『わたしだけのアイリスTRUE COLORS(トゥルーカラーズ)』あらすじ~結末をネタバレ

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『わたしだけのアイリス』は、突然色覚異常の病に冒されたフォトグラファーの女性が、一度は捨てたはずの故郷に戻り、再生していくまでを丁寧に描いた小説です。今回はNHKで「TRUECOLORS(トゥルーカラーズ)」というタイトルでドラマ化もされる『わたしだけのアイリス』のあらすじから結末をご紹介いたします。

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『わたしだけのアイリス』あらすじ

「色彩のディーバ」として注目を浴びる 売れっ子ファッションフォトグラファー立花海咲は、色覚障害「錐体ジストロフィー」という難病を突如発症する。

色覚障害を抱えた海咲は、恋人から別れを告げられ、仕事も失ってしまう。

そんななか故郷・熊本で震災が起こり、海咲は16年ぶりに帰郷することに。

あの日、家族も友人も捨てた天草に降り立った海咲だったが、親友、親友家族、恩師は昔と変わらず温かく迎え入れてくれた。

そして絶縁状態の母と妹、憎み続けた義理の父との再会により海咲の心にも変化がおとずれる。

さらに20年前に海難事故により無くなった実の父の秘密が明らかに。

果たして、最後に海咲が見つけた最高の色とはーー。

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『わたしだけのアイリス』登場人物&相関図

登場人物

立花海咲・・・熊本県天草出身のファッションフォトグラファー。「錐体ジストロフィー」という難病を突如発症し…。
松浦晶太郎・・・海咲の幼なじみ。画家を目指していたが、地元熊本で父の跡を継ぎ猟師を行っている。
辻村七瀬・・・海咲の妹。同僚の男性との結婚を控えている。養護学校の教師。
辻村しのぶ・・・海咲と七瀬の母。父が海難死したあと、多額の賠償金を背負わされ、辻村と再婚した。
立花勝男・・・海咲と七瀬の実父。19年前に海難事故で亡くなった。
辻村多一郎・・・海咲の義理の父で七瀬の実父。しのぶが背負った賠償金を肩代わりして再婚した。現在は高速連絡船の船長をしている。
松浦茂雄・・・晶太郎の父。海咲の父の親友で、父が亡くなった海難事故で片腕を亡くす。
松浦百合・・・晶太郎の父。松浦家とは家族ぐるみの付き合いで海咲や七瀬を娘のように思っている。
松浦詠輔・・・晶太郎の弟。外科医。
加藤美徳・・・海咲と晶太郎の高校の恩師。美術担当で海咲の色彩の才能を認めていた。
竹崎淳弥・・・海咲と晶太郎の高校の一学年上の先輩。バスケ部の元主将で海咲がかつて交際していた相手。
黒沢涼子・・・晶太郎を支援する福岡の画商。
巻上伸哉・・・ァッション誌編集者。既婚者。海咲とは8年の不倫関係を続けているが、彼女の色覚障害を知り別れを告げる。
木嶋作太郎・・・美咲の写真の師匠。
朝倉教授・・・海咲の担当医。大学病院の教授。

相関図

※無断転載ご遠慮ください。

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『わたしだけのアイリス』結末までをネタバレ

海咲と晶太郎の関係

父親同士が親友で、幼い頃から家族ぐるみの付き合いをしてきた海咲と晶太郎。

高校時代には同じ美術部に所属し、お互いの感性を認め合った二人。

いつしか晶太郎は海咲に惹かれるようになりますが、美咲は晶太郎の気持ちに気づきながらも、バスケ部の主将と交際していました。

海咲が故郷を捨て上京したあと、ずっと晶太郎に憧れていた妹の七瀬が彼に告白し、2年ほど付き合うことに。

しかし、七瀬は晶太郎の心になかに、ずっと姉の海咲がいることを感じ、別れを告げました。

今でも晶太郎は海咲のことを好きですが、海咲は芸術家として同じ独善的な情熱を持つ晶太郎と恋人になっても上手くいくとは思えず、彼の想いから逃げ続けているのでした。

海咲の父が亡くなった真相

海咲の父・勝男が海難事故で亡くなったあの日、晶太郎の父・茂雄は勝男を助けようとして片腕を失いました。

その茂雄は、勝男が右舷と左舷を区別する緑灯と赤灯を反対に認識したため貨物船とぶつかったと話しました。

実は勝男は生まれつき色弱で、その病気は海咲に遺伝していたのです。

幼い頃から自分なりに色を見分ける訓練できていた勝男は、色覚検査がある一級船舶免許も問題なくクリアしていました。

茂雄は危険だから何度も勝男を止めましたが、娘二人大学を卒業させるまでは漁師を辞めることはできないと拒んだのでした。

辻村の正体

海咲は、父の事故の賠償を肩代わりした 辻村多一郎を憎んでいました。

破産申告するしか選択の余地がない母の弱みにつけこみ、家族を金で買い取った辻村をずっと許せなかったのです。

しかし、辻村はあの日、父の漁船とぶつかった貨物船の船長だったというのです。

裁判に出席していた辻村は、事故を他人ごととは思えず、25年船乗りとして勤めあげた退職金を賠償金として立て替えてくれていたのです。

辻村は、償いや哀れみのため母と再婚したのではなく、母に惚れて一緒になったことも分かりました。

海咲は、自分が故郷を離れている間、母と妹を支え、助けてくれた辻村へ感謝し、一緒に妹の結婚式に出席することを決めたのでした。

新しい旅立ち

母と妹、そして辻村と和解し、幸せいっぱいの妹の晴れ姿を写真に収めた海咲は、東京に戻ることを決めました。

一方、晶太郎は画家になるために、イタリアにある国立美術学院で絵を学ぶことになりました。

海咲は、熊本を出発するため辻村が船長を務めるクルーズ船に乗り込みます。

ふと外に景色に目を向けると、そこには晶太郎が声をかけ 集まった大漁旗を掲げた漁船が107隻浮かんでいました。

美咲は新たな出発を祝うカラフルな大漁旗と故郷の美しい風景に、夢中でシャッターを切りました。

結末

一年半後ー

海咲は新しく出した「True Colors」という写真を持って、イタリアのフィレンツェに到着しました。

海咲は、高校時代の美術教師・美徳先生の妻フランチェスカの実家で晶太郎と待ち合わせしていました。

ブドウ畑を背にテラスに座っていると、バイクに乗って晶太郎がやって来ました。

正面から見つめる晶太郎に海咲は、顔が赤くなるのを必死で堪えました。

そして晶太郎は「お前が、天使に見える」と独り言のようにつぶやきました。

二人の恋は今はじまったばかりです。ーおわりー

『わたしだけのアイリス』感想

「本当に美しいものは、目には見えないのです。心で見るものです。」

一人の女性の絶望から再生までを描いた『わたしだけのアイリス』は、複雑な色彩を言語化した美しさが目に見える作品でした。

なぜ文章から、ここまで映像が目に浮かぶのかと思っていたら、筆者の源 孝志さんは、『京都人の密かな愉しみ』などドラマの脚本や企画を多く手掛けている方だったんですね。

信仰息づく静謐な天草を舞台に、幼馴染み昌太郎、疎遠になった父母、母の再婚相手への憎しみ、父の死の真相が絡む人間ドラマ。

東京で徐々に色を失っていく主人公が、一度捨てた故郷で自分なりの色彩を得ていく対照的な描写が心地よかったです。

海咲にとって、むしろ色覚異常を発症したあとの方が、ある意味 普通とは違う世界が見え、独創的な作品を生み出すことができた。

画家として有名なあのゴッホも、色覚異常だったので、健常者とは別の色のなかで生きていたといいます。

ラストで海咲は、故郷の天草で自分にとって最高の色、大切な人を見つけ、第二の人生をスタートさせました。

なお、本作はNHKで倉科カナさん、毎熊克哉さんでドラマ化されます。

美しい自然やそこで育まれた文化が作る微妙な色がどう映像化されるのか。

物語には欠かすことができない登場人物を彩る色彩にも注目してドラマも楽しみたいと思います。

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