『蔵(藏)』ネタバレ!NHKドラマのキャスト相関図と結末までのあらすじ
宮尾登美子さんによる『蔵』は、視力を失った少女が、力強く人生を切り開いていく姿を描いた小説です。今回はNHKでドラマ化された『蔵』のあらすじから結末を相関図付きで振り返ります。
『蔵』あらすじ
舞台は大正時代の新潟。
大地主で酒蔵『冬麗』の蔵元でもある田乃内家の当主・意造と妻の賀穂との間に女の子が誕生した。
賀穂はこれまで8回妊娠したが すべて亡くしたため、意造は健康に力強く育って欲しいと「烈(れつ)」と名付けた。
意造の愛情を一身に受け、期待通り賢く美しく成長した烈だったが、小学校入学前に網膜色素変性症でやがて失明すると宣告されてしまう。
一方、かねてより体調を崩していた意造の妻・賀穂が亡くなり、誰もが烈の母代わりを務めてきた賀穂の妹・佐穂が後妻になるものだと思っていたが、意造は強引に芸者・せきと再婚することを決める。
意造は、若いせきを妻に迎えることで田乃内家に健康な血を入れたいと考えていたが、密かに彼を慕っていた佐穂は衝撃を受ける。
烈が日ごとに光を失うなか、意造とせきの間には丈一郎という息子が生まれる。
しかし、この跡取りの誕生で、烈は目の見えない自分は厄介者になると感じ、心をますます固くする。
そんななか、烈は女人禁制の酒蔵の中に迷いこみ、若い蔵人・涼太と出会い…。
『蔵』登場人物&相関図
◆登場人物
◆田乃内烈(松たか子)・・・意造と賀穂の一人娘。小学校入学前に網膜色素変性症を患い、やがて失明すると宣告される。
◆田乃内意造(鹿賀丈史)・・・新潟の大地主で酒蔵『冬麗』の蔵元。
◆田乃内賀穂(高橋恵子)・・・意造の妻。意造との間に過去8回妊娠するが子を全て失った。9人目にしてようやく烈を授かるが、出産で健康を害し、烈が15歳のときに亡くなる。
◆田乃内むら(香川京子)・・・意造の母。烈の祖母。
◆佐野佐穂(檀ふみ)・・・賀穂の妹で、烈の叔母。烈とは実の母娘同然の仲。意造にずっと密かに想いをよせている。
◆田乃内せき(洞口依子)・・・芸妓をしていたが意造に見初められ後妻に迎えられる。
◆坂下涼太(前田耕陽)・・・若い蔵人。烈の想い人。
◆相関図
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『蔵』最終回までの結末
若い杜氏の涼太の励ましによって、烈の心に希望の光が差し込んだ。
そんななか、丈一郎が転んで石の角に頭をぶつけて亡くなってしまう。
さらに、意造も病に倒れ半身不随の体になり、14歳になった烈は完全に失明した。
田乃内家を襲う度々の不幸に、意造は意気消沈し蔵を閉める決意をするが、烈は自分に酒造りをさせて欲しいと懇願する。
意造は、女であるうえに目が見えない烈に蔵元が務まるはずがないと反対する。
一方、せきが誰の子か分からぬ子を妊娠していることが発覚し、意造は相手が涼太ではないかと疑う。
涼太への激しい想いを、烈から打ち明けられた佐穂は、自分が出来なかった分まで、目が見えなくても「好きだ」という気持ちをぶつけてみたらいいと励ました。
その後せきは死産し、仲が冷え切っていた意造と別れを告げ、出ていった。
落ち込む意造に、烈は涼太と結婚して一緒にに酒造りをやっていきたいと打ち明ける。
身分の違いから結婚は許さないという意造よそに、烈は故郷に戻っている涼太に結婚を申し込みに出かけてしまう。
うなだれる意造は、佐穂に酒蔵を烈と涼太に任せて一緒になろうと提案するが、佐穂はこれまで傍にいられたことだけで幸せだったと答えた。
烈が涼太に想いをぶつけ、承諾した涼太が田乃内家に戻ってきた。
意造は二人の結婚を許し、仮祝言用に純白の打ち掛けを用意した。
烈は、
「おとっつっぁま!おばさま!私、もう何も怖くはねッ!私の目の底の闇に、光が見えてきたから。烈は光に向って歩く!それが生きる歓びだから!」
と叫び、力いっぱい空を仰いで、降り注ぐ光を浴びた。-おわりー
ドラマ『蔵』感想
『蔵』は、男尊女卑があたりまえの時代に、地元の大地主で絶対的な権力を持つ意造に翻弄される女性たちの強さが光る作品でした。
特に佐穂は、なんの承諾もないまま田乃内家に入り、烈を我が子のように育てるも、後妻の座は与えられず…。
意造は自分が弱ってから佐穂に一緒になろうと言いますが、結局 佐穂が妻にはならなかった姿を見て、男女の愛は複雑だなと思いました。
そんな潔く見える佐穂ですが、全盲であるがゆえに涼太という男を選んだ烈を憐れみ、後妻のせきが死産をしたらホッとするなど、情念も感じさせてくれる魅力的なキャラクター。
わたしは激しすぎる主人公の烈よりも、佐穂の方に共感できました。
烈と涼太の許されぬ恋もいいけれど、情念を感じる佐穂の片想いの方が断然面白い。
女性という生き物を知り尽くし、弱さや醜さを全部ひっくるめて凛とし強さに昇華させていく宮尾登美子さんは。やっぱりすごい作家さんですね。
壮絶な一家の物語ではるものの、美しい景色と柔らかい新潟弁のおかげで暗くなりすぎないところも良かったです。
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