『人間標本』ネタバレ!結末までのあらすじを登場人物&相関図付きで解説
湊かなえさんによる『人間標本』は、蝶に魅せられた昆虫学者が美しい少年たちを人間標本にするというおぞましい事件から、複数の人たちの証言により真実が二転三転するサイコミステリーです。今回はドラマ化もされる『人間標本』のあらすじと結末をご紹介します。
『人間標本』あらすじ
蝶博士と呼ばれる大学教授・榊 史朗は、友人である著名な芸術家・一之瀬瑠美の後継者候補として集められた5人の少年たちと自身の息子・ 至(いたる)を前に「一番美しいときの姿を永遠に残したい」という衝動に駆られる。
そんななかN県の山中で、装飾を施して埋められた未成年者6人の遺体が発見され、史郎は6人殺害の様子を記した手記「人間標本」を発表し逮捕される。
美少年たちを蝶み見立てたうえに標本にし、最後は息子にまで手をかけた史郎の告白は、そのセンセーショナルな内容からSNSでバズり話題となる。
しかし、事件の真相は2転3転し、読者を思いもよらぬ結末へ導いていく…。
『人間標本』登場人物&相関図
◆登場人物
【榊 家】
◆榊 史朗・・・昆虫学者。大学理学部生物学科教授。「蝶博士」と呼ばれている。息子を含む6人の少年たちを「人間標本」にした罪で逮捕される。
◆榊 至・・・史朗の息子。14歳。祖父譲りの芸術的な才能を持つ。作品6『マエモンジャコウアゲハ/クロアゲハ』
◆榊 一朗・・・史朗の父で至の祖父。画家。余命短い佐和子の頼まれ彼女の自画像を描く。かつて「人間の標本をつくりたい」と発言し画壇から追放される。
【一之瀬 家】
◆一之瀬佐和子・・・瑠美の母。一朗の芸大時代の同級生で友人。
◆一之瀬公彦・・・佐和子の夫で瑠美の父。
◆一之瀬瑠美・・・芸術家。幼少期に赤外線を色で見ることができる蝶の目で見た花畑の絵と標本を張り付けた作品を史郎からプレゼントされる。色彩が他の人とは違う不思議な見え方(四色型色覚)を持つことを生かし芸術家として活躍する。
◆一之瀬杏奈・・・瑠美の娘。芸術家の道を志すが母ほどの才能を持ち合わせていない。
【留美の後継者候補】
◆深沢 蒼・・・作品1『レテノールモルフォ』。超進学校に通うがある秘密を抱える。
◆石岡 翔・・・作品2『ヒューイットソンミイロタテハ』。金髪で見た目は不良だが、気さくでフレンドリーな少年。
◆赤羽 輝・・・作品3『アカネシロチョウ』一見地味だが、人を惹きつける美しさを持つ。
◆白瀬 透・・・作品4『モンシロチョウ』一家心中で両親を亡くし祖母に育てられる。癒し系。
◆黒岩 大・・・作品5『オオゴマダラ』体育会系。時事ネタを絵にした新聞の号外のようなものを配っている。
◆相関図
※無断転載ご遠慮ください
『人間標本』結末までをネタバレ
ここからネタバレを含んだ内容になっておりますので、結末は自分の目で確かめたいという方は気をつけて下さい。
◆犯人は父親ではなく息子?!
犯行記録ともいえる手記を発表し自首をした榊 史朗が犯人と思われましたが、読者は至の自由研究「人間標本」を読み、史郎が至をかばっていたことを知ります。
目に見えるものを精密に描くことができる至でしたが、四原色を見ることができる瑠美の絵を見て、その才能に敗北感を感じます。
そして参加した絵画合宿で、至は5人の少年たちと共に作品を入れる巨大ななアクリルケースを運んだときのこと。
至には、そのときふざけてケースに入った石岡翔が蝶にみえました。
至は他の少年も蝶に見立て、どのように展示されたら美しいかを妄想し、それはやがて「人間標本」を作りたいという願望に変わっていきます。
ある日、史郎が蝶の観測のため1週間家を空けることになり、至は父がかつて暮らしていた山へ少年たちを呼び出しました。
そして睡眠薬を飲ませて眠らせてから薬物を注射して5人の命を奪い、遺体を冷蔵庫で保管しながら一体ずつ作品を完成させていきました。
その自由研究「人間標本」のレポートの最後には、史郎への謝罪が書かれていました。
◆父は息子の犯行を知り…
史朗は息子・至のパソコンのなかに、少年たちに装飾を施した遺体の写真が保存されていることを知り、愕然とします。
さらにレポートを発見し、至が史郎の友人で世界的アーティストの娘・一之瀬杏奈を次のターゲットにしていると分かると、自らの手で息子を終わらせようと判断します。
そして史朗はブラジルで飲んだ思い出の酒カイピリーニャに睡眠薬を混ぜて至を眠らせ、薬液を注射して標本に見立てました。
史郎は至の最期を見届けたあと、至を庇うため、さも自分が少年たちを標本にしたような手記を書いたのでした。
◆真犯人は?
ある日、独房に収監されていた史郎のもとに瑠美の娘である一之瀬杏奈が面会にやってきます。
杏奈は母親である瑠美の後継者になりたかったですが、残念ながらとびぬけた芸術の才能は持っていませんでした。
そこで瑠美の容態が急変したことをきっかけに、杏奈は究極の作品を作って自分を後継者として認めてもらおうと人間標本の制作を思いつきました。
そして瑠美がスカウトした5人の少年たちを眠らせて、命を奪おうと作業しているとき至に目撃されてしまいます。
杏奈は斧で至を脅しながら自分の作品制作を手伝わせ、至は杏奈の気持ちと犯行への罪悪感から自由研究として「人間標本」をまとめたのでした。
その話を聞いて、史郎は杏奈が蝶の知識を全く持ち合わせていないことに気づきます。
実は杏奈も母・瑠美に操られていたのです。
死期が迫った瑠美は最後の作品として少年標本を完成させたいと願い、杏奈に後継者にするからと犯行を実行するように持ち掛けました。
杏奈は瑠美の期待に応えるため人間標本作りを実行しますが、実物を史郎に見せるという条件を満たせなかったために瑠美から「役立たずの失敗作」だと言われ後継者にはなれませんでした。
湊かなえ集大成『未来』結末までのあらすじと相関図は⇒こちら

『人間標本』感想
二転三転する展開に驚かされた『人間標本』。
今回は湊かなえ作品にお馴染みの毒親がいないと思っていたら、後半に期待通りの母親が登場&少年や娘をグルーミングというお話だったので、その胸糞ぶりに満足しました。
息子を庇い、これ以上罪を重ねさせないために我が子を手にかけた父親が、後から息子の無実を知るという展開も残酷です。
しかも真犯人の娘もまた母に認めてもらうために犯行に手を染め、そもそもの元凶が史郎が瑠美にプレゼントした蝶の標本というのもイヤミスすぎました。
一方で、これまでの湊かなえさんの作品と違うのは、耽美で退廃的な表現が多いこと。
遺体を蝶に見立てて標本にするという工程はとてもグロテスクではありますが、ギリギリの美しさを保っているので、おぞましさというよりは静かな哀しさを感じました。
そういえば「羊たちの沈黙」も、蛾の変態を元に変身願望について描いていました。
また、巻頭の挿絵も気持ちの悪いものではなく、作品の想像を膨らませるのに良い効果となっています。
芸術家が自らを高め、追い込んでいった先の精神世界は、常人には理解しがたいですが、モンクが幻視を見たりゴッホの自殺願望などを考えると、天才と狂気は表裏一体なのかもしれません。
それにしても、人間を標本にする小説を書こうと思った湊かなえさんの精神状態も気になるところ。
サイコパスな心理をここまで理解するのってしんどいでしょうね。
残酷で救いようのない物語でしたが、美の追求と狂気のなかに親子も愛が感じられる作品ですので、ドラマで興味を持った方はぜひ小説も読んでみてください。
なおドラマ『人間標本』は 西島秀俊さん主演でAmazonプライムビデオにて12月19日(金)より配信されます。
今なら月額600円(税込)で動画を見放題、さらにAmazonプライム会員のお得な特典を受けることができます。
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なおこの情報は2025年9月1日時点のものです。配信が変更、終了している場合もありますので詳しくは公式サイトをご覧ください。
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