『照子と瑠衣』結末までのあらすじを簡単にネタバレ!

井上荒野さんによる『照子と瑠衣』は、70歳の高齢女性二人の切なくも痛快なロードムービーです。今回はNHKでドラマ化もされる『照子と瑠衣』のあらすじをご紹介いたします。
『照子と瑠衣』あらすじ
優等生の照子と不良の瑠衣は中学校で同じクラスだったが接点はなく、30歳のときに同窓会で再会して親友となった。
二人が70歳になったある日、照子のもとに高齢者専用住宅に入居した瑠衣から「助けて」と連絡が入る。
照子はモラハラ気味の夫に見切りをつけ、シルバーのBMWに乗って瑠衣と共に逃避行し、他人名義の別荘で暮らすことに…。
『照子と瑠衣』登場人物&相関図
◆登場人物
◆照子・・・モラハラ夫と四十五年連れ添ってきたが、瑠衣からの「助けて」の言葉を聞き家を出た。学生時代から優等生。
◆瑠衣・・・独身。老人マンションに入居したが陰湿な人間関係を見限って逃げてきた。元シャンソン歌手。学生時代は不良。
◆依子、源太郎・・・駅前の通りから一本入ったところでカフェ「マヤ」を経営する若夫婦。照子に占いの場を提供する。
◆梓川譲二・・・五十九歳。バー「ジョージ」の経営者。瑠衣をシャンソン歌手として雇う。
◆朝倉・・・「マヤ」の二軒隣のフォーの店「かぴばら」の店主。
◆静子・・・照子たちが潜入した別荘の近くに住むスーパー老婆。
◆砂川みどり・・・照子たちが潜入した別荘地に住むいけすかない男の妻。
◆寿朗・・・照子の夫。妻をぞんざいに扱ってきた。
『照子と瑠衣』最終回の結末をネタバレ
八ヶ岳の別荘地に潜伏(他人の別荘の鍵を壊して不法侵入)した照子と瑠衣。
照子が夫に家政婦のように扱われてきた期間に集めてきた少しの貯金はあったものの、これからの生活を考えると心もとない金額でした。
そこで照子は「コーヒーと軽食の店 マヤ」で週3回トランプ占い、瑠衣は「カリーと酒の店 ジョージ」で、月2回 歌手として働きはじめることにしました。
◆二人が親友になったキッカケ
中学生の時には接点のなかった照子と瑠衣でしたが、二人は30歳になった頃に行われた同窓会で再会します。
クラスメイトだった男から執拗に絡まれていた照子を助けた瑠衣。
二人はバーで飲み直し、照子は結婚生活を、瑠衣は過去の結婚と恋愛の傷を打ち明け合って大泣き。
このときの出来事をきっかけに照子と瑠衣は親友になりました。
◆照子の夫婦生活
24歳の頃、照子は父親と同級生の大学の講師で歴史研究家の男性に恋をしましたが、彼には妻がおりで諦めるしかありませんでした。
照子はそんな苦しい恋から逃れるために、愛せるだろうと現在の夫・寿朗と結婚しました。
結婚生活では、寿朗は照子を使用人のように扱い、子どもが出来ないのは自分の方に問題があるにもかかわらず照子のせいだと言いふらしたりもしました。
また会社の部下と浮気し、気に入らないことがあると癇癪をおこすような男だったのです。
照子は瑠衣の「助けて」という言葉をきっかけに寿朗を見限って、家を出たのでした。
◆瑠衣の秘密
瑠衣は佐世保でバーを営む男と最初の結婚をして、冬子という娘を授かりましたが夫は瑠衣を母親という存在に縛り付けるようになっていきました。
冬子が4歳のとき、息苦しさを感じていた瑠衣はジャズベーシストに恋をして駆け落ちをしました。
もちろん瑠衣は冬子を連れて行こうとしましたが、夫の両親に頑なに拒否され諦めるしかありませんでした。
その後、ベーシストの男は交通事故で亡くなり、瑠衣は自分がやったことことへの後悔と娘への罪の意識を抱えて生きてきました。
◆照子の企み
瑠衣が歌手として働いているジョージの店でクリスマスパーティーが行われることになり、そこにカフェ「マヤ」の依子さんの母(イタリア在住)も参加することになりました。
そして依子さんの母の名前は「冬子」。
なんと瑠衣の娘だったのです。
そして瑠衣が娘の冬子と会うことになったのは、ただの偶然ではありませんでした。
照子は二人の逃避行を随分前から用意周到に準備してきました。
遡ること三年前ー
照子は冬子を探し始め、SNSのアカウントから冬子の娘・依子が結婚を機に長野県でカフェを開くという情報を得ました。
結果的に娘を置いてきてきてしまった瑠衣は、その負い目から冬子に会いにいくことは考えられず、照子は自然な形で親子を引き合わそうと計画したのでした。
クリスマスパーティーの当日、瑠衣は冬子と対面しますが、そのときの様子と結末はぜひ本書を読んで楽しんでみてください。
『照子と瑠衣』感想
『テルマ&ルイーズ』の日本版ということだって、古希を迎えた二人の老女がとにかくカッコ良い!!
もう年だし、貯金もないし、守りに入って暮らすのが現実的なんだろうけど、二人のとにかく「今」を楽しむことに全力を注ぐ姿に元気をもらえました。
いくつになってもこんなに仲良く、なんでも言い合える親友がいるなんて羨ましい。
一見、瑠衣が奔放で主導権を握っているようにみえますが、控え目な照子の方が大胆で行動力があるのも面白い。
ちなみに本作に登場した80代の老女・宇陀川静子さんは『静子の日常』の静子さん。こんな細かな演出もファンにとっては嬉しい。
「もう70歳」ではなく「まだ70歳」人生これから…楽しむことを諦めない。
ラストは、二人の人生はまだまだたっぷりあるのだと想像させてくれる終わり方も余韻があって素敵でした。
ちょっとワルでかっこいいシニア世代の小説というのはあまりないので、これからも井上荒野さんいはぶっとんだ高齢女性の活躍する作品を書いて欲しいです。
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