『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』ネタバレ!あらすじから怒涛の結末

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は、反抗期真っ盛りの女子中学生が、戦争末期の日本にタイムスリップし、特攻隊員の青年と交流を深めるなかで戦争の残酷さ、真実の愛を知るお話です。そこで今回は映画化も決定した小説『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のあらすじ~結末をネタバレ有りでご紹介いたします。

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』登場人物

登場人物

加納百合・・・中学2年生。物心ついた頃から父親の顔は知らず、母親と二人暮らし。ある日突然1945年戦争末期の日本にタイムスリップする。
佐久間 彰・・・20歳の特攻隊員。北国出身。タイムスリップし動けなくなっていた百合を助ける。早稲田大学で哲学の研究をしていたが赤紙(臨時召集令状)が届いてしまう。
ツルさん・・・鶴屋食堂の女将。行き場のない百合を住み込みで働かせてくれる。
千代・・・近所の魚屋の娘。毎日店に魚を配達してくれる少女。
石丸智志・・・特攻隊員。二十歳。千代のことが気になっている。明るいムードメーカー。
寺岡昌治郎・・・特攻隊員。二十九歳。包容力のある穏やかな人柄。
加藤・・・特攻隊員。二十六歳。熱い性格。中学校の教師をしていた。
板倉・・・特攻隊員。十七歳。大きな商家の四男。お坊ちゃま。

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』あらすじ

中学2年生の加納百合は、ある日突然、第二次世界大戦中の日本にタイムスリップしてしまう。

行き場のない百合は、特攻隊員佐久間 彰に連れられ行った鶴屋食堂で住み込みで働き始める。

慣れない生活に戸惑う百合に、彰は花が咲き誇る丘に連れて行ったりして元気づける。

百合は、戦争末期の日本の少年、少女が、勉強したくてもできないことを知り、自分がいた時代を懐かしく感じていた。

そんななか、彰が飛行機に乗って敵に体当たりする特攻隊員だと知りショックを受ける。

ある日、百合は「早く日本が負けて戦争が終わればいい」と言ったのを憲兵に聞かれ、きつく問い詰められてしまう。

しかし、そこに駆けつけてくれた彰が助けてくれことで、百合は彼に恋心を抱くのだった。

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『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』結末ネタバレ

そんななか大きな空襲に遭遇した百合は、命の危険を感じるが彰に間一髪のところで救い出される。

彰が特攻に出撃する日が近づくなか、百合は彰を誘い出し「 彰が好き。だから一緒に逃げて。」と告白をした。

「ここで逃げることはできない」という彰に、百合は自分は未来からやって来て日本は負けて戦争は終わることを知っていると告げた。

将来には平和が待っていると安堵する彰だったが、「きみがいた未来を変えたくない」として特攻に出ることを決意する。

そして、彰は百合に口づけをした。

彰が出撃する日がやってきた。

彰は飛行機に乗る直前に、百合に“ユリの花”を手渡した。

飛び立つ彰を見送ったあと百合は泣き崩れるが、すぐにタイムスリップした場所に向かい「もう一度、彰に出会った日に戻して」と祈った。

そして百合は目を覚まし、外を見るとそこは現代の日本だった。

戻ってきた百合を見て泣いて叱ってくれたのは、かつて自分が反発していた母親だった。(百合がいなくなっていたのは、現代では一晩だけだった。)

反発していた母親が、自分を本当に心配してくれていたことを理解した百合。

そして、当たり前の日常に戻った百合は、学校の課外授業で「特攻資料館」に行くことになった。

そこで彰の写真と手紙を見つけた百合。

手紙には、

君と語らった百合の花さくあの丘で こんな手紙を書いても君を悲しませるだけかもしれない だが俺はもうすぐあの空に散る 少しばかりのわがままは許してくれ 戦争などない時代に君と一緒に暮らせたら―そう思うこともある (中略)俺は精一杯生きた それでいい 君と過ごした日々を思えば死はそれほど怖くない (中略)百合 心から愛している

と綴られていました。

時を越えて、彰の気持ちを知った百合は涙を流します。

それからしばらく経った頃、百合は、彰に似た青年が学校を見ながら佇んでいるのを見つけます。

その青年は振り返り「君ここの学校の子?俺 来週から編入するんだ」と言って、百合に握手を求めました。

百合は、その青年と初めてめて会うのになぜか懐かしく、ずっと前から知っていたような不思議な感覚をおぼえるのでした。-END-

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』感想

主人公の百合は、母親に反発し学校も退屈で反抗ばかりする日々をおくるなか、第二次世界中の日本にタイムスリップしたことで、現代がいかに恵まれていたかを実感します。

戦火が激しくなるなり、親を失い反抗する機会さえ奪われ、学校で学ぶことさえ出来ない子ども達。

そして未来ある若者たちが、散っていくことを「喜び」と語る残酷さ。

本書を読めば、戦争があった時代がいかに辛いもので、今 私たちが当たり前に過ごしている日常が、彼らの犠牲の上に成り立っていることを実感できます。

そして百合が恋をする彰は、今の20歳とは比べものにならないほど、国の将来や家族のことを考えるしっかりした青年。

そんな彰たち特攻隊員を通して描かれる戦争は、美化されるでも、頭ごなしに否定されるわけでもありません。

ただ、隊員たちの「家族のために戦う」「大切な人のために生きたい」という素直な想いが真摯に伝わってきます。

また、百合を雇ってくれた鶴屋食堂のツルさんは、「特攻の母」と慕われ、実在した富屋食堂のトメさんがモデルでしょうか?史実に基づくエピソードもあるのでリアルです。

そしてラストは、ハッピーエンドとはいえませんが彰の生まれ変わり?が登場して希望のある最後となりました。

ちなみに「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」という続編も発表されており、百合と編入してきた青年・涼との“その後”も描かれています。

歴史ものが苦手と言う方もいますが、本作は平易な文章で書かれており、主人公はどこにでもいる女の子なので、小中学生にもぜひ手に取ってもらいたいと思います。

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  1. としぼー

    彰の紹介文に「早稲田大学…赤紙がくる」と書いてますが、「赤紙」は正式には「臨時召集令状」と云って現役兵役(二十歳で徴兵)を満期で除隊した人達を「召集」する為に発行されたものです。
    その色が現代で言うところのピンク色なので俗に「赤紙」と呼ばれました。

    一方、彰の様な大学生は卒業するまで「徴兵猶予」がありましたが「繰上げ卒業」により徴兵される事になりました。
    従って「赤紙(召集)」ではなく「徴兵」なのです。

    もしも原作に「赤紙がくる」と書いていたならごめんなさい、作者の文責ですね。

    更に中2の小娘が20歳(当時の20歳は現代の30歳位に見えた筈)男性を呼捨てにするのは笑止千万ですが、そんな小娘に呼捨てにされた大正15年生まれであろう彰くんはどんな心境だったんでしょうね(笑)

    • pikarine

      ご指摘ありがとうございました。詳しい補足もして頂き、参考になりました。

  2. 通りすがりのオタク女子

    初めまして!映画化告知を知って原作に興味を持ちました。
    さらっと読んだのですが、中高生ならはまるかな?と思いましたね。
    うーん、百合ちゃんの言い分も分かるけど頭ごなしで当時の人の気持ちを踏みにじる言動はどうなのかなと終始気になってしまいました。

    • pikarine

      ブログへのご訪問ありがとうございます。
      確かに百合は、親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの生活をおくっていたため卑屈になっています。
      でも、戦争を体験し「人の命より国を重視する戦争なんて病気だ」など、彼女なりの気づきもあり、成長する姿も見どころの一つですね。

    • 通りすがりさんへ

      百合は現代っ子というあくまでも作中設定なのでそういう
      思考や発言をしてしまうキャラ付けなのは
      仕方ないと思います。なので若い人は百合に
      共感できるかも知れませんが戦争ものに
      関心がある人がターゲットになりがちなので年代関係なく、
      モヤモヤを覚えてしまうかもですね。
      戦争は正しかった、お国の為に死になさいと伝えるものはほとんどないので戦争は無駄だ、それよりも大切な人に生きてほしい、という感情になりがちです。あくまでも現代人の感覚
      そのものです。テレビでは戦争はくだらなくバカで愚かなこと
      だという発言を欲しがります。全員本心なら良いですが
      言わされているだろうと思うシーンもただあるのです。口を紡ぐ人は皆悔しそうでした。泣いていました。戦友には罵倒ではなく労いと感謝の言葉しか出ていませんでした。人の死がなければ日本は負けたとしてもより多くの女子供が亡くなるか
      植民地化し領土はさらに減って言語も変わっていた可能性も
      あります。百合を幼稚と感じるのもよくあるテレビ向けの演出だと感じるとは思いますね。別の方から呼び捨てが失礼だとの意見もありますが確かにそこはどうなんでしょう?今より女は一歩下がれの時代でしょうに懐が広いですよねwもしかしたら彼もタイムリーパーなのでは??だとしてもまた面白いし違和感のカバーも多少可能になりますね。現代人の少女と当時の青年との恋愛モノという題材は滅多に無いですし素敵な作品だとは思いますが逆バージョンの方が人気は出そうでしたが…。