鍵で、彼が契約していたコインロッカーほどの貸し倉庫を開けました。

そこにはA4サイズの封筒が隠されていました。

宛先は株式会社スピラリンクス人事部 鴻上達章 。

波多野は自分が無実だったという弁明の手紙と共に、内定となった嶌の告発文を同封していました。

内容をご確認の上、嶌衣織氏が内定に相応しくないと判断された場合は、どうか再度の選考を実施していただければ――

波多野は結局この封筒をスピラリンクスには送ることはなかったようですが、嶌は、波多野もまた純粋な「善人」ではなく、「悪人」の一面があったと感じるのでした。

「好青年のふりをした腹黒大魔王さん」

嶌は波多野が大学時代のサークルで付けられた“あだ名”を思い出し、その“裏切り”に笑うのでした。-おわりー

『六人の嘘つきな大学生』感想

「月の裏側を地球から見ることは叶わない」

人のある一面を知って、その人の印象がガラリと変わってしまうことってよくあるな~と共感しながら読みました。

スピラリンクスの人事部長・鴻上が言った

「面接官をやるうえで、相手の本質を見抜くテクニックなんてない。5千人のなかから最も優秀な人材を1人選ぶなんて神様でも無理。結局は“運”。」

というのが、結局は採用する側の本音で、面接がいかに“いいかげん”なシステムなのかが分かりますね。

そうとは知らず、最終試験に残ったことに優越感を感じ、ライバルを出し抜こうと心理戦を繰り広げる6名の学生。

どこにでもいる大学生の印象がオセロのように、白、黒とひっくり返される展開が面白く、人間の傲慢さ、卑屈さ、優しさ、美しさが堪能できました。

クローズドサークルともいえる試験会場を舞台に、就活生にとって一大イベントである就職試験をここまでエンタメ化したことは見事。

人の裏側を見てガッカリするのではなく、人間には誰しも善も悪の両面があることを踏まえたうえで、物事「多面性」を持って捉えることが大切だと気づかせてくれた作品でした。

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