ドラマ『聖者の行進』ネタバレ!キャストとあらすじから結末まで

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実際に起きた知的障害者に対する暴行事件「水戸事件」をもとにした野島伸司脚本のドラマ『聖者の行進』。当時、そのセンセーショナルでトラウマ級の残酷なシーンは様々な議論を呼びました。そんな終始苦しく、切ないドラマ『聖者の行進』のキャストと第1話から最終回までのあらすじ結末をご紹介いたします。

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『聖者の行進』キャスト一覧

主要登場人物


町田永遠

演・いしだ壱成
生まれつき知的障害を持つ。純粋で心優しいがゆえ、酷い仕打ちにも笑顔で受け止める。父に疎まれ、工場で働かされるが、そこで成長する。楽団ではアコーディオンを担当。『3匹のこぶた』のウーが好き。

葉川もも

演・酒井法子
永遠が働く工場の近くの私立高校の音楽教師。竹上製作所の知的障害者に楽団指導のボランティアを行うようになり、子どもたちの境遇の酷さを目にして行動をおこす。
土屋ありす
演・広末涼子
ももの勤務する高校の1年生で10歳の時に母を亡くしている。世間体を気にする市長の父と継母に反抗し、放置されている廃バスを隠れ家にする。不良少女だったが、永遠と出会い優しさを見せる。電車にひかれそうになった永遠を助け、亡くなってしまう。

竹上製作所の従業員


高原廉
演・安藤政信
生まれたばかりの妹の鈴と共に母親から捨てられ、6歳から施設で育つ。妹と一緒にいるために知的障害を装っていた。ももに好意を抱く。

水間妙子
演・雛形あきこ
軽度の知的障害を持つ少女。母親に疎まれて育つ。明るく勝気な性格。廉に片思いをしている。最初は永遠を永遠を見殺しにするなど腹黒いところもあたったが、徐々に優しさを取り戻していく。

高原 鈴
演・松本恵
廉の妹。メンバーの中では、最も重い知的障害を持ち、簡単な会話しか出来ない。超感覚を持っている。中盤で視力を失う。
加賀美 歩
演・渡辺慶
心優しい男の子だが、人見知りは激しい。

猪瀬辰雄

演・小林正寛
やや重めの知的障害を持っており、食欲や性欲の抑制が利かない。乱暴で下着泥棒を働いたりしたが、根は優しい。

間中順治
演・斎藤洋介
工場の現場監督。心優しい性格で、工場の中では永遠たちの唯一の理解者。光輔から借金をしているため、つけこまれ悪事に加担させられる。

竹上家

竹上光輔
演・段田安則
竹上製作所の社長。助成金目当てで、障碍者を雇っている。地元の名士とされていたが、工員に暴力を振るう。コスプレマニアで、妙子に妻のウェディングドレスを着せて強姦する。

竹上三郎
演・デビット伊東
光輔の甥(弟の息子)でボクサーを目指していたが挫折。借金をして定職にもついていなかったため、光輔の工場で働く。粗野で暴力的。血の繋がらない伯母、裕子との情事とギャンブルにうつつを抜かす。
竹上裕子
演・水沢アキ
光輔の美人な妻。高慢で暴力的で名誉欲、金銭欲も深い。夫に隠れて三郎と関係を持つ。夫婦仲は冷えているが、息子を溺愛。

竹上俊輔

演・篠原俊晴
光輔の息子で、ありすと同じ私立高校に在籍。両親動揺永遠たちに暴力を振るう。
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『聖者の行進』あらすじ

町田永遠(いしだ壱成)は、両親と弟の4人暮らし。しかし、知的障害を持つ永遠との生活に疲れた家族は、「村上製作所」に就職させる。

周辺では神様と呼ばれる社長・村上光輔(段田康則)は、知的障害を抱える高原廉(安藤政信)、(松本恵)や、水間妙子(雛形あきこ)、加賀美歩(渡辺 慶)らを雇用していた。

しかし、地元の名士とされる光輔の目的は、障碍者を雇うことで得られる助成金が目当てだった。

そのため工員には厳しく、ときには暴力を振るうこともあった。

働く廉たち工員の楽しみは、高校の音楽教師・葉川もも(酒井法子)に音楽を学び、演奏することだった。

一方、ももの教え子の土屋ありす(広末涼子)は、母を亡くし、体裁ばかりを気にする市長の父が再婚してからというもの、継母や学校に反抗し、河原の放置された廃バスを隠れ家にしていた。

たまたま河原に来ていた永遠は、赤い髪をした少女・ありすのPHSを拾ったことで、連絡をとるようになった。

ある日、ありすの継母・波子が学校を訪ねてきた。ももは波子から最近、ありすが家に帰ってこないことや、家庭環境が複雑であることを知らされた。そんななか、ありすは、PHSを拾ってくれた顔の知らない永遠にだけは、心を開くようになっていた。

一方、歩がこっそり飼っていた子猫が行方不明になり、みんなで探すが見つからない。そんな彼らの前に現われた社長の息子・俊輔は、きっと保健所に贈られたから助からないだろうと言い放った。その言葉を聞いた歩は、愕然として俊輔に突進した。

ある日、ありすは父の「私は波子を愛している」という言葉にショックを受け、保険室で薬を大量に飲み自殺未遂を起こしてしまう。その後、ありすは永遠とのやりとりのなかで、回復。そして染めていた赤い髪の色を黒く戻して登校した。

ももは、反発していたありすが、急に穏やかになった様子を見て、ありすが、一命をとりとめた男性に恋をしているからだと気づく。永遠という名前しか知らないありすだったが、デートの約束をとりつける。

永遠はデートを楽しみにして、ありすが好きだという「星に願いを」をアコーディオンで弾こうと練習を開始。

一方、鈴が母親にプレゼントを買いたいと言い出し、永遠が買い物に付き合うことにした。しかし、鈴が手をつけていない給料袋には小銭しか入っていなかった。鈴の給与明細を見て不信に思ったももは、光輔に問いただす。

ももの前でシラを切る光輔。光輔は、甥・三郎(デビット伊藤)と浮気をしている妻・裕子(水沢アキ)に裏切られ、バカにされた思いからストレスを溜めていた。

そして妙子に目をつけ、性的虐待を行うようになる。

ありすは とうとう永遠とデートをするが、永遠が知的障害だと知り、動揺を隠せない。

ももは、永遠がありすのために一生懸命アコーディオンの練習をしていたことや、優しい心を持っていることを教えた。

工場では、光輔と三郎が、助成金の支給が止まった工員をターゲットにして、人員整理をしようと目論んでいた。

そんななか、ありすの高校で、女子の制服や体操服が盗まれるという事件が発生する。

永遠たちは、学校側から容疑をかけられ、彼らに音楽を教えていたももは、苦しい状況になる。

その後、犯人は辰雄(小林正寛)だと判明。

廉は盗んだ制服を燃やし、証拠隠滅をしようと主張するが、永遠と鈴と辰雄は、こっそり返却するため学校に忍び込むが、見つかってしまう。

ある日、ももは、音楽を聴いていた廉が、その楽曲の譜面に起こしている姿を見て、同僚・向に学力調査を依頼するが、その調査中に、向がももにプロポーズしたことを知り、試験中にもかかわらず部屋を飛び出し、向の車を硬貨で傷つけた。

そして追いかけてきた、ももに「ずっと、付いてきた嘘がある。妹と一緒に行動したいから、軽度知的障害者の振りをするようになった。」と明かした。それを聞いたももは、大学進学を勧めるが、廉に告白される。

一方で、妙子に妻のウェディングドレスを着せ、性的虐待をする光輔の行為を目にした永遠は、妙子を連れて工場長の間中(斎藤洋介)に助けを求めた。事実を確かめるために、社長のもとへ話に行く間中だったが、家族や借金を引き合いに脅され、虐待に加わるように命令されてしまう。

そして、社長に命令された間中は、永遠に角材を振り下ろすが、永遠をかばった目に直撃。鈴は大けがを負い、視力を失ってしまう。

知らせを聞いたももは、同僚の向の両親に会う約束をすっぽかし、社長や間中に事実関係を問い詰める。

しかし、彼らは事故だと言い張り、廉も何も語ろうとしない。廉や永遠らは、工員がいくら事実を語ったところで、信用されないと知っており、さらに社長が暴力的になるのを恐れていた。

その頃、ありすは父と継母に反発し、家を出て、亡き母の実家に身を寄せていた。ありすに電話で呼び出された永遠は、鈴の一件を明らかにするためもものアパートの前に血のついた角材を置いた。そして、ありすと永遠は、旅という名の家出をした。

しかし、ありすは、連れ戻しに来た父親に説得され、永遠を置いて戻ることにした。

ありすの後を追う永遠だったが、ありすから預かっていたペンダントを線路に落としてしまう。

そこに電車が走ってきた。踏切に閉じ込められてしまった永遠を助けようと、ありすがとっさに飛び込むが、代わりに電車にはねられ、病院に搬送される。その後、意識を取り戻し奇跡的な回復をみせるありすだったが、容態が急変し亡くなってしまう。

その頃、工場では、もものアパートに血のついた角材を置いた犯人捜しが始まっていた。三郎(デビット伊藤)は、犯人が名乗りでるまで工員たちを正座させ続けたが、耐えかねた廉が自分が犯人だと名乗り出て、その場に倒れ込んでしまう。

そんななか、永遠が工場に帰ってくると、“しつけ”と称する廉への暴行が始まり、止めた永遠も暴行を受けてしまう。

その後、永遠の背中の傷を見た、ももと弁護士の宇野は、その傷の酷さに絶句。工場で虐待が行われていると確証したももは、宇野のアドバイスから、医師の診断書を持って警察へ捜査依頼をするが、まともに調査してくれない。

宇野は警察を動かすためには、保護者が一人でも告訴する必要があると言い、ももは、それぞれの保護者に、竹上製作所の実態を説いて回るが、どの親も消極的な態度だった。

そして、障碍者ではないことを社長に知られてしまった廉は、妹との生活を一生保証してやるからとそそのかされ、三郎を殺害し、工場の裏地に埋めてしまう。

一方、永遠たちは、社長たちの虐待に抗議し、廃バスに立てこもりストライキを続けていたが、そこに歩と辰雄の母が現れ、彼らはすんなり降参してしまう。工場に戻った永遠たちは、工員の親たちの要望で、ストライキの首謀者として、解雇を宣告される。

さらに、社長の光輔は、工場の実態が露見することを恐れ、廉に妙子を殺害するように頼む。そして妙子に襲いかかろうとした廉に、永遠は立ちはだかるが、逆に倒されしまう。そのおかげで、逃げた妙子だったが、歩道橋の階段から転落。

そんななか、ももと宇野は妙子が妊娠している事実を知ることに。ももは改めて社長を告訴することを決意。弁護士の宇野は、工場の捜査や検察の動きが鈍いのは、背後に光輔と親しい市長の力が働いていると察し、市長に公平な裁判を行うように直訴するが、「そんな事実はない。」と否定されてしまう。

さらに ももは帰宅途中にマスクで変装した、光輔の息子で教え子の竹上俊輔に襲われるが、そこに廉が駆けつけて助けた。

その後、ももたちは、なんとか裁判にこぎつけるが、証言する工員の両親たちはほとんどが社長の光輔の味方で、困難を極めた。

ももたちを応援するのは、永遠と妙子の母、間中の三人だけだった。

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『聖者の行進』最終回ネタバレ

いよいよ裁判も大詰めを迎えていた。しかし法廷にももの姿はなかった。ももは、廉の三郎を殺害して遺体を遺棄したという証言の真偽をたしかめるべく、工場の敷地を間中と掘り返していた。

裁判が始まると、光輔側の弁護士は巧妙に、光輔が慈善事業家である印象を法廷に与え、妙子の原告側は不利な状況に追い込まれていった。

裁判で証言台に立った妙子は、自分に暴行したのは「社長さんです!」と指をさして、ハッキリ答えたが、日時までは詳細に答えることが出来なかった。

光輔の弁護人は、そこを指摘し、妙子の証言は漠然としており、信ぴょう性がないと印象づけた。

さらに、光輔の弁護人は、妙子が妊娠していることを指摘し、「産みたい」という言葉を聞き出し、妙子が光輔を喜んで受け入れていたと証明しようとしていた。

光輔に有利に働いている裁判を、ひっくり返すべく、ももの弁護士・宇野淳市(いかりや長介)は、メトロノームのリズムを利用し、永遠に暴行事件の日付や時間、妙子や光輔の様子を暗記させた。

そんななか、ももと間中は、廉の証言した通り、工場の敷地内で三郎の遺体を発見した。警察に通報しようとする間中に、ももは廉には自首して欲しいから待ってほしいと頼む。ももは廉に自首して欲しいと話すが、廉は、その前に手紙の住所を頼りに母に会いにいくから付いてきて欲しいと言う。

ももと一緒に母親を訪ねた廉だったが、母親は再婚し、異父兄弟がいたことを知って愕然とし、その場から逃げ出す。

一方、永遠は裁判の証言台に立った。メトロノームのリズムで証言を特訓した永遠は、裁判で犯行日時や、妙子が嫌がっていた様子をハッキリ話した。それを聞いた光輔の弁護人は、ガラスのコップをわざと床に落とし、永遠のリズムを狂わし、改めて質問をした。ガラスの割れる音に動揺した永遠は、うまく答えることが出来なくなってしまった。

それにより、永遠の証言は、弁護人が根気よく暗記させたとされてしまう。しかし永遠は「嘘じゃありません。お母さんと約束したから。 僕たちはバカだけど人間です。女の子イジメる社長さんは悪いでしょ!」と泣いて訴えた。

永遠の証言に、一瞬、静まった法廷だったが、市長を味方に付け、狡猾に取り繕った 光輔は無罪となり、妙子は敗訴した。

工場に戻った光輔だったが、今回の事件で白い目で見られるようになり、妻の裕子は離婚届けを突き付け、息子の俊輔を連れて家を出ていった。

そんななか、三郎を埋めた件や、母親が再婚したことに自暴自棄になった廉は、光輔を刺殺しようとしたが返り討ちに遭い、重傷を負いながらも妹・鈴を道連れに工場に火を放った。

それを見た永遠や歩、達雄は、廉たちを助けようと火の海になった工場に入った。なんとか、廉と鈴は工場から助け出されたが、永遠は社長の光輔に足を掴まれ工場に閉じ込められる。

救急車で運ばれる廉だったが、ももが見守るなか「ぼくは、健常者でもなく障碍者でもない。でも、あなたを愛していました。」と亡くなった。

火が迫るなか、社長は「妻も子供も出ていった。ちっぽけな会社だったが、がむしゃらに働いた。あんな女房だったけど、俺を励ましてくれた。ある日、市の職員がやってきて、工場を福祉的なものにしないかと提案してきた。仕事は保障されるが、ただ知的障碍者を雇うことが条件だった。来る日もくる日もお前たちに仕事を教えた。家からも社会からも排除されたお前たちを愛したんだよ。純粋で裏切られてることも知らないお前たちに自分を重ねた。でも、そんな俺を妻も息子も嫌い始めた。俺は次第に苛立ち、子犬のように従順なお前たちに暴力を振るってしまうようになった。気が付くと俺のなかに悪魔が住み着き、感情を無くし…地獄に堕ちる」と嗚咽した。

それを聞いた永遠は「地獄も天国もないでしょ。大きなまるがあるでしょ。みんなその中に入るでしょ。」と笑った。

そして、社長は、罪滅ぼしのように 永遠を目の前にあったマンホールに逃がし、自分は火から逃れることなくその場に残り、亡くなった。

次の日、ももを中心に、妙子、鈴、歩、達雄が焼け跡の工場に集まり、亡くなった廉のために演奏しようとするが、鈴が何かの音を聞きつけ歩きだした。ももは、その音がマンホールから聞こえていることに気づき、達雄にマンホールを開けさせた。すると、その中から永遠が現れ、みんな泣いて喜んだ。

その後、永遠、妙子、鈴、歩、達雄たちは、間中や弁護士の宇野、ももの協力で、大きなホールでチャリティーコンサートを開いた。そして「聖者の行進」を楽しそうに演奏する永遠たちは、観客から大きな喝采をうけた。ーEND-

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高校教師』、『人間・失格』、『未成年』に続いて、野島伸司さんが脚本を手がけた『TBS野島伸司シリーズ』の第4弾となる『聖者の行進』。人間の業(ごう)に真っ向から向き合い、赤裸々に描く野島伸司さんの脚本は、確かに残酷ですが、障碍者たちが弱いなりにも手を取り合い立ち向かっていく姿には胸をうたれます。

いかりや長介さん演じる弁護士が言った

「弱くてもいいんです。人は強くなると痛みを感じなくなる。弱い者たちが手に手を取る社会こそが素晴らしい」

という言葉が、すべてを物語っているな。と感じました。

ちなみに『聖者の行進』は、茨城県水戸市で起こった水戸事件をモデルに制作されました。

目を覆いたくなるようなシーンも多く登場し、視聴者に衝撃を与えた『聖者の行進』は、平均視聴率が20%を超え、いまなお注目されているにもかかわらず、過激な内容に加え、暴力描写によりスポンサーがつかなかったり、キャストの酒井法子さんやいしだ壱成さんらによる不祥事などで、再放送が困難な作品です。

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