「しかたなかったと言うてはいかんのです」実話モデルネタバレ&相関図キャスト
人を救うはずの医師が、捕虜の生体実験というタブーを犯してしまった真実の裏側に迫るNHK終戦ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』。自分の罪に向き合い死刑判決を受ける医師を妻夫木聡さん、夫を助けるために奔走する妻を蒼井優さんが演じます。今回は、ドラマをもっと深く理解するために、実在モデルとキャスト相関図をご紹介いたします。
「しかたなかったと言うてはいかんのです」相関図
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「しかたなかったと言うてはいかんのです」キャスト一覧とあらすじ
鳥居太一◆妻夫木聡
西部帝国大学医学部・助教授。生体実験事件の首謀者に仕立て上げられる。
鳥居房子◆蒼井優
太一の妻。夫が首謀者にされ裁判で事実が歪められたことを覆すため奔走する。
冬木克太◆永山絢斗
捕虜処刑事件に関わったとして死刑囚となった元軍人。明るく朗らかな性格で、太一のことをいつも気にかけている。
石田幸三◆鶴見辰吾
西国帝国大学医学部第一外科教授。太一の野心家の上司で第一外科で絶対的な力を持つ。敗戦すると医局員たちに緘口令(かんこうれい)を敷き、解剖標本や資料を燃やし証拠隠滅を図るが、その後、軍の裏切りなどに合い絶望の末、自殺。
進藤直満◆山西惇
西部軍大佐。西部軍司令部に捕らわれていた米兵捕虜8名を大学での実験手術に提供。BC級戦犯裁判の判決で死刑囚となる。
鳥居一郎◆辻萬長
太一の父親。太一が地元に戻り開業医になってくれることを楽しみにしていたが、息子が生体実験の罪に問われ心を痛める。
岡島孝輔◆中原丈雄
元陸軍中将の死刑囚。捕虜殺害の全責任を負い、人格者として収容所で信望を集める。
三浦清子◆若村麻由美
戦犯裁判の弁護側通訳として活動している。GHQ法務局との交渉も行っている。夫の真実を訴える房子に協力する。
太一の娘◆毎田暖乃
太一と房子の娘。
◆「しかたなかったと言うてはいかんのです」あらすじ
1945年5月。西部帝国大学医学部・助教授の鳥居太一(妻夫木 聡)は、教授の指示のもと、米兵捕虜の手術を手伝うが、それは人体実験手術であった。教授に恐ろしい手術の中止を進言するが、却下され、8名の捕虜が死亡。戦犯裁判で死刑判決を受けた太一は、凶行を止められなかった自分と向き合うことになる。一方、妻・房子(蒼井 優)は、裁判の中でゆがめられた真実を明らかにし、事件の首謀者にされた夫を死刑から救おうと奔走する。房子の必死の思いと、死刑囚たちとの新たな出会いによって、太一は目を背けていた本当の罪に気づいていく・・・
「しかたなかったと言うてはいかんのです」実在モデルと実話をネタバレ
「しかたなかったと言うてはいかんのです」は、主人公・鳥居太一の実在モデル鳥巣太郎さんの姪にあたる熊野以素さんが書かれた「九州大学生体解剖事件七十年目の真実」という本を元にドラマ化されました。
これ以前にも、九州大学生体解剖事件を題材にした映画『海と毒薬』(遠藤周作さん原作)が1986年に公開されていますが、生命の尊厳や医の倫理を問うテーマであったことからスポンサー探しが難航した問題作でした。
NHKは、昨年、戦時下での科学者の核爆弾への加担を描いた『太陽の子』を制作、今年は戦争により狂ってしまう医師たちを描いた「しかたなかったと言うてはいかんのです」を放送します。
衝撃的な内容でありますが、戦争がいかに人を狂わせる残酷なものなのかを後世に伝えてくれる作品となっています。
◆「しかたなかったと言うてはいかんのです」実在のモデル
ドラマが実話を元に描かれていることから、登場人物には実在のモデルがいます。
◆鳥居太一→鳥巣太郎
◆鳥居房子→鳥巣蕗子
◆石山福二郎→石田幸三(九大第一外科教授)
◆冬木克太→?
◆進藤直満→佐藤吉直(参謀)
◆岡島孝輔→岡田資
◆三浦清子→三島すみ江(元津田塾講師)
自分だけでも助かろうと鳥巣さんに対して虚偽の発言をし、生き延びた人物もいますが、70年以上も月日が経っているということもあり、ドラマでは名前や設定を少し変えています。
◆九州大学生体解剖事件とは
福岡県久留米市の郊外で、B29に追撃されたアメリカ軍の搭乗員12人が落下傘で降下してきました。
1人は墜落で亡くなり、1人は拳銃自殺、1人は住民に「仇討ち」として射殺されました。その後、情報価値のある操縦士は東京に送られ、残りの捕虜は軍から「適当に処置せよ」と指令がなされました。
本来なら、捕虜収容所に収容するのが適当なのですが、新しい治療法や薬を捕虜で実験してみたいという医師の提案に軍も承諾して、8人が九州大学に移送されてきました。
そして、医師たちは白人の兵士たちに「墜落による検査や治療をする」と嘘をつき、まだ生きている体を解剖。脳や臓器を切除したり、遺体から臓器を採取して標本にしました。
敗戦後、戦争犯罪として医師など14人、軍関係者9人が死刑判決(後に減刑)され、判決後は多くの関係者が口を閉ざし、タブー視されてきた事件です。
◆捕虜の扱い
国際法では、戦争捕虜を虐待したり殺したりすることを固く禁じ、捕虜の階級に応じた待遇を与えることとなっています。
これは、「全力で戦ったあとで捕虜になることは恥ではなく、むしろ名誉なことである」というヨーロッパの歴史の中で生まれた考えに由来しています。
日本も、第一次大戦頃までは国際法を守っていたようですが、第二次世界大戦中には「相手は捕虜の前に戦争犯罪人だ」「仇討ち」などの考えが支配的となり、アメリカ兵への残虐な山狩りや人体事件などの捕虜虐待事件が起きました。
◆減刑からその後
死刑判決を受けた鳥巣さんでしたが、妻の蕗子さんの努力もあり鳥巣さんの嘆願書が翻訳され、
・共謀容疑に参加していなかったこと。
・手術の中止を訴え、阻止しようと努力したこと。
・関与を避けるように行動したこと。
が考慮され、絞首刑から10年に減刑されました。
その後、刑期を終えた鳥巣さんは福岡市内に外科医院を開業し名医として多くの患者を救いました。
◆「しかたなかったと言うてはいかんのです」の意味
「しかたなかったと言うてはいかんのです」というタイトルは、鳥巣太郎さんが九大生体解剖事件の取材を受けたときに話した言葉です。
手術に関わった医師たちは、「上からの命令は絶対で逆らうことは出来なかった」と口々に証言しています。
確かに、日本では手術の執刀者の命令は絶対で、手術が始まれば助手やナースは服従するしかなく、さらに九州は封建的な土地柄もあり、もし上に意見を言えば職を失うことになったそうです。
それでも、鳥巣さんはインタビューで、
どんなことでも自分がさえしっかりしとれば阻止できるのです。(中略)ともかくそんな事情があろうと、仕方がなかったなどというてはいかんのです
と語っています。
鳥巣さんは、裁判でスケープゴートにされながらも罪を償い、1993年に85歳で亡くなるまで「なぜあの時もっと強く反対しなかったのか」と苦悩し続けました。
「しかたなかったと言うてはいかんのです」放送日
◆再放送日
2021年9月4日(土)夜10:30~11:59 BSプレミアム/BS4K
生命の尊厳、医の倫理というテーマを真っ向から描いたドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」。戦争の残酷さや命の大切さについて改めて考える 良い機会になると思いますので、放送をお見逃しなく。
もし見逃した方は、放送情報と見逃し動画を安全にフル視聴する方法を以下の記事にまとめましたので、ご覧ください。
『しかたなかったと言うてはいかんのです』再放送日&動画をフル視聴する方法は⇒こちら
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