『白鳥とコウモリ』相関図つきであらすじ~結末をネタバレありで解説
東野圭吾さん自身が最高傑作と認める『白鳥とコウモリ』のあらすじを簡単にサクッとネタバレ有りでご紹介いたします。
『白鳥とコウモリ』あらすじ
善良な弁護士・白石健介が殺害され、警察の捜査線上に浮上した倉木達郎は犯行を自供し事件は解決したかに思われた。
しかし加害者・倉木の息子・和真と被害者・白石の娘・美令は、それぞれの父親の証言や行動に疑問を抱き、立場は違うがお互いに協力して真相を追っていく。
すると今回の東京の事件と30年以上前に愛知県で起きた金融業者殺害事件の接点が見つかり、切ない真実が明らかになり…。
『白鳥とコウモリ』登場人物&相関図
◆登場人物
【事件被害者とその関係者】
◆白石美令・・・被害者の娘。27歳。総合医療機関「メディニクス・ジャパン」の受付係。元キャビンアテンダント。
◆白石健介・・・事件の被害者。人情派の弁護士。55歳。路上駐車された車の後部座席で腹部を刺され、遺体で発見される。
◆白石綾子・・・被害者・健介の妻。54歳。
【事件加害者とその関係者】
◆倉木和真・・・達郎の息子。大手広告代理店のエリート広告マン。一人暮らし。
◆倉木達郎・・・殺害事件の容疑者。白石健介殺害と時効となった詐欺師・灰谷昭造の殺害を自供する。元自動車メーカー子会社社員。66歳。愛知県在住。
◆倉木千里・・・達郎の亡き妻。
【警察】
◆五代 努・・・捜査一課強行犯係。38歳。
◆中町・・・五代の相棒。28歳。若いが淡々と物事に当たる。
【金融業者殺害事件関係者】
◆灰谷昭造・・・金融業者。当時51歳。1984年雑居ビルの一室に構える「グリーン商店」で胸を刺され命を奪われる。
◆福間淳二・・・浅羽洋子の夫。当時44歳。豊川市にある「フクマ電器店」の店主。灰谷の仲介で先物取引に手を出していた。灰谷昭造の殺害の容疑者だったが獄中で自ら命を絶つ。
◆浅羽洋子・・・福間淳二の妻。達郎が年数回立ち寄る定食「あすなろ」の経営者。殺人犯の家族と非難され上京し、現在の店を開業した。冤罪をおこした警察を恨んでいる。
◆浅羽織恵・・・浅羽洋子の娘。40代。バツイチ。娘は別れた夫が引き取っている。常連客によれば倉木の好意をよせていたとされる。
◆安西弘毅・・・織恵の元夫。財務省秘書課課長補佐。
◆安西知希・・・織恵と弘毅の息子。中学2年生。父の再婚相手の継母と、継母と父の間に生まれた妹、弟と暮らしている。
◆坂野雅彦・・・灰谷の甥。金融業者「グリーン商店」の電話番を任されていた。
◆相関図
※無断転載禁止
『白鳥とコウモリ』結末をネタバレ
◆倉木の告白
遺体の第一発見者は、当時金融業者「グリーン商店」で電話番をしていた灰谷の甥・坂野雅彦と、倉木だった。
倉木は事件の少し前に交通事故で灰谷に軽いけがを負わせてしまい、けがが完治するまで彼の運転手を務めていた。
灰谷は狡猾な男で、倉木に法外な慰謝料を請求したただけでなく事務所の送り迎えも命じ、挙句の果てに有り得ない金額の自転車の修理代を出せと言ってきた。
とうとう堪忍袋の緒がきれた倉木は脅すつもりで灰谷に包丁を向けたが、灰谷から挑発され思わず刺してしまった。
それから間もなく福間淳二が逮捕され、彼が自殺したことにより事件の捜査は打ち切りとなった。
それ以来 倉木は、何の落ち度もない福間を死に追いやってしまった自責の念にかられ、福間の家族浅羽洋子と織恵が上京じて営んでいる定食屋「あすなろ」に年数回通うようになった。
しばらくするうちに倉木は贖罪の気持ちから親子の力になれないかと考え、遺産のすべてを洋子さんと織恵さんに譲ろうと決め、ひょんなことで出会った弁護士・白石健介に相談した。
白石は遺産を譲ることは息子の倉木和真の同意を得れば可能だが、謝罪の気持ちがあるなら生きているうちに償ったらどうかと提案した。
倉木は次第に強く迫ってくる白石を脅威に感じはじめ、彼が浅羽母子に真相を語るまえに消してしまおうと考え、殺害に至ったということだった。
◆倉木の証言の違和感と矛盾点
和真は父の罪の告白を知れば知るほど、温厚で真面目な父が2件の事件を起こしたとは到底信じられなかった。
そして美令もまた、父が時効が成立している倉木の過去を強く非難し暴こうとしたとは思えなかった。
何かの間違いではないのかー
そう考えた二人は、あるとき事件現場で出会った。
加害者家族と被害者家族という立場は全く違う和真と美令だったが、真実を求めるという部分では同じだった。
倉木証言の矛盾点
●金融業者殺害事件が発生した1984年5月15日をなぜハレの日である新居の引っ越し日に選んだのか。
●敬老の日の特集で「遺産相続」の番組を見て浅羽親子に全財産を譲ろうと思いついたが、その日にそんな特集は放送されていたなかった。
●なぜ遺産相続の相談を地元の名古屋の弁護士ではなく、たまたま出会った白石に上京してまで相談したのか。
白石の言動の違和感
●白石の性格や仕事への向き合い方から、倉木を強く非難し自首をせまったとは考えられない。
●倉木の証言で野球観戦に行き白石と出会ったというが、白石は野球の試合があった3時間前に抜歯を行っておりアルコールや食事を禁止されていた。(倉木は白石がビールを飲んでいたと証言)
●ドラゴンズと巨人戦の開幕戦という入手困難なチケットを白石はどのように入手したのか。(倉木のチケットは広告代理店に勤務する和真がコネを使って用意した)
倉木は名古屋に事務所をかまえる天野という弁護士に会い、遺産を他人に譲ることはできるが長男である和馬にも財産の半分の遺留分があることを説明していた。
つまり倉木は遺産相続の件の解説を聞いていたため、改めて白木に相談する理由がなかった。
そのため「敬老の日」にテレビを見ていて浅羽親子に遺産を譲ることを思いついたというのも嘘をついていたということになる。
さらに白石の幼少期のアルバムのなかから、6~7歳頃の白石がドラゴンズの帽子をかぶって老婦人と愛知県で撮影された写真が発見された。
幼少期に訪れていた祖母がいる愛知県。その影響で白石はドラゴンズファンになったことが判明する。(倉木は白石がアンチ巨人でドラゴンズがV10阻止して以来、ファンになったと聞いたと証言したのも嘘?)
これらの和真と美令が協力して調べたことを伝えられた刑事の五代 努は、白石殺しの犯人がある人物であることに気づく。
一方愛知の実家に戻った和真は、郵便物から父の倉木が末期のがんで治療することを放棄していることを知る。
◆真犯人と過去の事件の繋がり
30年以上前に起こった金融業者殺害事件の犯人は、ずばり当時大学生だった白石健介だった。
白石は愛知県にいる祖母が、灰谷昭造に老後に残しておいた高額なお金を騙しとられていることを知り、金を取り返そうと東京から福間の会社「グリーン商店」を尋ねた。
しかし灰谷は自分は投資先を紹介しただけで、あくまでも祖母が判断したことだと主張し、金を返すことはなかった。
それを聞いた白石は逆上し、挑発する福間を事務所にあった包丁でとっさに刺し、逃走しようとするが事務所の2階から飛び降りる際に倉木に目撃されてしまう。
運転手を半ば強引にやらされていた倉木は、未来ある若者がクズの極みである福間の命を奪ったことで人生を棒に振るには気の毒だと感じ、白石の指紋をふき取り警察に彼のことを話すことはなかった。
その後倉木は、自分が証言しなかったせいで、福間淳二が冤罪により命を絶ち、加害者の家族が家を追われ上京し店を出したことを知る。
少しでも償いたいと思った倉木は、浅羽親子の店に顔を出すようになり、浅羽織恵に慕われるようになる。
倉木もまた織恵に惹かれていたが、自分が真犯人である白石を見逃したせいで彼女の父を死に追いやった原因になったことを織恵に明かし、気持ちには応えることが出来ないと告げた。
そんななか別れた夫に引き取られた織恵の息子の安西知希は、織恵の携帯電話をいじっていたところ倉木からのメールを読み、祖父が自ら命を絶ったのは白石のせいだと知る。
知希は公衆電話をつかって白石と連絡をとり、殺害現場に呼び出して刺したあと逃走したが、白石は亡くなっていなかった。
白石は知希を守ろうと、携帯電話を川に投げ込み、子供の犯行だと気づかれないように瀕死の状態で車を運転して移動してから後部座席に横たわった。
◆意外な動機
白石が亡くなったことを知った倉木が織恵に連絡すると、知希が事件の犯人だと知る。
倉木は、白石が過去の事件の償いのため知希を守ろうとした気持ちを尊重し、老い先長くない自分が自首することで浅羽さん家族の無念も同時に晴らそうとしたのだった。
その後 倉木は釈放され、知希は送検されるが、彼が白石の命を奪ったのは祖父を殺され家族をバラバラにされたという恨みが理由ではなかった。
知希は人を殺してみたいという歪んだ欲望を以前から持っており、倉木から母へのメールを盗み見したことで人を殺す動機を得た。
祖父の命を奪われ、冤罪のせいで家族が不幸になったという恨みを晴らすという動機であれば、世間から同情され罪も軽くなると考え犯行に至ったのだった。
◆結末
事件解決から半年後、倉木は治療の末にがんで永眠した。
そしてすべての真相が明かされたとき、和真と美令の加害者と被害者という立場は逆転したが、二人には絆のようなものが生まれていた。
しかし美令は人の命を奪った父の血が流れている自分が、和真と関係を続けていいのかという迷いがあった。
そんな美玲の気持ちを知った和真は二人の答えが見つかるまで、いつまでも彼女を待とうと決意するのだった。
『白鳥とコウモリ』感想
本作を読み終えて「罪」と「罰」というのは実に曖昧なもので、この世は因果関係が複雑に絡み合って成り立っていると感じさせられました。
倉木は白石を庇い冤罪を引き起こした罪で、愛する息子を苦しませるという罰をうけますが、果たして倉木がついた嘘や、クズの極みである灰谷の命を奪った白石は犯したことになるのでしょうか。
殺人は重罪ですが、多くの高齢者を騙し困窮させた灰谷が罰を受けたともいえるのではないか。
どんな人間でも弱い部分があり、嘘をついたり、隠したり、逃れたいと思って一瞬判断を間違えることがありますよね。
でもその一瞬の過ちが、その後の人生の歯車をすこしづつ狂わせてしまう。
誰かを守るためについた優しい嘘が、後に悲劇を引き起こす原因になってしまうなんて…。
過去の悪とも善ともいえる行いが現在の事件を引き起こし、眠っていた人間関係が動き出すという構成は因果応報というしかありません。
そして被害者と加害者の立場が逆転してしまった和真と美令、浅羽家と『白鳥とコウモリ』というタイトルが繋がり、バラバラのピースがはまっていく伏線回収は圧巻。
黒いオセロが次々を白に変わっていくような爽快感もあり、迎えるラストは、いつか和真と美令が手を取り合って共に人生を歩んで欲しい…と願える温かい読後感でした。
東野圭吾さんはミステリーを軸にしつつ青春もの、SF、社会派ドラマなど様々なジャンルの作品を手掛けてきましたが、『白鳥とコウモリ』はそのなかでも『白夜行』や『手紙』『容疑者Xの献身』に通じるようなお話で、本の帯にあった「今後の目標はこの作品を超えることです」の通り、東野さんらしさが詰まった集大成ともいえる作品です。
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