『真夜中乙女戦争』あらすじから結末ネタバレ!黒服の正体は?

エモい言葉で綴られた、大人になりきれない若者が目指す暗黒郷(=ディストピア)を描いたF著の『真夜中乙女戦争』。青春、恋愛、犯罪どのジャンルにもあてはまる不思議な物語は、正直 好みが分かれる作品だと思いますが、私は飽きずに最後まで読ませて頂きました。そこで今回は、小説『真夜中乙女戦争』のあらすじから結末までをネタバレ有で解説したいと思います。
『真夜中乙女戦争』あらすじ
◆『真夜中乙女戦争』登場人物
◆私・・・18歳大学生。講義やサークルに参加せず友人もいない。、図書館で勉強するだけの鬱屈した日々をおくる。
◆先輩・・・「私」の大学の先輩の女性で同じかくれんぼサークルに所属する。「私」が唯一心許せる存在。
◆黒服・・・「私」が図書館の喫煙所で出会った謎の男。
主人公の名前は明かされず「私」としか書かれていません。また登場人物は少なく、基本的に「私」「先輩」「黒服」の3人ですので人物関係は複雑ではありません。
映画『真夜中乙女戦争』キャストは⇒こちら

◆ひねくれ、こじらせ大学生
18歳の大学生「 私」は、毎日インスタを更新する奴を軽蔑し、東京タワーでいちゃつく恋人を憎悪し、高い授業料のわりに内容のない授業を「つまらない」と切り捨て、無気力な日常をおくっていた。
こんな ひねくれた「私」には、もちろん友人も恋人もおらず、「愛って、永遠ってなんだ。」「眠れない夜はどうすればいい。」と疑問を抱きながら鬱々としていた。
実家は貧乏で、バイトでなんとか生活をする彼は遊ぶ金もなかった。
おまけに、彼は不眠症でいつも目の下にクマができていた。
◆先輩との出会い
そんななか「私」は、かくれんぼ同好会(サークル)の面接で出会った「 先輩」に恋をする。
先輩は真夜中のような黒髪のショートで、非常に憂鬱で美しい顔をした女性だった。
「私」はいつしか先輩とLINE交換をし、東京タワーで初めてのデートもした。
しかし、先輩と手をつなぐことはおろか、彼氏がいるかどうかも聞けずじまいだった。
美しく聡明な先輩は、誰からも好かれる人たらし。先輩は自分だけに優しいだけじゃないと気づいた「私」は、急激にサークルへの熱が冷め、毎晩のように東京タワーまで散歩し、その姿を眺めた。
◆「黒服」登場
再び絶望した「私」に、全身黒づくめの男「 黒服」が声をかける。
黒服は、メルカリ転売、マッチングアプリの開発、株の運用などで一生遊んで暮らせるだけの金を手にした大学生だった。
しかし、黒服は余るほどの金を手にしても、現実には満足せず、人生に退屈していた。
ひょんなことから友人なった「私」と「黒服」。
男も女もみな乙女だ
出逢いを機に「私」は、行動力がある「黒服」のカリスマ性に魅せられ「 東京なんてぶっ壊れてしまえばいい」という思想を胸に暴走していく。
『真夜中乙女戦争』結末ネタバレ
◆真夜中乙女戦争
黒服がまず着手したのは、私設映画館をつくること。
真夜中だけに上映される この映画館には、いつしか人生に挫折し、鬱屈した若者が集まるようになっていく。
黒服は、そんな若者たちが好みそうな言葉を選び、親身に話を聞き、金を貸したりすることで心を掴んでいった。
そして下準備が整ったところで、黒服は崇拝し始めた若者たちに、
・大学の喫煙所に火を放つ
・講義棟の廊下をワックスまみれにする
・創設者の銅像をヴィヴィッド・ピンクに染める
・生徒に偽の休講メールを送る
など戦争と呼ぶには小規模で、いたずらと呼ぶにはかなり迷惑なゲリラ活動を指示した。
この計画により、大学はたちまち混乱に陥り、若者たちは勝利を手にした。
黒服が次に、六本木ヒルズ・スカイツリー・サンシャイン60・都庁の展望台・ミライナタワーへの放火、全国の動物園、ペットショップ、保健所を襲撃し囚われの動物を解放、その混乱に生じて仮想通貨取引所を攻撃することをもくろむ。
この壮大な犯罪計画を黒服は「真夜中乙女戦争」と名付けた。
警察もこの計画を見過ごすはずはなく「黒服」率いる犯罪集団をマークし始めた。
当初、死者を出す予定はなかったはずの計画だったが、黒服はすでに戦争に勝つことだけしか頭になかった。それはまさしくテロ行為そのものだった。
◆先輩か?黒服か?
「真夜中乙女戦争」の標的になるリストのなかには先輩の名前があった。
大学四年生の先輩は、大手出版社に内定が決まっているが、内定取消工作が計画されていた。
「私」は 先輩か黒服かを選ばなければならなかった。そして黒服の組織を裏切った。
真夜中乙女計画が実行される少し前の12月23日。「私」は先輩とホテルに入った。
しかし、「私」が目覚めると先輩は姿を消し、代わりに黒服と常連客が側にいた。
黒服は言った。
「お前は俺に何度も会いに来た。ラブレターも送っている。言葉も、おまえも、役に立たない。」
「私」はホテルのふろ場に逃げ込み、飛び降りようとするがシャワーヘッドで黒服に殴られた。
そして目覚めた「私」は東京タワーの展望台に向かい、黒服と対峙した。
東京タワーの下には「私」の命令通り、下っ端たちが火を放っていた。
次第に展望台にも煙がたちこめ、黒服は胸をかきむしって苦しみだし膝から崩れ落ちた。
「私」は、
「おまえには感謝している。でも僕が最初からやるべきだったのは、おまえを燃やすことだった。」
と言った。
◆結末
組織を裏切った「私」は、燃え盛る東京タワーの展望台で先輩に電話をかけた。
「たぶん先輩の内定は明日か明後日にも取り消されます。大学もその他オフィスも近々、全部消えてなくなります。本もなくなります。彼らは生協も図書館もこの世から消すはずです。あと、先輩が本当はビッチだったってこと、僕は一生、許せないと思います。
先輩は、
「なんとなく、君の仕業じゃないかって思ってた。思ってたけど、誰も君のこと、絶対に許さないと思う。あたしも君のこと、絶対に許さない。本当に最悪だよね、君は。でも、生きているなら、今は、それでよしとしてあげるよ。」
と笑った。-END-
『真夜中乙女戦争』感想と黒服の正体
「結局、何が言いたかったのだろう」最後の最後まで意味が分からなかった~。
感受性の強い若者なら理解できるのでしょうか??
読み返しても やっぱり正解がでなかったけど、それでも不思議と飽きることなく読めました。
久々に、ブラピ主演の『ファイト・クラブ』を思い出しちゃったな~。
一応 私は、黒服という人物は最初からいなくて「私」が作り出した妄想だと解釈しました。
「私」は、東京タワーに魅せられ、憧れ、あげくに東京タワーあてにラブレターまで書くほど狂気じみています。
それはまるで、三島由紀夫の「金閣寺」の溝口のよう。
“おまえは俺と会う前、俺に何度も会いに来てくれた”“東京タワーが燃え尽きたとき、黒服はもうそこにはいなかった”という匂わせもあり、黒服は「私」が具現化した東京タワーだったのではないかと思います。
文体は、twitterで若者が好むバズるフレーズがてんこ盛りで、ちょっと胸焼け気味。
散文っぽく、エモの押し売りが強いので、アラフォーには完全に消化不良でしたwww。
世界観が強く、若い方には刺さりそうですが、年配の方には中二病の主人公に感情移入が難しいかもしれません。
つまり、年代や置かれている状況によって、ハッキリと好き嫌いが分かれる作品だと思います。
しかし、リアルとファンタジーが入り乱れる世界に少しでも引き込まれたなら、勢いで最後まで読めます。
でもね…「動き出せよ」って行動した先がテロな時点で 私は共感はできなかったなぁ。
最後に
新進気鋭の小説家Fによる『真夜中乙女戦争』は、「King&Prince」の永瀬廉さん、池田エライザさん、柄本佑さん出演で2022年に映画化されます。
ハマる、ハマらないはさておき、映画では原作をどのように解釈し、映像化するのか個人的に興味があります。
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