『ドクターホワイト(小説)』ネタバレ!あらすじから結末まで
突然公園に現れた謎の少女は、驚異的な医学知識と天才的な診断能力を持っていた!そんな神秘的な少女の活躍と、病院の経営を巡る争い、組織の陰謀を描いた小説『ドクターホワイト』のあらすじから結末ネタバレをご紹介いたします。
『ドクターホワイト』あらすじ
◆登場人物
◆白夜・・・公園に突然現れた謎の少女。肌が異常なほど白く、医学に関する優れた知識を持つ。
◆狩岡将貴・・・編集者。公園で白夜を発見。初対面の白夜からピロリ菌を見抜かれる。
◆高森麻里亜・・・高森総合病院の医師で、創立者の娘。将貴とは中学時代からの付き合い。
◆高森勇気・・・麻里亜の兄。優秀な研究者で医師だったが失踪して行方不明。
◆高森厳・・・高森総合病院の創立者で麻里亜の父。末期がんを患っている。白夜を医療チームに誘う。
◆狩岡晴汝・・・将貴の妹。謎の身体の不調で看護学校を休学している。
◆西島耕助・・・高森総合病院の精神科医。
◆仙道直樹・・・高森総合病院の若き脳神経外科医。
◆夏樹拓美・・・高森総合病院の皮膚科医。プライドが高く、遊び人。
◆不破尊・・・高森総合病院の総合外科医。
◆真壁仁・・・高森総合病院副医院長。心臓血管外科医。
◆藤島大器・・・ファンドグループJMA代表で30代。病院建て直しに真壁が手を組んだ相手。
◆神足学人・・・JMAの医者。DCTの夏樹とは大学の同期だった。
◆不破 尊・・・JMAのリーダー。
◆倉田真奈美・・・JMAのメンバー。アメリカでとび級を繰り返す。19歳でワシントンメディカルセンター卒業
◆あらすじ
早朝の公園で、出版社の編集者をしている 狩岡将貴は、白衣一枚だけを着た謎の美少女を発見する。
倒れた白夜を心配した将貴は、中学時代からの付き合いの高森総合病院の医師である 高森麻里亜に連絡し、病院に連れていった。
幸い命に別状のなかった少女だったが、「白夜」という名前以外は、苗字、年齢、住所さえ語ろうとしなかった。
一方で彼女は、将貴の息の匂いからピロリ菌による胃痛を患っていることを言いあてた。
実は彼女には どんな病気も見抜く、天才的な「診察」能力が備わっていた。
そんななか、将貴の妹・晴汝が体に不調を訴えて高森総合病院に搬送される。
晴汝はもともと脳の病気を持っているので、脳神経外科医の 仙道直樹は脳の腫瘍が原因だと診断したが、白夜は兄の将貴と同じくピロリ菌が原因でビタミンB12欠乏症が原因だと主張。
麻里亜をはじめ医師たちは半信半疑だったが、白夜の言う通り晴汝にビタミンB12を投与すると回復した。
これを見ていた高森総合病院の創立者で院長の高森厳は、白夜の医学知識を認め、病院建て直しのため「 診断協議チーム(DCT)に加わって欲しい」と提案する。
白夜はこの申し出に承諾し、将貴の自宅から高森総合病院通い勤務することが決まった。
将貴は白夜の居場所が見つかりホッとしたが、白夜が最初に着ていた白衣に発信機が縫い付けられていたこと、未だに自分のことを語らない彼女を不安に感じていた。
『ドクターホワイト』ここからネタバレ
◆現代のカスパー・ハウザー
将貴は白夜が、現代のカスパー・ハウザーだと考え始めていた。
カスパー・ハウザーとは、
ドイツの孤児。16歳頃に保護されるまで長期にわたり地下の牢獄(座敷牢)に閉じ込められていた。特異なまでの鋭敏な五感を持っていたことでも知られており、暗闇でも聖書を読めたり色彩を判別できるのみならず、金属を握っただけで鉄や真鍮などその材質を見抜いたり、遠く離れたクモの巣に獲物がかかっていることを言い当てた。その後、詳細が明らかになる前に何者かによって暗殺された。
と言われている人物。
白夜もガスパーと同じく、医療の知識は並外れていたが、羞恥心がなく、人間の感情を理解できず、裸足を好むなどの傾向が見られた。
◆白夜に発信機を仕掛けた人物が判明
将貴は大学の友人で警察官の奥村淳平に頼み、白夜が失踪者情報のリストにないか調べてもらった。
結果、リストに白夜とみられる少女はおらず、指紋も一致しなかった。白夜は正真正銘の行方不明者だった。
しかし、白夜の取り付けられた発信機の契約者は分かった。
その人物は、失踪している麻里亜の兄・ 高森勇気だった。
「窓のない建物に閉じ込められて育った。そしてここにいると、もうじき殺されるからと言って誰かに連れ出された。」
間もなくして白夜は、自分の過去について少しだけ話した。
将貴は、白夜の育った環境には、巨大な犯罪組織が絡んでいるかもしれないと思った。
◆病院の買収
そんななか、高森総合病院に買収問題が持ち上がる。
立て続けに誤診を起こした高森総合病院は、患者が減り経営が悪化し、単独での再建が難しくなっていた。
そこで、ファンドが資本参加することになったが、そのファンドグループは、再建してはすぐに売却して利益を得ているような会社だった。
そして、白夜も物珍しさから売りモノにされる恐れも出てきた。
数日後、病院の副院長の真壁の案内でファンドグループの代表の藤島がやってきて、将貴と白夜を自宅での食事に招いた。
藤島の自宅にやってきた将貴と白夜だったが、そこで藤島の5歳の息子の誠が階段から転落して高森総合病院に搬送される。
病院で誠は、頭を打ったにもかかわらず腹痛を訴えパニックに陥った。
次第に弱っていく誠。しかし、医師たちは、誰も明確な原因を突き止められずにいた。
そんななか白夜は、藤島の自宅を調べたいと言い出し、こっそり将貴と麻里亜と共に藤島の家の中に忍びこんだ。
白夜はそこで、テントウムシを発見しポリ袋に捕獲した。
そして病院に戻った白夜は「誠くんの病状は、ジュウサンボシゴケグモという強力な毒を持つ蜘蛛に刺されたことが原因だ。」と告げた。
その毒グモは、テントウムシに似た模様をしており、誠が捕まえようとして刺された可能性があった。
藤島はアンティークが好きでヨーロッパから家具を輸入していたが、そこに日本にはいないクモが一緒に運ばれてきたのだった。
その後、白夜の診断ですぐに血清を打った誠は、無事に回復した。
これにより藤島は、診断協議チーム(DCT)と白夜の存在意義を認めざる得なくなった。
一方で、様々な根回しをして藤島という投資相手を見つけた真壁は、この状況を苦々しく思うのだった。
◆狂犬病
高森総合病院にグラビアモデルの日比野カンナが運ばれてきた。
彼女はバリ島での撮影中に、おかしな言葉を口走り、体の関係にあったカメラマンに突然キスをした。
焦ったカメラマンはカンナを突き飛ばしたが、その際にカンナは切り株に頭をぶつけ泡を吹いて倒れた。
その後もカンナは水もうけつけず、うわごとを繰り返すばかり。
医師たちは、薬物中毒を疑っていたが、白夜はまたもや驚くべき診断を下した。
「彼女の病気は、バリ島のコウモリによって感染した狂犬病です。」
狂犬病という病気は、発症すると100%助かる見込みがない。
しかし白夜は、カンナを眠らせ、狂犬病ウィルスが内蔵にダメージを与えるような指令を出さないように麻酔剤を投与した。
そしてカンナは助かった。
一方で、高森総合病院の院長で麻里亜の父・高森厳は、末期がんにより息を引き取ろうとしていた。
その際、厳は白夜に 「白夜くん、医者になれ。」という言葉を残して亡くなった。
◆勇気との再会
数日後、将貴は行方不明になっていた高森勇気と待ち合わせていた。
現れた勇気に、将貴は厳が亡くなったことを伝え、4年間どこに姿を隠していたのか尋ねた。
しかし勇気は「それは言えない。君がそれを聞いたら公表しようとするだろう。そうすれば君はもちろん、白夜も殺されてしまう。でも、僕が捕まらなかったら白夜は無事だ。彼女に何かあったら、 必ず彼らの存在をバラすと伝えているからね。」と答えた。
そして、勇気は「これ以上、一緒にいると危ない…」と言い残し、去っていた。
その際、将貴のパーカーのポケットにメモを忍ばせていた。
メモには「Rn null」と記されていた。
◆Rn null
将貴は、帰宅してすぐに「Rn null」で検索をかけた。
ヒットしたのは特殊な血液型に関するものだった。
人間の血液にはRh抗原といわれるものがあり、輸血をする際にはこれらの因子が同一のものを用いないと拒絶反応がおこる。
しかし、まれにRh抗原を持たない血液があり、これを「Rn null」と呼んでいた。
「Rn null」は「黄金の血液」と呼ばれ、どんな血液型にも輸血できるが、逆に輸血される場合は「Rn null」のものしか受け付けない。
勇気が伝えた「Rn null」は白夜とどのようか関係があるのか?
さらに、勇気が話す 彼らとは一体どんな組織なのか?
『ドクターホワイト』感想
白衣だけをまとって突如、公園に現われた美少女という設定は現実離れしていますが、ピロリ菌、毒蜘蛛、狂犬病など私たちの身近に潜む病気などが実にリアルに描かれているので、グイグイ物語に引き込まれました。
自らの素性を全く明かさない白夜が、どんどん患者を救っていく姿は爽快。
また、将貴をふくめ周囲の人間との関わりで、徐々に感情を表わしていく白夜の変化は面白く、将貴、麻里亜、白夜の三角関係ももっと見たいと思わせてくれます。
しかし、結末では、白夜を閉じ込めている組織?や勇気の失踪の理由などは謎のまま。
かなり匂わしたわりに、最後は分からず仕舞いで肩透かしを食らいました。
病院を乗っ取ろうとしている真壁や、それぞれの専門医の人物背景ももっと知りたかったのですが。
これはぜひドラマで、明かされて欲しい~!!
ドラマ『ドクターホワイト』相関図キャストの記事は⇒こちら
最後に
「ドクターホワイト」は、よくよく調べてみると、続編となる『ドクター・ホワイト 神の診断』というものが刊行されていました。
ドラマより先に続きが気になった方は、ぜひお手にとってみてはいかがでしょうか?
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