グッチ一族【家系図】グッチを崩壊に導いた悪女の策略とは?

世界的な一流ブランドの女帝として君臨し、グッチ一族を破滅に導いた「ブラック・ウィドウ」と呼ばれた女性をご存知でしょうか?その悪女は、2022年にレディー・ガガ主演で『ハウス・オブ・グッチ』として映画化もされます。そこで今回はグッチ一族の家系図やグッチを崩壊に導いた悪女の陰謀をご紹介いたします。
グッチ一族の家系図
◆グッチ一族の家系図
グッチの創業者である グッチオ・グッチ。
グッチオがホテルで皿洗いをしていたときに、王侯貴族の立ち居振る舞いに注目した。
そしてグッチオは、フィレンツェの高級革製品店「フランツィ」で修行し、自分の店を開いて独立。
1922年に「GUCCI」はスタートした。
掲げたコンセプトは“最上の伝統を最上の品質で提供する”というもので、ブランド名にデザイナーの名前を掲げたのはグッチが最初だった。
旅行鞄や馬具などの革製品を扱った専門店だったグッチだが、第二次世界大戦中は皮を使用できなくなりキャンバスやリネンで代用した。
第二次世界大戦の戦火をくぐり抜けたグッチは、ニューヨークにも出店を果たし繁栄していったが、道半ばで1953年グッチオ・グッチはこの世を去る。
グッチオ亡きあと、グッチの事業はグッチオの6人の子供のうち、三男の アルドと五男の ロドルフォに継承される。
アルドはモノグラムや乗馬のモチーフを取り入れるなど、類まれなるセンスを持っていた。
一方ロドルフォは、映画俳優だった頃の人脈を生かし、有名女優にグッチの商品を提供して広告塔になってもらうなどマーケティング能力に長けていた。
そんなアルドとロドルフォ兄弟により、海外進出果たした「グッチ」は、1970年代には世界的にも有名なブランドとなる。
五男・ロドルフォには マウリツィオという一人息子がいた。
6歳のときに母親を亡くしたマウリツィオは、父・ロドルフォの愛情と期待を一身に受けて育った。
グッチの跡取りとして厳しく育てられたマウリツィオは、超がつくほど真面目に成長し、大人になっても父が目を光らせているせいか、恋人すらいなかった。
そんな世間知らずのお坊ちゃまマウリツィオに、妖しく近づく人物がいた。
グッチ一族を崩壊させた悪女の謀略
◆運命の出会い
1970年のイタリア ミラノで開かれていた上流階級のパーティーで、赤いドレスを着た21歳のパトリツィアはグッチの御曹司マウリツィオに目を付けた。
しかし、パトリツィアは取り巻きの女性に混ざるのではなく、マウリツィオに興味がないふりをして無視をしていた。
ちやほやされることに慣れていたマウリツィオは、自分になびかないパトリツィアに興味を持ち、話しかけた。
待っていましたとばかりにパトリツィアは、アメとムチでマウリツィオの感情を揺さぶり、彼のハートを射止めることに成功する。
徐々に親密になっていく二人。しかし、結婚するとなると父・ロドルフォという大きな壁を越えなければならなかった。
パトリツィアは、そんな障害も逆手にとって父親について悩むマウリツィオの相談に乗り「本当のあなたを知っているのは私だけよ。」と励ました。
その後、マウリツィオは反対する父に反抗するように、グッチ家を出て結婚に踏み切る。
そうしてパトリツィアは、マウリツィオ・グッチの妻となった。
◆策略
グッチを捨ててしまったマウリツィオのためにパトリツィアは、グッチ2代目でマウリツィオの伯父にあたる アルドに会いにいった。
アルドはグッチ一族のボスであり、“グッチ”というブランドを世界的に有名にした人物。
パトリツィアは伯父のアルドに、義理父と夫の仲裁を頼んだ。アルドもマウリツィオの能力を評価していたのでこの提案にのった。
その後アルドのおかげで、マウリツィオと父・ロドルフォは和解し、マウリツィオは再びグッチに戻ることができた。
さらにロドルフォは、ニューヨークにあるアルドの店でマウリツィオを働かせ後継者として育てることにした。
うるさい父親から離れ、さらに夫は3代目社長の座を約束されたようなもの…すべてパトリツィアの思惑通りに進んで行った。
◆アルドとパウロの親子抗争
夫が伯父に鍛えられているなか、パトリツィアはロドルフォの目の届かないニューヨークで豪遊生活を始めた。
そんななか、アルドの三男・パウロは、「万人にグッチを着てもらう」という信念のもと、オリジナルのコレクション始めた。
長年提案し続けていた大量生産の低価格コレクションを発表し、スーパーマーケットでの販売も計画していた。
これに、ロドルフォはもちろん、父親のアルドもブランドに傷が付くと激怒し、抗争へと発展する。
さらにその後、ロドルフォはガンよりこの世を去る。
ここからパトリツィアはさらに暴走。アルドとパウロの親子喧嘩を利用して夫・マウリツィオをトップにするためパウロに近づく。
◆女帝誕生
アルドは、以前より自身が50%保有するグッチの株式のうち10%を3人の息子たちに均等に振り分けていた。
それを知ったパトリツィアは、パオロの父に対する憎悪を焚きつけ、才能をたたえ「マウリツィオと新しいグッチを生み出そう」と提案。
パウロはこれに応じ、マウリツィオは彼の保有株式と自身の株式を合計し50%の株を手に入れ、マウリツィオはグッチの 筆頭株主となった。
それを利用したマウリツィオは、アルドをグッチ社長の座から引きずり下ろし、3代目社長に君臨。
パトリツィアは、正真正銘のミセス・グッチとなり、ついに社長夫人の座を手に入れた。
◆亀裂
しかしパトリツィアは、それだけで満足する女ではなかった。
次に、操り人形の夫を差し置いて、自分が グッチの女帝となるという野望を抱き、タロット占いで未来を読むことにした。
イタリアの女性は、昔から占い好きでパトリツィアも例外ではなかった。
そして、占いの結果「あなたは現状に満足していない。なにか新しいことに挑戦すべき。例えばデザインとか」と告げられる。
それを真に受けたパトリツィアは、一度もデザインの勉強をしたこともないのに夫にバッグのアイデアを提案。
しかし、マウリツィオには「遊びじゃないんだ」と一蹴されてしまう。
「 私が社長にしてやったのに」と思っているパトリツィアは、周囲の言葉を無視して勝手にバッグをデザインし販売を始める。
そんなパトリツィアの勝手な行動に、夫・マウリツィオは不満がつのり、ついに家を出ていく。
そこで、パトリツィアはマウリツィオ離婚されないようにと、娘たちを人質にとり会わせようとしなかった。
◆恐ろしい計画
二人が別居してから5年後、またもやタロット占いを頼ったパトリツィアは「夫に女性の影が見える」と告げられる。
調べてみると、実際にマウリツィオは女性と同居しており、新居のリフォームに1憶5千万円かけていることが判明。
「夫の資産は私が生み出したもの! その金は私のものだ!」と怒りに震えるパトリツィアは、新しい女に財産を横取りされることが耐えられなかった。
幼少期に貧しい生活をおくっていたパトリツィアにとって、惨めな生活に戻ることは恐怖そのものだった。
そんななか、パトリツィアは脳腫瘍で倒れる。幸い手術は成功したものの妻を心配して 夫が見舞いにきてくれることはなかった。
そして、マウリツィオが再婚し子どもができると、娘の財産分与が減ってしまうと考えたパトリツィアは、殺し屋を雇い夫を暗殺するという恐ろしい計画を思いつく。
◆計画実行と逮捕
1995年3月27日。マウリツィオはヒットマンにより、会社のエントランスで銃撃された。
マウリツィオが亡くなったことを知ったパトリツィアは、日記にParadiso(=楽園)と綴り、裁判所に向かった。
そして、マウリツィオと暮らしていた女の家を訪れ財産を差し押さえたパトリツィアは、再び豪遊生活を始めた。
その後、マウリツィオ殺害の捜査は難航し、事件は迷宮入りかと思われたが、その2年後 夫の暗殺を依頼したマフィアとの間で報酬に関するトラブルにより、すべての計画がバレてしまう。
警察に逮捕されたパトリツィアは、 26年の懲役判決を受けることになる。
◆グッチ一族の現在
パトリツィアの判決後は、グッチの財政難も加わりグッチ一族は財産を手放し、ケリングに買収され、経営に参加することはおろか「グッチ」の名を使うことも許されていない。
そして、デザイナーのトム・フォードがディレクターに就任するとグッチは再び輝きを取り戻した。
アルドの孫やパオロの次男は、独自のブランドを展開しているがグッチ家のブランドというプロモーションが一切できないため、世界展開は難航している。
一方パトリツィアは、26年の刑期を終え出所。
マウリツィオの財産から毎年100万ドル(約1億900万円)の年金を受け取る契約をしていたこともあり、刑務所にいた間に蓄積された2,200万ドル(約24億円)以上の未払い金を受け取っているとされている。
現在72歳になるパトリツィアは、ミラノでペットのオウムと静かに暮らしている。
映画『ハウス・オブ・グッチ』相関図・キャスト一覧は⇒こちら

最後に
たった一人の女性の欲望のために、崩壊させられた“GUCCI”の創業者一族。
現在グッチといえば誰もが知るトップブランドですが、たった20年から30年前には骨肉の争いからブランド存続の危機にあったとは驚きですね。
そして、稀に見るこのセンセーショナルな「お家騒動」は世界的にも注目され、ついに映像化されます。
グッチの栄枯盛衰をリドリー・スコット監督がどのように描き、レディー・ガガがどんな悪女になりきるのか今から期待が高まります。
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