『アンダーカレント』ネタバレ！至福の漫画体験の結末は？

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漫画『アンダーカレント』は、夫の失踪で途方に暮れる女性と、彼女をひっそりと支える男の姿を描いた叙情ミステリーです。今回は映画化も決定した『アンダーカレント』のあらすじ～結末をご紹介いたします。

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『アンダーカレント』登場人物

◆登場人物

◆関口かなえ・・・銭湯「月の湯」を経営する女性。共同経営者だった夫・白石悟が失踪したため、組合の紹介でやってきた堀を雇う。
◆白石悟・・・関口かなえの婿養子。かなえとは大学のゼミで知り合った。かなえと銭湯の共同経営者だったが、組合での旅行先で失踪する。
◆堀隆之・・・組合の紹介を経て、月の湯で働くことになった。寡黙で自分の過去を語ろうとしない。
◆田島三郎・・・元テキ屋の老人。家賃を滞納するなど適当な性格。噂好きで堀に話相手になってもらう。
◆山崎・・・調査会社で働く探偵。3ヶ月間白石悟の調査を行う。かなえの大学時代の友人の夫の知り合いでかなえと出会う。

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『アンダーカレント』あらすじ

2年前に父が亡くなってから関口かなえは、婿養子の悟と共に家業の銭湯を細々と経営していた。

ところが2か月前に悟が組合での旅行先にて失踪してしまう。

しばらく銭湯「月の湯」を休業していたかなえだったが、お手伝いの木嶋のおばさんとなんとか営業を再会することにした。

開店後、組合の紹介でやってきた堀隆之も雇うことになった。

夫の失踪事件は進展がなく、かなえと堀は食事と銭湯の後片付けを行いながら奇妙な共同生活をおくる日々。

そんななか、かなえはスーパーで大学時代のゼミ仲間・菅野に再会し、夫がいなくなったことを打ち明けた。

すると菅野は夫の知人である探偵・山崎道夫を紹介してくれた。

悟には女性関係や金銭トラブルもなく、交通遺児として両親はすでに亡くなっているため家族トラブルもない。

かなえとはおしどり夫婦と呼ばれ関係は良好だった。

しかしかなえは山崎に会い、悟について語るうちに自分は彼のことを何も解っていなかったことに気づく。

人当たりが良く、責任感があると思われていた悟だったが、山崎は自分の本心を隠蔽しようとしているパーソナリティがはっきりしない印象をうけると言った。

その後、山崎の調査報告で悟の過去のほとんどが嘘であることが判明する。

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『アンダーカレント』結末とネタバレ

◆夫の知らない過去

悟は兵庫県出身で、両親を交通事故で亡くしたため施設で育ったと語っていたが、実際は山形出身で両親も2年前まで健在だった。

また、一時期かなえと親しくしていた女性の同僚に横領疑惑が出たときには、悟がその罪をかぶり辞職していた。

山崎から聞かされた悟の過去は、どれもかなえが知らないものだった。

◆25年前の事件

一方「月の湯」で働く堀は、いつも夕食はかなえと済まし、安アパートに帰宅する生活をおくっていた。

周囲の人々は、かなえと堀の仲を噂するが、本人たちはいたってマイペースに日々を過ごしていた。

そんななか、常連客の娘・みゆが路上にカバンだけを残し行方不明になってしまう。

幸いにもみゆは無事だったが、みゆの親や周囲の人々の様子をみたかなえは25年前の誘拐殺人事件の記憶がよみがえり倒れてしまう。

25年前ー。

かなえには名前も年も顔も似た「さなえ」という友だちがいた。

ある日、かなえは知らない男に腕を掴まれてしまうが、助けを呼ぼうと大声を出したさなえが口をふさがれ捕まってしまった。

かなえは、とっさにその場から走って逃げるが、その際男は「誰にも言うんじゃないぞ。いつでもお前を見てるからな！」と叫んだ。

帰宅したかなえは恐怖のため、男の存在やさなえの行方について母親に話すことが出来なかった。

その後、首の絞められたさなえの遺体が池に浮かんだ。

それからというもの、かなえは罪の意識からいつも誰かに首を締められ、ゆっくりと水に沈められてゆく夢を見るようになった。

そして、堀の前で目を覚ましたかなえは「堀さん…私の首をしめて…お願い」と泣いてしまうが、彼はタオルで彼女の涙を優しく拭くのだった。

◆再会

ある日、山崎から悟が見つかったと連絡が入り、夫婦で会うセッティングをしてくれた。

悟はかなえに、自分が子どもの頃から大噓つきで、なんの罪悪感も抱かずに出まかせを言ってきたと明かした。

そして、嘘に嘘を重ねる生活が破綻し始めると、いつもその場から逃げる生活をおくってきたという。

会社の同僚の女性の横領事件も、本当は自分が行ったことで、肩代わりしたフリをしただけだった。

長い告白のあと、悟は「もう僕には何が嘘で何が本当なのか、よくわからない。でも、君には本当の事を打ち明けたかった。
君に助けてもらいたかった。何度も君に打ち明けようとしたけど怖くてできなかった。」と明かした。

さなえは「私たち、もっと前にこんなふうに話せたら良かったね」と言い、悟と別れた。

◆結末堀の正体

かなえが悟に会って間もなくのこと、堀は小さなボストンバックをさげて、かなえの元から去ろうとしていた。

実は、堀は25年前に誘拐され亡くなった被害者・さなえの兄だった。

さなえの事件後、堀家では母が精神を病んだことで一家離散してしまった。

その後、たまたまこの町を訪れた堀はかなえを見かけ、妹がもし生きていたらこんな姿だったかもしれないと思った。

それから堀は、何度かこの町を訪れてかなえを密かに見守っていたが、「月の湯」の休業を知ると、なぜだかかなえを助けたいと思い働き始めた。

しかし、25年前のみゆの事件にかなえも傷を負っていると知った堀は、自分の素性が知られてしまうと更に彼女を苦しめるのではないかと考えた。

だから、堀は黙ってかなえの元から去ろうと決意したのだった。

バスを待っている間、銭湯の常連・田島三郎は「一人の女の子で繋がっている二人なら、互いに苦しみをぶつけ合い泣けばいい」と堀に話した。

田島が去ったあと、堀はバスには乗らず「月の湯」までの道を戻っていった。－END－

『アンダーカレント』感想

タイトル『アンダーカレント（undercurrent）』は、心の底流、発言の根底にある抑えられた感情という意味です。

それぞれの出会いと別れが優しく寄り添い合い、希望のあるラストに繋がっていくストーリーは、雨が川に注ぎ、海に流れていくような流動性を感じます。

また、銭湯、池、要所に出てくる「水」がとても印象的で、「人をわかるってどういうこと？」という答えのない禅問答を突き付けられているようでした。

閉塞感のある生活をおくる女性、謎の失踪をとげた夫、物静かでハイスペックなアルバイトの男…。

心の底を静かに流れる秘めた感情と分かち合えない孤独を抱えた登場人物たちの正体が次第に明かされていく過程は、不思議なミステリーといった感じです。

最後に堀がバスに乗らなかったのは、かなえに別れを挨拶しに行ったのではなく、「月の湯」に戻ったと考えたい！。

淀みも迷いもない凛とした線、細かなディテールや丁寧なコマ運びは、漫画というよりは上質な映画のようで、今回映像化されると聞いてとても楽しみになりました。

素晴らしい読書体験をしたいかたは、この機会にぜひ手にとってみて下さいね。

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