『おまえの罪を自白しろ』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで解説

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幼児誘拐事件が政治家一家に襲いかかる。犯人の要求は身代金ではなく記者会見で「すべての罪を自白しろ」という前代未聞の要求だった。今回は映画化も決定している政治ミステリー『おまえの罪を自白しろ』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『おまえの罪を自白しろ』登場人物&相関図

登場人物

【宇田一族】
宇田晄司・・・宇田家の次男。親友に騙され会社経営に失敗。地元に戻り父の秘書を務める。
宇田清治郎・・・建設省官僚を経て地元の衆議院議員に。現在六期目。九条派。
宇田揚一郎・・・宇田家の長男。埼玉県議。日本新民党県連幹事長。
緒形麻由美・・・宇田家の長女。誘拐された柚葉の母。
緒形恒之・・・政界進出を狙って麻由美と結婚。現在は埼玉県の市議会議員。
【日本新民党】
安川泰平・・・内閣総理大臣。日本新民党総裁。九条派出身。
湯浅哲道・・・官房長官。次期首相を狙う。
九条哲夫・・・前厚労大臣。九条派会長。
木美塚壮助・・・党幹事長。安川総理のライバル派閥の会長。
【埼玉県警】
平尾宜樹・・・埼玉県警刑事部捜査一課警部補。ある事件で宇田清治郎を取り逃がす。
高垣義弘・・・埼玉県警刑事部部長補佐。警視正。県警と宇田家の連絡係を担う。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

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『おまえの罪を自白しろ』あらすじ

事件発生

埼玉県のとある農道で、緒形麻由美は3歳の娘・柚葉を自転車に乗せて公園から帰宅していました。

麻由美の父は、地元では知らない者がいないほどの名士で衆議院議員の宇田清治郎

兄・楊一朗は党県連幹事長、次男・晄司は父の秘書、麻由美の夫・緒形恒之も政界進出を狙って市会議員を務めている政治家一家です。

そんななか自転車乗った麻由美は何者かに突き飛ばされ、転倒したすきに柚葉を誘拐されてしまいます。

犯人からは「記者会見で、すべて罪を自白しろ」との要求が!

犯人の狙いは身代金ではなく、政治家・宇田清治郎に罪を自白させることでした。

宇田清治郎の疑惑とは?

現在 宇田清治郎は、共事業にまつわる不正を追及されていました。

清治郎は、どこかのパーティーに参加した際に、最初の橋の建設予定地から少し離れたところに、安川総理の友人が所有する土地があることを耳にしました。

そこで清治郎は、安川総理の友人に利益をもたらすため事業を進める県の幹部に事実を伝え、橋の建設予定地を変更させていました。

総理の友人を手助けできれば恩を売り、将来の大臣就任に繋がるはずだと思ったからです。

あくまでも圧力をかけたわけではなく、結果を期待しながらも何となく打ち明けたと清治郎は言います。

いわゆる忖度というやつですね。

これまで、その疑惑に対して清治郎は白を切り通してきましたが、新米秘書である次男の晄司には真実かどうか確かめるすべもありませんでした。

晄司が秘書になった理由

晄司はもともと政治に嫌悪感もあり、父に反発するように大学卒業後は家を出て友人と起業しました。

家と父のことは優等生の兄・揚一朗に任せ、店舗デザインと内装の会社を経営。

しかし、共同経営の友人の裏切りにあい、晄司の会社は三千万円の負債を抱えることに。

どうにもならなくなった晄司は結局 父を頼り、借金の清算と引き換えに秘書になったのでした。

孫娘の命か政治生命か

誘拐事件に話は戻ります。

犯人は清治郎に罪を告白させることでどんな利益を得られるのでしょうか。

例えば、清治郎が議員辞職をすれば別の議員が埼玉を支配でき、その議員とつながりのある会社に利益があるかもしれません。

また、清治郎の女性関係からくる痴情のもつれや個人的な恨みを持つ者の犯行とも考えられます。

確かに 政治家ゆえに清治郎には、過去にいくつか心当たりのある「罪」はあります。

犯人の要求通り「罪」を告白すれば、党内で力を失うことはもちろん、最悪 築いてきた地盤、政治家一族が滅びることも有り得ます。

一方で、可愛い3歳の孫娘が命を奪われかねない事態に清治郎は苦悩します。

そこで清治郎は、罪を告白する代わりに宇田家の地盤だけは守るという苦渋の決断を下します。

記者会見まで10時間と迫るなか、清治郎は湯浅官房長官に「指揮権発動」について直談判をしました。

指揮権発動が約束された場合、清治郎は罪を告白しても逮捕されることはないからです。

もちろん罪を告白する際には、総理の関与に沈黙を貫くことを約束。

橋の建設事業を発注する立場にあった県議会議員の長男・揚一郎の衆院選の公認は無理も承知、娘婿の恒之もまだ若手なので国政に出ることは考えていないが、次男の晄司を公認してほしいと頼みました。

湯浅官房長官はしばらく考えたのち、総理に相談する旨を清治郎に伝えたのでした。

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『おまえの罪を自白しろ』結末・ネタバレ

記者会見

記者会見まで3時間と迫ったなか、官邸からは指揮権発動の確約も、晄司を公認の件についても連絡はありません。

清治郎は孫娘を救うために罪を告白する決意でいましたが、官邸からの保証がなければ不正な公共事業に総理が関与していたことを話すしかありません。

総理を道連れにすれば、宇田一族も滅びるでしょう。

一方で自分だけ罪をかぶれば、晄司たちに地盤を引き継がせる希望もあります。

記者会見の時間がやってきました。

結局、官邸からは指揮権発動や公認の保証を伝える連絡はありませんでした。

清治郎は多くの報道陣が集まるなか、フラッシュを浴びて会見を始めました。

●政治資金を着服した秘書を殴りけがを負わせたこと。
●親しくしていた建設会社の子会社から裏金を受け取ったこと。
●その子会社が所有する駐車場を公金で買い上げたこと。
●受け取った裏金でライバル議員の女性スキャンダルを暴いて、失脚させたこと。

清治郎がこれらの罪を告白しましたが、総理の関与が疑われる橋の建設に言及しないことに報道陣は不満を漏らしました。

一発逆転!再びの会見

会見からほどなくして犯人からは「まだあるはずだ。おまえの罪をあらいざらいすべて自白しろ」と次の脅迫が付きつけられました。

警察はまだ隠していることはないのか?と清治郎の問い正します。

考えられるのは、橋の建設予定地変更の件です。

しかし、この件を自白すれば安川総理の関与も告白しなければなりません。

ここで晄司は起死回生の一手を打つことにしました。

それは総理のライバル派閥である党幹事長の木美塚壮助に寝返ることです。

晄司は木美塚に、会見で安川総理を総理を失脚させる代わりに、次期衆院選での公認の約束を取り付けました。

密約後、清治郎はその日のうちに2回目の会見を開き、橋の建設ルート変更を認め、安川総理を擁する九條派のトップ・九條哲夫が関与していたことを自白しました。

そして会見直後、犯人より「日の出町緑地を探せ」との書き込みがあり、捜索にあたった警察によって孫娘の柚葉は発見されました。

黒幕と真相

柚葉が無事だったことに安堵した宇田家の家族たちでしたが、肝心の誘拐犯は捕まっていません。

そんななか晄司は、警察よりも早く真犯人に気づき一芝居うつことを計画しました。

実は清治郎が推し進めていた公共事業は、橋の建設の他に老朽化した競艇場の移設と日の出町緑地の再開発というものがありました。

清治郎は議員辞職会見で、その日の出町緑地の調査を宇田家の自費で継続すると話したのです。

会見した直後、警察は日の出町緑地で地面を掘り返そうとした男を逮捕しました。

男の名前は寺中勲

寺中の逮捕により新たな事実が発覚します。

遡ること24年前。寺中と交際していた光山初美は彼と共謀して夫の命を奪い、その遺体をこの緑地に埋めました。

さらに犯行に気づいた初美の弟も、口封じのために寺中に葬られ埋められたました。

そして事件が風化されかけた頃、寺中と初美のもとに緑地公園が再開発されるという情報が飛び込んできたのです。

このままでは遺体が見つかかってしまう…

危機感を覚えた二人は孫娘を誘拐し、その引き換えに清治郎に罪を告白させることを思いつきます。

彼を失脚させれば、公園の開発中止は避けられない目論んだのでした。

初美は県下に七軒もの店を展開するセレクトショップの社長ということもあり、うまく清治郎の後援会に潜入して情報を収集。

初美から宇田家の予定や情報を知らされた寺中は、孫娘誘拐の実行役として動いていたのです。

結局、事件の真相は政治がらみではありませんでした。

結末

孫娘を誘拐されたうえに、政治生命を絶たれるほどの自白をした宇田清治郎。

そして、一方的に緑地公園の再開発を継続する身勝手な発言をして批判の矢面にたった宇田一族。

しかし、これもすべて 犯人逮捕に協力するため

申し訳なかったが、どうかご理解いただきたい。これで柚葉を安心して外で遊ばせることができる。今後も地元のために力をつくしていきたい。

こう話した宇田家は世間から称賛を受け、見事な一発逆転劇を果たしました。

時は経ちー。

晄司は清治郎の地盤を継ぎ後継者として初当選をしました。

実は晄司の会社を潰したのは、彼の政治家としての適性を見抜いていた清治郎の仕業でした。

清治郎の見る目は間違いのないものでした。

その清治郎は現在、地元財団の理事となり晄司を陰ながらの援護しています。

会見で安川泰平を総理の座から蹴落とし、木美塚壮助に寝返った宇田一族には、これから それなりのポストが与えられることでしょう。

政治家・宇田晄司の戦いは、まだまだ始まったばかりです。-END-

『おまえの罪を自白しろ』感想

誘拐事件に政界スキャンダルを盛り込んだ真保裕一さんによる『おまえの罪を自白しろ』。

真保さんといえば雪山冒険サスペンス「ホワイトアウト」や外交官をモデルとした「アマルフィ」などエンターテイメント要素のあるミステリーを得意とする作家さんです。

今回も期待通り、タイムリミットのある設定で緊迫した世界を作り上げています。

不正な公共事業が絡む政治家の忖度といえば、昨今でも問題になっていたので入りやすかったですが、金、権力、保身、隠蔽など汚い世界にどっぷりはまった政治家一家への感情移入は難しかったです。

伏魔殿のような政治の世界で旨い汁を啜ってきた彼らが、なんとか地元で生き残るという結末は、勧善懲悪ではないですがリアルに締め括られました。

地元にのさばる世襲議員、「秘書が勝手に」の常套句、都合が悪くなったら入院とか、政治家あるあるも沢山登場します。

誘拐事件の真犯人はあっけないものでしたが、最初は頼りない新米秘書だった晄司が、政治家として覚醒し、狡猾に動いていく姿も印象的でした。

晄司は、実際のところ警察以上の推理力を発揮して事件解決もしました。

ミステリー、政治モノに加え、政治家誕生という要素も楽しめる作品となっていますので、映画公開で興味を持った方もぜひご一読ください。


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