『マッチング』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで解説
『マッチング』は、現代の出会いの場として身近にあるマッチングアプリを通して繰り広げられる男女の愛憎劇を描いたサスペンススリラーです。今回は映画に先駆け書き下ろされた小説『マッチング』のあらすじと結末をご紹介します。ネタバレを含みますのでご注意下さい!
『マッチング』あらすじ
ウェデングプランナーの唯島輪花は、好きな人ができても自分から距離をとってしまう恋愛に消極的な29歳。
仕事にやりがいは感じているものの、かつての片想いの相手・片岡隼人の結婚式を担当したりと胸中は複雑だった。
そんななか、片岡が結婚相手とマッチングアプリで知り合ったと耳にした輪花は、同僚の伊藤尚美の勧めもありマッチングアプリの「ウィルウィル」に登録することにした。
すると間もなく、永山吐夢(トム)という25歳の男性から「会いたい」メッセージが届き、尚美が勝手にスマホを操作してマッチングを成立させてしまった。
一方、ウィルウィルでマッチングして、輪花の勤める結婚式場・ナガタウェディングで式を挙げたカップルが惨殺されるという「アプリ婚連続殺人」が大きく報道される。
登録者数は激減してしまったウィルウィルは、この事態を打開するために輪花の勤務先であるナガタウェディングとタッグを組む企画を提案。
ウィルウィルからアプリ運営を任されている和田拓馬、影山剛がやって来て、輪花たちと打ち合わせを行った。
間もなくして輪花は吐夢との約束の日を迎え、気乗りしないまま待ち合わせ場所の水族館に向かうが、吐夢は汚れたトレンチコートに長靴を履いた不審者のような姿で現れた。
プロフィールとは全く違う暗い雰囲気の男は、「僕とあなたは、運命で繋がっています」と意味不明な言葉を口にした。
彼に恐怖を感じた輪花は、すぐにその場から立ち去った。
しかし、しばらくしてスマホを落としたことに気づいた輪花の前に、そのスマホを持った吐夢が突如現れる。
ずっと尾行されていたと感じた輪花は、吐夢からスマホをもぎ取り、彼の追跡から逃れるように走り出したが、その途中で偶然にも先日知り合ったウィルウィルのエンジニアの影山ばったり出くわし、ほっと胸をなでおろした。
そんななか、再び「アプリ婚連続殺人事件」が発生し、被害者が片岡であると判明する。
そして刑事の西山茜と堀井健太の捜査により、マッチングアプリ界でつきまとい行為を繰り返し、要注意人物として知られていた「永山吐夢」が捜査線上に浮かびあがる。
「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」「次いつ会えますか?」吐夢からの通知が鳴りやまない輪花のスマホ。
果たして、輪花に執拗にアプローチする吐夢が「アプリ婚連続殺人事件」犯人なのかーー。
『マッチング』登場人物&相関図
◆登場人物
◆唯島輪花・・・ウェディングプランナー。恋愛には奥手で好きな人ができても自分から距離をとってしまう。片想いしていた恩師の結婚式を担当したことをきっかけにマッチングアプリに登録するが…。
◆永山吐夢・・・マッチングアプリを通じて倫花と知り合う25歳の青年でストーカー行為を繰り返す。他のマッチングアプリサイトでも問題を起こし警戒されている。金髪。
◆影山 剛・・・輪花が利用するマッチングアプリ「ウィルウィル」の 運営会社プログラマー。吐夢のつきまといに遭う倫花を守り支えになろうとする。
◆和田拓馬・・・マッチングアプリ「ウィルウィル」運営会社プログラマーで影山の同僚。輪花に興味を抱く。
◆伊藤尚美・・・輪花と同僚のウェディングプランナー。
◆西山 茜・・・アプリ婚連続殺人事件を追う警部補。自身もプライベートでマッチングアプリ「ウィルウィル」を利用する。
◆堀井健太・・・アプリ婚連続殺人事件を追う巡査部長。西山の相棒。
◆唯島芳樹・・・輪花の父。25年前に妻が失踪してから男手一つで輪花を育ててきた。
◆相関図
※無断転載ご遠慮ください。
◆以下ネタバレを含みますので未読、未視聴の方はご注意下さい。
『マッチング』結末のネタバレ
◆新たな被害者
吐夢は、執拗に輪花にメッセージを送りつけてくる他にも、影山と連絡をとっていることを知っているような素振りを見せてきました。
盗聴されていると感じた輪花が影山に相談すると、輪花のスマホにはスパイアプリが仕込まれていることが分かりました。
そんななか、輪花が担当した恩師・片岡とその妻が「アプリ婚連続殺人事件」の被害者になってしまいます。
葬儀に参列した輪花は記者から「片岡と不倫していた」などと、デタラメを報じられてしまいます。
職場では腫れものに触るように扱われ、警察からアリバイを探られていた輪花は、精神的に参ってしまいます。
輪花を心配した影山は「僕が守る」と、そっと彼女を抱きしめるのでした。
◆父の秘密
輪花は、東京郊外の戸建でホテルマンの仕事に就く父親・ 唯島芳樹と二人暮らしをしています。
母親は、25年前の輪花が4歳のときに突然姿を消してしまいました。
芳樹は何らかの失踪理由を知っているようですが、輪花は真実を知るのが怖くて聞けずにいました。
そんなある日、自宅に輪花宛ての封書が届き、なかには若い頃の父・芳樹が、裸で見知らぬ女性とベットに横たわる写真が入っていました。
輪花が写真について問いただすと、芳樹は25年前にチャットで知り合ったマリア(ハンドルネーム)という女性と関係を持ったことを認めました。
当時 遊びのつもりだった芳樹は、別れようとしましたが、マリアは本気だったため聞く耳を持ちませんでした。
ある日、手切れ金を持ってマリアの自宅を訪れた芳樹は、「私たちの子どもが出来た」と言われて動揺し、立ち去ろうとしたところを彼女に刺されたと言います。
幸い芳樹は一命をとりとめ、マリアは逮捕されたものの、輪花の母はそれから間もなく失踪したのでした。
すべてを知った輪花はショックを受け、「もうお父さんの顔をみたくない」と言い残し部屋に戻りました。
次の日の朝、父は「すぐ帰る」というメモを残したのを最後に姿を消してしまいました。
◆悲劇
輪花は自分の家族に起こった悲劇を受け止めきれず、影山にすべてを打ち明けました。
影山は、どんな人間にもいくつもの顔がある。家族だって同じだと、優しく輪花を受け止めてくれました。
そのとき、輪花のスマホに尚美から着信があり「一人で家に来てほしい」連絡が入りました。
すぐに輪花は尚美のアパートのインターフォンを鳴らし、「尚美!尚美!」とドアの前で叫んでみましたが応答がありません。
胸騒ぎがするものの一旦エレベーターで1階に降りた輪花は、「ぐしゃり」という音を耳にします。
尚美が何者かによって、マンションから突き落とされたのです。
動揺する輪花に追い討ちをかけるように、父の芳樹が奥多摩の森にかかる橋で首を吊って亡くなっていると連絡が入りました。
そんなか影山の同僚で、輪花に好意を寄せていた和田拓馬の行方がつかめくなり、警察は和田を最重要被疑者として捜索することになりました。
◆真犯人
「私の大切な人が全員なくなった」と肩を落とす輪花に、芳樹の葬儀の弔問に訪れた影山は「僕がいるよ」と励まします。
そして影山は「君のお父さんの不倫相手と吐夢について分かったことがある」と話し、輪花を廃墟となった公営団地に連れていきました。
実は影山は、芳樹と不倫していたマリア=影山節子の子どもであり、母を捨てた芳樹をずっと恨み続けてきました。
芳樹への復讐の機会を探していた影山は、あるとき自分が運営するウィルウィルに登録した女性の一人が芳樹の娘だと気づきました。
“リンカ”と名乗る女性が自撮りした部屋の背後には、幼い子が描いたような赤い服の女性と四葉にクローバーの絵が貼られていたからです。
(マリアはいつも赤い服を着て四つ葉のクローバーを大切にしていた。マリアはこっそり幼稚園にいた輪花に接触し、四葉のクローバーを渡したことがあった。)
影山はそれらというもの輪花の愛する大切なものを一つづつ奪って苦しみを与えるという復讐を考え、実行してきたのです。
そして影山は、最後の仕上げとして包丁を取り出し、輪花に向けました。
そのとき、団地のドアを激しく叩く音がしたかと思うと、そこには吐夢の姿が…。
吐夢は影山が怪しいと気づき、自分の忠告を聞いてくれない輪花を説得してもらおうと尚美に接触していたのでした。
吐夢が輪花のスマホに入れたスパイアプリも影山に消され、代わりに影山が新たなスパイアプリを仕込んだことも明かしました。
影山が同僚の和田を犯人に仕立てあげ拉致したことも判明し、彼は駆けつけた警察により逮捕されました。
◆マリアの正体
影山は取り調べにより少しづつ犯行を認めていきましたが、刑事の西山は何か引っかかるものを感じていました。
そんななか吐夢は「影山節子の居場所をつきとめた」と輪花を車で連れ出しました。
その場所は、父が亡くなった森の先にある池のほとりに建つ家でした。
家のなかから、車いすに乗った赤い服の老女と、彼女に付き添うエプロン姿の女性が二人出てきました。
輪花が節子と思われる赤い服の老女に、父の不貞を謝罪すると同時に自分も父を愛していたと話しますが、老女は意識が崩壊しているのか反応を示しません。
すると突然、その様子を見ていたエプロン姿の女性が大笑いを始めました。
実は、このエプロン姿の女性こそが影山節子だったのです。
25年前、芳樹を刺したあと出所した節子は、彼の引っ越し先を突き止めて輪花の母・美知子を拉致しました。
そして美知子を監禁し、“マリア”の名を与え、長い間かけて苦しみを与えて洗脳してきたのでした。
「お母さん。お母さん。」と呼びかける輪花に、節子は隠し持っていた包丁を振り上げました。
そのとき、輪花をかばった吐夢の背中に包丁が突き刺さり、彼は崩れおちました。
◆結末
刑事の西山たちにより影山節子は逮捕され、吐夢は幸いにも一命をとりとめました。
入院した吐夢を見舞った輪花は、スニーカーとコートをプレゼントし、「また水族館に行こう」とデートに誘いました。
ーやっと“幸せ”を掴んだかに見えた輪花でしたが、この物語の本当の怖さはここからだったのです。ー
退院した吐夢は、拘置所にいる影山節子に面会に行きました。
「ぼくは母親に生まれてすぐに捨てられたんです。そして輪花さんのことを調べていくうちに見つけたんです。僕の母親を」
そして、吐夢は四葉のクローバーの押し花がおさめられたペンダントを目の前に置きました。
それは、吐夢が赤ん坊の頃コインロッカーに捨てられたとき握りしめていた四葉のクローバーでした。
節子はそのとき、吐夢が自分と芳樹との間に生まれた子どもだと知ったのです。
吐夢はこれまで誰にも愛されることなく育ち、「真実の愛とはなにか」という課題を抱えていきてきました。
だからアプリで知り合った男女をいたぶり、その愛が本物がどうか確かめてきたのです。(アプリ婚連続殺人事件の犯人は吐夢だった)
すべてが丸く収まったいま、大切な家族(輪花)をやっと手に入れた吐夢は「絶対に離すものか」と永遠の愛を誓うのでした。-おわりー
『マッチング』感想
『マッチング』は映画よりも先に書き下ろした小説があると知って読んでみましたが、予想外にドンデン返しが続いて楽しめた作品です。
ネット社会をテーマにしたサスペンスやホラーは、内容が薄そうでちょっと苦手としていたのですが、最後までてんこ盛りな内容で飽きずに読むことが出来ました。
25年前に失踪した母、25歳の吐夢…勘の良い人なら途中で吐夢がマリアの娘であると気づきますが、影山が犯人というミスリードが強すぎて私は見逃してしまいました。
それにしても影山と吐夢が異父兄弟で、輪花と吐夢が異母兄妹って、どんだけ世間は狭いんだろ….。まぁ、これも出会うべくして出会った宿命といえばドラマチックな設定とも言えますね。
「遊びのつもり」の浮気がとんでもない悲劇を生み出すというのも、今の「不倫を叩く」みたいな風潮にマッチしているような…。
映画では、影山節子を斉藤由貴さんが演じるらしいので、狂気的に変貌する姿がアラフォーとしては楽しみです。
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