『白い濁流』ネタバレ!原作のあらすじから結末

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NHKでドラマ化された『白い濁流』は、純粋な研究者が、良心をかなぐり捨て濁った流れに身を任せていく食品汚染の恐怖を描いた作品です。今回は『白い濁流』原作本の簡単なあらすじとネタバレをサクッとご紹介いたします。

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『白い濁流』原作のネタバレあらすじ

『白い濁流』人物相関図

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『白い濁流』あらすじ

地元岡山からトップの成績で京都総合大学薬学部に入学した好並一樹は、端正な顔立ちと誠実な人柄で、友人からの評価も厚い。

京都大学法学部には、同郷の河原智子という美人の恋人もおり、同じ薬学部には柏木航という親友もいる。

一樹の悩みといえば、家が裕福ではないため、高い参考書が買えず、バイトで研究や勉強の時間が取れないことだった。

そんなある日、担任の教授・山本からの紹介で、北野製薬の息子の家庭教師を頼まれた一樹は、北野家の人柄や、高いアルバイト代に惹かれ承諾。

熱心な指導が実を結び、無事に息子の隆彦を京都総合大学に合格させた一樹は、北野製薬の社長から大きな信頼を得た。

晴れて大学に通い始めた隆彦だったが、ある日、車の事故にあう。

隆彦は治療もむなしく、一樹に「父と母、妹の葉子を頼みます。妹の気持ちを考えてくれ」と言い残し息を引き取った。

悲しみにくれる北野社長は、優秀で誠実な一樹を隆彦の身代わりのように思い、息子同然に支援するようになっていった。

一樹もそれにこたえるべく、もう少しで特許が切れる北野製薬の看板商品ソルボン酸に代わる、食品の新しい保存料(抗菌物質)の研究を始めた。

一樹が研究する間に、北野製薬にはソルボン酸の不良、サルモネラ菌の混入などの問題が起きたが、その度に北野社長は一樹を頼り、一樹は会社の損害を最小限にするため隠蔽や商品の回収、社員の選別などに力を貸した。

北野製薬を助けるために、隠蔽にまで加担した一樹に、恋人の智子は「隠蔽体質が染み込んだ北野製薬との付き合いは考えた方がいい。好並くんが 濁流にのみ込まれないか心配なの。」と忠告した。

一方で、一樹は、問題を解決するたびに北野社長から多額の金品を受け取り、バイトをせずとも研究に没頭できるようにもなった。

さらに、隆彦の妹・葉子の家庭教師も任され、葉子も、隆彦のときと同様に無事に京都総合大学に合格させた。

北野社長は、一樹の研究員としてはもちろん経営者としての資質にも惚れこみ、葉子と結婚するように勧めが、一樹には大学を卒業し、新聞記者になった恋人・智子を裏切ることに悩んだ。

結局、一樹は、これまでの北野社長への恩義と、岡山の一樹の両親の老後の資金、自分の研究への援助などと、智子を天秤にかけ、泣く泣く智子に別れを告げ 葉子と婚約した。

順風満帆な人生を後押しするように、一樹は、ソルボン酸に代わる保存料アロマチンと新しい人工甘味料シュークラミンを発見した。これは会社に莫大な利益をもたらす、すごい発見だった。

北野社長は、アロマチンとシュークラミンの厚生労働省に認可審査を急がせるため、政治家などに多額のワイロをおくった。

そんな北野製薬と一樹の怪しい動きを察知した、新聞記者の智子は、すぐに記事にしようとしたが、北野製薬が智子のいる近畿新聞社に圧力をかけ記事をもみ消した。

悔しがる智子に追い打ちをかけるように、智子の実家の商店は、他人の連帯保証人になったせいで困窮していた。

苦境にたたされている智子に、一樹は北野社長に頼みこみ、3千万を用意してもらい、智子に渡した。

智子は、一樹が発見したアロマチンの不純物のなかにヒ素が混入されているネタを掴んでいたが、金を受け取ってしまった手前、記事にすることはなかった。

智子も、一樹と同じ濁流にのみ込まれた瞬間だった。

それでも、一樹は、まだ智子に一方的に別れを告げた罪の意識があった。

そこで、親友の柏木を智子に紹介し、二人はお互いに好意を持ち結婚した。

一樹は次に、シュークラミンのライバルとなるアイスイートの欠陥を親友の柏木に発表させ、人工甘味料のシェアを獲得。さらにアイスイートを製造していた会社の工場や研究所などを格安で手に入れた。

その裏で、一樹は、これまでの会社の問題をなんとか隠蔽し、切り抜けてきたが、添加物には様々な問題があることにも気づき始めていた。

人の助けになるという志を持って大学に入ったのに、発がん性があるのに、安全性試験には引っかからないからと、自社の製品ほ問題を放置して、危険性を黙認している今の自分に失望していた。

その後、北野製薬は大きく発展して一樹は副社長に就任した。

その披露パーティーで、一樹は、お金がなくても、智子と恋をし、純粋に研究に打ち込んでいた自分を懐かしく思っていた。

良心を捨て、北野家と会社を守ってきた自分の選択が誤りだったという後悔もあったが、一樹にはもう逃げられないところまできていた。

そんな一樹の様子をみめ、恩師の山本教授は「どんなことがあっても、いつも前を向いて進むんだ。」と声をかけた。-END-

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『白い濁流』感想

普段デパート、スーパー、コンビニに購入し、口にしている多くの食べ物。

添加物について、「ちゃんと国が認可しているものだから・・・」と、そこまで気にしたことがなかったですが、本作を読むと、いかに製薬会社や食品会社が儲けるために、違法スレスレのことをやっているのか、なんとなく分かりました。

企業、政治家、大学、研究機関との癒着など、一筋縄ではいかない業界の深い闇。

知らないところで、体の異変が起きていても、医者を始め、誰も食品添加物だと疑うこともしない現実。

自分ももし添加物によって体が蝕まれても、たぶん気づくことはないでしょう。

化学の専門用語が、たくさんでてきますが、くだけた文章で、とても分かりやすかった本作ですが、チョット残念だったのは、恋愛を描いた部分。

正義感の強かった一樹の恋人 智子が、一樹の親友の柏木とアッサリくっついちゃうところは違和感あり。

純粋だった智子も、実家の両親のことや将来のことに打算的になって、一樹と同じように悪に傾いた表現をしたかったのかもしれませんが、ちょっと前まで、一樹に未練タラタラだった智子が、なぜ一樹の紹介した男にすぐ好意を持ってしまうのか?智子の気持ちの揺れが描かれてないので、そこは共感しづらかったです。

一方で、誠実で優しさ溢れる主人公・一樹が、社長や教授の期待や恩に報いようと、徐々に隠蔽、ワイロ、恋人への裏切り…と、少しづつ悪の道に足を踏み入れていく様子は、まさに「白い濁流」にのみ込まれていくようでした。

田舎から出てきた純粋で貧しい青年が、製薬会社の息子の家庭教師になってことをキッカケに、企業の副社長には登り詰めていく。

傍から見れば、本当に恵まれた人生ですが、金や名誉を手にしても全然幸せそうに見えない主人公に、最後は切なくなりました。

原作は、一樹の学生時代から詳細に描かれているので、ドラマで気になった方は、一度お手にとってみてはいかがでしょうか。

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