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『平場の月』あらすじ~結末ネタバレと感想!35年ぶりに再会した50歳の恋の行方は?

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どこにでもいそうな50歳の男女のリアルな恋愛を描いた朝倉かすみ著の『平場の月』。今回は、直木賞の候補作にもなった長編の恋愛小説『平場の月』のあらすじから結末と感想をご紹介いたします。

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『平場の月』あらすじ

登場人物

『平場の月』の登場人物は、

青砥健将(50歳)・・・妻子と別れ、母の面倒を見ながら地元の印刷会社働く。
須藤葉子(50歳)・・・青砥の中学時代の同級生。病院の売店で働く。

この二人がメイン。

そこに、かつての同級生や家族、青砥の職場の人間が、ちょこちょこ出てくる感じなので、人間関係は複雑ではありません。

『平場の月』あらすじ

50歳になる 青砥健将は、都内で妻と二人の子どもと暮らしていたが、6年前に父を亡くしたことを機に、一人残された母の近くで暮らそうと地元の埼玉に中古マンションを購入。

都内の製本会社から地元の印刷会社に転職もした。

その後、妻子と別れ、マンションも売却。

3年前に脳卒中で倒れ施設で暮らす母親の面倒を見ながら、実家で一人暮らしをしている。

そんななか、体の不調を感じた青砥は検査に訪れた病院で働く、中学時代の同級生、 須藤葉子に再会する。

中学生のときから太く(体ではない)、どこかどっしりと構えていた須藤に、青砥はかつて告白しフラれた過去があった。

二人は、お互いの近況を話すうちに、酒を飲む仲となった。

その際に青砥は、彼女が地元にかえって一人暮らしをする前に、親友の夫と結婚、離婚を経験し、若い男に貢いだなど波乱万丈の人生を歩んできたことを聞かされる。

そして現在、彼女も体の不調を感じ、精密検査を受けていた。果たしてその結果はー。

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『平場の月』結末ネタバレ

『平場の月』では結末が冒頭に書かれており、同級生から須藤が亡くなったと聞いた青砥が、お供え用の花を購入する場面から物語が始まります。

つまり須藤が、病気で亡くなってしまうということを分かったうえで、二人の恋愛模様が描かれていきます。

50歳過ぎならば“大人の恋”というスマートなイメージがありますが、二人は同級生というだけあって、会話はフザけた感じで中学生のまんま。

おまけに、お金に余裕がないので狭いアパートで家飲みで、つまみはスーパーのお惣菜…。

男女の関係はないのかと思いきや、やることはやって。

うらぶれた感じが、めちゃくちゃリアルで地方都市にいけば、こんな人たちゴロゴロいそうだな~。

50歳がイチャついているのは、なんだか小っ恥ずかしく、こんな年で恋をしていいのかという罪悪感や、地元なので、周りの目も気になります。

そんな二人は、周囲になんとなく気づかれながら、距離を縮めていきます。

そして、機は熟したとばかりに、須藤の検査が終わった日に青砥は「 一緒にならないか」とプロポーズします。

しかし自分の命が長くないと知っている須藤は「 それ言っちゃあかんやつ」(なぜか関西弁www)と答え、プロポーズを断ります。

何も知らない青砥は、食い下がり「 1年はお前の言う通り会わないが、1年後に温泉旅行に行く。」とインターバルを置くことを提案します。

ここで須藤が、もう少し自分の思っていることを青砥にぶつけたら、二人の関係はそのまま続き、看取ってもらえるのにと思いましたが、須藤はそんな性格ではありません。

自分が亡くなることを知っていて青砥に甘え、頼るのはイーブンではないと考える須藤のこだわり。

ここは、なかなか理解できませんでした。最期は大切な人と過ごしたいと思うのが普通じゃないのか?結婚じゃなくて一緒にいるだけでもいいじゃないか。

須藤の妹が姉のことを「自分の弱いところを隠す野生動物みたい」と言っていましたが、まさにその通り。

もしかしたら、須藤は病気が治っても、いずれ青砥とは距離を取ろうと思っていたのではないかとも思いました。

青砥も、今でこそ須藤を献身的に世話をする、そこそこハンサムな中年男性ですが、若い頃は二股して、結婚することになったらハエ叩きで追い返すような、まぁまぁイタイ奴

別れた妻は、男に相談するフリを無意識に色気をふりまく女というところも、見る目なさすぎ。なんで、こんな しょうもない見た目だけの女に惚れたのか…。

そんな青砥も須藤と再会してからは、50歳とは思えない乙女ぶりを発揮。

1年後の復縁を期待してカレンダーを何度も見たり、LINEにメッセージを入れたり…。

でも、須藤からの連絡はなし。

そして、一年後に、彼女がすでに死んでいたということを同級生から聞かされます。ここが一番やるせなくて、虚しい

ちゃんと 「さよなら」も言えないままの別れ

かろうじて須藤の妹から、須藤の最期の様子が聞けたものの、これじゃ青砥はずっと須藤を忘れられないですね。

それにしても、ゴシップの発信源みたいな同級生のウミちゃんは、地元にも「こんな、ぬるっとした女。いるいる!」と妙に共感してしまいました。

最後に

五十を過ぎても…五十を過ぎたからこその人生最後かもしれない等身大の恋愛と、大多数の平場で生きる人々の普通の人生が詰まった『平場の月』。

病気が悪化していく後半を読み進めるのは、けっこう辛いものがありますが、最後の駐車場に根を張ったローズマリーのシーンは、二人の重ねた日々を表現しているようで、一筋の希望を感じました。

読み終えて、「面白い!」というよりは、「静かに噛みしめたい」という感覚になれる作品。映画化も決定しているようなので、そちらも期待したいです。

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