『殺した夫が帰ってきました』ネタバレ!夫の謎や結末を相関図付きで解説

桜井美奈さんにより殺した夫が帰ってくるというインパクトあるタイトルの通り、5年前に亡くなったはずのDV夫が妻の前に突然現れるという、にわかに信じがたい出来事を描いたサスペンスミステリーです。今回は、ドラマ化も決定した『殺した夫が帰ってきました』の結末までのあらすじを相関図付きでご紹介いたします。
『殺した夫が帰ってきました』あらすじ
アパレルメーカーに勤務する28歳の鈴倉茉菜は、誰にも言えない秘密を抱えて5年前に上京してきた。
その秘密とは、DV夫を崖から突き落として命を奪ったことー。
そんななか多忙な仕事を終えて帰宅した茉菜は、しつこく付きまとっていた取引先の男性に襲われそうになるが、そこに亡くなったはずの夫・鈴倉和希が現れる。
茉菜は混乱するが、和希は事件前後の記憶を失い、以前とは別人のように穏やかな性格になっていた。
暴力を振るわないこと、茉菜に触れないことを条件に、二人は茉菜のアパートで一緒に暮らし始めるが、ある日“鈴倉茉菜の過去を知っている”と書かれてた手紙が届き…。
『殺した夫が帰ってきました』登場人物
◆登場人物
◆鈴倉茉菜・・・東京のアパレルメーカー勤務の28歳。
◆鈴倉和希・・・茉菜のDV夫。崖から転落して亡くなったはずだが、5年後に突然茉菜の前に現われる。
◆羽瀬修斗・・・警察官。4か月前に仙台に旅行に行った際、和希に泊めてもらって以来の友人。
◆穂高・・・茉菜が勤める会社の取引先の男性社員。茉菜にしつこく付きまとう。
◆結城朋絵・・・茉菜が服飾専門学校に通っていたときの同級生。通訳をしている男性と結婚を控えている。
◆寧々・・・茉菜が20歳の頃に仙台の風俗店で働いていたときの店の同僚で友人。
◆相関図
『殺した夫が帰ってきました』結末
DVが原因で5年前に崖から突き落とし命を落とした夫が突然目の前に現れるというだけでも不可解ですが、その後 山林から白骨化した鈴倉和希の遺体が見つかったことでさらに謎が深まっていきます。
遺体の歯型から間違いなく和希が亡くなっているとすれば、茉菜の目の前にいる夫と瓜二つの男は一体誰なのか。
そして物語の間に挟まれる茉菜の幼少期の悲惨な生い立ちも、謎を解く鍵の一つになっています。
以下ネタバレを含みますので未読の方はご注意下さい。
◆帰ってきた夫の正体は?
茉菜の前に現われた男は和希ではなく、ズバリ言うと茉菜の親友の兄・和田佑馬という人物でした。
佑馬の妹は、仙台に家出した茉菜が風俗店で働いていたころの同僚で寧々という源氏名で働いていました。
洋服好きの寧々と仲良くなった茉菜は、彼女の着る服をアレンジするうちに、ファッションに興味を持ち、服飾専門学校に進学して今の仕事に就きました。
寧々と佑馬のそれぞれの親は子連れ再婚だったため、二人に血縁関係はなく、一緒に暮らすうちに恋に落ちました。
しかし両親が離婚したことにより二人の関係は終わりましたが、佑馬は偶然にも父のスマホに映った寧々と茉菜の写真を見つけ行方を追うことにしたのでした。
「鈴倉茉菜の過去を知っている」という手紙を出したのも佑馬でしたが、佑馬が和希でないとすれば、二人にはどんな接点があったのでしょうか。
◆寧々の本名は…
あるとき寧々は交際していた男性の子どもを身ごもり結婚しますが、彼からの激しい暴力により流産してしまいます。
その後 別れ話を切り出した寧々は、彼に連れ出され山に向かい「保険金」目当てで命を奪われそうになり、必死に抵抗した際に彼を崖から突き落としたのでした。
そして亡くなった寧々の夫こそ鈴倉和希であり、寧々の本名は鈴倉茉菜だったのです。
茉菜が佑馬を和希と勘違いしたのは、以前 寧々から「結婚したいくらい好きになった人」として佑馬の写真を見せられていたからでした。
◆茉菜の壮絶な生い立ち
母親から虐待されて育った茉菜は、よく母の知人で近所に住む松木という女性に匿ってもらっていました。
松木も母と同様に薬物に手を出していましたが、流産した経験から茉菜を可愛がり、食事や着るもの、そして勉強も少し教えたりしていました。
茉菜の本名は「愛」と言いますが、母が付けた「アイ」という呼び名を嫌って、松木からは「マナ」と呼ばれていました。
そんなことから、茉菜(愛)は寧々の本名を聞いて運命のようなものを感じたのです。
その後も母は結婚、離婚を何度も繰り返していましたが、愛は16歳の頃 真瀬匡人という恋人ができます。
しかし、忘れ物を届けにきてくれた匡人に、義兄と一糸まとわぬ姿でベッドにいるところを見られてしまい、恋は終わりました。
愛は、昔から母と一緒に暮らした男はもちろん、義兄からも忌み物にされていたのでした。
◆愛が茉菜になった出来事
茉菜(寧々)は、夫の和希を突き落としたことを愛に明かしました。
自首したいという茉菜と付き添う愛は、警察署に向かう前に海にドライブに行きますが、そこで大きな地震が起こります。
そしてこの地震により津波が発生し、二人は高台に向かいました。
しかし、逃げている途中に再び揺れが起こり茉菜は足を滑らせ、とっさに愛は茉菜の手ではなく彼女のバッグをつかみました。(このときの愛の記憶は曖昧)
そしてバッグを残し、茉菜は津波に飲まれ亡くなったのでした。
その後 愛は災害に興じて上京し、戸籍がなかったため、茉菜の免許証などの身分証明を利用して家を借りたのでした。
こうして愛は、この5年間茉菜になりすまし必死に働いて学校に通い、今の仕事に就きました。
◆結末
愛は茉菜が落ちるとき、手をつかもうとして誤ってバッグを掴んだのか、自らバッグを選んで掴んだのか何度も考えましたが、結論はでませんでした。
愛は茉菜を見殺しにしたのならば自首をするから、佑馬が決めてほしいと自分の運命を彼に委ねました。
そして愛は少しの間だったけれど、幸せな結婚生活を体験でき、知らなかった温かな家族の時間をすごせたことに感謝しました。
すると佑馬も自分も幸せな時間だったと答え、愛を乗せて車を走らせたのでした。
『殺した夫が帰ってきました』感想
殺した夫が帰ってきたという、かなりハードルの高い設定のため多少ご都合主義な部分もありませんが、それを差し引いても納得のできる叙述トリック。
タイトルからホラーやファンタジーだと思って手に取った人は期待外れかもしれませんが、私的にサスペンスミステリーが好きなので最後まで楽しめました。
「愛」の名前が伏線となり、「マナ」と読ませるあたりは上手い。
そして、そのトリックに主人公の過去の壮絶な生い立ちを盛り込み、虐待、無戸籍など社会問題も描いていて引き込まれます。
愛がやってしまったことは確かに犯罪ではあるけれども、存在しない子どもであるがゆえに、まともな教育を受けられず、普通の仕事に就くこともできない状況を考えると、そうせざる負えないのかなぁと思ってしまいました。
戸籍を乗っ取ってシラを切ればこの生活を続けられるのに、佑馬に包み隠さず事件の詳細を明かす結末が切なかったです。
一方で、佑馬も愛と一緒に過ごしたことを幸せに感じ、罪を償った後も共に人生を歩んでいこうとする希望のあるラストが救いでした。
ドラマ化が決定されたそうですが、DVする夫のシーンの顔をハッキリさせなければトリックも描けそうですいし、何よりもタイトルのインパクトが映像化向き。
妻役は山下美月さん、夫役は萩原利久さんがキャスティングされていますので、ぜひドラマも楽しみたいです。
なお本作は、WOWOWで7月11日(金)より配信されることが決定しています。
WOWOWの登録方法は以下のリンクに詳しく記載していますので、ご覧ください。

この情報は2025年5月27日時点のものです。配信が変更、終了している場合もありますので詳しくは公式サイトをご覧ください。
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