『白い巨塔(唐沢寿明)』相関図と最終回の結末をネタバレ&新旧キャスト比較

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『白い巨塔』は、権力と支配欲が渦巻く大学病院を舞台に、天才外科医と患者に真摯に向き合う内科医の対照的な生き様、彼ら取り巻く人間の愛憎劇を描いた社会派ドラマです。今回は2003年に唐沢寿明さん主演の『白い巨塔』の最終回を相関図を含めて振り返ります。

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『白い巨塔』相関図

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『白い巨塔』最終回の結末

 「財前先生の発言は嘘だ。検査を申し出たのに却下されたんだ」。傍聴席の柳原(伊藤英明)の叫びに法廷は色めきたった。柳原は退廷させられたが、関口(上川隆也)は、即座に柳原の証人尋問を求めた。当然、国平(及川光博)は「責任回避の発作的発言に過ぎず、証言の必要なし」と応じ、猛反対する。裁判長(戸沢佑介)は、法廷秩序を守るという理由で、柳原の証言は認めなかった。財前は国平とうなずきあい、関口はよし江(かたせ梨乃)らと悔しがった。すると、関口らに近づく人影があった。君子(西田尚美)である。
「今からでも遅くないでしょうか」柳原の行動を目の当たりにして、証人の決意を固めたのだ。国平はその様子を陰から見詰めていた。
財前側の反省会で国平は財前に問うた。「亀山君子に何か握られていませんか。新しい物的証拠とかも…」
財前は、君子がカンファレンスに同席し、記録を取っていたことを思い出した。「直ちに医局の記録を佃(片岡孝太郎)たちに処分させます」

一方、関口の事務所でも、柳原と君子がカンファレンス記録の存在を思い出した。柳原は「僕が取ってきます」と立ち上がった。
夜の医局に柳原は静かに入り込んだ。ロッカーを開け、該当月の記録を探す。だが、そこだけ抜けている。と、後ろに佃と安西(小林正寛)が立っている。佃の手に、その記録が握られているではないか。「何をしている。帰れ」「自分のやったことがわかっているのか」。二人に罵倒され柳原は立ち尽くすのだった。
そのころ、アパートに戻った君子の前に国平が現れた。君子は慌てて逃げ、柳原のアパートに急いだ。憔悴して帰って来た柳原と君子は、恐怖と諦観に抗いながら、カンファレンス記録以外の証拠がないか記憶を辿った。
佃は翌日カンファレンス記録を財前と国平に渡した。国平は冷徹にそれをシュレッダーにかけ、財前に「これ以上、医局から離反者がでないよう気をつけてくれ」と申し渡した。了解し「終わったら食事でも」と言う財前に、国平は「あなたとは仕事だけにしたい」と言い放つのだった。
里見(江口洋介)の病院に関口がやって来た。君子のあとの、裁判最後の証人を引き受けてくれという申し入れだった。里見は、敗訴した時の財前の様子を思い描いて沈んだ。
君子が証人に立つ公判が始まった。国平は、記録を処分したカンファレンスの様子を中心に尋問し、君子の記憶や発言を、主観的な勘違いと切り捨てた。だが、関口はカンファレンスではなく、「術前説明」を持ち出した。患者に治療方針を説明する場であり、君子はそこでも記録を取っていたのだ。財前と国平に緊張が走った。
「看護計画検討記録を証拠として提出します」
「唐突過ぎます。認否できません」。国平が裁判長に申し立てた。だが、裁判長は、ためらわず証拠採用を決めた。追い詰められる財前。
さらに里見の尋問に移った。国平は、治療法の選択について「どんな治療を受けても、死は避けられなかったのですね」と、治療における事前説明の無意味さを立証しようとする質問を行う。しかし患者自身がその生き方の選択を行うべきだという里見の心からの叫びのような発言に、国平は尋問の言葉を失った。
この直後、裁判長は財前に質問を行った。「あなたは今もこれまでの考えに変わりありませんか」。財前は堂々と答えた。「私の治療は一点の曇りなく妥当でした」
2カ月後、控訴審の判決が下された直後、財前が呼吸困難を起こして昏倒した。出展元:フジテレビ(C)

肺がんに冒されていた財前は、医師として信頼できる東にがん切除をお願いした。

東は手術の執刀を承諾するが、財前のがんは胸膜全体に広がっており、手の施しようがなかった。

それでも財前は、入院中でも手術のシュミレーションを怠らなかった。

術後の経過から、先が長くないと悟った財前は、里見の病院を訪れて診察を頼み、結果を受け止めた。

「おれが君を助けたいんだ。君の不安を受け止めたいんだ」

「里見、僕に不安はないよ。ただ無念だ」

その後、自発呼吸ができなくなった財前を見た東は、家族にもう先が長くないと告げた。

そんななか、鵜飼がやってきて「(財前の命は)あとどのくらいでしょうか。ガンセンターのセンター長候補者会議があるんで、財前くんが亡くなったことをオープンにするか…」と言い終えないうちに、東は「財前くんは生きています」と言い切った。

鵜飼が病室に入ってくると財前は、急に意識を取り戻し「君に用はない。出ていきたまえ」と怒鳴った。

そして里見だけを残して、みな病室から出ていった。

意識が薄れていくなかで財前は、里見の手を握り「やっと内科部長の件を引き受けてくれたのか。これで僕の癌センターも盤石だ。佐々木さん、あなたもガンセンターへ入院されたら、ベッドは空けますよ。」と苦しそうに話した。

財前は命の灯が消えようとするなかで、自分が癌センターの院長になったことを想像していた。(佐々木の誤診も心残りだった様子が伺える)

そして、ライバルであり友人の里見だけに看取られてこの世を去った。

夜が明け、妻・杏子と義理父が財前との別れを惜しむなか、財前の母が到着し、白衣姿で静かに目を閉じている息子と対面した。

母は、「五郎よくがんばったね。ごくろうさまでした。」と財前の顔を手で包んだ。

一方、愛人の花森ケイ子は、財前の母らのすすり泣きを聞いて、病室には入らずその場から去った。

里見は病院の屋上に立って朝日を浴びながら、最後まで医師を貫いた財前を思った。-おわりー

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『白い巨塔』キャスト比較と感想

これまで5回も映像化されてきた『白い巨塔』ですが、そのなかでも印象的なのが1978年の田宮二郎版、2003年の唐沢寿明版、2019年の岡田准一版。

以下、主要人物を比較した表です。

『白い巨塔』キャスト比較

1978年 2003年 2019年
財前五郎
田宮二郎
唐沢寿明 岡田准一
里見脩二
山本學
江口洋介 松山ケンイチ
東教授
中村伸郎
石坂浩二
寺尾聰
鵜飼教授
小沢栄太郎
伊武雅刀 松重豊
花森ケイ子
太地喜和子
黒木瞳 沢尻エリカ
財前又一
曽我廼家明蝶

西田敏行
小林薫
財前杏子
生田悦子
若村麻由美 夏帆
東政子
東恵美子
高畑淳子 高島礼子
東佐枝子
島田陽子
矢田亜希子 飯豊まりえ

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感想

山崎豊子さんが描く財前五郎像に一番近かったのが田宮二郎さん、財前の弱さや不安を冷静さで押し殺す演技が光っていた唐沢寿明さん、隙のない冷徹な財前に徹した岡田准一さん。

どの財前が良いかについて正解はなく、好みの問題にはなるのですが、私が一番引き込まれたのは唐沢寿明さんの財前でした。

貧しい寒村の出身で、苦労して大学病院に入り権力の梯子を登り続ける財前。

才能ある財前には、それぞれの思惑のある人物が近づき、彼を応援したり陥れたり…

そんな張り詰めた毎日を過ごす財前が唯一表情を緩めるのが、故郷の母と話すときと、愛人の花森ケイ子と過ごすとき。

初見で、財前を見たときはなんて傲慢な奴だろうと思っていましたが、物語がすすむにつれ彼なりの信念やバックボーンを知り、見方が変わりました。

確かに里見は患者を最優先にする医師の鑑ですが、財前のように危うさを持っている方が人間としての魅力を感じるから不思議です。

地位と権力を手に入れて、最高の医療を患者に提供するという夢の道半ばで病に倒れてしまう財前。

自業自得といえども、彼が里見に言った「無念」という一言に尽きますね。

そして、最後の亡くなるシーン。

うなされる財前は、鵜飼教授に「出ていけ」と怒鳴り、里見は鵜飼を突き飛ばして財前の手を握りしめます。

ここで財前又一は「みんな病室から出よう」と促すのです。

自分の名誉のために財前スポーンサーとなった又一ですが、妻の杏子を含め、財前と里見の絆を知っていたんですね。

里見と二人きりになったあとに財前が「里見。祝いの言葉をかけてくれよ。里見…里見…二人で…」と言うシーンで、もう涙腺崩壊。

ケイ子がかつて財前に放った言葉。

あの人は偉くならなくても正しいことができる人だわ。 偉くなりたい五郎ちゃんは、それだけで負けてるんじゃないかしら。

まさに二人の本質を見抜く言葉。

なんだかんだいって財前は、里見の医師としての資質や能力を認めていて、ずっと褒めて欲しかったんでしょうね。

だから財前は権力と地位を手に入れて、自分が理想とするガンセンターを運営し、「里見とふたりで」患者を救いたかった。

多少強引なところがあったにせよ、最後まで気丈に病気と向き合い、医療に心血を注いできた財前の生き様に心を打たれる結末でした。

山崎豊子原作『不毛地帯』結末までのあらすじと相関図は⇒こちら


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