『看守の流儀』ネタバレ!結末までのあらすじー火石は一体何者なのか?

●記事内にPRを含む

『看守の流儀』は、刑務所を舞台に受刑者と向き合い、更生に導く刑務官たちの希望と再生を描いたミステリーです。今回はドラマ化も決定した『看守の流儀』のあらすじと結末までをネタバレ有りでご紹介いたします。

-Sponsored Link-

『看守の流儀』あらすじ

特別な任務のため加賀刑務所に配属された刑務官火石司は、仮出所した模範囚の失踪、暴力団から足を洗う“Gとれ”中に起きた入試問題流出、受刑者の健康診断記録紛失、末期がん受刑者の刑の執行停止など様々な事件を冷静かつ独自の視点で片付けてきた。

その解決力で、受刑者はもちろん同じ刑務官からも一目置かれ、彼は時に「火石マジック」とよばれているが、端正な顔には、ひと筋の傷が刻まれている…。

加賀刑務所で触れてはいけないタブー、そして特別な存在とされている火石司とは何者なのかー。

-Sponsored Link-

『看守の流儀』結末までをネタバレ

※以下ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

認知症受刑者の自殺、文書の紛失、いじめ、大学試験問題の流出、加賀刑務所では日々様々なトラブルが発生しますが、その問題の解決の突破口を開くのはいつも刑務官の火石司でした。

章の間に挟まれる元受刑者が書いた刑務所手記のなかに登場する看守「HTさん」というのは、火石のことを指しています。

手記を書いたのは歌手の三上順太郎

彼は手記のなかで火石のことを同性でも惚れてしまう“THE刑務官”と記しており、火石を難問を片付ける名人だと絶賛しています。

三上は他の受刑者と接触しないように配慮され、火石が専属の刑務官として監視・指導にあたっていました。

そして、三上が他の受刑者と一緒に刑務所生活を送らないのは有名人である以外に理由がありました。

三上は戸籍上は男性ですが、性転換手術を受け体も心も女性であるLGBTだったのです。

交際相手の保護責任者遺棄の罪で服役することになった三上でしたが、戸籍の変更手続きを行っておらず男性刑務所に入ることになりました。

しかし性的マイノリティの人権的な配慮から、三上には女性刑務官が付くことになりました。

そこで任命されたのは女性刑務官・火石司でした。

読者には、火石司という名前は明かされていたものの、彼女が女性だという事実が伏せられたまま物語が進行していきます。

司という名前や言動、そして三上がニューハーフであることも記されていないので、読者は完全に火石が男性であると思い込んでしまいます。

“火石マジック”と称され様々な事件を解決していったのも、女性ならではの視点から物事を見ていたからかもしれません。

歌手ミカミ・ジュンが収監されることになり、女性刑務官が配属されることになった加賀刑務所では、2つのタブーが生まれました。

●著名人が収監され女性刑務官が配属されたことには触れないこと
●女性刑務官を「女」とみなさず、「女」であることにも触れないこと

これにより火石自身にも、女性らしさを一切排除し、男性受刑者から性的な対象にならないように出来るだけ努力するよう指示が下りました。

火石には、鼻の上に水平に走る傷跡があり、化粧をしないせいで傷は生々しく晒されていました。

その傷は、ある意味 火石に箔をつけ、火石自身も“傷はお守り”と述べています。

火石の過去について本書では明かされておらず、過去に何があったかは分かりませんが、もしかしたら続編などで真相が明かされるのかもしれません。

終盤では三上順太郎が刑期を終えて出所したことで、火石の役目が終わり女性刑務所に異動になるだろうと噂されていました。

しかし、火石はそのまま加賀刑務所の処遇部次長として残ることになりました。

火石のことを最初は扱いにくいと思っていた男性刑務官たちも、火石の働きぶりをみて見直し、この決定に喜んだのでした。

男性刑務官との距離感に悩んでいた火石もまた、ようやく加賀刑務所の刑務官の仲間になれたような気がしたのでした。

-Sponsored Link-

『看守の流儀』感想

『看守の流儀』は、5つの難事件を顔に傷のある刑務官が解決していくというストーリーです。

ミステリアスな刑務官、問題を抱える受刑者…その謎解きや人間ドラマは、まさに刑務所版「教場」といった感じです。

プリズンダイアリーと呼ばれる刑務所手記がミスリードとなり、誰もが火石を男性だと思って読み進め、最後に女性だと明かされる大どんでん返しがあります。

どんでん返しがなくても十分面白い内容なのですが、種明かしされると違和感の答え合わせがしたくなって、もう一度読み返しました。

刑務所という閉鎖された世界で、刑務官たちは受刑者の更生を模索し、ときに葛藤しながら職務を全うしています。

なかなか刑務官という仕事を知ることがないので、その仕事内容や受刑者の日常が詳細に書かれていて、とても興味深かったです。

どの話も人情味あふれるものばかりで、重厚感ある物語は横山秀夫さんの作品に似ていると思いましたが、横山さんが帯に「これは久々のドストライク」と書いていて納得しました。

伏線もうまく回収されていましたが、火石の過去や傷の経緯などは分からず仕舞いだったので、ぜひ続編でみてみてみたいです。

-Sponsored Link-
  1. この記事へのコメントはありません。