映画『CUBE』考察と結末ネタバレ！カザンはなぜ生き残った？
死のトラップが仕掛けられた謎の立方体“キューブ”からの脱出劇を描いた映画『CUBE』。低予算ながら大ヒットした本作は、日本で2021年に菅田将暉さん主演でリメイクされることが決定し、再び脚光を浴びています。そこで今回は、原作となるカナダ版『CUBE』のキャスト相関図と結末・考察をご紹介いたします。
映画『CUBE』キャスト・登場人物一覧
クエンティン◆モーリス・ディーン・ウィント
警察官。黒人男性。3人の子供がいるが、妻とは別居している。肉体派であり、その行動力から皆を統率する。
ハロウェイ◆ニッキー・グァダーニ
精神科の開業医。独身で金髪白人。正論をふりかざし、終始不機嫌な態度をとるため、クエンティンとたびたび衝突する。
レブン◆ニコール・デ・ボア
数学科の女子学生。読書用のメガネを持っている。黒髪で白人。
レン◆ウェイン・ロブソン
小柄な初老の男性。〝アッティカの鳥〟と呼ばれる脱獄のプロ。目の前のことだけに集中し、無駄なことは一切考えない合理主義者。
ワース◆デヴィッド・ヒューレット
無気力な独身男性。白人。実はこのキューブの外壁設計に関わっているが、途中まで内緒にしている。
カザン◆ アンドリュー・ミラー
途中から参加した自閉症の青年。サヴァン症候群を持ち数学的な能力に長けている。赤い色を極度に怖がる。大声を出したり度々皆の足を引っ張るが、ハロウェイが献身的にサポートをする。
オルダーソン◆ジュリアン・リッチングス
オープニングに登場するスキンヘッドの男性。冒頭で一人キューブの中で目覚め、移動しようとしたところ網状のワイヤーナイフの罠にかかり体をバラバラに切り刻まれる。「元祖サイコロステーキ先輩」。
日本版『CUBE』キャスト相関図は⇒こちら
『CUBE』のあらすじから結末
◆集まる参加者たち
全く見覚えのない立方体の部屋“キューブ”の中で目覚めた人種も性別も違う５人の男女は、時間、場所、目的、一切の情報がない状況で、部屋から部屋へ移動して出口を見つけようとします。
しかし、それぞれの部屋には命を奪う恐ろしいトラップが仕掛けられていることが判明。
皆を先導するのは警察官のクエンティンですが、徐々に利己的な行動に走り、暴言や暴力を振るい支配するようになります。
そして、最初の脱落者は、脱獄のプロのレン。顔面に強い硫酸を浴び、頭部の半分以上が溶けてな亡くなります。
◆謎の青年カザンの登場
そんななか、数学が得意な女子学生のレブンが、部屋と部屋の接合部に“3桁ごとに区切られた数字（例 566 472 731）”のプレートの存在に気づき、さらに、数字に素数が含まれている部屋はトラップが仕掛けられている説を導き出します。
それを元に部屋を移動していく参加者たちでしたが、前後左右に繋がる部屋のプレート全てが素数の部屋に迷いこんでしまいます。
まさに、八方ふさがりの状態でしたが、天井にも扉があることに気づき、その可能性に賭けクエンティンが扉を開けると、自閉症を患う青年・カザンが降ってきました。
コミュニケーション能力も低く、大声を出したりと、何かと足手まといなカザンに、クエンティンは攻撃します。
そんなカザンを精神科医の白人女性・ハロウェイは、献身的にサポートします。
◆キューブの真実
飲み物を食べ物もなく、クエンティンの粗暴な態度に疲弊していく参加者たちのなかで、ほとんど口を聞かなかった無気力な青年・ワースが、この建物の設計に携わったことを告白します。
しかし、外壁を設計しただけで、内部の構造は何も知らないというワースでしたが、この建物は「キューブ」と呼ばれ、陰謀めいた黒幕や目的はなく、ただ金に浮かれた人たちの 無用の長物であると言いました。
それを聞いたクエンティンは激高し、ワースを何度も殴りつけますが、レブンとハロウェイは、「キューブ」のことを知っているのは彼だけだから…とクエンティンを諫めます。
レブンがワースに、建物の構造を詳しく聞くと、
●建物の大きさは、1辺が132メートル（ビルなら30階建て位）の立方体であること
●部屋は、4.2平方メートルの部屋が26×26×26＝17576個あること
●外に繋がるドアが1つだけあること
●3桁ごとに区切られた数字は暗号化された座標であること
と説明しました。
それを元に移動していったメンバーは、出口に当たる部屋の手前までやってきます。しかし、そこは音に反応して無数の針が飛び出してくる部屋。
クエンティンは、奇声を発するカザンを置いていこうと提案しますが、ハロウェイは、困難な状況でも 人の心を忘れてはいけないと獣のようなクエンティンを制止します。
そして、次々と参加者たちは静かに部屋を通り抜け、最後にクエンティンが通ろうとしたところカザンが声を発してしまい、トラップが作動。
クエンティンは危うく串刺しにされそうになりますが、足を負傷するだけで命は助かります。しかし、ハロウェイは「俺を殺す気か！」とカザンに掴みかかります。そこでもハロウェイは、カザンをかばいますが、クエンティンと激しい口論となります。
◆暴走するクェンティン
不穏な空気を変えようと、レブンとワースが部屋の扉を開けると、「キューブ」の外壁が姿を現しました。しかし、 外壁には凹凸がなく、つたって降りることは不可能でした。
そこで、全員の服を結んでロープにして、体重の軽いハロウェイにくくりつけ下まで下ろすことに。
ハロウェイは体を揺らし、何かヒントを探そうとしますがバランスを崩し、落下しそうになります。
とっさにクエンティンが、ハロウェイの手首を掴みますが、クエンティンは不敵な笑みを浮かべ、掴んだ腕を離しハロウェイを落としてしまいます。
部屋に戻ったクエンティンは、「彼女は手を滑らせてしまった…」とバレバレの嘘をつき、他のメンバーはクエンティンの小芝居を見抜ぬいていましたが、暴力が怖くて口に出せませんでした。
その後、一旦、休もうということになり、全員眠りにつきますが、クエンティンは、ワースからブーツを奪い、レブンを連れて隣の部屋に移動します。
クエンティンは、レブンに、ワースとカザンはスパイだから2人を置いて、一緒に下まで移動しようと提案し、「君とは相性が良さそうだ」と身体を触りはじめます。
クエンティンを信用していないレブンは、それを拒否。
さらに、異変に気づいたワースが助けに入りますが、クエンティンはブーツでワースを殴り下の部屋に落とします。
しかし、下の部屋に落ちたワースは、笑いだします。そこには、脱獄のプロ・レンの遺体があったのです。それは、 元の部屋に戻ってきたことを意味していました。
そんな状況に、クエンティンは泣き崩れますが、カザンはクエンティンの頭を優しく撫でました。
◆数字の答え
そのとき扉を開けたワースは、レンが亡くなった硫酸のトラップの部屋が消え、建物の外になっていることに気がつきます。それは 部屋が動いていることを意味していました。
定期的に感じる振動は、部屋が動いている音だったのです。
レブンはもう一度、3つの数字の意味を考え、キューブは「順列」がカギとなっており一定の法則で動いいると説明します。
つまり、座標上の動く点は、座標のリスト（3つの数字）によって、 部屋の元の場所、動いた回数、動く場所が分かることを突き止めます。
しかし、それは天文学的な計算で、常人が求められるものではありません。そのとき、カザンがポロツと数字を口にします。
カザンは、発達障害の人間にごく稀に見られる サヴァン症候群（特定の分野のみに天才的な能力がある）を持っていたのです。
メンバーは、カザンの能力を借りて出口に繋がる部屋を目指しますが、途中で凶暴さをあらわにするクェンティンに危険を感じたワースは、クェンティンを罠にはめ、下の部屋に落として、レブンとカザンを連れて逃げました。
◆結末
その後、順調に部屋を移動した3人は、とうとう出口に繋がる部屋にたどり着きます。
その部屋で、レブンは床に落ちていたガラスの破片を見つけます。それは、レブンが最初の部屋で割ってしまったメガネのカケラでした。
つまり、メンバーが 最初にいた部屋に留まっていれば、部屋ごと移動して出口に出られる仕組みだったのです。
そして、3人は祈るような気持ちで部屋の扉を開けると、外から眩いばかりの太陽の光が差し込みました。
しかし、ワースは「外に出ても、人間の愚かさがあるだけ。」と言いキューブから出ることを躊躇します。
そんなワースにレブンが「それでも私は生きる」と言ったそのとき！
後を追ってきたクェンティンにより、レブンは胸を刺され、亡くなってしまいます。
ワースも、カザンに 「行け！！」と叫んだ直後、クェンティンに腹を刺されてしまいます。
外に出ようとするカザンにクェンティンが迫りますが、クェンティンが身体を半分外に出したところで、瀕死のワースはクェンティンの足を掴みます。
すると部屋が動き出し、クェンティンはキューブに身体を引き裂かれ、建物に悲鳴が響き渡りました。
ワースはその後、キューブの中で息絶え、唯一、助かったカザンだけが外の世界へと足を踏み出すのでした。ーEND－
◆『CUBE』結末相関図
『CUBE』考察！カザンだけ生き残った意味は？
『CUBE』を見終えると、
◆この巨大施設は、誰が作ったのか？
◆参加者はどのように選ばれたのか？
◆なぜカザンだけ生き残ったのか？
など3つの疑問が浮かんできますが、その答えについて考察してみたいと思います。
◆この巨大施設は誰が何のために作ったのか？
実は作品のなかで、『CUBE』の目的は明かされていません。
「政府の陰謀？」「軍事施設の実験？」などと予測する方も多いとおもいます。
しかし、そのように考えること自体が、キューブのなかにいる参加者と同じということを意味しています。
人間は、理不尽なことに対して、何か理由を付けたがるもの。
理解不能なことほど怖いものはないからです。
監督は、人間たちが それぞれ解釈をし、分かった風に理由を当てはめることを皮肉っているのです。
CUBEの続編の「CUBE2」と「CUBEゼロ」では、軍事的実験政府がらみという話が出ますが、最初の監督のヴィンチェンゾ・ナタリはノータッチなので、本作とは別設定と考えた方がいいでしょう。
◆参加者はどのように選ばれたのか？
キューブの参加者6人の男女は、性別、職業、人種などバラバラな人間が選ばれています。
これは、今の人間界の縮図を表すために選ばれたといえます。
現に6人はそれぞれの役割を担って行動し、争い、殺し合います。
極限状態であるほど、人間の本性は分かるものです。
ちなみに、名前だけで言うと…
①クエンティン=クエンティン刑務所
②ハロウェイ=ハロウェイ女子刑務所
③カザン=ロシアのカザン刑務所
④オルダーソン=オルダーソン刑務所
⑤レン=フランスのレンヌ刑務所
⑥レヴンとワース=レヴンワース刑務所
というように、世界各国の刑務所の名前から付けられているようです。
CUBEは刑務所、参加者は囚人、そして外の世界はシャバということに見立てているのでしょうか。
◆なぜカザンだけ生き残ったのか？
そして、最後の疑問「なぜカザンだけが生き残ったのか？」
閉鎖的で変わり映えしない背景などは、参加者の中でただ一人だけ、外の世界に足を踏み出せた人物です。
他の参加者と大きく違うのは、障害者であること。
世間一般の社会では弱く、守るべき存在の障害者ですが、このCUBEのなかでは、類まれなる能力を発揮して、皆を救う救世主になっています。
一方で、普段は人々の治安を守っている警察官のクエンティンは、CUBEの中ではトラブルメーカー、そして地位の高い医者も数学者もCUBEでは役に立っていません。
これは、人の能力や価値観は、置かれる環境によって変わってしまうということを表現しており、健常者、高いIQを持った人物が、生存レースで勝ち組になることが約束されていないということを、カザンという人間が体現しています。
そんな 唯一の生存者カザンは、続編『CUBEゼロ』では、ウィンという名前で登場し、CUBEの監視員の役職を担っていることが判明しています。
そのためカザンは最初から、生き残る設定だったとも考えられますね。
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リメイクの日本版を見る前に、原案の『CUBE』シリーズでおさらいしたい方もいるのではないでしょうか？
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なお、本作品の配信情報は2021年8月時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況については各動画配信サイトのホームページもしくはアプリをご確認ください。
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