『汝、星のごとく』あらすじ~結末を相関図つきでネタバレ
凪良ゆうさんによる『汝、星のごとく』は、風光明媚な瀬戸内海の島を舞台に、島育ちの少女と転校してきた少年の恋愛を通して生きることの不自由さ、様々な愛の形を描いた心揺さぶる物語です。今回は映画化も決定した『汝、星のごとく』のあらすじから結末を相関図付きでご紹介します。
『汝、星のごとく』あらすじ
瀬戸内の島に住む井上暁海は、浮気している父のことで精神的に不安定になる母を気遣いながら、いつか島を出ていきたいと思っていた。
そんななか暁海は、京都から転校していた青埜櫂に、自分の家庭の暗部を知られてしまう。
櫂もまた恋愛体質の母に振り回され複雑な環境で育ったため暁海に共感し、孤独を抱えた二人は惹かれ合っていく。
高校を卒業すると櫂は漫画家として成功するため上京し、暁海は母を放っておくことができず島に残り地元の会社に就職する。
しかし環境の違う二人は次第にすれ違い、その溝を修復できないなまま別れてしまい…。
『汝、星のごとく』登場人物&相関図
◆登場人物
◆青埜櫂・・・京都から瀬戸内海の島にやって来た少年。男無しでは生きれない恋愛体質の母に振り回されて育つ。その現実から逃げるように物語を書くことに没頭している。将来は漫画家で成功したいと願っている。
◆井上暁海・・・瀬戸内海の島で暮らす少女。父が浮気をし精神的に不安定になる母親を気遣いながらも、将来は島の外に出たいと願っている。父の浮気相手である瞳子に刺繍を習い、作品作りをするときが心の安らぎとなっている。将来はオートクチュール刺繍作家として活動したいと淡い夢を描いている。
◆北原先生・・・櫂と暁海が通う高校の化学の先生。シングルファーザーとして娘・結を育てている。櫂と暁海が抱える悩みに寄り添い、何か問題があるたびに気遣ってくれる。閉鎖的な島の人とは違って、周囲を気にせず飄々と生きている。
◆林 瞳子・・・暁海の父の浮気相手。刺繍作家として成功し、経済的にも自立した女性。暁海に強く自由に生きて良いと背中を押す。
◆久住尚人・・・櫂と共に漫画を描くパートナーで絵を担当。ゲイで高校生の安藤圭と交際している。繊細で真面目な性格。
◆植木・・・櫂と尚人の担当編集者。櫂と尚人の漫画に惚れ、売り込みをかける。
◆結・・・北原の娘。
◆青埜ほのか・・・櫂の母。母であることよりも女であることを優先する。男に捨てられる度に櫂に泣きつき振り回す、男を追ってやってきた瀬戸内海の島でスナックを経営。
◆二階堂・・・薫風社の文芸編集者。櫂の才能を認め、一時は肉体関係を持つ。既婚者と不倫している。
◆安藤圭・・・尚人の恋人。裕福な家庭で育つ。
◆相関図
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『汝、星のごとく』結末までのあらすじ
パートナー尚人と組んだ漫画の連載が決まった櫂は、東京に出て一人暮らしすることになった。
一方暁海は、一時は東京の大学に進学しようとしていたが、浮気相手・瞳子の家から帰らない父のせいで精神不安定な母を島に一人置いておけず進学をあきらめ地元の会社に就職した。
最初は長期休暇の度に暁海と櫂は会っていたが、櫂は有名漫画家になって多忙を極め金遣いも荒くなっていく。
女性であるがゆえに昇給も出来ずわずかな給料で母を支える暁海。二人の間に徐々に溝が出来ていく。
そしてある日、キャパオーバーになった櫂は暁美に癒してもらおうと島に突然帰ってくるが、暁美は二人の時間でさえも仕事を続ける櫂に不満が爆発し別れを切り出してしまう。
櫂はプロポーズのためエメラルドの指輪を持ってきていたが、結局 渡すこともできず時間だけが過ぎ、ついに二人は別れてしまう。
そんななか 櫂の漫画のパートナーだった尚人が未成年へいたずらしたと週刊誌に報じられてしまう。
ゲイの尚人は高校生だった安藤圭とプラトニックな交際をしていたが、18歳になる直前に肉体関係を持ってしまい、思わぬスキャンダルに発展したのだった。
一方暁海は、宗教にハマり家の貯金を勝手に使った母につい酷い言葉を投げかけてしまい、そのせいで母が事故を起こしてしまう。
相手の車両などへの賠償金400万のうち、父と瞳子さんは100万をだしてくれたが、用意できなかった300万を暁海は恥を覚悟で櫂に貸して欲しいと頼みにいく。
櫂は自分を頼ってくれた暁海との復縁を望んでいたが、暁海は櫂が尚人のことで困っていることも知らず金を借りた自分のことが許せず、櫂からの連絡を一切受け付けずに毎月少しづつ金を振り込んだ。
SNSは炎上し漫画の連載中止が決まった櫂は仕事を失ったが文芸編集者・二階堂から小説を書いてみないかと提案され、度々会ううちに肉体関係を持ってしまう。
いっそ二階堂を好きになれば楽だが櫂は暁海のことが忘れられず、通帳に記帳される暁美からの振り込みだけが彼女とを繋げる唯一のものになっていた。
やがて櫂の貯金は底をつき、描いたウェブ漫画はパッとせず、女の家に転がり込んで酒に溺れる日々を送っていた。
ある日櫂は、暁海が北原先生と結婚すると聞き、動揺しながらも、彼女の幸せを願い北原に残金すべてを封筒に入れ祝儀として送った。
生きづらさ、人生を助け合っていくために、ある意味 互助会のような結婚をした暁美と北原。
暁美は北原との結婚で生活の安定を取り戻し、オートクチュール刺繍作家として成功する。
そんななか櫂ががんであることが判明し、親友の尚人も自ら命を絶ったことから絶望の淵に立たされる。
櫂の母は、息子の病気に向き合うことができず、暁美に東京にいる櫂の様子をみてきて欲しいと頼んだ。
事情を知った北原は、暁美に最期の時間は櫂と一緒に過ごすべきだと考え、暁美にすぐに櫂のところに行くように促した。
上京した暁美は、小さなアパートの一室を借り、櫂との時間を取り戻すように島の花火大会に出かけたりと穏やかにすごした。
やがて櫂は天国に旅立ち、暁美は再び北原と暮らすことになったが、北原は暁美公認で再会した教え子の元妻・菜々に月一で会いにいっている。
島の住人は、暁美が櫂の元に行ったこと、北原は元妻と浮気していることなど、勝手に噂していたが、暁美はそれを笑って聞き流し、美しい島で櫂との思い出と共に生きるのだった。
『汝、星のごとく』感想
『汝、星のごとく』は、島という狭いコミュニティーや親に翻弄されながらも、どう生きるか、人生において「普通」「正解」とは何なのかを問いかける作品でした。
暁海と櫂の15年の恋を軸に、仕事、結婚、出産、介護など誰もが社会に出てから直面するライフイベントやヤングケアラー、ジェンダー問題が盛り込まれれています。
また、同じ出来事が暁美パートと櫂パートで語られ、男と女の感じ方の違いも楽しむことができます。
この世界が恋人同士だけで成立するのであれば楽ですが、お互いの気持ちだけではどうにもならないことは沢山あります。
でも、自分の人生を生きることは誰かに許されることではない。
何かを得ることを、何かを捨てること。
つまりうまくいかなくても、自分の人生を自分で選び取って生きていくというメッセージを強く感じました。
プロローグでは暁美が夫の北原の浮気を公認して見送るというシーンがあり、読者は暁美と櫂の恋愛からどのように暁美と北原が夫婦になっていくのか気になりながら読み進めるはずです。
やがて暁美は櫂と別れ、互助関係とはいうものの北原との結婚生活を手に入れ、やっと穏やかな生活を送れるようになったところで、どうして北原は他の女性に会いに行くことになっているのか不安に思います。
それは暁美の父が浮気をして母を苦しめた行為と同じことだからです。
しかし最後まで読み終えるとプロローグを全く違ったものとして捉えることができます。
他人からみたら不幸に見える選択であっても、自らそれを選び取ったことに幸せを感じる….
他人の価値観に流されず、大切な人さえ分かってくれればそれでいいんだと心から思えるラストでした。
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