『望み』ネタバレ!原作のあらすじとラストの結末

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2020年10月に公開される映画『望み』は、愛する息子は加害者か、被害者かという事実に翻弄される家族を描いた作品です。

加害者であってくれと願えば、息子が人殺しであることを望んでしまい、被害者であってくれと願えば、息子が亡くなっていてくれという望みになる。

そんな心揺さぶれること間違いなしの『望み』のあらすじ・結末ネタバレを相関図を交えてご紹介いたします。

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『望み』相関図

映画『望み』のキャスト・相関図・あらすじは⇒こちら

『望み』あらすじ

平凡な家族

東京のベッドタウンで設計事務所を営む石川一登(いしかわかずと)は、校正者の妻・喜代美、高一の息子・規士(ただし)、中三の娘・雅(みやび)と自身が手掛けたモデルルームのような豪華な家で幸せに暮らしていた。

最近、気になることと言えば、高校に入学した規士が、顔にアザをつけて帰ってきたことだ。

規士は、地元のジュニアユースに選ばれるほどサッカーがうまく、高校でもサッカー部に入り一年生からレギュラーとして活躍していたのだが、膝のケガが原因でサッカーを辞めてからは、無断外泊をするようになった。

おまけに、妻・喜代美から、規士が切り出しナイフを購入したようだと知らされ、規士に注意するが「関係ない。」と言うばかり。

とはいえ、一登は、高校生と言えば、親を煙たがる時期であり、ただの反抗期だろうと、言うほど心配はしていなかった。

喜代美も、雅に優しく、家の手伝いもやってくれる規士の性根の優しさを知っており、部活を辞めて鬱屈している時期なので、口うるさく言わず見守ろうと思っていた。

事件と規士の失踪

一登がナイフの件で釘さしてから、規士の外泊はしばらく収まっていたが、また無断外泊をし帰ってこなくなった。

喜代美は規士にメールをすると、“いろいろあって、まだ帰れない。心配するな。”と返事が返ってきた。

一登も、「ほっとけ。どうせ友達と遊びまわっているだけだ。」というので、喜代美も規士が帰ってくるのを大人しく待つことにした。

次の日、地元の戸沢で乗り捨てられた車の中から、高校生くらいの少年の遺体が出てきたというニュースが報道された。

遺体が規士かもしれないー。

心配になった一登と喜代美は、警察に電話をするが遺体は、倉橋与志彦という少年であることが判明した。

規士でないことにホッとしたが、被害者の倉橋与志彦は規士の友人グループの一人で、遺体発見現場から逃げ出す二人の少年が目撃されていた。

警察は、規士が事件に関与しているとは名言しなかったが、夫妻の元に事情聴取にやってきて、家出人捜索届けを提出し全国に指名手配してはどうかと提案。

喜代美は「それは、規士が犯人と決めつけているようなものじゃない。」と反対した。

誹謗中傷

規士が被害者の倉橋与志彦の友人だったことは、マスコミにも知れ、自宅に取材に押しかけるようになっていった。

さらに、何者かにより玄関に生卵をぶつけられたり、落書きをされたりもした。

報道によると、 行方不明になっている少年は三人であり、もしかしたら1人は与志彦と一緒に殺されているかもというものだった。

事件の影響は、一登の仕事にも及んできた。

被害者の倉橋与志彦は、一登の仕事の取引先である花塚塗装の社長の孫であることが分かると、規士が加害者だと思い込んだ他の取引先からは「もう石川さんの設計事務所には仕事は頼めない。」と言われた。

一方、東京の有名私立高校の受験を控えていた妹・雅は自分は試験で落とされてしまうのではと恐れていた。

一登と雅は、心の奥では規士が被害者(亡くなっていること)であっても無実でいてほしいと思っていたが、喜代美は、たとえ加害者であっても、生きて戻って来てほしいと願うのであった。

規士は、被害者なのか加害者なのかー。

規士の立場によって家族の未来は大きく変わってしまう状況に、家族は苦しんだ。

ナイフの行方

一登が息抜きにと、犬の散歩に出かけたとき規士のガールフレンドと聞いていた飯塚杏奈という少女から話しかけられた。

杏奈の話では、1年生からレギュラーになったことに腹を立てた2年生が、規士にわざとぶつかりケガをさせ、そのせいで規士はサッカーを諦めたようだった。

その後、規士にケガをさせた2年生が何者かに襲われ、足の骨を折られる事件があった。

杏奈は、その事件の首謀者が規士かもしれないと疑っているようだった。

一方、喜代美は、規士が中学時代の友人・仲里涼介から、「規士は暴力を振るうような人間じゃない。きっと与志彦を庇おうとして巻き込まれたんだ。」と言われた。

その言葉は、喜代美にとって規士が被害者になり亡くなっているように聞こえたため「あのこはまだ人間が出来ていない。間違いをおこすこともある。」と言い返した。

喜代美にとっての望みは、規士が加害者であっても生きていて欲しいということなのだ。

一登は、杏奈の話をきいて規士が加害者である可能性も考えていたが、一つの望みがあった。

事件前に規士からナイフだ。

被害者の身体には複数の刺し傷や打撲の傷があったらしいが、一登は、取りあげたナイフを仕事机の中に隠していたていたことから、規士が加害者ではない可能性があると思っていた。

しかし、事務所の机をみると、あるはずのナイフが引き出しから消えていたのだ。

一登は、規士が「被害者」であるという望みが消えていくように感じた。

以下からネタバレを含みますので、まだ作品を見ていない方や結末を知りたくない方はご注意下さい。

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『望み』犯人ネタバレと結末

ナイフが発見

その日は、倉橋与志彦の葬式に日だった。

取引先の孫が亡くなったとなれば、本来なら一登も出席する予定だが、自分の息子が加害者の可能性もあるので、呼ばれるわけはなかった。

家に居ても落ち着かず、家の掃除をしていた一登は何げなく規士の部屋に入り机の引き出しをあけた。

すると、あの ナイフが入っていた

規士が加害者と疑ってきた自分を恥じるように、一登は倉橋与志彦の葬式が行われている斎場に向かった。

一登は「規士の代わりに手を合わさせて下さい。規士は犯人じゃない。被害者なんだ。」と叫ぶも、与志彦の祖父に殴られ追い返されてしまう。

その頃、規士のナイフを見つけた喜代美は、規士が生きているという望みが絶たれ、泣き崩れた。

そして、警察から「もう一人の少年の遺体が見つかった。」と連絡が入った。

二人が警察署に駆けつけると、そこには変わり果てた規士の姿があった。

喜代美は規士の遺体にすがりつき「規士ぃ。規士ぃ。」と何度も名前を呼び、一登も嗚咽を漏らしながら泣いた。

事件の真相

捕まった少年二人の証言から事件の真相が徐々に明らかになっていった。

サッカーの部活の試合で、規士は堀田という2年生からわざと突き飛ばされ、膝にケガを負った。

それを聞いた、規士が所属していた元ジュニアユースのチームメイトだった塩山、若村は与志彦を誘い仕返しする計画をたてた。

与志彦は規士と仲が良かったため、友達の敵を討とうと話に乗った。

最終的には、堀田から暴力をチラつかせ金を奪おうとしていた塩山と若村は、規士に反対されると思い計画は内緒で進められた。

堀田を待ち伏せて、バットで威嚇して金を奪う予定だったが、規士への思いの深さから与志彦は加減をせずにバットを振り結果的に大けがをさせてしまった。

そこから話がこじれ、堀田が地元の不良グループに相談したことから、塩山たちは逆に50万ほどの金を請求された。

焦った塩山は、与志彦に「お前の一撃で計画が失敗した。お前が金を作れ。」と責任逃れをした。

与志彦は、困り果て、このいきさつを規士に話すと塩山の命令には従わなくていい。もう付き合いをやめろと言った。

それならと、塩山たちは、暴力で与志彦と規士を従わせようとしたが、それも失敗してしまう。

以前、規士が顔にアザを作ってきたのは、この一件のせいらしいことも分かった。

塩山と若村は、反抗的な規士は諦めて、与志彦だけを遊びにかっこつけて誘い出したが、そこに規士も付いてきた。

そして四人は、工場に場所を移し、話し合った。

塩山と若村は、自分たちも金の工面を手伝うとし、金を作るための犯罪計画を持ち出した。

しかし、規士は不良グループが絡んできたのは、堀田から金を取ろうした塩山の責任であり、塩山が責任を取るべきだといった。

金の問題と誰の責任かということで、話がまとまらず若村と与志彦が小競り合いを始めた。

しかし、与志彦がナイフを出したことに塩山と若村は動揺し、先にやらなければ、やられてしまうと、鉄パイプと与志彦から奪ったナイフで、凶行におよんだ。

そして二人で相談し、一人づつ遺体を山林に埋めようとしたが、与志彦を運ぶ途中に車で事故に遭ってしまい、工場に規士の遺体を残したまま逃走した。

そのとき、規士の母に“いろいろあって、まだ帰れない”偽装メールを送ったのも塩山たちだった。

結末

規士は棺に納められ、自宅に戻ってきた。

妹の雅は、兄が亡くなってでも被害者であってほしいと少しでも思ったことを詫びて泣いた。

一登は、規士を信じたいとは言っておきながら、キャリアや仕事を失う恐怖から気持ちが揺らいだこともあった。

喜代美もまた、規士が加害者で生きていればひとまず安堵したかもしれないが、その後の苦しい日々がやってきたら押しつぶされていただろうと思った。

規士が加害者かもしれないこと、被害者かもしれないことー。

という二つの望みの中で翻弄され続けた家族は、規士の死によって、未来が救われたようにみえた。

しかし、それが本当に望んだ未来とは思えず、気持ちが収まることはなかった。

最後に

加害者=この先の家族の未来はなくなる
被害者=息子は亡くなっている

どちらになっても、絶望的な結末。

それでも私は、母親として喜代美の犯罪者になっても生きていて欲しいという気持ちが痛いほど共感できました。

『望み』を読んでいる間は、「自分だったらどうする?」という問いを、ずっと突き付けられているような緊張感を感じる作品でした。

そして、一登と喜代美の揺れ動く感情と同じように揺さぶられ、最後には涙なしには読めませんでした。

映画化で興味を持った方は、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

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