『ガラスの城』ネタバレ!あらすじ~結末を相関図付きで解説

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松本清張による『ガラスの城』は、都心の高層ビルに勤めるエリートサラリーマンが遺体となって発見され、その事件を二人の女性社員がそれぞれの視点で記録していくミステリーです。今回は2024年新春にドラマ化もされる『ガラスの城』のあらすじ~結末を相関図付きでご紹介いたします。

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『ガラスの城』あらすじ

ガラスの城のような都心の高層ビルに入る東亜製鋼株式会社東京支社では、今年も恒例の慰安旅行が企画された。

伊豆修善寺を訪れた社員一行は夜の宴会を終え、それぞれの部屋で就寝したはずだったが、営業部課長の杉岡久一郎行方不明になり、無残な遺体となって発見されてしまう。

失踪する前に課長が女性と抱擁する様子を見ていたOL三上田鶴子は、動揺する社員たちのなか執拗に死の謎を追っていくが、彼女までも姿を消してしまう…。

お局OL的場郁子は、三上の残した手記をもとに事件の真相に迫っていくがーー。

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『ガラスの城』登場人物&相関図

登場人物

三上田鶴子・・・東亜製鋼勤務の入社6年になるOL。販売部管理係。第一部の語り手。
的場郁子・・・入社20年になる販売部のお局のタイピスト。第二部の語り手。
杉岡久一郎・・・販売部課長。T大卒のエリートでスポーツマンのイケメン。女性にモテる。
富崎弥介・・・販売部次長。T大卒で杉岡課長の側近。
野村俊一・・・販売部次長。地味な存在。妻はいるが子どもはなし。
田口欣作・・・大阪から転勤してきた庶務主任。課長の機嫌をうかがう。
鈴木信子・・・販売部管理係。T塾大卒の頭の良い美人。
橋本啓子・・・販売部計算係。派手な容姿をしている。
浅野由里子・・・販売部計算係。昨年入社したばかりの新人。
和島好子・・・田鶴子より2つ年下の庶務課のOL。
富崎玲子・・・富崎弥介の妻。
林田徳右衛門・・・大仁駅近くで「林田花壇」を営む造園師。富崎玲子の親戚。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

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『ガラスの城』結末と犯人をネタバレ

『ガラスの城』は、

第一部:三上田鶴子の手記
第二部:的場郁子のノート

という二人の女性の記録からなる面白い構成となっています。

三上田鶴子は、課長のバラバラになった遺体を道路工事現場に遺棄した犯人を探すために修善寺を再び訪れ、彼が誰が誰といたか?など事件当日の行動を根掘り葉掘り調べます。

その他に手記には、主観が入っているものの男性社員の出世争い、女性たちの容姿の優劣、男女関係などもこと細かく記されており、読者は事件の概要はもちろん登場人物の人間関係も把握できるようになっています。

また補助的ポジションしか与えられない腰掛け醜女の悲哀、男性社員の派閥争いをシニカルに眺める様子も描かれ、男女差別が厳しい昭和時代を堪能できます。

事件概要(田鶴子の手記)

1泊2日の修善寺への慰安旅行で、杉岡課長が行方不明となり10日後に工事現場でバラバラ遺体となって発見されました。

旅行1日目に田鶴子は、課長らしき人物が宿泊した旅館と同じ浴衣を着た女性と抱擁する姿を見かけ、その後田口欣作と偶然一緒になり、田鶴子は彼も同じ光景を見たと推測します。

執拗に事件を調べる田鶴子は、杉岡課長と女性があの夜抱き合っていたのではなく、女性は何らかの理由をつけて杉岡を別の場所に移動させ、殺害させたのではなかと思うようになります。

さらに、同じ会社のお局OL的場郁子も、自分と同じように杉岡課長の足取りを追っていることに気づきます。

そんななか富崎弥介次長の奥さんが自殺し、その葬儀の場で新人・浅野由里子の母が富崎に話しかけようとしますが、彼が無視を決めこむ様子を目撃します。

そこから浅野由里子の母親と、富崎の妻は山梨県大月市の同郷であることを知った田鶴子は「わたしはある人をたずねてゆかなければならない。もしわたしの疑念があたっていたら恐ろしい話である。」と書き記し、そのまま行方不明になったのです。

的場郁子のノート

事件の真相は、第二部の語り部である的場郁子によって明らかになります。

警察に田鶴子の手記を見せられた的場は、彼女の推理と自分の推理が重なる部分があることを知ると同時に、彼女もまた自分と同じように杉岡課長と肉体関係を持ったことがあるのではないかと感じます。

事件について不明な点は以下の通りです。

遺体の運搬方法と容器は?
修善寺の空き地で課長が話していた女性は誰か?
橋本啓子が2時間ほど同室の浅野由里子に部屋を空けさせた理由は?
現場以外の土(奥秩父のもの)が遺体と一緒に残されていたのか?
遺体を傷つけ、一緒に残されていた現場にあった街路灯のグローブの破片の意味

これらをさらに詳しく調べた的場は、田鶴子が偽りの手記を書いたのではないかと思い始めます。

杉岡課長は好色家として知られ、富崎の妻にも関係を迫り、出世を考える富崎もこれを黙認していたことが判明します。

しかし、杉岡が次第に次長の野村俊一に目をかけるようになり、富崎夫婦は自分たちが良いように利用されただけと知り、復讐こため殺したのでは?と的場は推測しました。

また富崎の妻・玲子と同郷である浅野由里子の母から、玲子の叔父が修善寺の近くで林田花壇という造園を営んでいることも分かりました。

造園をしていれば、杉岡の遺体をバラバラにして、土と一緒に会社のトラックで運ぶという犯行も可能だと思われます。

しかし、現場に遺体と一緒にあった秩父の土だけは、どう考えても説明がつきません。

林田花壇を訪れた的場は、そこで他の庭師とは異なる半纏を着ている男性に目をとめます。

その庭師は、野村次長と顔と声が良く似ていたのです。

田鶴子の手記では、富崎次長に疑惑が向くように書かれていましたが、的場はそれが間違いであることを確信しました。

警察は、犯人が自分の近くまで田鶴子の追及が伸びたと知って彼女を殺したと思っているようですが、それこそが真犯人の狙いだったのです。

犯人ネタバレと結末

三上田鶴子の手記自体がまさかのトリックだったと気づいた的場郁子は、犯人に武蔵野にある造園所に呼び出されます。

その人物こそ野村俊一 次長でした。

野村と杉岡課長は高校の同じクラスメイトで、当時杉岡は、野村のガールフレンドを横取りしたあげくに棄てた過去がありました。

女性は「もう逢えない」と野村に手紙を出し、自ら死を選びました。

杉岡にずっと煮え湯を飲まされてきた野村は、ある日 富崎の妻までも被害にあったことを知り、犯行を決意しました。

杉岡を消し、富崎に罪をかぶせれば、野村の会社での地位も安泰です。

野村は慰安旅行の日、愛人関係だった三上田鶴子に指示して「富崎次長が自分の奥さんと課長の関係に感づいて今夜乗り込むらしい」と杉岡に伝えました。

激しく動揺した杉岡は、富崎の妻との逢引き場所である湯河原ではなく東京に引き返すことを決め、野村が手配したトラックにこっそり乗り込みました。

しかしトラックの運転手は造園家の野村の弟で、彼は車中で杉岡にクロロホルムを嗅がせて武蔵野の林で殺害しました。

(林田花壇で的場が見かけた野村に似た男はこの弟で、犯行を行うため事件の1週間前から野村が手伝いに行かせていました。)

杉岡の遺体は、巨木の根にバラバラにして土ごと巻きつけられ、再びトラックで運搬され、工事現場に埋められました。

遺体に現場以外の奥秩父の土が混じっていたのも、この理由からでした。

遺体を傷つけた工事現場にあった街路灯のグローブの破片は、偶然 野村の弟が遺体遺棄現場を物色していたところ見つけ、東京で課長を殺害した際に首をきりつけたということでした。

その後野村は「この件がうまくいけば、妻と別れて君と結婚する」と田鶴子にほのめかし、嘘の手記を書かせたあと、手記に信ぴょう性を持たせるため彼女を殺害しました。

的場は田鶴子の

「たとえみにくい女であっても、その女を愛してくれる者が、ぜったいにいないとはいいきれないのではないだろうか。わたしはそれを信じたいとおもう。…」

という一節を思い出し、彼女の抑えられない恋心に切なさを感じたのでした。

すべてを自白した野村は、その場の土を踏みしめ「ここに三上田鶴子が眠っているんだよ」と言い、的場を追い詰めます。

しかし、野村の弟が彼女の後ろに回り込み口を塞いだ瞬間、警察が乗り込んできました。

犯人を特定していた的場は、野村と落ち合うまえに、同僚の和島好子に警察に知らせるように頼んでいたのです。-おわりー

『ガラスの城』感想

『ガラスの城』は松本清張作品のなかでも大好きなミステリーで、第一部がミスリードを誘い、第二部でどんでん返しの結末が待っている面白い構成になっています。

「~の手記」、「~のノート」とタイトルを変えてある辺りも、嘘と真実を匂わせています。

後から気づいたのですが、田鶴子の手記の方では、“ひらがな”の文章を多用することで、どこかファンタジーのような雰囲気を出しています。

松本清張の作品では、昭和な価値観に面食らうこともありますが、女性の置かれている状況やささいな心の変化を描くのがとてもうまく、そんな女心を伏線にするところもニクイ。

また、女性以上に男性たちの熾烈な出世争いや駆け引きも生々しかったです。

両手記を巧みに使い分けた『ガラスの城』は、犯行トリックを堪能できる隠れた名作ですので、ミステリーファンにもぜひおすすめしたいです。

松本清張『顔』のあらすじ~結末は⇒こちら


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  1. 質問です。

    杉岡さんの役職が間違っていたので少し混乱しました!
    課長ではなく、部長かと。。三上田さんが課長なのでは。

    • pikarine

      ブログへのご訪問ありがとうございます。
      被害者の杉岡ですが、原作小説の方は課長となっており、ドラマの方は部長の設定となっていました。
      本記事は原作小説を元に作成しましたので、混乱させてしまい申し訳ございません。