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『銀河鉄道の父』あらすじ~結末ネタバレ!放蕩息子を支えた過保護な父

映画

文豪・宮沢賢治の生涯を超過保護な父親の視点から描いた小説『銀河鉄道の父』が映画化されます。そこで今回は、映画をもっと楽しむために『銀河鉄道の父』のキャスト、あらすじ~結末をご紹介したいと思います。

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『銀河鉄道の父』登場人物&キャスト

登場人物&キャスト

宮沢政次郎役所広司

賢治の父。

宮沢イチ未発表

政次郎の妻で、賢治の母。

宮沢賢治菅田将暉

政次郎の息子。石集めに没頭し「石っこ賢さん」と呼ばれる。

宮沢トシ森七菜

政次郎の娘で、賢治の2歳下の妹。成績は優秀で文才があった。24歳で肺炎のためこの世を去るが、その死は賢治の創作活動に大きな影響を与える。

宮沢清六未発表

政次郎の次男。賢治の8歳下の弟。賢治の賢治の文学活動のよき理解者であり。賢治亡きあと、宮澤賢治全集を刊行する。

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『銀河鉄道の父』あらすじ

「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「注文の多い料理店」の作者として知られる童話作家・詩人の宮沢賢治。

そんな彼の創作活動を支えたのが、質屋を営む父・政次郎(まさじろう)でした。

幼少期から鉱物採集が好きで、中学時代には短歌を詠むなどの文学活動を始め、さらには農学部に進学したあとは法華信仰に目覚めた賢治。

賢治には、質屋の跡取りとして立派に育って欲しいと願いつつも、彼の荒唐無稽な思想に振り回され支え続けた政次郎の愛の物語。

『銀河鉄道の父』ネタバレ!結末までを簡単に

過保護すぎる父

岩手県花巻町(現在の岩手県花巻市)で質屋を営む政次郎の長男として誕生した賢治。

賢治が小学校に入学すると自分の幼少期と同じく優秀であることに目を細める政次郎でしたが、息子が質屋には役に立たない鉱物採集に熱中し始めたことに、とまどいます。

成績優秀だった賢治ですが、悪友たちと遊ぶこともするやんちゃ坊主であり、火遊びで近所の家を全焼させたこともありました。

さすがに政次郎もこの火事について息子に聞いてみましたが、賢治は「知らねす」と涼しい顔で答えるのみ。

父親ならそこで怒ってでも白状させるべきですが、政次郎は「賢治がそこまで白を切るなら…」と許してしまうのです。甘っ!!

また、賢治が赤痢のため入院したときは、つきっきりで看病。

“イクメン”などという言葉がない時代に、父親が息子の看病に付き添うことはとても珍しいことで、感染のため医者や看護婦は政次郎を制止しますが聞く耳をもたなかったそうです。

この看病が原因で、政次郎も赤痢に感染して大腸カタルを起こし、生涯柔らかいものしか口にできませんでした。

石っこ賢さん

賢治は、幼少期から2歳年下の妹・トシと仲良く石集めに没頭していました。

賢治にとって岩手の山や河原は宝の山。

周囲は賢治を「石っこ賢さん」と呼び変わり者扱いしていましたが、政次郎は息子の趣味に理解を示し、高価な標本箱や本を与えたそうです。

一方、賢治の祖父・喜助は「質屋に学問は必要ない。」という考えでしたが、政次郎は祖父を制して賢治の中学進学を許可します。

さらに賢治は、鉱物学をやりたいと盛岡高等農林学校に入学して、ドロップの工場や人造宝石を作りたいと言い出す始末。

これには、さすがに政次郎も驚いたようですが、結局は賢治がやりたいことを応援してやりました。

賢治も内心は、質屋を継がず父に負担をかけていることに心苦しさを感じていたようです。

今なら「穀潰しのニート」と思われても仕方のない状況ですね。

19歳になった賢治は法華経に入信。

「心ある者は、農民の苦しみの側に立たねばならぬ」と言い出し、野菜しか口にしなくなり、浄土真宗だった父を説き伏せるようになっていきました。

それから農学校の教師となった賢治は、トシの勧めで童話を書くことにも力を入れていきます。

トシとの別れ

そんななか、東京に進学したトシが肺炎のため入院します。

賢治は、かつて政次郎が自分にしてくれたように献身的に看病します。

一時は病状が落ち着き、トシと花巻へと帰りますが、享年24歳で亡くなってしまいました。

自分の良き理解者で、才能ある妹を亡くした賢治は、押入れに顔を入れて「とし子、とし子」と号泣したそうです。

それから、賢治は妹の別れと当時傾倒していた法華教の影響から有名な詩「永訣の朝」を書き上げます。

けふのうちに
とほくへ いってしまふ わたくしの いもうとよ
みぞれがふって おもては へんに あかるいのだ
(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

賢治は、トシの無念を詩にすることで供養していました。

その後、農民からお金を巻き上げ生活している質屋を嫌悪していた賢治は作家になると決めます。

跡を継がない息子であっても放っておけない政次郎は、やはり彼を応援します。

生前、賢治の本は売れませんでしたが、大量に残った在庫を政次郎は買い取り、親戚などに配ったそうです。

しかし、そんな賢治も結核のため病に伏せてしまいます。

そして、苦しいときに賢治が書いたのが「雨ニモマケズ」でした。

政次郎はかつて賢治にしたように、胸をとんとんと叩きながら必死に看病しますが、その甲斐もなく37歳の若さで亡くなってしましました。

その後政次郎は、生前の賢治との約束を果たすべく、日本語訳の妙法蓮華経を一千部作りました。ーEND-

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『銀河鉄道の父』感想

賢治の作品に色濃く反映されている死生観ですが、今回賢治の生い立ちを知るうちに、父・政次郎の愛が根底になければ賢治はここまでの作品を残せなかったのではと思いました。

とんでもない放蕩息子でありながら、叱ることもなく、温かく見守り、応援し続けた父。

家族からの理解と経済力がなければ、宮沢賢治は世に知られることはなかったかもしれません。

それから、この本を読むまで、宮沢賢治という人間は貧しい農民のために尽力した聖人君子のようなイメージを持っていましたが、実は親の脛かじりのボンボンだと知り、ちょっと親近感が湧きました。

人間臭い賢治の生涯を振り返ると、「雨ニモマケズ」が ただ説教臭いものではなく、賢治のユーモアある言葉遊びだと知ることもできました。

最後に「そういう者に、私はなりたい」と言ってますしねwww。

そして忘れてはいけないのが、妹のトシ。

彼女の存在もなければ、宮沢賢治という作家も生まれなかったでしょう。

自分よりも優秀で、お互いの才能を認め合えるかわいい妹。

だからこそ、兄と妹の仲睦まじいやり取りや、最後の別れのシーンは、胸に迫るものがありましたし、弱い子どもたちを、先に看取ることになってしまった政次郎の辛さも痛いほどに感じました。

政次郎を表わす「銀河鉄道の父」というタイトルも秀逸。


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